なんとなくロリスミっぽいあの空の下で神楽舞いそうなのとガチ勢の話   作:銀鈴

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各サブタイは【】の中に


エンディング

【UNDER THE SKY】

 

 時間軸も世界も違う、どこか、近くて遠い復興と発展が進む異世界。その青空の下にて。

 

「良かった。ちゃんと戻って来れたみたいですね」

「はい、わたしたちのいえです」

 

 暴走する黒球に飲み込まれた行きと違い、莫大な出力に裏打ちされた精密な術式は、泡沫世界に飛ばされた時点と僅かな座標のズレもなく正確に転送。それどころか、何かしらの負荷や代償すらなく、五体満足かつ記憶も万全の状態で2人を元の世界に帰還させていた。

 

 見た限り、自分達とフロックス以外に無数の足跡が部屋の中には増えていた。どうしようもないタイミングだったとはいえ、きっととても心配をかけてしまったのだろう。

 

 《扉接続》《玉座の間ーモロハ宅》

 

 そんなことを考えつくとほぼ同時に、玄関と別室へ繋がる扉の二箇所が勢いよく開かれた。

 

「モロハ! エウリ! 無事だったか!」

「尋常じゃない魔力を察知して来てみれば……そう、戻って来れたのね」

 

 片やモロハ達が泡沫世界に誘拐されてから、一睡もせずに家を守っていたフロックスが。片や《絶対王権》のチートにより、扉と扉を接続することで空間を飛び越えて来たマルガ王女あらため、女王が。それぞれ弾丸のような勢いで、リビングに飛び込んで来ていた。

 

「はい。カケツキ・モロハ、ただ今帰還しました」

「おなじくカケツキ・エウリ、きかんしました!」

 

 そんな女王となった戦友であり上司に、揃って王国式の敬礼を二人は捧げた。何せモロハとエウリは、立場的には近衛兵と私兵の中間というなんとも言えない立ち位置なのだ。オフであろうと、先ずはそうすることが優先である。

 

「そんなに畏まらなくていいわ、私たちの仲じゃない。それに、貴方達が異世界に連れ去られていた事実も把握済みよ」

 

 それは《絶対王権》というこの世界の中における、事実上の全知全能を持つからこその言葉だった。

 2人が連れ去られた直後、会議中ではあったが分身を急行させることで事態を把握。遠隔で分身を操作しながら、過去の映像を再生することで何が起きたかを把握。しかしそれ以上のことは、世界の外に干渉する為実行不可能で立ち止まっていたところにモロハとエウリは帰還していた。

 

「それで、貴方達が連れ去られてから丸一日。何があったのか、落ち着いてからでいいから聞かせて頂戴」

「あれから1日……ですか?」

「わたしたち、むこうで3かはすごしてきましたよ?」

 

 不思議そうに首を傾げるモロハとエウリに対して、女王は額に手を当てた。同時に行使される《絶対王権》のチート、それにより自身の混乱を収めモロハとエウリの体調を精査し精神干渉の有無を確認し先程の魔法陣を解析しetc……100程の作業を並列して行い、その負荷を全てチートで打ち消し、女王は大きくため息を吐いた。

 

「なら、そこから説明が必要ね。私も後で本体が出向くわ。それまでは、再会を楽しみなさい」

 

 非常に疲れ切った様子でマルガ女王は言い、空気に溶けるようにしてその姿が消滅した。正確には《絶対王権》のチートにより生み出されていた分身が、役目を終えて消滅した。味方に回ればこれほど頼もしいこともない、けれど女王の過労具合に拍車をかける全能の力だった。

 

「なあモロハ、再会出来たことを喜ぶ前に1つ聞きてぇんだが。連れ去られた先で、装備の手入れとかしてもらったな?」

「あぁ、はい。このストーリアを作った人にちょっと」

「すこいてぎわでしたよ! しゅばばばーって!」

 

 ねぇ? と確認するようにモロハが問い掛け、エウリがそんな擬音で表現するしかなかったイオリとアヤメの手際を説明する。本当に、側から見ていて意味がわからない程の高速で、破損していた物が蘇っていたのだ。

 

「なるほどなるほど……ようし分かった。これはオレへの挑戦状だな? オレの仕掛けは全部そのまま、それどころか術の最適化までして性能は数段グレードアップしてやがる。ハッ、上等だ!」

 

 フロックスの中にあるスイッチが押された以外、特に何か異常があるわけでもなし。青空の下に広がる優しい日常が、そこには戻ってきていた。神は天に、世は全てこともなし。今日も天上のどこかで、ダイスが鳴る音がした。

