なんとなくロリスミっぽいあの空の下で神楽舞いそうなのとガチ勢の話   作:銀鈴

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次回 ヒロインズ闇堕ち、デュエルスタンバイ!(大嘘)


お願い、死なないでユッキー!貴方が死んだら(ry

 それは、虹髪の少女が言う拠点が探知圏内に入ってすぐのことだった。ユキが展開していた【空間認識能力】による広域探知が、1秒とたたずにハッキングされた。家らしき場所があることを認識した瞬間、その家自体が何かに塗り潰されるようにして認識が阻害される。

 当然それだけで済むなんてことはなく、正体すら分からない相手のよく分からない力が広域探知を侵食。それを拒絶する間もスキルを停止させる時間すらないままに、ユキの脳裏に閃光が瞬いた。

 

「ぶッ……!?」

「ユキくん!?」

 

 瞬間、押し寄せる異常な量の情報の洪水。本来なら制御されている筈の部分が崩壊して、ユキ自身の処理能力のキャパシティを極めて大幅に超過した情報の渦が爆発した。

 同時に、当然耐えきれずに崩壊する空間認識能力。緊急シャットダウンやログアウトに近いそれの反動で、ユキから鼻血が噴き出して血涙が流れ出した。さらに平衡感覚も消失し、自分の中を誰かに覗かれるような嫌な感覚と共にユキは崩れ落ち──

 

「大、丈夫じゃないけど、大丈夫」

 

 る寸前。気合を入れて踏ん張ることで、転倒することだけは回避。そしてすぐに袖で乱雑に血を拭い、歯を食いしばって立ち上がる。ユキを苛む頭痛は既に、普段であれば通常の思考を妨げる程に増幅していた。けれど、それでも倒れない。倒れるわけには行かない。『そう決めているのだから』というたったそれだけの理由で、超えてはいけない限界の1つ目を軽々と踏み越えていた。

 

「そんな訳ッ!」

「大丈夫。流石に俺も、その拠点に着いたら休むから。ね? ほら、そういう表情(かお)してるでしょ?」

 

 セナの頭を安心させるように撫でながら、綻びが見え始めた()()を作ってユキが言う。これ以上は本気で不味い一線くらい、ユキも凡そ認識している。普段であればゲームシステム的にも心情的にも、絶対に越えない最後の一線。だがそれもこんな異常事態である以上、いざと言うときは踏み越える覚悟はしている。

 

「ん、それが賢明。それと暫くは、あの世界を俯瞰する視線は使わない方がいい。これは善意からの忠告。これを無視した場合狂人、お前は死ぬ」

「でしょうね。でもこんな世界にセナと藜さんを残して死ねませんし、そもそもシステム自体壊れてるみたいなので。忠告は感謝しますが、心配は無用ですよ邪神」

 

 冷めた目で見下ろすティアに対し、吐き捨てるようにユキが言い捨てる。いつの間にか空間認識能力は作動しなくなっており、出来るのは自前の10m程度の気配探知のみ。普段であればそれで十分。しかし今はダメだ。まだ倒れる訳にはいかず、全てに警戒し続ける必要性がある以上、最後の一線を躊躇いなく踏み越えようとして──

 

「ごめんね、とーくん」

 

 バヂヂッと、電撃が走った。

 拳銃専用アーツ《スタンショット》、ゲーム上であれば抵抗を突破した相手の行動を止めるその技は、一撃でユキの意識を刈り取っていた。

 

「さお、り……?」

 

 くたり、とユキの身体から力が抜ける。崩れ落ちたその身体を抱き止めてセナが最初に感じたのは、まるで木の葉か鳥の羽根にも似た軽さだった。今の自分の膂力のせいなのか、明らかに無理をしていたからかは分からない。けれどそれでも不安になる程、大好きな幼馴染は今にも消えてしまいそうな儚さを放っていた。まるで大切なナニカを削り続けていたかのように。

 

「はぁ……ようやく倒れてくれた。そういう(たち)の人間だとは思ってたけど、まさかここまで強情なんて」

 

 そうしてユキが倒れたのを見届けて、ゆっくりとティアが地上へ降りて行く。怯えながらも自分に対して、抱き止めたユキと背負った藜を庇うように前に出るセナを見て満足そうに頷いた。

