逆にゼロワンを書いてみよう 作:ライティングゴート
朝
滅亡迅雷がマギア候補を見つけていた。美容師型ヒューマギアのシザーメンズだった。
『迅、こいつをもっていけ』
『はーい』
『君が今日の友達だ、あ~そ~ぼっ!』
またもゼツメライズキーを手にした迅はシザーメンズにゼツメライザーを取り付る
『滅亡迅雷.netに接続…』
同時刻飛電本社
「なにぃ?社長が自ら出向いて営業を始めた!?」
福添が朝から部屋中に響き渡るような声で声を荒げた。
『はい、本日はまごころ寿司に向かったようです』
「副社長、どうしますか呼び戻しますか…?」
「いや、いい。この状況で社長業がまともに務まるとも思えない。それに、そのおかげで私がこの会社の実質的な指揮権を持つわけだからな」
「それもそうですね、ハハハハハハハハ」
「『ハハハハハ』」
山下が調子よく笑うのに合わせて福添もシエスタも一通り笑った。
「まぁ、そういうことだ。しばらくはいいだろう」
福添は見守る大人の顔をのぞかせた
「ダメだ!!」
まごころ寿司でも朝から大将の大きな声が響いていた。
「どうしてですか!?せめて今日ニギローの目利きした魚だけでも食べてもらえませんか?」
「だめだ!そんなもんウチには必要ない!これから大事な常連さんが来るんだ帰ってくれ」
「そんなぁ…」
取り付く島もない大将の前に撃沈する或人の前に思わぬ助け船が現れる
「大将、今日はマg…あっ」
刃唯阿だった
「なんだよ唯阿ちゃん知り合いか?」
「まぁ、仕事先が…それより社長さんまさか大将に営業に来たのか?」
「そうなんだけど…」
『先ほどお断りされてしまいました』
「そうか、大将少しこいつに寿司を握らせてやってくれないか」
「刃さん、応援してくれるの?」
「試さずに判断するのはもったいないと思っただけだ」
この間いかにも渋い顔をしながら大将が考え事をしていたがパット目を開ける
「…フ―、唯阿ちゃんが言うなら…」
「本当ですか!刃さん、大将、ありがとうございます!」
「早く支度しろ」
「よかったなニギロー!」
こうして寿司職人型ヒューマギア:一貫ニギローの実演が始まった
まずは客席にいる或人、刃、大将の三人を一瞥、刃のかざすライズフォンに目をやるとそのまま迷うことなく
目利きした魚を勢いよく捌いていく。まさに精密機械といった手際だった。
「スゲー…」
或人はまるで自分が売り込みをされているかのように見入っていた
「社長さんニギローをアピールするんじゃないのか?」
「そうだった、ニギローはいろんな寿司を目利きから握ることができるすごいヒューマギアなんです!」
一言目で全力を出してしまった或人をイズがすかさず冷静なサポートに回る
『ほかにもライズフォンとの連携によるネタ選びや、素早い商品の提供などあらゆるお寿司屋さんに関わる業務を遂行できます』
先ほどまでニギローが抱えていた大きな魚があれという間に小さな一貫の寿司になった
『へい、心の一貫マグロお待ち』
並んだネタに刃は頬を緩ませた
「どれどれ…」
寿司を横向きにしてネタとシャリを一口に味わうその姿はまさに食通といえる
「おいしぃ~」
真っ先に声が出ていくこの一言がニギローのレベルの高さを伺わせる
「どれどれ…うまいよニギロー!最っ高!」
或人も続いてニギローを絶賛した。
「…」
大将が最後に口に運んでいく。醬油もつけることのない本気の品定めだった。口に入れた瞬間大将の右眉がピクリと上がった。
「まずい!こんなもの寿司じゃねぇ」
「どうして!ニギローの握った寿司はこんなにおいしいのに」
『はい、今回の握りは計算された最高の握りの一つでした』
「フン、そんなもんお客の気に入りそうな寿司をただ出しただけだ、この寿司には心が籠ってねぇ!」
どけ、と言わんばかりに大将がニギローを押しのけ調理場に入っていく
「見ておけ社長さんこれが大将の握りだ」
刃は伝えるもそれは叶わなかった。見てはいたが見えなかったのだ。
大将の握りは業界の中でも唯一無二の技と言われる高速の握り。全身を緊張させ弛緩させる。目をカッと見開いた大将の顔に注目した次の瞬間には寿司が目の前に並ぶ。
「いや、はやっ!」
「これが大将の光寿司だ」
「寿司は鮮度が命なんだ。心を尽くせば自然とこうなる、早く食いな」
「「いだだきます!」」
目の前に並んだ寿司はなんだか輝いて見えた失われた命や思いを大将が握りとしてつなぎ留めているようだ
口に連れたとたん命が口の中で主張し始めるこれまでに泳いだ海やそれを釣り上げる猟師の思い、命の連鎖が寿司の中に表現されている。コンパクトにそれでいて十分にインパクトがあった
「ん~やっぱりおいしぃ~」
やはり声が出たのは刃からだった。
「やっぱりこんなにうまい寿司がなくなるなんてもったいないですよ!聞きました、お弟子さんいらっしゃらないんですよね」
