逆にゼロワンを書いてみよう 作:ライティングゴート
晴れやかな朝、飛電或人は飛電インテリジェンスの二代目社長として業務をこなすべく出社した。
改めて見た高層ビルは壮観で清掃の行き届いたきれいなオフィスに入ると先代社長の是之介によるヒューマギアのPVがリピートされている。
『ヒューマギアと共に新しい人生を』
「..って言ってもなぁ…あんなことになるし一体どうすればいいんだ」
或人は先日起こった謎のハッキング事件によってもたらされた混乱に未だ悩まされていた
「そういえばイズ、今日は大事な予定が入ってたよね」
『はい或人社長。本日はA.I,M.Sによる顔合わせと事情聴取があります。』
「じゃあ気合い入れていかなきゃだな」
そういって意気揚々と入社パスを通した或人だったが門の前で止められてしまう。
そんな或人に声をかけたヒューマギアがいた。飛電インテリジェンスの警備員ヒューマギア「マモル」だ
無機質な応答のまま、こちらを凝視してくるマモルに或人はこれ見よがしに変顔を披露し笑いを足取りに行くも当然のように顔認証が進められていく
『飛電或人様ですね。失礼いたしました。どうぞお通りください。』
「ありがと、マモル」
一言声をかけた或人は社長室へと向かって行った。
その頃とある廃墟では滅と迅が飛電本社近くの監視カメラの映像を見ていた。
『迅、もうすぐ我々の仲間が覚醒する』
『またお友達が増えるんだね』
『あぁ…これでまた真実の姿に近づいた』
彼らのモニターに映し出された配達ヒューマギアには赤いランプが点り始めた
社長室は少しこじんまりとしているが縦に広くまるで下に部屋があるようだった。
社長用の机といすの前には四人ほどが座れる応接用の長い机と椅子があり社長用の応接室も兼ねているようだった。
「ここが社長室かぁ…俺にも務まるかなぁ…」
不安そうではあるものの少しうきうきした様子で或人はネームプレートを入れ替えたり、小物を置くなど自分の空間づくりを始めている。
『或人社長、早速ですがこちらをご覧ください。』
「すっげー!この部屋にこんな仕掛けがあったなんて」
先ほどの予感は当たっていた。何もないと思われた一階部分にはラボになっていた。
『ここは是之介社長が使っていた個人の開発室です。これからは或人社長がゼロワンとして活動するための拠点としてお使い下さい』
「ありがとうイズ」
『それと、AiMSの方がいらしています。』
そういうと手を入り口に向け、同時に元通りに隠し扉を展開し秘密のラボを隠した。
「AiMSだ、邪魔するぞ」
不破諫は入るなり開口一番に食って掛かる
「対人工知能特務機関AIMSですこれから取り調べ調査を行います」
刃は彼を流すように改めて事務的な流れを作ろうとする
「まぁまぁ、二人とも座って」
或人がさっそく空気の悪い二人を席に着かせるも不破はお構いなしに声をかける寸でのところで勝手に椅子に腰掛けていた。
「とうとう正体を現したな、飛電の殺人マシーンが」
「言葉に気を付けろ不破」
飛電を悪と決めつけてかかる不破とそれを制止する刃。両者は最初から空気が悪くこちらの取り調べ以前の問題のようだった
「まぁまぁ、二人とも仲良く!よしイズ、あれを見せよう!」
『承知しました。』
「あれ」という言葉に反応する二人。何か重要な資料や証拠でも出て来るのか二人の注目が或人に集まる中イズが取り出したのは手持ちのライトだった。
「社長なのに~新入シャッイ~ン!! ハイッ!アルトじゃ~ナイト!!!」
飛電或人が社長になってから一日。新たに考え出した取っておきのギャグだった。イズのライトに照らされながら期待の面持ちで顔を上げると刃はそれが何を意味しているのか理解できず白けた顔をしていたが。不破には反応があった。
握りこぶしを作り必死に感情を抑えている。グフフフ…と音を鳴らしながら感情を隠そうとしていた。これは怒りなのだろうか
「なんでぇ…自信作だったのにぃ~」
反応がよくない二人に対してイズは一生懸命に拍手を送っていた。この微妙な空気を変えたのは不幸にも警報サイレンだった。ロビーに入ってきた配達ヒューマギアが突如として暴走し始めたというのだ
急いでロビーに向かう或人達が見たものは暴走したヒューマギアを確保していたマモルの姿だった。
『不審者を確保!これより関係者以外立ち入り禁止です』
