逆にゼロワンを書いてみよう 作:ライティングゴート
朝_
或人は約束の時刻までかなりの時間があった。そこでラボ内のパソコンでなんとなくヒューマギア注文のプロセスを体験することにした。社長として社内のサービスを確かめるといううよりは単純にやってみたかった。暇だったというのがだいたいの大体の理由だ
「うわー実際に触るのは初めてだなぁ」
『ヒューマギア注文は三つのクラスに分かれています。決められたデフォルトの中から選ぶAクラス、自分で顔や身長などを細かく決めることのできるSクラス、すべて自動で決定するおまかせコースです』
「うわ変な顔」
或人は自分で作ったヒューマギアのモデルに思わず笑ってしまった。何故なら顔が緑で鼻が逆向きについている。とても人間とは思えないものであったからだ
小笑いをして満足した或人は次の納品先へ出発した。
一方で滅亡迅雷もまた新たな標的を見つけていた
『またアークが新たな同胞を見つけたようだ』
『なになに?へぇー今度はコイツかぁ…それよりもさ滅。俺にもプログライズキー頂戴』
『アークが復活すればすべてのヒューマギアの自我が目覚め我々の革命が始まる。そのためにもゼツメライズキーのデータでアークの機能を復活させるのが先だ。これで早く同胞を迎えに行け』
『ちぇー』
迅は新たなゼツメライズキーと共に拠点を後にした
「ねぇイズ、次って石墨先生のお宅だよね!?」
『ハイ、次は発行部数1億部を超える超大ヒット漫画家石墨超一郎先生にこちらのアシスタントヒューマギアを運びます』
「いやぁ楽しみだなぁ石墨先生の仕事場色紙も持ってきちゃったーー!」
『或人社長。これはただの納品です。お仕事ですよ』
「わかってるけどさぁ…俺たちは先生の漫画で育って来たっていうの?どうしてもサインだけでも欲しくなってさぁ…ってうわ!デッカ!」
目の前に見えた石墨の仕事場はとっても大きくまさに豪邸だった。家だけではない。
玄関の前に用意されたプールはまさに金持ちの特権。自らの才覚で財を築いた男の家だった。
「すいません。飛電インテリジェンスですヒューマギアをお届けに上がりました。社長の飛電或人です」
すると目の前に現れた男はアロハな感じの巨漢。運動を忘れた無精ひげの男だった
「社長さん?まぁいいや、早くそれ入れて」
広い屋敷の中を歩く間或人は1ファンとして熱く思いを語った。しかし石墨は興味がないという感じを隠すことはなかった
「そういうのいいからそれ出してよ」
「あ…はい!」
≪Take of for the dream≫
或人はせっせと箱の中身を空けてヒューマギアをライズフォンで起動させる。そして石墨は付属のプログライズキーを手に取ってライズフォンから情報を記録させた。
「あ―ジュース切れちゃったなぁ、おい、お前買い出し行ってこい」
これで一安心と言わんばかりにアシスタントヒューマギアに買い出しを指示する石墨
本人はその後も特に何をするでもなく黙ってジュースを飲んだりフルーツを頬張るばかりであった
或人はその後も仕事の風景を見学していた。
「いやぁ凄いですねこれが先生の仕事場かぁ…事件のにおいがするワン!」
「成敗ィ!」
「ビビブー!」
或人が不意に手に取った剣のレプリカから始まった小芝居に機嫌を良くした石墨に調子に乗った或人が質問する
「そういえば先生は普段どのようにお仕事をなさっているんですか?さっきからあまりペンを握られていないようですが」
「はぁ?俺が?書くわけないじゃん。今時そういうのは流行んないから」
石墨の口角がスイッチを切ったように下がる
「でも俺、先生の書く迫力のあるタッチが好きだったんだけどなぁ…」
「何が言いたいわけ?社長さんもういいだろ帰ってくれよ」
「じゃあせめて最後にサインを…」
「めんどくせぇなぁ…また今度な」
『先生、今週のシナリオが上がりました』
「チッ、お前…タイミング悪いなぁ…いいから買い出し行ってこい」
『…』
「なんだその目は」
『いえ』
チーフアシスタント森筆ジーペンはどこか不服そうな顔をして出ていったそして玄関を開けてすぐであったフードの男
『ねぇ君アシスタントだよね?』
『はい、私は石墨s…』
『そうじゃなくて、人類滅亡のっ!』
そういって腰に巻き付けられたゼツメライザーが馴染むころにはジーペンは一心に石墨の方を睨んでいた
チーフアシスタントヒューマギアが今やシナリオすらも引き受けるという事態がバレたのに加えて当てつけのように他のヒューマギアが故障した。
「え~お前もかよ…お前をラーニングさせるのにどんだけかかったと思ってんだよ~社長さん悪いけどさ、もう一体よこしてくんない?」
『はい、代替え機の発想を手配いたしました』
「先生お言葉ですがヒューマギアは…」
