(๑>◡<๑)
「リクはどんな武器がいいの?」
「剣がいいです」
イーディスからの問いにリクは間髪を入れずに答えた。
「何故剣がいいのですか?」
数多くある武器の中から迷わず剣を選んだ理由が気になったアリスがそう尋ねる。事実、最近では槍が冒険者の間で人気になっている。恐らくどこかの
「うちはみんな剣を使ってるし……」
「あたし達と一緒がいいの?可愛いな〜もう〜」
可愛くて堪らないとばかりにリクの頭をクシャクシャするイーディス。隣にいるアリスもどことなく嬉しそうな顔をしている。後輩に真似をされるのは先輩としては嬉しい事なのだろう。
リクは言葉を続ける。
「それに……やっぱり剣はかっこいいから」
英雄譚の登場人物で剣を使っている英雄は数多くいる。それもリクの中ではかなり影響していた。
「ふふ、本来武器はカッコ良さで選ぶ物ではないのですけどね」
「まぁ本人が使いたい物を使うのがいいのかな?」
何かと甘い二人の許可を得て、リクは自分に合った剣を選ぶことにした。早速目の前にある剣を手に持ち、一度振ってみる。
「うん。これにしようかな」
まさかの即断。
「ちょっと適当すぎない?」
流石のイーディスもこれにはツッコミを入れた。
「選び方が分からなくて」
「まぁ色々試していくしかないかな〜」
「大丈夫です。私達が良さそうな物を探してくるので、リクはここで待っていて下さい」
自分の出番とばかりに張り切るアリスは、そう言い残してリクに合う剣を物色しに行く。イーディスもそれに続いた。
それから二人が戻ってきたのは十五分後のことだった。
「これなんてどうでしょう?かなり頑丈なので、そうそう壊れる事はないと思います」
アリスから渡されたのは刀身の黒い剣。丁度リクの上半身に近い長さである。少し観察した後、リクは試しに何度か振ってみる。
「あ、いい感じかも」
リクは気に入ったらしく、その声にアリスも満足そうである。そこで次にイーディスが、選んできた光沢のある銀色の剣を手渡す。こちらも長さはさっきの物と同じだ。
「こっちは切れ味重視ね。振ってみて?」
イーディスに言われた通りにやってみるリク。さっきよりも少し軽く、その為に素早く振ることが出来た。但し、頑丈さはあちらが上だ。
「あ、こっちもいいかも」
「ほんと!?それなら良かった〜」
リクの反応に安堵するイーディス。だかしかし、ここで一つの問題が発生した。そうである。
“どちらの選んでくれた剣を選択するか”
先輩二人は真剣な面持ちでリクの決定を待つ。そしてリク。
この少年は人を思いやれる心があった。
そしてかなりの優柔不断であった。
また、男ならではの夢も持っていた。
よって口から出たその答えは……
「二つとも使いたいな……」
駆け出しとしては中々無謀……二刀流の選択である。
「「えっ!?」」
その発言に驚く二人。慌てて理由を尋ねる。
「折角選んでもらった剣だし。それに、その……から」
最後の方で急に口調が弱々しくなった為、後半が上手く聞き取れない。
「「ん?」」
「……二刀流に憧れてたの!!」
アリスとイーディスは顔を見合わせた。駆け出しの冒険者が剣を二本使うことはあまり褒められたことではない、それは二人もよく知っている。
しかし、顔を赤くしながら憧れを主張する少年の様子と、自分達に気を遣ってくれたその優しさを目の当たりにし、駄目と言うことが出来ない。
後輩に顔を向けると、大事そうに二本の剣を抱えてこちらを見ている。
(イーディス殿!ここは先輩らしく、二刀流はもう少し後ね、と言って下さい)
(言えないわよ!?可愛すぎるんだものあの子。アリスが言ってよ〜適任でしょ?)
(私も言えないですよ!?)
