あの頃、僕たちは輝いていた   作:ryanzi

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馬鹿と馬鹿と馬鹿が出会ったら文殊の知恵

世間一般では「異常気象」とされたワルプルギスの夜が神浜市を襲ってからしばらく経った。

神浜市はいくつかの区が甚大な被害を負ったりした。

その瓦礫撤去はなんやかんやで東が責任を負ったりとか色々あった。

だが、ある三人の少年にはそんな事情は関係なかった。

その少年たちはボランティアとして、積極的に瓦礫撤去を手伝った。

一人は神浜市の中央、一人は東、一人は西。

そして、三人とも転生者という共通点があった。

 

「へえ、君たちも転生者だったのか!」

 

笛吹文雄。参京区に住む少年は目を輝かせて言った。

 

「おい、声が大き・・・ここお前の家だからいいのか」

 

少し粗暴そうな少年、心根光種は工匠区出身だ。

 

「まあ、あまり大きな声で言うのは確かにやめといたほうがいい」

 

知的なオーラを放っている少年、碑石健康は水名区の住人。

だが、本人にもわからない事情で今は新西区の病院に入院している。

西に住んでいる者にしては珍しく、東の人間に悪いイメージを持ってない。

転生者だから当たり前なのだが。

 

「そうだぞ、笛吹。まあ、俺たち三人とも十四歳だから中二病扱いで済むかもな」

 

「この精神年齢で中二病か・・・確かに嫌だね」

 

「やめてくれ、私の心はもうボロボロだ」

 

三人とも、転生者なので身体年齢よりも、精神年齢が高いのだ。

 

「これ以上は私の精神がどうかなる。話を変えよう。

二人とも、能力は何なんだい?

私は戦闘向きじゃない。歴史の勉強に全てを注ぎ込める。

そんなくだらない能力だな」

 

「くだらなくはねえよ。実際、ゲートオブなんちゃらよりだいぶ役に立つと思うぞ。

学者になれるじゃねか。食いはぐれないぞ。俺の能力は・・・E.G.Oの発現だな」

 

心根はどこからか「何もない」の剣を出した。

 

「E.G.O!僕、ロボトミが大好きなんですよ!」

 

笛吹はさらに目を輝かせた。

 

「まあ、実況見てただけなんだけどな。

それに、現代日本だと銃刀法違反じゃねえか。

それで、笛吹の能力はなんだよ?」

 

そう聞かれた笛吹はSFでよく見る、宙に浮かぶ画面を出現させた。

 

「僕の能力は”ハーメルン”といいます。

簡単に言えば・・・マックスウェルの不思議なノートですね」

 

彼は画面にハンバーガーと打ち込み、次話投稿をクリックした。

すると、机の上にハンバーガーが現れた。

 

「おいおい、こりゃすげえじゃねえか!しかも、うまい!」

 

いつの間にか心根はハンバーガーを頬張っていた。

 

「これ最強クラスの能力じゃないか!?。

ハーメルンってあれだろ?小説投稿サイトの。

私も見たことはあるんだが・・・」

 

「ええ、そのハーメルンです。前世で投稿していたこともあります。

まあ、あまり文才がなくて、少しも見向きもされませんでしたが」

 

「でもよお、文章じゃなくても単語打ち込むだけでいいんだろ?

だったら、それで原作介入すりゃいいじゃねえか」

 

「逆に、心根さんはどうして原作介入しなかったんですか?」

 

笛吹の笑いには、いくつもの意味が込められていた。

 

「・・・まず、怖いという理由だな。マギレコの動画見たことあるんだろ?

E.G.Oはただ強いというだけだ。さすがに一斉砲撃には立ち向かうなんて無理だ。

それに、その・・・人間関係がどうかなりそうだったからな」

 

魔法少女の能力はキュゥべえからもらったという経緯がある。

しかし、転生者の能力の経緯は、とてもじゃないが説明できない。

神様からもらったといったら、変人扱いだ。

信じてもらえたとしても、不信感は残るだろう。

 

「だから、俺は読心対策も神様に施してもらった。

これで、十七夜から怪しまれることもない。

幼馴染のみたまには・・・まあ、知らないままでいてもらうしかない」

 

「僕もですよ。さすがに、かこさんには口が裂けてもいえません」

 

「私は・・・よく考えたら別に意味ないな」

 

「では、もう一つ質問です。ワルプルギスの夜が来た時、どこにいましたか?

僕はもちろん、数日前には市外に逃げていましたよ」

 

「俺も二木市に逃げてたな」

 

「私は長野県にたまたま旅行に行っていた」

 

「ほら、こういうことですよ」

 

ワルプルギスの夜はあまりに強すぎるのだ。

転生者が勝てる保証などないのだ。だから、逃げるしかない。

もし勝ったとしても、魔法少女に見られるのは避けようがない。

どちらにせよ、ワルプルギス戦は不可能だ。

 

「結局、僕はどこに行っても、何かを成し遂げることはできなかった。

ハーメルンでも、この世界でも、何も残すことはできないかった。

というより、そもそも男が出る幕なんてないんですから、この世界」

 

重い空気が漂った。

 

「・・・それでいいのかよ」

 

「・・・ぶっちゃけて言うと、不満ですね。

でも、下手に原作介入したら結果が悪くなるかもしれない。

それに、介入したところで、キュゥべえには勝てない。

相手は宇宙を維持するような文明ですからね。

第二部の展開はある意味、キュゥべえ次第ともいえますから。

そもそも、僕たちは第二部の展開自体をまだ知らない。

制作陣が狂って、世界崩壊全部チャラにするかもしれないんですよ?

それだと、僕たちには本当にどうしようもない。全てなくなるんですから」

 

「別に原作介入する必要はないだろ。転生者だから原作介入?クソくらえだ。

ただ、生きた証を残せればいい。

数年前に死んだじいちゃんが言ってたけどな、人間何か一つは残せって。

この世界はいつ滅ぶかわからない?

だったら、俺たちがいた証拠を残せばいい。

歴史とか、文化とか、とにかく何か一つを残すんだ」

 

「なるほど、それは私の得意分野だ」

 

「ボイジャーでも飛ばすんですか?でも、そんなの一般人にでき・・・あっ」

 

「ほら、さっそくお前の能力が役に立つぞ。お前はどんなものでも出せるんだ。

どうにかして、俺たちの生きた証拠を宇宙に飛ばそう。

もちろん見つかる可能性は低いし、無駄に終わるかもな」

 

「・・・でも、これで一生を無為に過ごす必要はなくなりましたね」

 

「ありがとう、心根くん。私の能力が役に立つ時が来たようだ」

 

「よし、俺たち男も魔法少女に負けないようなことをやれると証明しようぜ!」

 

彼らは円陣を組んだ。

 

「「「おー!」」」

 

この三人のやろうとしていることは、あまりにも馬鹿らしいだろう。

まったくもって物語に関係しないうえに、マギレコのテーマにも合っていない。

マギレコは魔法少女が百合百合する話であって、男子三人が何かする話ではない。

だが、そんなことは三人にはどうでもよかった。そもそも、わかっていなかった。

なぜなら、三人とも馬鹿だったからだ。男子は皆馬鹿なのだ。

たとえ何歳でも、知識がどれほどあっても、馬鹿なのだ。

そのころ、三人の転生を担当していた神様は胃薬を十錠くらい頬張った。

 

「関係ないことしないでくれるかな・・・」

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