ダンジョンで聖剣を抜刀するのは間違っているだろうか   作:クロウド、

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はい、二本目の聖剣です。


イカズチの剣

 迷宮都市オラリオ。

 

『ダンジョン』と通称される地下迷宮を保有する、いや迷宮の上に築き上げられた巨大都市。

 

 都市ひいてはダンジョンを管理する『ギルド』を中核にして栄えるこの都市は、ヒューマンを含めるあらゆる種族の亜人が生活を営んでいる。

 

 と、学の乏しい僕が説明できるのはこのくらい。

 

 そして、その『ダンジョン』にそこから得た収入で生計を立てている人間を総じて冒険者と呼ぶ。僕『ベル・クラネル』もまたその一人だ。

 

 僕は今、ダンジョンでの探索をいつもより早く切り上げてオラリオで双璧をなす鍛冶系ファミリア【ヘファイストス・ファミリア】の工房に来ている。平屋が並ぶその場所はオラリオの端だからか、まだ日が高いのに薄暗い。それぞれが与えられた工房で鉄を打つカーンと言う音があたりに響く。

 

「えっと、確か……。」

 

 僕は以前一回だけ来たことのある彼の工房の前で足を止めた。

 

 僕がその扉を開くと凄まじい熱が僕の肌を焼く。

 

 凄まじい炉の熱が離れた場所にいたベルにも届く。まるでここだけ空間が違うかのように温度が違った。

 

 そして、その炉の前で一人の鍛冶師が鉄を打っていた。炉に燃え盛る炎と同じように赤い髪、浅く焼けた褐色の肌。その手に握られたハンマーで刃を打つ。

 

 見てみると、そこにあったのは僕の身の丈ほどある巨大な剣。

 

「ん、ベルか?」

 

「あ、ごめん。邪魔して」

 

「いや、気にすんな。丁度終わったところだ」

 

 一通りの作業が終わったのか、ハンマーを下ろす鍛冶師。

 

 そして、さっきまでの鬼気迫る表情から一転ニヤリと笑顔になって僕の方を向く。

 

 彼の名前はヴェルフ・クロッゾ。【ヘファイストス・ファミリア】の本人言うところによればまだ下っ端の鍛冶師、らしい。以前一度だけ僕の火炎剣烈火を鍛冶の神である彼の主神であるヘファイストス様に見てもらおうとそのホームに行ったとき偶然知り合った。

 

 僕がこの迷宮都市で初めて出来た友達だ。僕の火炎剣烈火と、ワンダーライドブックについて凄く興味深そうにして、僕から本を借りて工房にこもっていた。

 

「その剣が、前に言ってたすごい剣?」

 

「いや、ちょっと違うな。だが、出来てるぜ。俺のこれまでの人生最大の傑作がな!」

 

 そういってヴェルフが持ってきたのは一本の剣、僕の火炎剣烈火とそっくりだが刀身が赤ではなく黄色で、つけられているエンブレムも僕の烈火の炎のような形をした赤いエンブレムではなく、稲妻のような形をした黄色のエンブレム。剣先の銀色のマークまで同じだ。

 

「僕の火炎剣烈火にそっくりだね」

 

「俺もなんでこんな形になったかはわからないんだけどな、なんか、剣の声が聞こえた気がするっていうのかな。気づいたらこいつが出来てた」

 

「もしかして……。」

 

 僕は火炎剣烈火と同じ銀色のマークにポケットから取り出した黄色のライドブックを翳してみる。

 

 

 

ヘッジホッグ!』『ふむふむ……』

 

 

 

 

「ライドブックを読み込める!」

 

「おう!自分でも驚いたぜ、まさか、こんな剣を作れるとはな。おまけに魔剣みてぇに使っても砕けねぇし、ヘファイストス様にはお前の烈火も総じてその本の力を使える剣を『聖剣』って呼ぶのはどうかって言われたよ」

 

「『聖剣』か、なんかかっこいいね!」

 

「ベル、この剣はお前が持っててくれ」

 

「いいの?こんな凄そうな剣?」

 

