いつにも増して蝉が喧しく鳴いていた、ある夏の日のことである。
一人、叫ぶ女がいた
「マジで放り出しましたよ! マジで放り出しましたよ!! 助手を、しかも女性を! 一人で! 自分の研究のために放り出しやがりましたよあのクソ教授!!!」
──────二時間前──────
「君にはとある村の調査に行ってもらいた「嫌です」
「何故だ」
「だって前にその言葉にホイホイ従ったらどうなったか覚えてますかー!?」
「ふむ・・・何かあったかな?」
「「・・・何かあったかな?」じゃないですよーう! 遺跡に行くって言われてついて行ったらイ〇ディジョー〇ズ並に罠だらけで! 教授は体力がない癖に好奇心で行動するから最後には私が抱えて逃げたんですよ!?」
「ああ・・・そんなこともあったね」
「そんなこと!? そんなことって言いましたかコノヤロウ!」
「ところで話を戻すが」
「戻すんですか!?」
「調査に行ってもらいたいのはこの村だ」
「えっあの・・・拒否権は?」
「そういえば君は色々と支払いに困っているそうじゃないか」
「えっまぁ、はい・・・」
「今回の依頼は報酬があってな? 具体的にはXX万円くらいなんだが」
「五割ならやります」
「二割だ」
「三割」
「二割五分」
「わっかりましたー!!!」
「では続けるぞ、この村は少し前から奇妙な現象が起きているらしい」
「奇妙な現象・・・ですか。それはどんな?」
「人が変わらないらしい」
「人が変わらない? それって普通の事じゃないんです?」
「性格とか人格とかそういう話をしているんじゃない、数十年前からだ。人が減らず、容姿が変わらず、老いもしないらしい」
「そんな事有る訳無いですよう、きっと気の所為ですって」
「確かに気の所為かもしれない、ちょうど依頼人が世代交代が済んだタイミングで行っただけで実際は普通の村かもしれない。だが、依頼人は我々に調査を依頼してきているんだ、まず調査を行わなければ話にならないだろう。既に報酬も貰っているしな」
「そういう物ですかねぇ」
「そういう物なんだ、そんなわけで調査を頼む」
「はーい、分かりまし・・・待ってください、教授は来ないんですか? 私一人で行くんですか!?」
「当たり前だろう、今が何月だと思ってる」
「八月ですけど」
「そう、八月だな? 外気温は三十度を超えようとしている、こんな暑い時期に、この私が外に出られる訳なかろう、行ってこい」
「えぇー!」
──────現在に戻る──────
「経費って言って色々渡されましたけど・・・もう豪遊してやるぅ!」