日本国召喚 架空国家参戦(仮)   作:滅茶苦茶太郎/無茶苦茶太郎

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作者の滅茶苦茶太郎です。

かなり更新が遅れてしまい申し訳ありません。
身の回りで色々なことがあり、執筆が遅れてしまいました。


第25話

グラ・バルカス海軍 連合艦隊 第6艦隊

 

「畜生!どうなってやがるんだ!」

空を見合上げていたある空母の艦長が叫ぶ。青い空には黒い雲が浮いており、それがパイロットたちの墓標となっていた。

各空母から直掩機が上がるとすぐに謎の攻撃で撃ち落とされる。もちろんF-15Eが放ったミサイルが命中しているだけに過ぎないが、ミサイルの事を知らない彼らにとっては不可解かつ恐怖でしかなかった。

「司令、パイロットたちが出撃を拒否しています!どうしますか?」

「ううむ、しょうがない。……出撃を中止せよ」

戦艦エンケラドゥスの司令塔内に衝撃が走る。その報告を受けた艦隊司令官は今までの報告から出撃を中止する事を決定した。

継続的に続く謎の攻撃によって、ついにはパイロットが出撃をためらうようになっていた。本来ならばあってはならないが、敵の姿も見えない中で一方的に攻撃され無駄な被害の一つにはなりたくなかったのだ。

「航空攻撃は不可能か……。こうなれば艦隊決戦で決着をつけるしかないな。全艦、針路を維持したままにせよ」

「了解、全艦に通達します」

謎の攻撃によって航空機による攻撃が完封された状況下の今、第6艦隊に敵の艦隊を攻撃するには艦隊決戦以外の選択肢は残されていなかった。本来ならば過去の物となっていた艦隊決戦で決着をつける事に若干の不安があったものの、他に選択肢が無い以上は仕方ないだろう。

命令を下した艦隊司令官は椅子に座り腕を組む。彼はどう敵と艦隊決戦を始めるかばかりを考えていた為に致命的な失敗を犯す事となった。

 

 

紺碧の海上に複数のミサイルが低空飛行していた。音よりも少しばかり遅い速度で飛翔するそれはグラ・バルカス帝国製のレーダーに捕捉されることなく艦隊の方へと接近していく。

だが、そのミサイルの接近に気づいた見張り員はいなかった。なぜならば多くの見張り員が直掩機が撃墜された高空に意識が向いており、低空から接近しているミサイルに気づかなかったのだ。

やがてミサイルと軍艦との距離がほんの少しになった時に何人かの見張り員がミサイルの存在に気がづいた。しかし彼らがミサイルに気づいて報告を上げる頃にはもうすでにミサイルは急降下して軍艦へと突入しているのであった。

耳をつんざくような轟音と共にいくつもの軍艦が次々と爆発していく。爆発によって生じた爆風は船体を引き裂き、炎は乗組員たちを飲み込んで焼き尽くしていく。

彼らにとって唐突に発生した事態に多くの水兵たちが混乱する。急な事態に対処できず複数の軍艦が爆発を続けたが、攻撃が一旦止んでいる間に彼らは低空から飛んでくるミサイルを見つけて迎撃を開始した。

「艦長、10時の方角の低空から複数の飛翔体が接近中!」

「いかん、直ちに迎撃せよ!」

戦艦エンケラドゥスは艦長の命令に従い甲板上に設置されている多数の対空砲座が発砲する。射撃管制用レーダーがミサイルを捕捉できなかったために手動で照準を合わせて発砲するものの、彼らの常識を超えた高速で飛んでいるミサイルには一切命中しない。

エンケラドゥスの艦橋から多数の曳光弾が多数打ち上げられる光景と多数の船が燃える光景が見える。対空砲火をくぐり抜けたミサイルは次々にターゲットとして設定された軍艦へと命中していく。