 

【UNDER THE SKY〜fin〜】

 

 

【Nの嘲笑/極振り達の帰還】

 

 VRMMO『Utopia Online』内部。

 ギルド【すてら☆あーく】ホームにて。

 

「これは……ギルド?」

「みたい、だね?」 

「戻って、これ、まし、た……?」

 

 3日前に蹴り飛ばした机はそのままに、何も変わらない様子のギルドホーム内に3人は出現していた。ただしその服装は異世界で過ごした最後の時の物そのままであるし、ユキはまだしらゆきちゃんである。それはつまり、あの異世界で過ごした時間は本物であるという紛れもない証左であり──だからこそ、異常である点が1つだけあった。

 

「セナ、藜さん、ちょっと信じられないと思うけど、メニューから時間見てみて」

 

 それにいち早く気が付いたのはユキだった。そんなユキの言葉に釣られて確認し、漸くセナと藜もその異常に気が付いた。

 

「時間が、経ってない……?」

「日付が、同じ、です」

「正確には、3秒だけ時間が経ってます。UPOじゃ経験したことないですけど、処理落ちした時のバグとかその程度の時間しか経ってません」

 

 それは、折角作ったUPOという遊び場(箱庭)を、異世界からの干渉なんて無粋な理由で壊されたくない邪神が行った最大の配慮だった。例え巻き込まれた人間がどんな時間を過ごしていようと、ゲームとしてはただのラグ。イイね? アッハイというアレである。

 

「……取り敢えず、ログアウトしてリアルの身体を確認しましょう」

「賛成。特にユキくん、絶対に1人で解決しないで私たちに連絡してね!」

「絶対、です、よ?」

「アッハイ」

 

 凄まじい圧力にユキは頷く以外の選択肢を焼却されながら、逃げるようにログアウトのボタンを押し込んだ。一瞬遅れてセナと藜もボタンを押し、普段と全く変わらぬログアウト処理が始まり──問題なく終了する。

 

「ん……随分と、疲れ、た……?」

 

 ログアウトした直後、ユキは自分の身体にある違和感に気がついた。

 まず声が高い。自分の声だとは頭では認識でき元々の自分の声の残滓も感じられる、簡単に言ってしまえば『しらゆき』として声。

 

「んんぅ?」

 

 VRギアであるヘッドセッドを外せば、普段よりも数段強く認識できるマイルーム。そして視界の端にチラつく白い髪。

 明らかな異常を感じて目線をしたに向ければ、見えるのは小さな手と真っ白な脚。そして元々UPOログイン前に来ていた服を、ダボダボに着こなす小さな身体。全てをすっ飛ばして簡潔に言うと、ユキの身体はリアルでも『しらゆき』のそれになっていた。

 

「……玉も竿も消えてる」

 

 ダボダボすぎる服を引っ張り覗いてみれば、10数年連れ添った相棒は何処かへ消え、一切毛の生えていないアワビが代わりにそこには鎮座していた。胸も触ってみれば、明らかに男とは違うタイプの柔らかさと感触がある。わーお、ハロー・ニュー・ワールド。

 

「ま、予想通りっていえば予想通りですかね」

 

 予想していたことだろうと、しらゆきは大きく息を吸って深呼吸した。そうして一度落ち着いて手元を見れば、この世界に戻る直前受け取った内用袋が中身を含めてちゃんと存在していた。

 

 それに安心しつつ、深呼吸。

 

 吸って、吐いて。

 

 もう一度吸って、はいて。

 

 大きく吸って、せーの

 

「朝おん!!!*1

 いや時間的には夕おん!!!*2

 

 そんな可愛らしい絶叫が、御飯時の住宅に響き渡った。幸い、効果の程はどうだか知らないが元に戻る宛はある。だから先ずはセナに電話……いやその前に、流石にこんな半裸の状態は寒いから着替えるべきか。今は冬場も真っ盛り、こんな半裸の状態でずっといたら風邪をひいてしまう。兎も角自分の服はサイズが合わないのは確実だから、藜さんの時と同じように(自分)シャツモードに……いや寒いからなしだ。

 

「取り敢えず、下着は自分のを気兼ねなく履けるから今はそれで良いとして。服、服……何かあったかい服……」

 

 リアル危機から外れた瞬間、途端にユキはポンコツと化していた。火事場のクソ力に近い、倫理観ゆるキャラモードは既にOFF。そこには善良な一般人(TS済)の姿しかなかった。