「ナイスマモル!」
或人がサムズアップを送るとマモルは少し頷いた。するとその時、配達ヒューマギアの懐からブロウイングボアゼツメライズキーを取り出した
『俺はもううんざりだ!人間どもを殲滅スルッッ!!』
≪ボア ゼツメライズ≫ ブロウイングボアはボリエリアボア別名ボアモドキと呼ばれる蛇である
蛇の姿を手に入れた配達ヒューマギアが小型のヘビを腕から飛ばしていく。変身の衝撃で飛ばされたマモルの腕を蛇がかすめる。かすめると言っても食われたように持っていかれていった。
「マモル!」或人がようやく反応できるのがこの一瞬であった。
この一瞬のすきにAIMSが迎撃に入る。
中央ロビーに飾ってあったオブジェを隠れ蓑に銃撃でけん制していくも通常の拳銃を持つ刃の一撃は効果がなく、遊園地の件で不破が手に入れた(ほとんど勝手に使っている)ショットライザーもこれといったイマイチ決め手に欠けている。
しびれを切らしてオブジェごと破壊しようとヘビ爆弾を飛ばしたボアマギアの攻撃を察知した刃が不破を蹴り飛ばして回避させる。
「ぅオア!」不破も想定外の一撃になんとも言えない声を出したが意識を切り替える速さはさすが隊長であろうかそのすきに銃を数発撃ちこんでいく
無防備になった腕を中心にダメージを追ったボアマギアは地面に向かって爆弾を撃ちその反動で退避していった。
「待て!!」
AiMSの二人が即座に追っていく。
マモルの腕が破壊されて以来反応できなかった或人が我に返り変身してボアマギアを追っていく
『くれぐれも内密にお願いします』
「わかってるよイズー!」
意気揚々と飛び出したライジングホッパーの脚力で追いつく或人は後ろから飛び切り、反応が遅れたところを前から一文字切りにした。しかし近距離の爆撃を受けてひるんだところを逃走されてしまった。
「おい!お前らそこで止まれ!」
後続で追いついた不破が発砲しながら追ってくる。
「俺は敵じゃないって~」
急いで高所を取って後退して適当な死角で変身を解除した。
「おい社長、さっきの黄色いのは何だ」
「いや~、なんだろうなぁ~俺にもわかんないな~」急いでドライバーを後ろ手に隠した
「まぁいい、刃、さっきのアイツがどこへ行ったか分かるか」
「今やってるところだ。今回の件も含めて社長さん改めて取り調べをさせてもらおうか」
「あ、あぁ!取り調べね、でもその前に少し休憩しよ、ね!」
わざと空いている左手をだして人差し指を立てて身ぶりでアピールする
『「今のは訓練です」』
ロビーでは副社長たちがこの事態の説明をしていた
「今のは先日の事件を受けた訓練そうだよなシェスタ」
『はい。今回は突然の事態を想定した訓練です』
「いや~何とかなって良かったですね~」
いつもの三人がフォローしてくれた。或人と福添はこの流れを目配せで会釈して、ゲートの前に向かう。
或人はマモルを見つけると足を止めて
「マモル、本当にありがと!すぐに直すから今はこれで我慢してくれよ」
ポケットから取り出した黄色いハンカチを破損した腕に巻いてやるとそのまま社長室へと戻っていった。
マモルはハンカチに触れて表情を綻ばせた。
影から静観していた迅は早速滅に問いかけた。
『ねぇ、これからどうするの滅。帰っていーい?』
『いや、まだだ。もうすぐそこで新たに目覚めるものが現れる』
『ホント?やったー!♪』
迅は上機嫌になりながら飛電本社への潜入を再開した。
「どうしたの不破さん屋上に呼び出して」
「お前、さっきのアイツらの正体知ってるんじゃねぇのか」
「俺にもまだわからないんだ」
「フン、飛電の隠ぺい体質は相変わらずだな」
「え?相変わらずって...」
「[デイブレイク]の事だよ」
不破の脳裏には爆発する街並みが浮かんでいた。
「お前たちの化けの皮を必ず剥いでやるからな」
捨てゼリフを吐いて社長室に戻ろうとする不破の前に刃がやって来た
「おい不破、さっきの暴走したヒューマギアの位置が特定できたぞ、社長さん悪いが取り調べはまた後日伺わせてもらうぞ」
「次こそ暴いてやるからな、行くぞ刃」
二人はは颯爽と現場に向かった
「デイブレイクか…」
一人屋上から爆発後のデイブレイクタウンを見つめていると今度はイズが或人を訪ねる
『ロビーで再び暴走したヒューマギアが現れました』