 

「ゆ、ユキくんに何をしたんですか!?」

「何をした? 私は何もしていない。誘導しこそすれ、これは勝手に自滅しただけ。こういう手合いの馬鹿は、一回壊れないと止まる隙すら生まれないから」

 

 そう気絶したユキを見下ろす眼は、先程までと違って冷めた色ではなく諦めにも似た色が宿っていた。しかしすぐに興味をなくしたかのように視線を外し、セナをまっすぐ見つめて言う。

 

「まずは謝罪する。このままコレを放置していたら、そこの馬鹿は間違いなく脳がおかしくなって死んでいた。それを止めるために少々乱暴な態度だったと取ったせいで、間違いなく私の心象は最悪だと思う。それでも、話だけは聞いてくれるとありがたい」

「誰が、誰がユキくんをこんなにした人なんかと!」

 

 叫びながら、セナが愛銃を抜きティアに突きつける。だが、あんな化物鹿に対して銃口を向けた時にも震えていた手が、少なくとも人型ではある相手に向けて機能するか? そんなもの、当然否である。

 

「別に撃っても構わない。そんなオモチャじゃ私は死なないし、死んでも死にはしないから。でも、その男を助けたいなら話を聞け、小娘」

 

 普段ならば絶対に行わない、神としての側面を全開にしてティアが告げる。ユキならば平時であろうと当然のように耐えられるそれも、異常事態の最中にいるセナに、ひいてはユキを引き合いに出されては逆らえるものではない。

 

「多分後数分しないうちに、そこの馬鹿は目を覚ます。気合と根性と、貴女達2人への執着で。そうして一度途切れた世界の俯瞰を再開すれば、本当に手遅れになる。例え仮初の身体であっても、引き返せない一線がある。今止めないと、その馬鹿は死ぬ」

「……じゃあ、どうすればいいんですか!」

 

 決壊寸前だった涙を散らしながら、ぐちゃぐちゃに絡まった感情のままにセナが叫んだ。ユキがセナに依存しているように、セナもユキに依存している。最近はその輪に藜が加わったことで以前より深度はマシになっているものの、相互依存している比翼連理は変わらない。畢竟、ただでさえ不安定な関係性は、その片翼が失われかければ不安定さに拍車が掛かる。

 

 そんなセナに対して、慈愛の視線を向けながらティアが数個の丸薬が入った小さな瓶を放り投げた。同時に自販機で売っていそうな……実際に自販機で買った未開封の水も一緒に投げ渡す。

 

「これは……」

「睡眠薬と自販機の水。口移しでもなんでもいいから、安全にその馬鹿に呑み込ませて。あそこまで必死に守ろうとしていたってことは、多分貴女たちは彼女か何かでしょう。躊躇う必要はないと思うけど」

「で、でも」

「いいから早く、目が覚める」

 

 少し苦しそうな呻き声を上げながら、セナが抱きとめるユキの身体が動いた。それは確かにすぐ目を覚ましてしまいそうな身じろぎの仕方で──

 

「……ああもう!」

 

 セナは吹っ切れた。口移しなんてことは流石に初めてだけど、どうせユキの唇は寝ている間に何度か奪っているのだ。躊躇う必要なんてあんまりない!

 

「んっ……」

 

 抱き止めていたユキを座らせ、真正面から相対する形に。その膝の上に座り込んで、キャップを開いたペットボトルの水を口に含み、丸薬はそのままユキの口の中へ押し込む。そして、そのまま慣れた手つきで唇を奪い水を流し込んだ。

 片や意識がある者でもう片やは意識のない者。漫画のようにそれは綺麗には成功せず。セナが流し込みきれなかったりユキが飲みきれなかった水が溢れていく。口から顎へ、顎から首へ、何処か淫靡な雰囲気すら醸し出しつつ、雫は伝って服を濡らしていく。

 

「……それで、私にこんな辱めを受けさせてまで、何がしたいんですか。貴女は」

「別に何も。ただ、目の前で無意味に人が死んで食べるご飯は美味しくない。ああ、強いて言えばそうやって、貴女に落ち着いてもらうのが目的だった」

 

