ダンジョンで聖剣を抜刀するのは間違っているだろうか 作:クロウド、
「はぁ……はぁ……。」
「もう言わんこっちゃないんだからぁ……。」
「す、すみませぇん……。」
情けない声で僕に肩を貸してくれる神様に謝罪する。リベラシオンから出てきた僕は神さまの言うとおりボロボロになって出てきて、歩くのもつらい状態だからだ。
あれから外の空間では多分三十分くらいだと思うが、僕はリベラシオンの中でもかなり深い場所で修行していたのでおそらく五時間以上ぶっ続けで修行していたと思う。
リベラシオンは深い場所ほど外での時間の流れがゆっくりになる、その分精神力の消費は凄まじいがそこで普通の鍛錬をするだけなら僕はもう慣れた。
だけど、流石にコレの修行はこたえると、腰のソードライバーにさされた三冊の赤いワンダーライドブックを見ながら思う。おかげで歩くのもままならずこうして神様の手を煩わせてしまっている次第である。
「ホントに大丈夫かい?」
「はい、リベラシオンから出たおかげでもうだいぶ楽になりました」
寝室に連れてこられた僕は室の良いベッドに座らされる。火炎剣烈火を手にしてから身体能力だけじゃなく、回復力も異常に上がったし『リベラシオン』の中に比べたら外の空間はいるだけで体力が回復するくらい楽だ。
「そうか、じゃ、今のうちにステータスの更新やっちゃおっか」
「そうですね」
「じゃあいつものように服を脱いで寝っ転がっちゃって〜」
神様の言葉に同意して僕は上半身に着込んだアーマーやインナーを脱ぎ去る。寝室にある大きな姿見に僕の背中が映し出されている、そこにあるのはびっしりと書き込まれた黒い文字群。
これが神々に恩恵を受けたという証、その神の家族。すなわち【神の眷属(ファミリア)】になったことの証だ。
僕はうつ伏せになってベッドに寝っ転がるとピョンっと僕の背中にのり僕の背中を二度三度撫でる。そして、チャリという金属音が背後から聞こえる。神様がご自身の指に針を指して血を流しているのだろう。
神様たちが扱う【神聖文字(ヒエログリフ)】は自らの血を媒体とすることで対象の能力を引き上げる。
そして、様々な経験から得られる不可視の【経験値(エクセリア)】というものを使って、【恩恵】を付け足し塗り替え、強化するそれが【神の眷属】の成長ということだ。
僕たち冒険者はモンスターを倒すことで得られる【経験値】をもとに自身を強化してダンジョンに潜るというのがオラリオの一般的な常識だ。
「ごめんねえ、こんないい場所で暮らさせてもらってるのに君にばっかり負担をかけさせて。」
「気にしないでくださいよ、神様だってアルバイトを頑張ってくれてるじゃないですか」
もう分かると思うが、現在この【ファミリア】の眷属は僕一人だ。
神様は最近天界から地上に降りてきた神様で、眷属が見つからず神友であった【ヘファイストス・ファミリア】で世話になっていたらしいがいい加減に追い出されて途方に暮れていたところで僕と出会ったらしい。
ここに繋がる廃教会はヘファイストス様が最後にくれた慈悲らしい。
本来、眷属は神からもらった恩恵に報いるために神様を養う必要があるが、知っての通り暮らしこそいいものの僕らは零細ファミリア。神と眷属、それぞれが働くことで生計をたてているのだ。
「はい、もういいよ」
神様は用紙に僕の背中の【神聖文字】を写すと、今度はそれを【共通言語(コイネー)】に書き換えを始める。僕は【神聖文字】なんて読めないからね。
その間に着替えると神様が書き終えた僕のステータスの写しを僕に渡しくれる。
ベル・クラネル
力:F 342→F 394 耐久:G 232→G 235 器用:G 222→G 282 敏捷:F 347→F 373 魔力 E 412→E 473
《魔法》
【】
《スキル》
【仮面ライダー聖刃(セイバー)】
・火炎剣烈火とワンダーライドブックを使い仮面ライダー聖刃へと変身できる。
・変身中ステータスが大幅上昇。
・変身による戦闘で得られる【経験値】の獲得量上昇。
「相変わらず早い成長だねぇ、今回は変身したってこともあって経験値の量も多いしね」
「やっぱり、そうなんですかね……。」