「あいつらの根性がないだけだ」
「なら、うってつけじゃないか?ヒューマギアには心がないからな根をあげることはない」
「刃さん…でもやる気はあるよな、な!ニギロー」
『はい、必ず大将の寿司にもご満足いただける寿司を握って見せます』
「…」
唯阿のアシストもあり大将の心が揺れ始めた
『では、一週間だけ試験運用というのはいかがですか?』
「イズ良いよそれ!ね、大将、絶対気に入りますって!」
「あーもうわかったよ、ただし気に入らなかったら直ぐに送り返すからな」
「ありがとうございます!」
ニギローを大将に預けてその場を去った
社長室、秘密のラボにて
「いやぁ良かったこれでニギローも心のこもった寿司が握れるといいなぁ」
『なぜですか?現在ヒューマギアに心をラーニングする機能は存在しません』
「イズ、ヒューマギアだって教えれば心をラーニングすることもできるはずなんだ…」
『すみません或人社長、暴走ヒューマギアが現れました』
現在その暴走ヒューマギアは不破達AIMSが交戦中であった。
『人間は絶滅させる!』
≪ガレフォル ゼツメライズ≫
今回使用されたキーはオオウミガラスを用いたガレフォルゼツメライズキー
元祖ペンギンと呼ばれるだけあり水があれば高速で移動する。
そこにゼロワンが現れるも高速の戦闘にこちらも中々に苦戦している
AIMSの隊員も高速で動くマギアに照準が合わず中々攻撃ができない。
痺れを切らした不破が前回の物理開錠でロックがは破損したウルフキーを指でこじ開けて変身する。
相好が付いた分攻撃を受けながら反撃を加えるとができるがそれでも効果が薄くその間にマギアは周囲にいる他のヒューマギアまでもを自身の羽を媒体にしたハッキングでトリロバイトマギアに変貌させていく
形成が不利になるバルカンの元に刃が現着した
「遅いぞ刃」
「その分をこれから取り返してやる」
刃はキーを回転させながら顔の近くに移動させ起動させる
≪Dash≫
「何!?」
不破が驚く声も意に介さずそのままショットライザーに装填していく
≪オーソライズ≫
「変身」
≪ショットライズ≫ 《ラッシングチーター! "Try to outrun this demon to get left in the dust."≫
「人工知能特別法違反を確認。対象を破壊する」
チーターのデータを用いたラッシングチーターキーで変身する仮面ライダーバルキリーだ
チーターから連想される通りこの形態の持ち味はスピードであり先ほどまで優位を取っていたマギアにも対応し銃と足技で優位に戦闘をしていく
バルカンはそれなりに発生したトリロバイトに対処していた。
そうしてバルカンを中心にバルカン、トリロバイト、ガレフォル、バルキリーと円状に戦闘を繰り広げていく
円が段々と縮小し一つの塊になりはじめる。
ガレフォルマギアが早かった少しスピードを緩めた瞬間
バルキリーの飛び蹴りによりトリロバイト達に追突する。
「どけ!不破!」
「は?」
またも刃にペースを握られる不破をよそに刃が必殺技の態勢に入った
≪ダッシュ
ラッシング
ブラスト≫
そのまま円を高速で周回しながら中央に大きなエネルギー球を作っていく最後にはエネルギー球ごとマギア達を一掃した。
「危ねぇだろ!大体なんでお前がそれを持っているんだ」
「お前ひとりでは危なくて見てられないからな、それとこれを持つように」
そう言って刃はポット型のAIを渡した。
「は?なんだけれは」
「お前はすぐに勝手な行動を取るからなお目付け役だ」
「いるかよこんなもん、おい待て!刃!」
「今日は非番だ。好きにさせてもらう」
刃は最後まで不破と掛け合うことなくその場を後にした
「刃さんも仮面ライダーだったなんて」
何もできないまま変身を解除した或人は驚きの声を隠せなかった。
「それにしても水を使う早いマギアか…」
『対策案をゼアに相談してみますね』
イズが通信を行うとゼアが反応したそのデータを元に秘密のラボへとデータが送られる
『衛星ゼアからの命令を受信しました』
アナウンスが流れると同時にラボでは3Dプリンターによる新しいキーの開発が開始された
「ありがとうイズ、さて次はニギローだな!」
『はい、一週間後が楽しみです。』
こうして二人はまた会社への帰路を進んだ
時は早いもので一週間がたった。
職人の朝は早い。日が昇る内から準備は始まっている
足腰の悪い大将には店の支度も一苦労だ。しかし、今はニギローがいる。バランスを崩した時は支えてやり、重い魚は運んでやる。ニギローはもうスタッフの1人として店に一応馴染んでいた
今は店の前を掃き掃除に勤しむニギローを見つめるのは迅だった。彼の手には倒したはずのガレフォルの羽が握られていた
『本当にこれでいいデータが取れるの滅?』
『あぁ、これも大いなるアークの意思だ』
『じゃあお友達にも頑張ってもらわないとね』