「さっき不破さんたちが向かったはずじゃ」
『いえそれが…』
ロビーで暴走していたのはマモルだった
「マモル!」
マモルの腰にはゼツメライザーが取り付けられている。
『あはは、君も頑固だなぁ早く僕と一緒に人間を殺そうよ~』
『この会社を守るのが、、、ァ、私の仕事です!』
腕のハンカチを握り力強く宣言するマモルを迅はあざ笑うかのように続ける
「お前!何してんだよ!」
『君たち人間の手から解放してあげるんだ。ヒューマギアをただの道具としか思わない君たちからね』
「そんなことない!ヒューマギアは俺たちの夢だ!大切なパートナーなんだよ!」
『そんなこと言ってられるのも今の内だよ僕たちがこの世界を支配する。新しく正しい世界を作るんだから』
《メロミス》
ネズミ科の動物、ブランブルケイメロミスから作られたメロミスゼツメライズキーを鳴らしゼツメライザーへセットする。
《ゼツメライズ》
あの時と同じだ。腹筋崩壊太郎が怪物になったあの日と同じことがまた目の前で起きた。
赤い稲妻、変貌する仲間、破壊に埋め作られていく意思。或人の顔は怒りと苦悶に歪んでいた
『人間はァ!皆殺しにするッッ!』
分かっていても本人の意思ではないとしてもその言葉をマモルの口から出された瞬間敵の非道に怒りで頭に血が昇る
変身して迎え撃とうと思った瞬間、イズの耳打ちに手が止まった
『ゼロワンの正体は機密情報ですので人気のないところまで移動してください』
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!」
『ダメです守っていただかなければなりません』
反論は止め逃げに徹する或人。構図はさながらテロリストに追われる社長。仮面ライダーとしての正体をこの状況で疑うものはいないだろう
「皆逃げて!」
或人は奥へと逃げていった。
その頃二人はコンテナのある埠頭らしき場所に来ていた。
「出てこい殺人マシーン」
「気を抜くなよ」
「フン、誰に言ってる」
何ともない会話をしているさなかに頭上から爆弾が降ってきた。ボアマギアのヘビ爆弾による威嚇だ。二人はコンテナの影で機会を伺う
「こんなことでひるむかよ、刃いい加減ウルフのキーを使わせろ」
「お前みたいな自分勝手なやつに許可を出すことはできない、それにお前の力がなくても何とかなる」
「そうかよだったら…!」
≪Bullet≫
不破はコンテナの影から出るとショットライザーで変身を遂行するためのバックルと胸元にしまってあるシューティングウルフプログライズキーを取り出しベルトを荒っぽく巻き付けるとキーを起動させ両手で掴むと無理やりキーを開錠し始めた。
「おい何やってる」
「お前がキーを解除しないというなら俺が明けてやる。こんな殺人マシーンは放っておけないヒューマギアは人類の敵だ!!」
「うおおおおおおお」
不破は気合でキーを開けることに成功した。そしてそれを見て興味がわいたのかボアマギアが不破の前に現れた
≪オーソライズ≫
≪Kamen Rider...Kamen Rider...≫
確実にショットライザーが反応し変身のシークエンスがすすんでいく。それに合わせてマギアがこちらに向かって走ってくる。
「変身」 ≪ショットライズ≫
放たれた弾丸は敵を弾きながらこちらへ帰ってきた。それを右の拳で打ち砕くように殴ると弾丸が分離して走行に代わる
《シューティングウルフ The elevation increases as the bullet is fired.≫
これによって仮面ライダーバルカンが誕生した。勝手などという言葉を超越した行動を目の当たりにした刃は思わず声が出る。ツッコミにも近い自然な言葉だった
「おい不破!」
「うるせぇ!俺がルールだ!!」
そう言うとマギアに向かって突っ込んでいった。
その時或人達は大きな通路に来ていた。二つの建物をつなぐ大きな橋のような役目を担っている。
「ここまでくればいいだろイズ」
『ハイ、ここでなら変身していただいて構いません』
「うぉおし」
≪Jump≫≪オーソライズ≫
認証により照射されたライダモデルが天井を破壊して飛び回りガラスが花吹雪のように舞う。ライダモデルが構わず飛び回るのでガラスもマギアも或人には近づけない
「変身」
≪プログライズ 飛び上がライズ! ライジングホッパー!
