蛇足にはなりますが、楽しんで読んでもらえると嬉しいです。
◇蝶屋敷◆
俺は遊郭編に繋がるまでの空白の四ヶ月間を有効に使うべく、カナエと出かけたりする以外の時間は全て修練に時間を設けていた。
炭治郎は赫刀も使えるようになり、ほぼ能力的には縁壱になりつつあった。もちろん、違うところだってある。それは潜在的な部分だ。そればかりはどうしようも無く、他の部分で補わせようと考えていた。
教えるためには自分が出来なければいけないので、俺は今その他の部分なるものを習得しようとしていた。そして、そのために俺はある男を呼んでいた。
「よ!久しぶり狛治」
「どうしたんだ一体?急に呼び出すなどして」
その男とは猗窩座こと狛治のことだった。
「俺の修行に付き合って欲しくてな」
「そういうことなら、別に構わんが…」
「なら良かった。お前にしか頼めないことなんだ」
「俺にしか頼めないことだと?それはどういう事だ秋雨」
俺は狛治に試合稽古をしてくれるように頼み、それを狛治はすんなりと了承した
「なるほどそれは面白そうだ。他の者が相手だとお前も本気を出せないだろうからな」
そして、試合は俺の開始の合図によって行われた。
「行くぞ!秋雨」
「来い!」
狛治は目一杯の力で地面を蹴り出して俺へと距離を縮めてくる。次の瞬間には俺目がけて一直線に拳を突き出した。
そして、俺はその動きを予見し、早めに躱す
躱されたことなどは気にせず、狛治は今度は俺の顎めがけて下からの突きを繰り出す
それも即座に見抜き、躱す
すると次は反撃を食らわないようにと狛治は足首をを左向きに90度回転させて体を左に向けてから、右足で横に蹴り出した。
俺はその攻撃を狛治に対抗するように体を左の方に捻って後は手でいなした
いなされた右足を引くと狛治は即座に正面に向き直し今度は右足を軸にして、左足で回し蹴りを繰り出し、俺の脇腹を狙う。
しかし、その攻撃も来ることが分かっていたので後ろに引いて避ける。
「なあなんで避けるだけで攻撃はして来ないんだ?興が削がれてしまう」
「いや、これでいいんだよ」
「?」
その言葉に頸を傾げる狛治
「さあ続けるぞ」
「なんの意味があると言うんだ…」
只管に狛治が攻撃をし、それを俺が避ける。ただそれだけのことを一日中続けた。
─稽古が終わった後
「そういえば最後の最後まで一度も攻撃はしてこなかったが、それは何故だ?」
「俺は刀で防ぐことも出来た、だがそれをしなかったのには意味がある」
「それはどういうことだ?」
「例えば刀が折れたり、飛ばされて取れない状況になったらどうする?」
「それは…そうか!それを見越した練習ということか!抜け目のない男だ」
どうやら狛治は理解出来たようだ
「だから、相手の攻撃を全て躱すことで死から免れるというわけだ。俺はこれを他の者にも覚えてほしいと思ってる」
「でもそんなことは不可能に近い。それこそ秋雨程の実力が無いとな」
「いや出来るはずだ。人は基本、来ると分かったものに対して、その場で考えて対処する。それでは遅いんだ。」
「お前には武道の心得もあるようだな。お前の技術は歳と見合っていないものがあるな。つくづく興味を持たされる」
──1日後──
時刻は1時を回っており、昼食を食べ終わり、少し休憩をした後のこと
「炭治郎、少しいいか?」
「はい、なんですか?」
「お前に教えたいものがあってな」
「教えたいもの……ですか?」
「今から俺に刀で攻撃してこい、真剣でな。どんなふうでもいいから」
「でも…」
「大丈夫だ俺は死なない」
「そこまで言うなら、容赦しませんよ、本気で行きますけど良いんですね?」
「ああ、来い!」
炭治郎は正面に攻撃するように思わせてから、視線を正面にギリギリまで残して残像を作り、後ろに回り込み俺の不意をつこうとした。
しかし、俺にはそれが既に分かっていた。なので、いとも簡単にまた体だけを捻り躱した。それからも狛治との練習の時と同じく炭治郎が攻撃、俺が躱すのを繰り返し、1時間が経った。
「はぁ…はぁ、おかしい確かに隙を狙っているはずなのに」