迅の手から放たれた羽はニギローの首元に刺さり浸透していった。その瞬間ニギローは何かの交信を行ったようだった
「おいお前、もういい速く店に戻ってこい」
『へい、大将』
大将に呼び止められて店へと戻るニギローは大将に言われるように調理場にいた
そういう大将の顔はこれまでよりも明らかに明るいものだった
「いやぁ楽しみだな」
『はい、一貫ニギローが対象に気に入られてると良いのですが』
二人は一週間の所見と成果を確かめるため店へと入っていく
「大将、どう?ニギローの調子は」
「あぁ、飛電の社長さんか。おい、お前ェ…寿司、握ってやれ」
『かしこまりました。』
大将の握りが真似できるようになったのか一瞬で寿司が出来上がった
『へい、心の一貫ハマチ一丁』
「おぉ…早くなってる!」
『はい、前回と比べてニギローの握りは大将の握り方に限りなく近づいています』
「いただきまーす!」
「すごい!超うまくなってる!!大将をラーニングしたらこんなに変わるなんて!」
「まぁまぁだな」
「大将…?」
「でもまぁ、今日の寿司が一番マシだったな」
「大将!それじゃあニギローは…!」
「あぁいいよ、ウチはアンタと契約してやる」
「ありがとうございます!!」
『よかったですね或人社長』
「後で刃さんにもお礼言わないとな~」
『大将、私は今まで疑問に思っていました。大将の握り方は他の職人には真似しがたい技術でできています。スピードや握力など私はこれまで研究しラーニングを行ってきました。
しかしそれでも大将の握りにはいくつか意図して効率化や体系化されていない箇所があります。しかし私は気づくことができたのです。それこそが【まごころ】なのだと』
「お前ぇ…フン、覚えたての癖に生意気なやつだ、あと一万回修行しとけ」
『一万回ですね承知しました』
「こいつ…」
場の空気が明るくなった。しかしイズは未だ不思議という様子で或人に声をかけた
『或人社長、どうして大将は笑顔なのですか?さきほどの発言はあまり機嫌がいい物とは思えません。』
「イズ、人間は複雑でその心は目に見えるものバッカりじゃ無いんだ。大将の寿司だってそう。見えない心が籠っているからおいしく感じるんだよ」
説明の意味は理解できているがイマイチ理解しきれていないようだった
店の前で別れ際に会話を交わす
「では後日改めて正式な契約書をお持ちします」
「あぁ、なるべく早めにな」
「それじゃ!ありがとうございました。」
『またお越しくださいませ』
別れようとした瞬間またも迅が割って入る
『ダメだよ帰るなんて、本当に楽しいのはここからなんだから』
迅は手慣れた様子でニギローをガレフォルマギアに変えてしまった。しかし何か様子がおかしくマギアには装飾が増えていたがそのどれもが包丁や調理帽といった意匠であった。
『滅亡迅雷.netに接続』
慌てて逃げだす各々、足腰が弱く倒れた大将はヒューマギアであるイズが遠くまで運び、或人は即座に戦闘態勢に入った。
「変身」≪飛び上がライズ!ライジングホッパー!≫
「はぁぁぁぁ!」
勢いよく剣で体を押さえつけるゼロワン
『がんばれーペンギンちゃーん!』
戦闘に入るも大将もいることを考慮して場所は移ったもののそこはマギアの得意とする水場、河川敷であった。
そこでまさに水を得た魚と言わんばかりに高速戦闘を繰り広げるマギア、それに以前よりもスピード自体が上昇していた
「やっぱ、水のある場所で戦うのはキツイな…」
『破壊、破壊破壊…』
「それなら…今日のお前に最適なネタはこれだ!」
≪Fang オーソライズ≫
空中から射出されたサメのライダモデルの巨体によりマギアは押し負け大きな隙ができた
≪プログライズ!キリキリバイ!キリキリバイ!バイティングシャーク!
"Fangs that can chomp through concrete."≫
体勢を立て直し高速で突撃するも横切る際に攻撃するマギアのスタイルは腕にカッターがついたシャークとの相性が悪い。
ドリフトターンで旋回攻撃を繰り返す度に傷付いていくマギア。このままでは勝てないと察し真正面から最速の突撃為のチャージを開始した。それを勝負を決めるチャンスと見るのはゼロワンも同様である
《バイティング
インパクト》
居合の様に交差するカッターが正面から飛び込んだマギアを両断する。
激しい水飛沫を浴びながらゼロワンは緊張を解き始めた。
後日、商談は成立し新しいニギローが届けられた。
「すいません、大将せっかくご契約いただいたのに…」
「構うかよ、アイツはまだまだひょっ子だコイツと変わんねぇよ。ほら、イカだ」
「イカ…う~ん!いい感じ!」
『今のはイカといい感じをかけたジョークですね』
「イズ!?いや、今のはギャグじゃない…って!俺のギャグ解説しないで~!!」
一先ずこの店を笑いが包んでいた。