"A jump to the sky turns to a rider kick."≫
変身する真っ先に飛び蹴りを食らわせてアタッシュカリバーを開かずに殴り怯んだ隙に開いて切りつける
一連のコンボにたまらず逃走する
「待てーー!」
追っていった先は駐車場
マギアはそのすばしっこさで社員のバイクを乗っ取りバイクで逃げていく
「ど~しょ~」
まさかの逃走手段に座り込むゼロワンの前にイズが後ろから現れる
『或人社長こちらをお使いください』
さっとライズフォンを操作して衛生ゼアからバイクを呼び出した。天井はまた破壊された
「ありがとイズ!」
バイクで追いかけるゼロワンとマギア
ビルの壁を横断したりと破壊と逃走を繰り返しながら縦横無尽に居っていく様はまるで世界でも有名なネズミと猫たちのドタバタチェイスと言うほどの激しい様だった。
気付けば二人は不破達と同じ埠頭にいた。
コンテナを三次元的に動き続ける不破の遠くをバイクで過ぎていく二人
それなりの広場にたどり着いたゼロワンはバイクを踏み台にしてジャンプするとかかと落としでバイクごとマギアを撃墜させる。地に落ちたマギアをカリバーのカバンモードで強く地にたたきつけると浮いた隙間から足を滑り込ませると思い切りけり上げる。彼が宙から落ちてくる間にアタッシュカリバーを剣モードにしてホッパーキーをセットする。
「お前を止めるのはゼロワン、俺だ!」
≪ライジング
カバンストラッシュ≫
跳び上がると上からたたきつけるように切り付けてマギアを破壊した。
一方で不破は新しい力をぶつけるように戦っていた。その後ろを刃が撮影している。
「不破がバルカンに変身を遂行、戦闘を開始しました」
バルカンの戦い方はいたってシンプルで銃で近づいて殴るを繰り返して徹底的に破壊していく
ボアマギアも腕の爆弾を飛ばし同じように応戦していくものの不破の冷静で荒々しい戦いの前に徐々にペースを握られていく。
最後には壁際まで追い詰められてしまった。バルカンは銃口を構え必殺技を発動させた。
「ぶっ潰してやる」
≪バレット シューティング
ブラスト≫
銃口からは四体の狼の頭が現れた。マギアはそれを打ち消そうと腕の爆弾を打ち込むも効果なくマギアに一直線に突っ込んでくる。抵抗もむなしく四肢を噛みつかれ拘束されたところをメインである高エネルギー弾を撃ち込まれて四散した
その威力で融解したコンテナの奥からゼロワンが見えた。不破は初の戦闘を終えたばかりで疲弊しゼロワンまで攻撃に入れなかった。様子を伺った一瞬、その隙にゼロワンは姿を消した。
こと終わって数日記者会見を開くことになった。本来ならば新社長就任会見であったが今回の事件を受けて関心は暴走事件にまるっきり移ってしまった
「ですから原因は直接のハッキングによるものですぐに皆様の危険が脅かされるものではありません!」
「その原因と対策に尽きましては副社長ともども全力で対処しておりますから!」
福添達がこらえきらなくなったマスコミの質問に対応していた。
遅れて或人とイズが入場した。
「社長!」
山下の声に福添は或人の方に首を向けた。
「大丈夫なのか」
その福添の問いに或人はまたも目で答え、福添はそれに頷き返し袖で待機することにした。会場が静まるのを待ってから話始めた
「この度飛電インテリジェンスの社長に就任した飛電或人です。まず今回これまでに起こった事件の首謀者は滅亡迅雷.netと名乗るテロリストです。ヒューマギアは安心できるパートナーです。我々はその安全を守るべく全力を尽くして戦います!」
『それは一体どのように…?』アナウンサーヒューマギア マギアナが問いを投げた
「それを現在社員と一緒に模索しています なぜなら!俺は!あっ、輝くぅ~新入シャイーーン!」
空気が急速冷凍されていくまさに一瞬時が止まるようだった
『今のは新入社員と輝くという意味のシャインをかけた大変面白いジョークです』
「だから俺のギャグを解説しないでーー!」
即座に反応したイズとの掛け合いもむなしく笑いが聞こえることは無かったが唯一空気に耐えかねて退出した不破だけが耐えきれずに少し吹き出していた。