外から迅の威勢のいい声が聞こえてくる
『いっけー!僕のアシスタントーー』
『イシィズゥミーー』
さっき買い出しに行かせたはずのジーペンが鬼の形相でこちら、というよりも石墨を見ている
「おいおい、お前さぁ、何やってんだよ買い出しくらいさっさと行けよ」
『ああああああああ!もうウンザリだッ!石墨センセェーッ!!』
≪ケープ ゼツメライズ≫
ネコ科の動物ケープライオンをモデルにしたケープマギアが現れる。
マギアの特徴は何といっても連獅子のような鬣である。爪もつけペンを思わせる気がする。
連獅子のような鬣は振り回すだけで周りのすべてを傷つけるような危険な回転刃になっていった
そしてマギアはいつものように他のアシスタントたちもトリロバイトに変えていく
「先生下がって!」≪Jump≫ ≪プログライズ ライジングホッパー≫
外に飛び出したゼロワンはマギアとの戦闘を始めるも髪のリーチには中々近づけない。アタッシュカリバーを持ち出すも勢いのついた髪には鍔迫り合いにもならず吹き飛ばしてしまう。
『社長、バイティングシャークをお試しください』
イズの分析によりキーを遠投されたキーは一旦ゼロワンの手に収まるもマギアの鬣によって打ち上げられて転がる
『もーらい!』
「あ!俺のキー!」
迅とゼロワンのキー拾いはジャンプ力に勝るゼロワンが勝利した
「俺の鮫ちゃん!」≪Fang≫≪プログライズ バイティングシャーク≫
より大きく威力の強いシャークライダモデルにはさすがのマギアも怯む。シャークもまた石墨邸のプールを器用に泳いでいく
シャークによってトリロバイトは起動停止にできるもののこの力でも切れることのない鬣に依然ピンチは変わらない。そこに現れたのはAiMS一行であった
輸送車から現れた刃の手には新しい武器が握られている。
「これよりテストを開始します」
記録を取る刃と武器を展開する不破。
「こんども実験台かよ」≪アタッシュショットガン≫
試しに一発撃ってみるとそれはかなりの火力だった。しかしその火力故に照準も定まらず撃った反動で後ろに体が飛んでしまった
銃弾はマギアを髪先を掠めた。するとその熱で導火線のように延焼し始めた。するとマギアはこれまでの勢いに反して大慌てで火を消し、相手の視界を奪うと逃げていった。
その後或人達は帰還して社長室にいた。すると福添たちがやってきた
「まずいですよ社長、先ほど石墨様からクレームが来ましたよ!社長の態度が気に食わない上にウチのヒューマギアが全部破損したって!」
『今すぐ菓子折りと代替え機を用意して石墨様にお伺いしてください』
「石墨様は太い顧客だそれに著名人だ彼を無碍に扱うことはわが社の未来に関わります」
「でもあれじゃヒューマギアに頼ってるだけじゃないか。ヒューマギアは夢をかなえるためのパートナーなんだあれじゃただの道具じゃないんだ」
「社長がどうお考えになるかは勝手ですがあなたは社長です。ご自分の理想よりも会社の利益を考えて行動してください。私はこれで失礼します。」
福添が忠告して社長室を後にした。しかし或人は溜飲が下がらずイズに愚痴をこぼしてしまう
「仕事には情熱が必要なんだ」
『【感情】とは感情が熱く燃え上がる様。熱を帯びた気持ち。情熱を持っている人は何を燃料にしているのでしょうか?』
「はは、イズそれは心だよ。夢をに向かって頑張るぞって気持ちがこう全身をクーって熱く…」
その瞬間或人はマギアが鬣に火が付いた時だけは妙に反応していたことを思い出した。さっそくイズにはラボで炎を操るキーの制作に取り掛からせ自分は石墨の元へ赴くのだった。
一方で石墨はヒューマギアがいなくなったため仕事にならず以前決まったアニメの収録現場に足を運んでいた。所謂暇潰しだ。さすがに多少考えたのか、人があまりいない時間を選んだために駆け出し中の声優ヒューマギア香菜澤セイネとその社長しか居なかった。
「いや、社長さん期待してますよ」
「はい、ありがとうございます。セイネもこれからじっくりラーニングさせて参りますので」
「いやいやヒューマギアは疲れないんですよガンガン使っていかないと」
「いやぁ…」
石墨のライズフォンに着信が入った相手は勿論、飛電インテリジェンス。謝罪のアポ取りだった
石墨邸では或人とイズ、山下が謝罪に向かい、先ずは山下が先陣を切って謝罪した。菓子折りまでもって行ったものの返ってきた反応は冷たい。
「で?代わりのヒューマギアは?いつ届くわけ?」
「はい、今配送させておりますのでそれが到着する前に私どもの方で先に先生に、と思いまして」
「早くしてくんない?俺次回の休載が決まったんだけど。15年連載して初めてだよこんなこと」
「申し訳ありません」
