──────弥子、夕方、山中──────
鷹吊村の北に位置する白縄山の山中に女が二人、少ししか整備されていないような道を進んでいる。
「麻弥さん麻弥さん」
「何? 弥子ちゃん」
「昨日聞きそびれてたんですけど、この村の神社って何を祀ってたんです?」
「ああ・・・あそこはお稲荷様を祀っていたはずよ? 昔はこの村へのアクセスが悪くて、自給自足をしなくちゃいけなかったから、五穀豊穣を願ってのものでしょうね」
あの狐は私達を救わなかったけれど
でもいまはぼくたちがいる
「お稲荷ですか」
(あれ? でも狐の像置いてなかったような?)
「ええ、ちなみにどうして気になったの?」
「えっと、昨日神社を見た時にお祭りの準備か何かで少ししか回れなかったじゃないですか、だから今日か明日回る時にお祈りでもしとこうかなって」
「お祭りは確かにあるんけれど・・・明日よ? 知り合いが来るんじゃないの?」
「それはそうなんですけど」
「そっちを大切にしても良いのよ?」
「私はどっちも大切なんですよう」
「ふふ、ありがとうね?」
大切って言ってくれた!
「明日がお祭りなら教授も一緒に行けそうですから麻弥さんも行きましょう!」
「あら、いいの?」
一緒に大切になった方がいいわよね
「麻弥さんも悪い人じゃなさそうですし、教授も断らないと思います」
「じゃあお邪魔しちゃおうかな」
「はい! ちなみにさっき言ってた絶景ってあとどれくらいで着くんですか?」
「もうちょっとよ」
先に大切にする?
そうしよう!
案内頑張ってね!
じゅんびおっけー!
──────一時間後、教授──────
彼の乗る車はそろそろ鷹吊村へと到着しようとしていた、そんな車中に異音が響く。
バキンッ
「ん?」
見れば水晶が割れている
「
不意に携帯を取り、どこかへとかける
「・・・アリアか。俺だ」
『あら? あなたからなんて珍しい』
「まずは要件からだ、弥子を探す準備をして欲しい」
『え? どうして?』
「弥子が怪異に出逢っている、どうなるか分からん」
『襲われたら目覚めるかもってことね?』
「そういう事だ。ちなみに、鷹吊村 と聞いて何か思い当たることはあるか?」
『怪異に関することでしょう? 鷹吊村・・・うーん、申し訳無いけど、すぐには力になれそうにないわね』
「調べておいてもらってもいいか?」
『いいわよ、少し時間はかかるけどね』
「そうか、まあ仕方ない」
『狛子ちゃん、そっちに送っておきましょうか?』
「いや、その必要は」
『って、ごめんなさい。今飛び出してったわ』
「はあ? ・・・嘘だと言ってくれ」
『ごめんなさいね?』
「まあその方がいい可能性もある、何かあれば自分で注意するさ」
『こっちでも言っておくわね? 、弥子ちゃんを探す準備は任せて』
「ああ、頼んだ」
(・・・人が不老不死になるのに怪異が関わっていないというのは有り得ない、まずは何の怪異かを特定しなければいけない。が、情報が少な過ぎるな、小物であればどうにかなるかもしれないが、相性というものもある)
(前例のある怪異であれば対策もしやすいが、おそらく新種、しかも人に願われて産まれたであろう物だ、そうでなければ人がここまで利益を享受できる怪異など有り得ない)
(しかし怪異が望まれたままの物になるとは限らない、どころかそうならない可能性の方が高い。利益に対して不利益が多すぎるものばかり・・・つまり不老不死は偽物である可能性も高い。なら─)
「なら、何だ・・・? やはり考察もここまで情報が少ないと限界だな。とりあえず急ぐ事にしよう」