 ユキがしっかり薬ごと水を飲み干したことを確認してから、真っ赤になったセナが顔をあげる。そうして静かな怒りを滲ませながら投げかけたセナの質問に、ノータイムでティアが答える。

 主人の『手の届く相手は助けたい』という心情が、毛嫌いする程振り切れてたユキを助けた理由だった。またセナを落ち着かせることについても、殆どショック療法に近いものだがまともに出来る程度までには落ち着きを取り戻すことに成功している。戦果としては、上々もいいところだろう。

 

「あと、さっきは死ぬなんて言葉を使って脅したけど、安心して欲しい。そこまでアレに気に入られてる以上、そう簡単に死なせてなんてもらえないだろうから」

「アレって何なんですか?」

「答えたら来てしまうから答えない。1つ言うのなら、私の同類」

 

 こんなに面白い駒を手放すならともかく、異郷の地で1人でに死ぬのを許すはずがないじゃないか。折角こんな面白く動く人間を、こんな催し物で無為に殺すのなんてもったいな──いや、私の手の外でぽっくり逝くのも面白い気がするな……

 

「……ほら、言わんこっちゃない」

 

 じっと虚空を見つめて、ため息を吐いてティアが言う。セナも慌てて周囲を見渡し、スキルまで使って確認するが周りには何もない。当然唯の人間に見えるはずが──アイデアロール次第かなぁ。しかし薄らと感じる寒気に、なんとも言えない恐怖が湧き上がりぶるりと震えが起きた。残念、失敗失敗。

 

「……じゃあ、最後に1つだけ質問です。ここって本当に、異世界なんですか。ゲームの中じゃ、なくて。みんな生きてる生き物で、植物で、私たちも」

「そう。この世界については、今は眠るそれが言っていた通り。現実の異世界で、貴女たちの体も現実。いや、意識だけがその体に入ってる方が近い?」

 

 そうだね。ちょうどゲームにログインする形だよ。最も、そこで死んだ場合の保証はしないけど。ああでも、ユキだけは死ねないかな? 私のお気に入りでもあるし、彼女に呪われてもいるからね。

 話題を無理矢理に切り替えたセナの質問に、何を今更とティアが答えた。しかしその返答はセナにとっても想像通りのものだったのだろう。小さく「やっぱり」と呟いて顔を伏せてしまった。

 

「序でに補足。少なくとも、この世界からは3日あれば自動で帰れる。この子達にはそういう補償くらい調整くらいするでしょ、ニャル。お前を楽しませようとさせる催しみたいだし。そして私たちの拠点は、少なくともこの島の中だと一番安全。そこの馬鹿には過ごしづらいだろうけど、そこの眠ってる娘に事情を説明するなら最適だと思う」

 

 そうだね、それくらいはしてあげよう。女児と化したお父様の分御霊……ちょっと待って文字にすると面白過ぎない? やっぱり日本ってクレイジーで好きよ。おいたわしや、お父お母様、Vデビューでもしたら?

 

「? ユキくんは過ごしづらいって、やっぱり監視とかを……」

日本がおかしいのは認めるけど、断る。違う。貴女たちを含めて12人中男は4人しかいない。だからきっと青少年には過ごしづらい」

 

 妙にテンポの外れた奇妙な会話に首を傾げつつ、それなら大丈夫だろうとセナは相槌を打った。何せUPOを始めてからというものの、何故か自分の幼馴染の周りには女の子が結構な頻度で集まってくるのだ。あと、もしもの場合は自分と藜で結託して襲えばいい。こっちはこっちで倫理観が皆無だね。直接干渉できないのが残念だよ

 

「滞在するかは貴女が決めること。悪い人はいないから、そこだけは安心してもらっていい」

「……じゃあ、少なくとも藜ちゃんに説明するまでは」

 

 そんなこんなで、特異点に飛ばされた全員が合流する流れとなったのだった。

 約2名は眠ったままだが。

 




ユキ、ドクターストップ
でもロイスは2つ残ってるし、メモリーも持ってるので帰ってこれると思います
Dロイス:不死者
○P:執着/N:恐怖〈襲われる(確信)〉
○P:純愛/N:猜疑心〈襲ってくるんじゃない?〉
とかで(違
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