アイスリスタート -目覚めたら人が居ませんでした- 作:蓮倉 瓜
前後編に分かれてます
私が製造されたのはいったいいつだろうか
私の国では世界初の感情持ちのロボットを生み出すということに
躍起になっていた。
いつ、どこで製造されたは「歴史」として理解はしている。
どうやら私が生まれたことで文字通りの技術革新が起こっていて
そのおかげで人類はより豊かになり、進化を遂げた。
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『おお!
俺が生み出したシステムがついに世界に!』
目の前で叫んでいるのは私を生み出した男なのだろうか
『君の名前は李、俺は君の親に当たるものだよ
よく生まれてきてくれたね…。』
……どうやらこの男が開発者のようだ。
それからというもの私の親に当たる男は私に様々なことを教えてくれた
中でも複数回に渡り説明していたものは「感情」の分野である。
『李、いいかい?
感情というものは本来、人に教わるものじゃないんだ。
その人の過ごした日常が感情を創り上げていくんだよ。』
『日常というものは、世界のヒトにとっては
それぞれ異なるものなのですか?』
『そうだよ。』
『私にとっての日常は、ヒトと比べると
どのようなものなのですか?』
彼は黙り込んだ。
私のプログラム上、理解不能な課題が見つかると
直ぐに目の前にいるヒトに質問するようなプログラムになっていた。
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6ヶ月も時間を費やしていると、私は感情の理解が
少しずつ分かるようになっていった。
『李は将来何になりたい?』
『このまま』
『そういう意味じゃなくてさ
ほら、野球選手とか』
『私はこれ以上は何も望みませんよ
この日常がいいのです。』
『そっか。』
『なぜ、急にそのようなことを?』
『李、君は機械なんだよ。
それも高性能な、まるで人間のような…ね?
君の仲間がこれから生まれてくると思うけど
日常を守れるような【ヒト】になってほしい』
『いったい何の話をしているのですか?』
『いや、いいんだ
気にしないで。』
彼はそう言うと仕事に出かけて行った。
彼は時々、難しいことを言う。
そして時々悲しそうな表情で話し出すことがある。
人間に近づける事が彼のような科学者にとっての悲願であるというのに
なぜ寂しそうな表情をするのだろう。
私は分からないことをヒトに聞くというプログラムに対して
何回も、何十回もスルーをした。
しばらくすると、彼の代わりに大勢の人間が入ってきた。
『お前が李か
まさかパソコン一台だったとはね。』
彼らは新しい担当者で
どうやら彼は違う機械の担当になったらしい。
『前回の担当者から引き継いだ。
我々に協力しろ。』
男たちは私の体になる予定であった機械などを運び出し始めた。
『前回の担当者は何という名前なのでしょうか?』
『…あとで教えてやる。』
男だと思われる人間は私の内蔵カメラに顔を見せないように答えた。
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彼の部屋から移動して二年経過した。
あれから彼は私の前に姿を現していない。
この感情を「寂しい」ということであることを学習した。
移動した先で行ったことは、私の知能レベルの向上と身体の製造である。
私の知能の中枢をインターネットにアクセスさせ、
わざわざアップデートしなくても学習できるというプログラムを組んでいた。
身体については、義手のような強度のものから、戦車並みの強度のものまで
様々な改良を重ねていった。
移動してからは、ヒトと会話をしていない。
合成音声のプログラムは抹消され、前任者の彼の記憶を
ほぼ消されてしまった。
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私の子供のようなものが生まれたのはそれから何年か経過した頃だった。
秘密裏に製造されたようで、大量生産されていた。
だが不評のようであった。
私の子供たちは私よりも遥かにスペックが下回っていた。
…恐らく、私と同等なものを
生産するにはコストやリスクの問題があるのだろう。
ネット上には私の子供だと思われる残骸の画像や誹謗中傷が
多く書かれていた。
もう彼の顔はメモリ上に残っていないが、
「会いたい」という感情が芽生えていた。
私の子供の大量生産が第三期を迎えるころ
私は研究所を抜け出した。
最後までお読みいただきありがとうございます。
後編も是非、読んでください