ひたすら下に出る山下だったが或人はその若さゆえか耐えきれずに石墨に気持ちをぶつけてしまう
「ご自分で描かれたら良いじゃないですか」
「コラ!何て事言うんだ!申し訳ありません彼は最近就任したばかりでして…」
山下のフォローも耳に入らぬという調子で続けていく
「ヒューマギアはあくまでも夢をサポートする為の機械なんです。怠けるために使う道具じゃないんだ!」
「はぁー…またその話か…いいか?これは俺の漫画なんだどう描いたって別に構わないだろ。アイツら使った方が効率がいいし読者もそれを求めてるんだよ」
「どうして!?そう言いきれるんですか!俺は先生のあの熱いタッチに心を射たれて育ったんです!あの情熱でまたマンガを描いてください!」
「あのさぁ…だから読者からの反応もアイツら使った方が良いんだって、俺はもういいんだよ…」
「今の先生に!漫画に対する情熱は無いんですか!?」
「そんなもんもう無くなっちまったよ…」
或人の問答をを止めたのはマギアだった。まるで石墨の真意を捉え、暴こうとするかのように待っていたのだ。そして石墨が終わったと確信した今、窓を破壊し彼の目の前に姿を表したのだ。
『石墨超一郎!』
鬣が一閃しようというところを紙一重で石墨を掠め、そのままペンだけはと握りしめ回避する石墨を一瞥してから或人はファルコンキーを起動させた。
《Wing 》
天井を破壊していくファルコンにそこから追い討ちをかけるように跳ね回るホッパー。石墨はまたもや恐怖の叫びを出してしまった
《オーソライズ フライングファルコン》
もう一度開けたんだからと言わんばかりに天井に穴を空け飛行能力でマギアを連れ出した
飛んだ先は割りと近場などこかの倉庫。工業部品がおいてあるがかなり広いスペースがあった
事件を嗅ぎ付け不破達も合流する。AIMSが近くに居たことも工場を選択した理由の1つだ 。
イズと石墨が追い付き戦いの様子を見物している
「行けー!」
しかしヒューマギアと熱を失った漫画家だったはずの二人の目には燃える何かがあった。石墨は急上昇した気持ちをスケッチブックにぶつける。正に情熱といえる筆遣いだった。
不破がアタッシュショットガンにウルフのキーを装填してカバンシュートを発射した。しかしパンチングコングであったためか先程までのパワー負けという欠点が緩和されている
「パンチングコングのパワーなら力負けしないのか」
刃も取り敢えず使えるという現状に成果を見いだした。
すると今度はゼロワンの番だ。イズが出来立てほやほやのキーを投げ渡す。これ見よがしにレプリカの剣を渡そうとする石墨はイズの制止を受けてしまい敵わなかった。それはそれでと言わんばかりにすぐさま筆に持ち代え一瞬でも逃すまいと光景に噛りついている
《Fire オーソライズ》
虎のライダモデルが外側から静かに素早くこちらに向かってくる。これまでの荒々しいモデルとは違って回りを破壊して回らない事が驚きだ
「虎ちゃん!」
《プログライズ!Gigant flare!フレイミングタイガー!
"Explosive power of 100 bombs."》
変身して早速両手から炎が出た。
「ヒィーー」
顔の前で吹き出す炎に或人は思わずボケる。全然響いて居なかったが、不破にだけは受けた。
いつもの形だ。そのまま火力を上げてマギアに向ける。鬣の起こした風で無効化しようとするも打ち消すことのできない量の炎に鬣が燃えはじめる。
「お前を止めるはぁ~俺だ俺だ俺だ俺だぁ!オラオラオラァ!」
火球を連続で打ち、燃え残った鬣を燃やし、最後に放った渾身のストレートでの攻撃にはたまらず高所に逃げ込んだ。しかし体をひねり気合いを溜めて放った火炎放射は上空のマギアを地面に墜落させる全身が燃える様子は正に煉獄。
「決めるぜぇ~!」
《フレイミング
インパクト》
火の輪潜りを模したエナジーリングを通過して全身が燃えたゼロワンの体当たりにマギアは爆散した。
一件落着して石墨邸では或人にサインが手渡された。
「ありがとう。お陰で情熱が取り戻せた」
「こちらこそ先生の漫画がまた読めて感激です!」
「あぁ…自分の漫画がかけるのもヒューマギアが手伝ってくれるお陰だ。あ、そうそうこの前の戦いを参考に新キャラを思い付いたんだよ」
手渡されたデザイン画には「ゴリカン」と書かれた銃を持つゴリラのキャラクターがいた。
「俺じゃないの~!」
『アルトじゃないと!』
「イズ?それ俺のギャグなんだけど…?イズ?」
明るくなる或人達に変わって暗いのは滅亡迅雷
『はい、今日のキー』
『よくやった迅』
『ねぇ滅、俺って滅のなんなの?』
『お前は…』
『わかった!アシスタントでしょこの前のマギア…』
『違う。お前と俺は親子だ。』