 

「背に腹はかえられぬ」

 

 後で謝るからと、沙織の置きワンピを1着拝借。微妙に沙織の匂いがする気がするそれを躊躇いなく着て、まだなんとなく肌寒いと更に上から自分の男物アウターを羽織る。次いでに女装用に置いてあったニーソで防寒レベルを高めれば、男女混装ニニンバヲリフォームの完成である。

 

「よし、結構かわいい!」

 

 部屋にある姿見の前でポーズを決めているあたり、ユキは完全にノリノリだった。わしかわである。故に訂正しよう、ユキは多分一般人ではなく逸般人であった。

 

「翼と光輪、展開! なんちゃっt……出ちゃったよ……」

 

 更に天使の翼もあれば暖かそうだと、出そうと念じた瞬間だった。何の滞りもなくユキの背には翼が生えて頭上には光輪が展開された。しかも飛ぼうと思えば、10数cmくらいなら浮ける謎仕様。現実にファンタジーが侵食していた。

 

「魔法は……よかった、使えない」

 

 紋章は念じだだけで出現することはなく、指先で紋章を描いても何も出なかった為ユキはホッと一息ついた。念のため翼と光輪は一旦消して、自分のスマホを開こうとして……指紋認証が反応してくれなかった。当然である。故に仕方がないと、パスワードを入れてロックを解除。慣れた手つきで、沙織に電話をかけた。

 

『はい、もしもし。とーくん、大丈夫だった?』

「ログアウトしたら女の子になってたけど、予想通りだし大丈夫。それより、寒かったから沙織のワンピース1着借りてるから先に謝っておく。ごめん」

『??????? 取り敢えず今から行くね!』

 

 そう沙織が言って、一方的に通話が切られた。相当混乱しているのは伝わって来ていたが、まあ、うん。何とかなるだろう。そう判断して、今度は藜の携帯にコール。雪からの電話だからか、2コールで電話は繋がった。

 

『もしもし。友樹さん、です、か?』

「よかった、空さんも無事ですね。俺はちょっと女の子になってます」

『?????』

 

 なおこの後、ユキは薬によりTS症状が寛解。時たま朝おんが起きる後遺症は残ったものの、それも意識すれば元に戻れるため無問題。セナと藜に関しても、身体能力の上昇は見られたがそれだけだったので特に問題は無かった。

 

 なおこの後、ユキは1週間学校を休んだ。

 

【Nの嘲笑/極振り達の帰還〜fin〜】

 

 

【銀灰の結末→オールデリート】

 

 時間軸も辿った歴史も違う、どこか、近くて遠いIFの異世界シヤルフにて。

 

「……あれ?」

「……うむ?」

 

 最初にアヤメとアインがが感じたのは、明確に言語化はできない違和感だった。自分達は推定3日間の異世界旅行へ出かけた。そこまでは覚えている。だが、それ以上が何も出てこない。

 だがそれよりも何よりも、アヤメが強く感じているのは額の熱さだった。直前まで何かが当たっていたとしか考えられない、じんわりとした暖かさ。人肌のようなあたたかさのある暖かさだった。

 

「私達、異世界旅行……行きました、よね?」

「肯定する。当方もアヤメも、出発時とは服装が異なっている。それに魔力の消耗からして、何かがあったことは間違いないと証明する」

 

 今の2人には知る由もないが、イオリの予測通り2人は3日間の記憶を失っていた。アイテムボックスの奥深くに沈められた写真と、探せば気がつくだろう衣装だけを残して。

 

「何か、大切なことを忘れちゃった気がしますけど……ダメですね、何も思い出せません。アインはどうですか?」

「不可能だったと否定する。冒険者型人造人間(エクスプローラー)である当方ならと考えたが、記憶領域のサルベージには失敗した」

 

 その後アナリューゼから渡されていた魔剣の子機も確認してみたが、そちらは何故かそもそも機能が停止していて意味をなしていない。見つけ出せた物といえば、見慣れぬ衣装の服が数着だけだった。

 

「因みになんですけど、アインはどう思います? 今の私の服装、似合ってます?」

「とても可愛いと肯定する。当方がいっそ独り占めしたいくらいだ」

「そんなに褒めても、何も出せませんよー」

 

 そんな何処かデジャヴを覚える会話をしながらも、真実には気付くことなくイオリ達は部屋を出た。取り敢えずリュートに報告して、あとはもう普段と変わらない生活が待っている。

 