暫く視線で会話を交えた後、同時に溜め息をつく。
そして三人は、二本の剣を購入して自分達のファミリアのホームへと戻っていった。
少年はとても満足気であった。
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日は沈んでいるが、オラリオはそこら中の屋敷から漏れる光で明るく賑やかなままだった。
馬鹿騒ぎするヒューマンの声、豪快なドワーフ達の笑い声などが辺りに響き渡っている。
そしてエレシュキガルファミリアのホーム『
ホームの名前についてファナティオが尋ねたとき、主神が何となくで決めたと言っていて皆唖然としたのはかなり前の話らしい。
「凄く美味しいです!」
「ありがとう坊や。沢山食べるのよ?」
「はい!」
リクの感想がいつも同じなのはご愛嬌である。幸せそうな表情を見れば嘘でないことくらい誰にでもわかった。
「はぁ……それで、二刀流を許したと?」
「仕方がなかったのです」
「そうそう。あたし達のせいじゃないもん」
ファナティオに小声で問いただされて、アリスとイーディスは苦い表情を浮かべる。
「二刀流はまだ早いでしょう?」
「……言えなかったのです」
「そうだ!ファナティオが言ってよ。そしたらリクも納得すると思うわ!」
「確かに、そうですね。お任せします」
不安しかない教育係達にため息をついて、分かったわよとファナティオはリクの方を向く。
「坊や、二刀流にするってほんと?」
副団長からの質問にリクは満面の笑みで頷く。
「はい!二刀流に憧れてて、それなので!」
「そう……そのね?坊や」
「? なんですか?」
真っ直ぐな瞳のまま首を傾げるリク。
「その……頑張りなさいね?」
「はい!」
ファナティオは黙って食事を再開する。
「何をしているのですか!?ファナティオ殿」
「ちゃんと言わないと駄目じゃない!」
「貴女達にだけは言われたくないわ……」
ファナティオも案外後輩には甘いらしい。これで八方塞がりとなった。こうなると、主神、団長、ユージオの三人に懸かっている。
「へえ……リクは二刀流でやるのね!凄くカッコイイのだわ!」
ポンコツな主神は少年の憧れを全肯定する。
「二刀流か……。ふふっ……リクはカッコいい剣士になりそうだね。何か僕に手伝えることがあったら遠慮なく言うんだよ?」
金髪の美少年は優しい笑みで後輩の背中を押す。
「そういやうちに二刀流はいねぇな。これで二刀流枠はリクに決定か。応援してるぜ」
団長は呑気に笑いながら酒を飲んでいる。
これでアリス達の希望は消えて無くなった。
「ふぅ……仕方ないわね。アリス、イーディス、しっかりモノになるまで面倒みるのよ?」
「そうですね。お任せください」
「はいは〜い」
ファナティオは一抹の不安を残しながら食事を終えて席を立つ。
「ファナティオ、もう行くのか?」
「はい団長。まだ仕事が残っているので」
「悪いな。お前にばかり負担をかけて」
「気にしないで下さい。私がやりたくてやっている事ですから」
ファミリアをしきる者はやるべき事も多い。エレシュキガルファミリアが成り立っているのは、ひとえにファナティオの存在が大きかった。
「あっ、そうそう。リク?」
副団長が退室してから少し経って、イーディスがリクに声を掛けた。
「ん?どうしたの?」
「明日も午前はギルドで講習でしょ?」
「うん。そうだよ」
ハーフエルフのエイナには数日かけて必要な事を教えて貰えることになっている。その為リクの自由時間は午後だけであった。
「それが終わったら、少しだけ
「え!?いいの?」
「うん。あたし達も同行するからね」
魅力的な提案にリクは目を輝かせて、首を何度も縦に振る。
「
「やっぱり話を聞くより目で見る方が早いからね」
「ありがと!」
さっきよりも明らかにテンションが上がった新人に皆顔を綻ばせる。
「じゃあ明日がリクの
「はい!」
その日の夜は、明日の事で頭が一杯でリクは中々寝付けなかった。
_______________
「今日はここまでかな!お疲れ様」
「ありがとうございました!」
講習を終えて天に向かって背伸びをするリク。
「リク君。その格好って……」
二本の剣を携えたリクの姿をみて、エイナは恐る恐る質問をする。
「はい!これからアリスさんとイーディスさんと一緒にダンジョンに行くんです」
「そう……。まぁ
「はい!行ってきます!」
「うん!行ってらっしゃい」
エイナに見送られながら、リクは駆け足で部屋を出ると先輩二人の姿を見つける。
「あっ、お疲れ〜」
「お疲れ様です。リク」
椅子に腰掛けていた二人はリクの姿を見つけると立ち上がりながら迎える。
「待たせてごめん」
「気にしなくていいのよ〜」
「うん……じゃあ行こっ!ダンジョン」
その瞬間リクの肩を掴んで静止させるアリス。
「待ちなさい。その前にこれを」
そう言って差し出したのは防具だった。光を少し反射したそれは、リクの身体に合う大きさだ。
「これをつけなさい。有るのと無いのでは全然違いますから」
「あ、ありがとう」
「ふふっ、では行きましょうか」
「リクの初冒険にレッツゴー!!」
こうしてリクは初めてダンジョンに足を踏み入れた。
更新スピードを落とすと思います。すみません。
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イーディス
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アリス
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ファナティオ
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エレシュキガル
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ユージオ