1位 アリス 38票
2位 イーディス 34票
3位 エレシュキガル 19票
4位 ユージオ 7票
5位 ファナティオ 1票
皆さん投票ありがとうございました!
アリスが1位は予想通りでした笑
イーディスがここまで伸びるとは思いませんでしたね。
ファナティオさん……頑張れ!
そして何故ユージオが選択肢にあるのかというと、ユージオもSAOのヒロインの一人だからです!
「ここが
足を踏み入れてみるとそこは、外に比べれば薄暗く、洞窟の中で立っている気分になる。
エイナさんから階層によって環境は全く変わると教わった。下に進めば全然違う
「ちゃんと付いてきてね?リク」
「……うん」
頼もしい先輩達の背中を追う。僕達の足音だけが耳へと伝わる。今は近くに他の冒険者はいないみたいだ。所々で道が枝分かれしているが、真っ直ぐに進んでいく。
暫く歩いていると、前にいる二人の足が止まった。何事かと思い前を見ると、緑の肌の生命体が視界に入る。背丈は人間の腰ほどであり、醜く歪んだ顔からは邪悪なものを感じる。
「お、出てきたわね。リク、これがゴブリンよ」
「ゴブリン……」
物語の中で度々目にした化け物だ。どの話でも雑魚として描かれており、倒される事が宿命のような存在として僕の頭に記憶されていた。
(これなら僕でも……)
「初めての相手としては丁度いいかな。やってみる?」
「うん!」
腰にある双剣を抜き、それぞれの手に持ち構える。
「最初から二本でやるのはかなり難しいと思いますよ?一本から始めてみましょう」
「……あ、やっぱりそうだよね」
アリスさんの助言を受けて銀色に光る剣を腰にしまい直す。正直な所、利き手とは逆、左手で持っている方の剣はちゃんと振れるか心配だったのだ。
片手剣を両手で力強く握りしめる。遠方にいた標的のゴブリンはこちらに気づいたようで、奇声を上げながら走って向かってくる。
胸の内にある緊張を掻き消すように、僕も声を上げながら突っ込んでいく。
「キィエエエエエ‼︎」
「うぉおおおおおおお‼︎」
歪な形をした緑色の頭を狙って剣を振り下ろす。剣閃は的の横を空気を切る音と共に通り過ぎた。
「あっ……」
攻撃を見事に外した僕はゴブリンの突進をもろに受けて倒れる。背中に軽い衝撃が走った。
「いっ……!?」
痛みを堪えながら追撃を試みるゴブリンの腹を蹴り飛ばす。そしてもう一度剣を構え直した。
__________
土の床に大の字になって倒れている少年は息を切らしながら何もない茶色の天井を見つめている。その横には小さな魔石が転がっていた。
「まぁ……初めてにしては良い方ではないでしょうか?恐れずに立ち向かっていましたし」
「そうね。だいぶ危なかっしくて途中かなりヒヤヒヤしちゃったけど」
アリスとイーディスはそれぞれに思った事を口に出し合う。その声は疲労感一杯のリクには届いてはいない。
「まぁ当たり前ですが、戦い方はまるで初心者のそれです。ホームに戻ってから指導した方がよさそうですね」
「毎回あの戦い方をされたら、あたし達の心が持たないもんね〜」
アリスの言葉にイーディスは苦笑しながら頷く。
冒険者はステータス以外にも技や駆け引きが重要になってくる。今はまだそこまで必要なくても、後々下に進んで行くことを考えたら、やはり早くから教えるのが妥当であろう。
「お疲れ様です。リク」
「アリスさん……ゴブリン普通に強かった」
「まぁ現実と物語は違いますからね。英雄譚から得た知識では当てにならないものが多いですよ?」
「うん……偏見しないよう気をつける」
素直に頷くリクをみてアリスは口元を緩める。自分の課題を受け入れ糧にする者は伸びやすい。そういう意味では、この少年の将来は明るいものだった。
「じゃあ回復しよっ!」
「ちょっと待ってください」
「ん?どうしたの?アリス」
紫色の液体を右手に持ってきょとんと首を傾げるイーディスに訝しげな視線を浴びせる。
「この怪我でエリクサーは流石におかしいです」
「だってこれしか持ってきてないんだもん」
そう宣う彼女の腰には手に持っているそれが他に四本備えられていた。これにはアリスも溜め息を漏らす。
「私がポーションを使うのでイーディス殿は早くそれをしまって下さい」
「分かったわよもう……」
不満そうな先輩を横目にパンパンに膨らんだポーチからポーションを一本取り出してリクにかける。それは湯気のようなものを出しながら少年の身体にある擦り傷は修復していった。
「何本あるのそれ?」
「五十本ですが……?」
「アリスって過保護よね」
「イーディス殿にだけは言われたくありません」
「帰りますよ?リク」
「え、まだ入ってからそんなに経ってないんだけど……」
「ホームに帰ったら教えてあげるから、戦い方を覚えてからにしよ?今のままでは危なかしくてお姉さん達心配だわ」
「……うん」
浮かない顔で返事をするリク。イーディスの言っている事が正しいのは頭では理解していても、やはりもう少しここにいたい気持ちがあるのだろう。
「そんな顔しないのっ。また今度行くから、ね?」
「うん。分かった」
リクの言葉を聞いてイーディスは微笑む。後輩の身を案ずる先輩なりの優しい想いであった。
__________
「もっと相手をよく見て!」
剣と剣が激しくぶつかり合う。