はっきりって僕は成長が早いと言われてもまだよくわからない。なにせ、僕以外の人のステータスなんて見たことがないからだ。でも前にコレをみたヘファイストス様が額を抑えていたので普通じゃないことだけは確かだと思う。
「ああ、そうそう。わかってると思うけど、人目のあるところで派手に変身しちゃダメだぜ?神なんてどいつもこいつも君のことを知ったら何をやらかすかわからないやつばっかりなんだから」
「わかりました、神様!」
「よし、それじゃあ夕食にしよう!」
神様は僕の言葉に満足気に頷くと、キッチンに向かって歩き出す。僕もその後を追いかけていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「『聖剣』?」
「はい、僕の火炎剣烈火やヴェルフが打った雷鳴剣黄雷みたいなワンダーライドブックの力を引き出せる剣のことをヘファイストス様がそう呼んでいるそうです」
僕は夕食の途中で今日ヴェルフの工房で話したことを神様に伝えていた、『聖剣』という名前のこと『雷鳴剣黄雷』のこと、そしてヴェルフが新たに二本の聖剣を打っていること、そして、剣とワンダーライドブックは共鳴関係にあるらしいことのできるだけ細かく説明した。
「流石はクロッゾってことなのかなぁ……。確かに数回使うと壊れる『魔剣』とは似て非なるものだから、そのほうがわかりやすいね。……しかし、この場所といい剣といい本といい一体何なんだろうね?」
神様の言葉に僕も心のなかで頷く。成り行きで手に入れた本と剣だけど、それに関する謎は未だに尽きない。
因みにこの空間のことはまだ神様にしか話していない、もちろんヴェルフやヘファイストス様も同じだ。神様いわく、この場所のことを知れば間違いなく奪いに現れる派閥が現れるとのことだ。ヘファイストス様達を信じていないわけではないが、情報の漏洩はできるだけさけるべきだと神様と僕の総意だ。
この力は強大でたしかに誰もが求める力だと思う。しかし、その中にはこの力を悪用しようとするものも現れるだろう。だけど僕は絶対にそんなことはしない、おじいちゃんと神様に約束した。この力を正しく使い必ず『英雄』になると。
僕は『ブレイブドラゴン』のワンダーライドブックを強く握りしめ改めてそう決心した。
「ッ!」
―――その瞬間、僕の脳裏に誰かの姿が映った。
白く長い髪の女性、逆光のせいなのか顔はわからない。その人は僕の頭を撫でるとどこかへと去っていこうとする、幼い僕はそれを呼び止めようとして何かを叫んでいる。
すると、女の人は一度こちらを振り向き僕に小指だけを開いた右手を差し出す、僕はそれに答えるように同じようにした右手を差し出し自身の小指と女の人の小指を絡める。
東洋で伝えられているゆびきりげんまんという約束をする時の風習だ。
「ハッ……!」
そこで脳裏に流れる映像が途切れ、意識が現実に戻ってくる。目の前ではじゃが丸くんを食べる神様の姿が映った、どうやら僕の異変には気づいていないようだ。
何だったんだ今の……僕の、記憶?だけど、僕はあんな女の人、あった覚えがないし……。
「あっ、そうだベル君」
「!はい、なんですか神様?」
「君明日はダンジョン潜るの終わったら外で外食でもしてきなさい」
「え?」
「君最近、あの部屋にこもりっぱなしでほとんど休んでないからね。たまには休んで外で美味しいご飯でも食べなさい。僕も明日はミアハ達でも誘ってどこかで食べてくるから」
「……そう、ですね。わかりました、神様」
最近ずっとダンジョンに帰ったら『リベラシオン』にこもって修行のルーティーンだったので休む時間がなかったというのはたしかにそのとおりだ。おまけにあの修行を始めてからいつもボロボロになって出てくるから神様にも心配をかけてしまったと神様の言うことに素直にうなずいた。
やっぱり闇の聖剣はアイズさん何じゃないかなと思うのよ……確かにアイズさんに【ジャアクドラゴン】なんて最悪中の厄ネタにしかならないだろうけど、他に味方サイドで剣を渡せる人がこの人しかいない気がする。
なのでアンケート取ろうと思います。
闇黒剣月闇の持ち主はアイズでいいか?
-
いいんじゃない?
-
いや、アイズが黒竜の力使っちゃダメでしょ