「再び10時の方角の低空から飛翔体が接近中!こちらにも来ます!」

艦橋内が凍り付く。一瞬で駆逐艦を撃沈するほどの高威力な攻撃が自分たちの方向へと向かってきていることに全員が恐怖のどん底に落とされた。

「面舵一杯、最大戦速!対空砲は何としても撃ち落とせ!」

エンケラドゥスの艦長か叫ぶ。たとえ一撃でも命中すれば甚大な被害が出るだろう。

航海長が操舵輪を右に大きく回したために船が大きく右に傾く。少しでも当たる可能性を下げるために舵を切ったが、攻撃を避けることはできなかった。

「飛翔体2発が命中します」

「まずい、総員衝撃に備えろ!」

とても大きな振動がエンケラドゥスを2回ほど揺らす。巨大な戦艦の甲板上は爆発に包まれて多数の対空砲座が破壊されていく。

「被弾しました!」

「畜生!当たったか!」

艦長は歯を食いしばる。そんな中、あることに気づいた副長が叫んだ。

「艦長、右舷に駆逐艦がいます!このままでは衝突してしまいます!」

全員が驚いて右舷に視線を向ける。そこには攻撃を回避しようと左に舵を切った1隻の駆逐艦が居るのが見えた。それに気づいた全員が顔を青くする。

「しまった!速度落とせ、取り舵一杯!」

艦長が避けるように指示を出す。その命令に従い航海長が今度は左に大きく舵を切り、機関長は速度を最大まで下げようとする。

しかし巨大な質量を持つエンケラドゥスはすぐには動かなかった。慣性にしたがってエンケラドゥスは殆ど減速せず真っすぐ進み続け、エンケラドゥスに気づいて回避行動をとろうとしている駆逐艦の元へと進み続ける。

「面舵一杯!エンケラドゥスを避けろ!」

「うああああ!来るぞおおおお!」

駆逐艦の艦橋内は迫りくるエンケラドゥスに全員が戦慄する。誰もが一刻も早く船が旋回してくれることを望んでいたが、彼らの期待とは裏腹にゆっくりとしか動かない。やがて駆逐艦と戦艦が衝突することが確実な状況になる。

「艦長、エンケラドゥスと衝突します!」

「クソッ、甲板上にいる乗組員は船内に避難しろ!総員衝撃に備えろ!」

灰色の巨大な壁のような戦艦との衝突が不可能になったことに艦内は悲鳴が上がる。やがて駆逐艦は戦艦の進路上に飛び出してしまった。

そして遂に二隻は互いに衝突した。

「うあああああ!!!」

金属が軋む音とともに駆逐艦は大きく揺れる。彼らが経験したどんな台風をも超える巨大な揺れに全員が転倒し、運悪くエンケラドゥスの艦首と衝突した区画にいた乗組員は圧倒的な質量に悲鳴を上げる間もなく押しつぶされていく。

一方のエンケラドゥスの方にも先ほどの攻撃を受けたときよりも強い衝撃が加わった。エンケラドゥスは駆逐艦の横腹にぶち当たり、剣のような垂直な艦首は駆逐艦を一瞬で真っ二つに切り裂く。

「あっ……」

駆逐艦を二つに切断した次の瞬間、駆逐艦が大爆発した。甲板上に設置された魚雷が原因で起きた爆発はエンケラドゥスの艦首を完全に破壊し、艦橋の窓ガラスを木っ端みじんに粉砕した。

「うがあああぁぁ!目があああぁぁ!」

運悪く窓ガラスを顔面に浴びた誰かの悲鳴が艦橋内に響く。地獄からの断末魔のような叫びに全員が顔をしかめている中、艦長は心の中で謝罪した。

「(すまない……。私が間違った指示を出さなければこうならなかっただろう……)」

衝突した駆逐艦の全乗組員に謝罪を済ませた直後、再び爆発が起きる。今度は破断した船体から流れ込んだ海水がボイラーと接触したことによって起こった水蒸気爆発であった。

「うおおおおっ!?」

完全な不意打ちとなった一撃に全員が悲鳴を上げる。更にそれに追い打ちをかけるような攻撃が彼らへと襲い掛かろうとした。

「飛翔体来ます!」

「なんだと!?」

混乱している艦隊に次々にミサイルが降り注いで軍艦を沈めていく。それはエンケラドゥスも同様であり、複数のミサイルが急降下して命中していく。

度重なる轟音。やがてエンケラドゥスの甲板上は火の海と化し、衝突後の爆発の際に発生した船体の巨大な破孔から海水が流入してくる。やがて度重なる攻撃にさらされたエンケラドゥスは多数の乗組員と共に海へと沈んでいった。




いかがでしたでしょうか?

遅れてしまった分、少し多めに書きましたがいかがでしたでしょうか?
それとですが、これからコメント返しを再開していきたいと思います。

誤字報告を行ってくださりました
オンギョウキ 様
この場を借りてお礼申し上げます。

リーム艦隊と交戦するのは誰が良いか

  • オリジナル国家の艦隊
  • 生き残ったパーパルディアの艦隊
  • 現代兵器で武装したパーパルディアの艦隊

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