月狼奇譚   作:ララミー牧場

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槙島をもっとズバッと派手に活躍させた方が良いでしょうかね?
個人的にチートすぎる主人公が好みじゃないというのと派手なアクションシーンを書くのが苦手で避け気味なんですが、でもゲーム上の主人公は(プレイヤー次第ですが)超人寄りの描写なので迷いますね。

という訳で今回は短めの幕間です。


INTERMISSION

 

「聖奈ー」

「ねえ聖奈、一緒にミッション行こうよ」

「聖奈っ! お姉ちゃんが食べさせてあげる! はい、アーン」

 

 例のカンナが第一部隊入りしてからというもののほぼ四六時中、自分につきっきりという状態になっていることに聖奈は早くも疲弊していた。

 

「まァまァ、良かったじゃん。あんなに可愛い()()()()()が出来て」

「よかないッスよ」

 

 意地悪っぽい目付きで笑うリッカに対し、カンナが別件で席を外したタイミングを逃さず整備室に逃げてきていた聖奈は項垂れてみせた。それを見てリッカは作業の手を止め手袋の甲で頬の汗を拭った。

 季節はもうすっかり夏である。

 神機保管庫と整備室は他の部屋よりも多少空調が効いているとはいえこの資源不足の時代だ。殆ど焼け石に水のような物である。作業に没頭していれば汗は滴るに任せるしかない。リッカもすっかり汗まみれオイルまみれである。それでも臭わないから不思議だと聖奈はボンヤリ思った。

 

「ちょっと休憩しよっか」

 

 リッカは室内に備え付けのミニ冷蔵庫から冷やしカレードリンクを2缶取り出すと片方を放った。抜群のコントロールで放物線を描くそれを受けとると聖奈は蓋を開ける。途端にスパイシーな匂いが鼻を打った。

 

「カンナちゃんか……確かに不思議な子ではあるね」

 

 椅子に座ったリッカはドリンクを一口流し込みしみじみと味わいながら呟く。

 

「知ってる? あの子の神機、かなり使い込まれてるんだよ。それもリンドウさんレベル……ううん、もしかしたらそれ以上かも」

「どういうことスか?」

 

 リッカはもう一度缶を傾けてから答えた。

 

「神機って捕食するでしょ、アラガミを。でさ、色んなアラガミを捕食することで成長する訳。例えばリンドウさんのブラッドサージなんかはすっごくバランスの良い仕上がりになってるのね。カンナちゃんの神機もおんなじなんだよねぇ」

「でも、基本的に神機は適合者が現れりゃ引き継がれるモンでしょ。前の持ち主が相当なやり手だったってだけじゃ……」

「私も最初はそう思ったよ。でも、カンナちゃんの使っている神機の管理データはこの極東にはないの」

「………は?」

「てか、他の支部にもないし本部にもないの。つまりデータ上存在しない神機……ってコト」

 

 アッサリと告げられた驚愕の事実に場は静まり返った。

 

 データ上存在しない神機を持つデータ上存在しない神機使いカンナ。彼女が一体何者なのか、また、何の思惑があるのか謎は深まるばかりである。

 

「は……冗談だろ、先輩」

 

 背筋を撫でるうすら寒い何かを誤魔化すように聖奈は口端をつり上げた。

 

「顔が青いよ聖奈くぅ~ん? アレ? もしかして怖い話苦手だったァ?」

「べっ、別にんなコト……」

 

 聖奈はドリンクを一気に半分ほど飲み干し、わざと音を立てながら机に置いた。咄嗟に見栄を張ったものの、ホラーやオカルトは子供の頃から専門外である。ハッキリしない曖昧な存在というのがどうにも苦手だった。そんな聖奈を面白がって、たまに帰ってくる度に聖護は仕入れてきた飛びっきりの怖い話を寝物語に聞かせてきたものだ。こうして思い返してみるとつくづくロクデモない父親だ。

 

「ありゃ、怒っちゃった? ごめんて聖奈くん」

「あ、や、別に怒ってる訳じゃ」

 

 少々気落ちした感のリッカに聖奈は慌てて否定する。

 

「先輩と話すの嫌いじゃねぇし……」

 

 これは朴念仁の聖奈にしてはかなり気を使った言い回しである。が、リッカはそれを気付いているのかいないのか、パッと表情を明るくすると、なんと聖奈の右手を両手で包むように掴んだ。

 

「なっ、先輩?! つつつ付き合ってもない男女がこんな」

「良かった~! ありがとう聖奈くん、じゃあ私のお願い聞いてくれる?」

「な、なんスか?」

 

 手を握ったままグッと顔を近付けてくるリッカに聖奈は混乱した。間近で見るリッカは可愛いしイイ匂いがする。極東には容姿の整った人員が多い。例えば大森タツミから絶大な指示を集めるオペ嬢のヒバリだとか、ジーナやサクヤはともかく()()ワガママ娘のアリサすら人気を集めている。カノンに至っては「可愛くて巨乳である」というその一点のみで誤射癖すらお目こぼしされている。

 

 その華やかな集団に置いて、リッカはどちらかといえば地味な方だろう。

 

 仕事は裏方、服装も動きやすさと汚れても良いという理由で作業着やオーバーオールがメインだ。それても聖奈にとっては気心知れた先輩であり、不思議と誰よりも可愛く見える……そういう稀有な相手であった。

 男性神機使いと職員が女性陣に内緒で人気アンケートなる低俗な事を定期的にやっているが、聖奈は内心でリッカに一票入れたくらいだ。

 

 その先輩が直々に【お願い】があると言う。断る理由は無かった。

 

「俺に出来ることならなんでも」

「うん、あのね。ちょっと欲しい素材があるから取ってきてくれないかな?」

「………ウス」

 

 なんとなく肩透かしを食らったような気分になりながらも聖奈は頷いた。

 

「ありがとう! 恩に着るよ! 今必要な物メモするから」

 

 握っていた手を離し近くの机から適当な紙とペンを取ってリッカはさらさらとペンを走らせる。聖奈ははぁ、と溜め息を吐き残りの冷やしカレードリンクを飲み干した。最初は珍妙に感じていた味も、リッカに付き合って飲む内に慣れてきた。

 

「はい、じゃあここに書いてある物ヨロシクね。あ、もしターミナルに予備がある物だったらそれでも良いからね」

「ん……まァ、気分転換がてら行ってくるっスわ」

「うん、行ってらっしゃい。頼りにしてるよ!」

 

 リッカに見送られながら聖奈はネクロの入ったケースを持って神機保管庫を後にした。

 何だかんだイイ気分でエレベーターを降りた途端、待ち構えていたカンナに捕まることになるのだが……知らぬが仏である。

 

.




ヒロインアンケート、現状はアリサとリッカちゃんがイイ勝負をしております……だからって訳ではないですが、なんとな~くリッカ先輩とイチャつく槙島回になりました。
本当は項目にジーナさんも入れようと思っていたのですがアンケ設置時には特に絡みがなかったので外しました。

もしも主人公・聖奈とくっつくとしたら?(アリサはくっつかない宣言してますが結果や展開によっては)

  • アリサ
  • リッカ
  • カノン
  • ネクロ
  • その他(よければ※欄にて)
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