「元々、お前の本がなきゃ完成しなかった剣だ。それに、俺は単純にお前がその剣で戦うところが見てみたい」

 

「わかった、ありがたく使わせてもらうよ」

 

 僕はヴェルフに差し出された黄色の剣をを受け取る。うん、なんだかしっくりくる感じがする。それをキラキラした目で見ていると、ふと聞き忘れたことを思い出す。

 

「この剣、名前は……?」

 

「候補が二つあるんだ、1つ目は『ビリビリ丸』――「却下!」――即答かよ。」

 

 ヴェルフが言い終えるよりも前に間髪入れずに拒否する。流石にそれはダメ、だって片手に火炎剣烈火、片手にビリビリ丸はいくらなんでも……。

 

「まぁ、本命は別にあるんだ」

 

 ヴェルフはその剣を取り、刀身を見つめその本命の名前を僕に告げる。

 

「―――『雷鳴剣黄雷』、なんてどうだ?」

 

「イカズチ、雷の剣、いいね!凄くいい!」

 

 雷鳴の剣、黄雷―――なんだかすっごいしっくりくる!

 

「だろ?それにこの剣、この本に共鳴するように時々ビリビリ帯電しててな」

 

 そう言ってヴェルフは僕が預けていた三冊の本のうちの一冊、魔法のランプが描かれた『ランプ・ド・アランジーナ』のワンダーライドブックを僕に差し出す。

 

「多分だが、火炎剣烈火とブレイブドラゴンみたいに本と剣には相性があるんじゃねぇかと思うんだ」

 

 確かに火炎剣烈火は『ブレイブドラゴン』のワンダーライドブックを使わなければ変身できない。赤い剣と赤い本で相性がいいってことかな程度には思ってたけど。

 

『ランプ・ド・アランジーナ』を受け取りながら、そんな事を考える。

 

「そういえば、渡した本って三冊あったよね?」

 

 ワンダーライドブックには大きく分けて三つの種類がある。『神獣』、『生物』、『物語』の三種類だ。それぞれソードライバーのスロットに指す場所が決まっている。『神獣』は一番右、『生物』は中央、『物語』が一番左、使った場所によって装備も変わるようになっている。

 

 ヴェルフには『神獣』ジャンルの『玄武神話』、『生物』ジャンルの『ライオン戦記』、そして『物語』ジャンルの『ランプ・ド・アランジーナ』を預けていた。

 

「残りの本はどうしたの?」

 

「あぁ、残りの二冊も今作ってる剣と共鳴してるみたいでな、悪いけどしばらくは返せそうにないんだ」

 

「いいよ、全然。他にも本は沢山あるし」

 

「……お前、それ一種の魔導書だってわかってるか?」

 

 魔導書、使用した人間に魔法を発言させる使い捨ての魔導具。僕は現物を見たことはないけど、物凄く高価らしい。確かに、使用者に魔法にも似た力を与えるワンダーライドブックは確かにその一種かもしれない。

 

「そんなこと言ったらこの剣も一種の魔剣でしょ」

 

「相場だと魔導書のほうが高いぞ」

 

「あ、そうなんだ」

 

 僕のは使い捨てじゃないから見方によってはそれ以上の値がつくので、バレたら間違いなくどこか派閥が取り込みに来ると言ってたから僕はこの本の力を今日みたいなことがない限りあまり使っていない。

 

 ―――今日は剣を受け取り、ヴェルフに礼を言うと僕は彼の工房をあとにした。

 

 

 

 

 

「さて、俺もこいつを完成させるか」

 

 ベルが去った工房でヴェルフはさっきまで自分が打っていた大剣を見る。そして、ポケットから彼から借り受けた『玄武神話』のワンダーライドブックを取り出し強く握りしめた。




感想、評価、アドバイスお願いします。
聖剣の持ち主案としては
ベル……烈火、流水、黄雷。
ヴェルフ……激土
リリ……流水(ベルから譲り受ける)
命……翠風
ダフネ……黄雷(ベルから譲り受ける)
カサンドラ……錫音

これならちょうどいい塩梅にならないかなって思ったんですが……。

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