どちらも木で作られたものだが、それでも食らえば相応の痛みを伴うだろう。
現在、ホーム……『日没の館』の庭では一人の青年と一人の少年が剣を使った稽古をしている。
正確には黒髪の少年、リクを先輩のユージオが鍛えている真っ最中であった。
「んっ!」
「……甘いよ!!」
「わっ!?」
ユージオはリクの攻撃をいなしてそのまま足に軽く一撃を入れる。
ぐらりと態勢が崩れたリクは転倒して地面に尻をつけ、木剣が右手からころりと転がり落ちた。
「やみくもに振り回しちゃダメだよ? リク」
「はいぃ……」
最初の方はユージオに教わった技を意識しているリクだが、時間が経つにつれて熱が入ってしまい、攻撃が単純なものになってしまう。
「冒険者は基本ステータスで強さが決まるけど、それを覆すのが駆け引きや技なんだ。これがないと格上には勝てない。冒険がしたいなら、ちゃんとこれを出来るようにならなくちゃだね」
「うん……」
「よし。じゃあもう一回やろっか」
「はい。お願いします!」
リクは思い切り地面を蹴ってユージオに剣を撃ち込む。それをユージオは剣先で上手く弾いた。
それからはリクの撃ち込みをユージオがいなしたり弾いたり避けたりの繰り返し。時折、ユージオは的確なアドバイスをリクに投げかけた。
……少しずつ上達してる。リクの動きに成長を感じるユージオ。かなりの飲み込みの速さに思わず彼は微笑を浮かべた。
元々、何故ユージオがリクに稽古をつけているのかというと、その理由は三時間程遡ったある時。
「ユージオお願い! リクに戦闘の基本を教えてあげてくれない?」
部屋で本を読んでいるユージオの前に来て、手を合わせるイーディス。何事かと思い、とりあえず先輩のお願いに耳を傾けた。
「別に僕は構わないですけど、イーディス先輩とアリスが教えるものだとばかり思っていました」
「そのつもりだったんだけど……私達だとリクに甘くなっちゃいそうじゃない?」
自覚あったんだな、と心の中で苦笑するユージオ。
「あはは……なるほど。アリスもそれでいいの?」
「はい……私も恥ずかしながら甘くなってしまう気がするので……」
言葉通り、自信なさ気に俯くアリス。
「そっか。じゃあ早速いってくるよ」
本を閉じて立ち上がったユージオは、そのまま木剣を二本取りにファミリア共用の武器庫へと向かった。
「うん。今日はここまでにしよっか」
息の上がっているリクを見て、ユージオは早めに切り上げる。後輩の成長は早く見たいが、無理をさせて体調が崩れることは避けたかった。
「あんまり……上手くいかない……」
「リクは冒険者の素質、結構あると思うよ? 焦らずやっていこう?」
「……うん。ありがと」
少し照れながらお礼を言う後輩に、先輩はにっこりと笑みを浮かべる。
僕にもこんな時期があったなぁ……なんて、彼は空を見上げながら昔を思い出した。
あの時はアリスと共に団長に教わり、強くなる為にもがいていた。成長の早い同期に置いてかれないように必死になったものだ。
そんな自分が今こうやって誰かに教えている、そう考えると感慨深い気持ちになる。
「夕食の前にお風呂に入っちゃおっか」
「うん!」
過去の自分と後輩の姿を重ねながら、ユージオはリクの手を引いて浴場へと向かった。
__________
「はい! じゃあここに横になりなさい?」
僕はエレに導かれてベッドの上に倒れて背中を差し出した。エレは僕の上に跨り、背中の中央に神血を一滴垂らす。
「どれどれ?……って、すごい! 一日で結構伸びてるのだわ!?」
「ほんと!?」
上から降ってくるエレの声に僕のテンションは上がっていく。今日は結構頑張った自覚があるから、それが結果として表れるのは嬉しいことだ。
「はいこれ。ご覧なさい?」
「うん!」
ーーーーーーーーーーー
【LV.1】
力 :I 0 → I 32
魔力:I 0 → I 0
敏捷:I 0 → I 44
器用:I 0 → I 40
耐久:I 0 → I 28
【魔法】
【スキル】
○英雄兆候(テセウス)
・良成長
・窮地でのステータス高補正
ーーーーーーーーーーー
「これ……すごいの?」
何せ比較対象が無いものだから、これがどれくらいのものかが分からない。魔力は全く伸びてないし。
「合計で100以上伸びてるのよ?凄いに決まってるのだわ!」
エレ曰く、全アビリティ熟練度、上昇値トータル100オーバーはかなり凄いらしい。
もう一度紙を見ると、ふと気になる点が一つ。アビリティによって成長に違いがあるのは何故だろうか。
「魔力が伸びてないのはリクはまだ魔法が発現していないからなのだわ。行いによって結果は変わる。魔法を使ってないのに魔力が伸びるのも可笑しな話でしょう?」
僕の心を読んだかのように説明してくれる女神様。たしかにそう言われると納得できる。
「耐久の伸びがあまり良くないのはそういう意味では嬉しいのだわ。リクがあまり怪我をしなかったってことなのだから」
「でも僕としてはもう少し伸びて欲しかったな」
「いいじゃない。その内伸びるはずよ。……自ら傷つきに行くなんていう馬鹿な真似とかは絶対にしては駄目だからね?」
「うん」
「分かったならいいのだわ!」
エレと少しの間世間話をしたあと、僕は自分の部屋へと戻るのだった。