「何故、当たらないか分かるか?」
「なぜですか?」
「あらかじめ空気の動きからお前の攻撃を肌で感じて無意識に避けているからだ。そして、炭治郎には今から俺の言うことをやってもらう」
「はい!」
「俺の攻撃を一日中躱し続けろ。以上」
「へ?聞き間違いじゃないですよね?」
「さあ刀を鞘に納めて、構えろ」
そう言って俺は刀を鞘に納めた。それに倣うように炭治郎も刀を鞘に納める
そして丸腰の状態、素手のみの状態になる
「は、はい!わかりました!」
「行くぞ!」
俺の合図によってそれは始まった
狛治の攻撃を真似て、左足を軸にして右足で回し蹴りを繰り出す
最初のうちは戸惑って攻撃に当たっていた炭治郎だったが、途中からコツを掴んだのか徐々に躱しはじめる
そして、4時間経った頃、全てとまではいかないが、8の割合で避け、2の割合で受けをするようになっていた。それからも次の日の朝になるまで続けた。
炭治郎は結局全てを避けるようにはならなかったが、避ける精度も受けの精度も相当上がっている様子だった。
「はぁ、炭治郎そろそろ終わりにしよ…うか。流石の俺も疲れかけていた」
「……は……はぁぃ」
炭治郎は今にも倒れそうだった。
そして、その日は炭治郎も俺も夜まで眠っていた
次の日の昼
蝶屋敷で縁側に座り、水分をとって休憩しているところだった。
「今日はもう疲れただろう、一緒に飯でも食べに行かないか?」
「いいんですか!?」
「もちろん」
「ならお言葉に甘えて」
「カナエとカナヲも来ないか?」
しのぶはその日は任務があり出払っていたため、誘えなかった。
「あら、行っていいの?」
「私は…」
少し行くのを遠慮している様子だった。
「カナヲも行きましょうよ!」
「う、うん…じゃあ行こうかなぁ」
その日は昼食を食べたあと商店街にも出かけて、色んなところに行った。実は、このお出かけには知られざるもう1つの狙いがあった。
カナヲと炭治郎をくっつける作戦だ
二人っきりにするために俺とカナエは二人でその場を一旦離れる
「あれ?秋雨さん達は…」
「……はぐれちゃったのかな?」
「探しに行こうか」
「えっ…ちょっと///」
炭治郎に手を引かれて少し照れるカナヲであった。
「うーん、いないなあ」
「あの…手」
炭治郎「手がどうかした?あ!ごめん、もしかして嫌だった?」
炭治郎ははぐれないように手を引いていただけのつもりだったが、カナヲは異性に手を掴まれるそんな初めての事に戸惑っていた。
「ううん、嫌じゃないよ」
「良かった、じゃあ他のところ探そうか」
カナヲは途中にある団子屋に目が止まった。
「団子食べたいの?結構歩いたし休憩しようか」
「…うん」
「お二人さん、お似合いね」
団子屋の店員さんも初々しい二人を見て、勘違いしたらしい
炭治郎はそういったことに鈍いのでなんのことか分からなかったが、カナヲは解ってしまったようで、照れていた
「?」
「えっ?いや…そんなんじゃ///」
「あらあら、可愛らしい。それじゃあ注文が決まったら読んでちょうだい」
「カナヲ?どうかした?」
「なんでもないの」
「そう?団子は何頼む?」
「じゃ、じゃあ三色団子で」
「三色団子6本くださーい」
「はーい、今持ってくるわね」
しばらくして三色団子6本と茶が2杯運ばれてくる
「お待ちどおさま」
「ありがとうございます!」
「…どうも」
「どう?三色団子美味しい?」
「美味しい…」
「そういえばカナヲ最初に喋った時よりもよく喋ってくれるようになったよね」
「炭治郎が心のままに話すことを教えてくれたから」
「そっか、でももっと思ったままに話してもいいんだよ」
「うーん……じゃあ聞いて欲しいことがあるんだけど…いい?」
「いいよ、話してみて」
「私、炭治郎に感謝してる、こうして私が話すきっかけを与えてくれたのも炭治郎だし、しのぶが鬼に対して前向きになれたのも炭治郎がいてくれたおかげだと思ってる
私に努力するってことを教えてくれたのは炭治郎なんだよ。これまでは姉さん達に教えられた事だけ頑張ってきたけど、炭治郎に会ってから自分で話すことも自分から鍛えることも出来るようになった