 微かに残る思い出もアイテムボックスの奥底へ。奇跡の3日は全て消え、絶望の世界は動き出す。

 

 しかしそう、何故か自分の趣味に凄まじく合致する一着を着ている時だけ、アヤメは自身の母親に包まれているような不思議な感覚を得ていた。

 

【銀灰の結末→オールデリート〜fin〜】

 

 

【Fateの世界、霊器再誕】

 

 後に人理が焼却・漂白され、鋼の大地のみが残る2010年代の地球にて。

 

「ここがFateの世界か……」

「転移完了。マスター、あとは私は表に出ない」

「イオリさん、本当にはしゃがないでくださいね?」

 

 苗字が銀城ではなくなった愛鈴が、正確には彼女の夫が持つ一軒家。愛鈴が転送された場所はリビングだが、4人が今回出現した場所は車の駐車スペース。愛鈴が張ってある結界によって人避けは為されているが、恐らくうっかりセカンドオーナーがすっ飛んで来るのは明らかだった。

 

「幾らあの人が魔術に理解があるとは言っても、どう説明すれば良いやら……でも、取り敢えずようこそ我が家へ」

「お邪魔しまーす!」

「お邪魔する」

 

 そうして愛鈴に招かれることでイオリ達が入ったのは、何の変哲もない一軒家。家の周りにあるちょっとした結界以外、珍しく一般人の家としか言いようがない。精々がイオリ達は知る由もないが、旧銀城宅と間取りやら何やらが似ているくらいだろうか。

 

「ただいまーって、あれからまだ1日しか経ってないんですね」

 

 愛鈴がテーブルの上にある自分が認めた書き置きと、壁に掛かっている時計を見て呟いた。勝手知ったる我が家だ、見間違えることはない。

 

「イオリさん達はそこら辺で寛いでて下さい。今年のスーパーヒーロータイム、結構楽しいですよ」

 

 そう言い残してから、普段通りに愛鈴は台所に向かう。そこに洗ってない食器が放置されているのを確認して、次は冷蔵庫の中、洗濯機と家の中を軽く確認していく。何処にも異常はなし、少し心配のし過ぎだったらしい。

 

「さて、あの人が帰ってくる前に色々済ませちゃいますか」

 

 非日常はもう十分。あとは一般人の主婦に戻る時間だ。TVからかかり始めた仮面ライダーの音を聞きながら、愛鈴の日常が始まった。

 

「おかえりなさい。今ちょっと、昨日いなくなった件でお客さんが来てて」

「どうも、愛鈴の元キャスターです」

「セイバーだ、少しの間世話になる」

 

 まだ少し、非日常は続きそうだったが。

 

【Fateの世界、霊器再誕〜fin〜】

 

*1
朝起きたら女の子になっていたの略

*2
夕方バージョン




〈あとがき〉

 先ずはこのごった煮短編をここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。

 というわけで、『なんとなくロリスミっぽいあの空の下で神楽舞いそうなのとガチ勢の話』完結です。タイトルなっが。

 元はTwitterで深夜帯に生まれた妄言みたいなものを書き続けて、なんとはや1ヶ月。時間かかり過ぎましたね。

 ぶっちゃけ作者の自己満足みたいな作品でしたけど、久し振りに昔のキャラが動いてくれるのは本当に楽しかったです。もし楽しかったと思って下さる方がいるなら、それは本当にありがたいことです。

 しっかし、これを書くに当たって昔の自分の作品を読み返すと結構何もかもが違う物ですね。読んでて結構粗が……今も多いですがそれより多かったり、とても書き直したくなりました(無理)(文字数を数えろ)(感性ももう違う)

 さてまあ、これ以上特に語るべきことも多くはないでしょう。

 ただ各作品に対して最後に1つだけ

【ロリスミ】本編とリンク。作品完結後も無限に成長してるデウス・エクス・マキナと化してます。あと売掛金は回収しました。

【なんとなく】本編とリンク。fgo時空から、カニファンか衛宮さん家の晩御飯時空に変わりました。でも頻繁にランサーは死ぬ。

【あの空】本編とリンク。ディラルヴォーラとの血肉湧き踊る戦いが待っていることでしょう。イオリも観戦に来ます。

【極振り】本編とリンクしてません。多分こっちが『爆破系美少女配信者しらゆきちゃん』√になります。やったね!

【銀灰】本編とリンクしています。とはいえ、あくまで何も残っていないフレーバーテキストレベル。本筋には一切関わることはありません。

 ではまたいつか!
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