心根と氷河は戦慄した。
碑石はLibraryOfRuinaを知らなかった。
「お、おい、笛吹・・・お前が使ってるのって・・・」
「安心してください、ハーメルンだったら本人の生死関係ないので」
「そ、そうだったな・・・ふう、安心したよ」
「心根くん、私には何が何だかわからないんだが」
「知らなくてもいいさ。プロムンのゲームだし」
笛吹の服装は病衣に戻っていた。
「そういうわけで、こういうことも可能なんですよ」
彼が指を鳴らした瞬間、氷河の立っている場所に数多くのイワシが生えてきた。
氷河は飛行魔法で上に逃げたが、今度は空から建ったビルに突き刺さりそうになった。
それをすれすれのところで避けると、今度は異臭を放つ穴に落ちそうになった。
「笛吹くん、これマズいんじゃないかい?色々と」
「別に転生したんだから関係ないですよ」
空に浮かぶ月は満ちも欠けもしていなかった。
「・・・ははは!さすがだよ、笛吹くん!
能力をここまで最大限に活用できるだなんて!
それじゃあ、ボクも同じ手で・・・」
「心根さん、氷河くんの邪魔を邪魔をしてください」
「オーライ」
魔法の弾丸が何十発も放たれる。
「くっ、邪魔すんな!」
「邪魔するに決まってるじゃないですか、二人とも?」
「ああ、そうだね」
「俺だって同じことするさ」
「この卑怯者!」
「神浜市を吹き飛ばそうとする氷河くんに僕を非難する資格はありません!」
笛吹は赤い霧の格好に変身して、天国を投げつけた。
「殺す気か!?」
「ええ、かこさんの笑顔を守るためにも!」
氷河はまたバリアを展開した。
「・・・はあ、笛吹くん。冷静に考えるんだ。
ボクが神浜市を吹き飛ばしたところで、ボクが復興させてあげるんだ。
その時に、夏目書房も復活するだろう。ここで戦うこと自体、無意味なんだよ」
「氷河くんはそれほど死にたいんですね???
以前、夏目書房が燃えたときに、かこさんがどれほど辛かったと思うんですか???
僕はもう見て見ぬふりなんてしたくないんですよ。
逆に聞きますがね、氷河くんは上手く神浜市を治めてきたじゃないですか。
ゲーム感覚で簡単に済むんだったら、本当に吹き飛ばす必要なんてあるんですか????
もしかして、いじめっ子に対する復讐も兼ねてるんですか??僕がやったっていうのに?」
「なるほど、道理であいつらが廃人になっているわけだよ!
・・・ボクがツグミの家の出身だということは知っているよね?
このはさんたちがボクに対してお仕置きをしようとしているんだよ。
もし、ここで負けたら・・・」
その時、地上の方からこのはの大声が聞こえた。
「氷河くん!さっさと降参しなさい!」
次に葉月の声。
「今ならまだ罪は軽いよ!アタシもそこまで怒ってないし!」
最後に、あやめの声。
「笛吹先輩!頑張ってください!」
笛吹は溜息をついた。
「負けられないのは僕だって同じですよ。
かこさんを睡眠薬で眠らせて脱走したうえに、負けて、
そして神浜市が吹き飛んで夏目書房もなくなってしまう・・・。
それ、いくらかこさんでも本当に許してくれると思いますか?
OHANASHIの対象はおそらく氷河くんにも拡大しますよ?」
「あっ、笛吹くんの後ろに般若の表情のかこさんが」
「ヒエッ・・・」
だが、氷河はその隙をついてバインドで笛吹を拘束した。
そして、そのまま氷河のところまで引きずられた。
もちろん、かこは来てなどいなかった。
「卑怯者!」
「ボクだって負けれないんだ・・・!