それとね、もう1つ感謝してることがあるの」
「もうひとつ?」
「私に人を好きになることを教えてくれたってこと」
「??それって……」
「兄ちゃん鈍いねぇ…そりゃあ告白だよ、ほら」
店員のおばちゃんがカナヲに気づかれないように炭治郎の肩を叩いて小声で囁く、カナヲの告白に答えるように促す
「///」
「俺もカナヲのこと好きだよ///」
2人はしばらく見つめあったままだった
『青春だねぇ』
その様子を店員は遠巻きから眺めていた
ここまでのことは俺たちは予想してなかったが、とりあえず成功ではあるので素直に喜ぶ
「やったわ!!あのカナヲが自分から告白したわ、恋の力って偉大ね」
「大成功だな」
そこから偶然を装い何事もなかったかのように二人の前に戻る。
「こんなところにいたのか、どこに行ったのかと思って探したぞ」
「あらどうしたの二人とも顔赤いわよ!ふふっ」
「いやっ、そんなはずは!」
「さあ帰りましょっ!」
ここまで誤魔化せるのは流石だなあと思った。
「は、はい」
「あ、…うん///」
それから、蝶屋敷に着くまで二人とも顔を赤らめたままだった。
─2日後─
◇蝶屋敷◆
炭治郎の修行を再開する。
今日も一日中稽古をしたが、ようやく全てを避けられるようになってきた。しかし、まだ意識下で避けているから明日も続けるつもりだ。
さらに日付が変わり
──5日後
ようやく、無意識に避けられるようになってきたようなので、刀を使うように言う。
「今日は刀を使おうと思う。炭治郎も刀を抜け。今までのことを頭に入れて戦えよ」
「はい!」
今までで1番密度の濃い修行になるだろう
そして、どちらも動くことなく見合い、同じタイミングで飛び出した。
「はぁ!」
「はっ!」
お互い、自分の領域を守りながら、近づいていく。その領域はぶつかり合い、刀同士が織り成す音は、やがて、ひとつの曲を創造する
そして、その曲は遂に終わりを迎える。秋雨の不意をついた攻撃は炭治郎にいなされ、俺はそれに反応して避けようとするも、それすら炭治郎は予測していて、
俺が避けた先には刃があった。それにも気づいてはいたが間に合わなかった。頬を切るだけに収まったが
そこで炭治郎が刀を止めてなかったら俺は死んでいただろう
「炭治郎、よくやった俺の負けだ。頑張ったな」
「はい!ありがとうございます!俺、忘れないように何回も復習します!」
「呼吸と合わせる練習もしておけよ」
「はい!」
己の領域に攻撃が入った時点で気づき、無意識に領域に近づけないように戦うようになる。頭で意識するのではなく体が反応して勝手に動き出す。そして、それは気配を察知することにも繋がり、領域を広げることで死角からの攻撃にも反応できるようになる
そんな状態に2人は成っていた。
これは、2人の実力が底上げされた瞬間だった
いかがだったでしょうか?楽しんで頂けたでしょうか?
今回の技については、他の漫画からインスピレーションを受けて入れている部分もあるので、説明が拙い部分がありますがご了承ください。
狛治と練習しているのは山奥で蝶屋敷でしているわけではないのでお間違いなく。
大正コソコソ噂話
狛治は意外と面倒見が良くて炭治郎の修行にも付き合ってくれたよ
物語の進むペースは妥当か
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早い
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遅い
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ちょうどいい
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少し早い
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少し遅い