碑石くん、心根くん!笛吹くんを殺されたくなかったら・・・」
しかし、氷河の企みは失敗することになる。
さっきと同じようなバイクの爆音が聞こえてきた。
「・・・この音は、まさか・・・」
碑石の予想は当たっていた。
さっきの仮面ライダーが戻ってきたのだ。
しかも、笛吹たちの仲間を乗せて。
「笛えもん、来てやったぞ!」
「・・・タルト様、どうかご加護を!」
「ウォールナッツは吹き飛ばさせません!」
「まさか神浜市に危機が迫っていたとは・・・柱として不甲斐なし!」
「俺、一般人なんだけどね・・・あっ、引きずってた〔R-18〕姉ちゃんが落ちた」
さらに、屋上のドアが吹き飛ばされる。
「心根くん、ウチらも加勢するよ!」
「うう・・・仕方ないでございます!」
さらに地上の方から声がまた響いた。
「光お兄ちゃん!頑張ってー!」
「理子みたいなカワイイ子の応援があるんだから、勝ってよね!」
「いたた・・・無花果さん、沖田さんは別の方法で戦いますね!」
なんやかんやで、再び氷河はバイクに吹っ飛ばされた。
「ぐっ・・・人数が増えたところで・・・」
「「笛花共鳴」」
氷河の頭の中に音が響き、彼は身動きが取れなくなった。
魔力量では遥かに劣る魔法少女に、彼はしてやられたのだ。
そして、解放された笛吹は服装を親指構成員のものに変えていた。
「・・・これでおしまいです、氷河くん」
「・・・ははは、確かにボクの負けだ。
こんな人数差だと、もはやいじめの領域だ。
でもね、神浜を吹き飛ばすのにボクという存在は必要ないんだよ。
機械を操作するのは、誰だって構わないんだから。
みかげが市長室にいるし、そこには誰も入れないようにしている」
そして、先に限界が来たのは笛吹の方だった。
彼は激しく血を吐き出した。とっくに彼は限界だったのだ。
数日前に斬られ、今日は鉄柱が腹部に刺さり、そして激しく体力を消費した。
「はは・・・ははは!ボクの勝利だ!」
「うるせえ、ぶっ殺すぞ。ふーくんを殺そうとしやがって」
「アアアアアッ!」
突然現れたかごめに、彼は股間を蹴られた。
子孫終了のお知らせにはならないレベルの蹴りだったが。
その頃、沖田総司はエレベーターに何とか入ろうとしていた。
「むぅ、動きませんね」
そんな彼女の前に、スクリーンが現れる。
「無駄だよー!電気は切ってあるんだから!
そういうわけで、ミィはエネルギーが溜まるまで宿題のドリルをしているの!」
「学校が吹き飛ぶのに?」
「どうせ市長がすぐに学校も復興してくれるから!」
「そうですかー。偉いですね!じゃあ、沖田さんもドリルをやりますかね!」
そう言って、彼女はテキストの方でなく、金属で先端が尖った方のドリルを取り出した。
「じゃあ、ドリルをしながら良い子で待っていてくださいね!
沖田さんもドリルをしながらそっちに向かうので!」
「えっ」
しかし、市役所にも限界は来ていた。
転生者が本気で戦っていたからだ。
基盤がドリルで壊されたことにより、市役所の崩壊が決定した。
股間を蹴られながらも、なんとか態勢を立て直した氷河は飛行魔法で脱出した。
振り向くと、市役所は大きな音を立てながら崩壊していた。
「ははは・・・さようなら、笛吹くんたち。
君たちのことは永遠に忘れないよ。
さて、宝崎市にでも逃げるとするか・・・」
その時、雷の鳴り響くような音が氷河に近づいてきた。
氷河はそれを見て、必死にスピードを出したが、相手は光の速度だった。
「我流雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃」
一瞬のうちに、氷河はおもちゃの剣に叩かれた。
「峰打ちですよ・・・俺たちの勝ちですね」
意識が途切れる残り数秒の間、氷河はそれが誰なのかを必死に思い出そうとした。
名前は思い出せなかった。しかし、その「キャラクター」の存在は思い出した。
水波レナの弟だ。原作だったら、名前も容姿もないような存在だ。
この少年が煉獄から全集中の呼吸を教えてもらっていたのは知っていた。
しかし、自分で雷の呼吸も編み出せるくらいに応用できていたのは知らなかったのだ。
オーバーSSSSSの魔導士である氷河を倒したのは、魔法少女でも転生者でもなかった。
ただのモブだった。ただ、別作品のキャラクターに強化されただけのモブだった。