2度目の人生は投げ出さない!〜逃げ癖のある男、立ち向かう〜   作:二ツ井 五時

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二ツ井でーす。
初めましての方は初めまして。
この度こんなお話を書いてみました。
受けるかどうかは分かりませんが頑張って書きます。
異世界転生で在り来りかと思いますが、それでも面白く書けるよう頑張ってみます。
では、1話です。


第1話 後悔ばかりの人生でした。

───後悔ばかりの人生だった。

何をしても途中で投げ出して、失敗すれば逃げて。

思えば最低の人間だったと思う。

ただ弁が立つから他人の信用をそこまで損ねない。

自分を真面目に見せるのが上手かった。

お陰で年上からはよく可愛がられた。

年下からは尊敬された。

同年代からは軽蔑と嫉妬の視線を受けた。

 

「大したことやってないのに」

「なんでアイツが」

 

結局その生き方を変えようと思った頃には、もう周りの自分に対する評価は固まっていた。

 

「口だけ達者な詐欺野郎」

 

ああ、気付くのが遅かった。

自分の傲慢に気付いた時にはもうその生き方を曲げられなかった。

癖になっていたのだ、人を言いくるめるのが。

逃げる事が楽でずっとそうしてきていたから。

 

───後悔ばかりの人生だった。

 

自分がやれる人間であるかそうでないかの判断が遅かった。

今こうして一生を終えようとしている今でもずっと後悔し続けている。

やり残したことなんか山ほどある。

もっと親の言うことを聞いていればよかった。

もっと努力していれば良かった。

周りに流されず、自分の意思で生きていけばよかった。

いじめや誹謗中傷に屈せず、正しい事をしていればよかった。

間違いを素直に認めて直していればよかった。

どれほど思ってももう遅い。

何もかも手遅れ。

今にも自分の生命の火が消えようとしている。

彼女も作れず、親孝行もしようと思った時にはもういなかった。

ずるずる、自分を律することが出来ずダメな方へと流されて。

挙句の果てには死の間際に後悔ばかり。

 

「……はっ、は」

 

喉から乾いた笑いが漏れる。

もはや声を出すことも億劫だ。

ああ、せめて。

やり直せるのならば。

もう一度だけでいい、輪廻があるならそれから外れてもいい。

もう逃げ出さない。

もう諦めない。

そんな風に言って相手を信用させてきた言葉には重みが無いだろうけど。

今度こそ、どうか。

こんなどうしようもない自分に機会をくれるのなら。

 

(後悔のない人生を、送らせて欲しい)

 

意識が、暗転した。

 

瞬間雪崩込む、渦、濁流。

そのあまりに強い流れに四肢がちぎれ、持っていかれそうになる。

言葉、音、味、感触、様々な経験がとめどなく流れていく。

これが走馬灯と言うやつだろうか、それにしては中々にアグレッシブな走馬灯に思える。

そうではないとすれば、きっとこれは記憶の奔流なのだろう。

自分が今まで体験したこと、見聞きしたこと。

ありとあらゆる情報の渦。

ああでも、その情報を今死ぬ直前に体感しているのであればこれは走馬灯なんだろう。

思っていたよりも多くのことを経験してきたなと、その強い力に身を任せながら他人事のように思った。

流れ、流され、流れ着いて。

その果てに暗黒の中に1人取り残される。

ようやく死が訪れた、そう思った矢先に暗闇に光が迸る。

そのあまりに強い光に目を細め、周りが眩い白に包まれる。

気がついた時には─────

 

「ふぇぇ!ふぇぇ!ふぇぇ!」

 

そんな間抜けな声を上げながら泣く俺がいた。

体が思うように動かない。

感情のセーブも効かない。

視界はぼやけ、辛うじて誰かが居る、ということくらいしか分からない。

 

(なんだこれは?!何が起こった?!)

 

自分はさっき死んだはずだ、なのにこうして息をしている、声を上げている。

その事実に頭がついて行ってない。

 

「■■■■■!■■■■!」

「■■、■■■■■■■■■■■■■」

 

誰かが何かを話している。だけどその発音は今まで聞いたことが無い発音で、何を言っているか分からない。

声の高さからして男性と女性が居るのだろうか?

喜んでいるのは声音で何となくわかった。

英語ともフランス語とも取れない、日本語とは程遠いその言語から何とか情報を得ようと耳を済ませる。

しかし、集中しようとしても自分の高ぶる感情が制御出来ず泣き叫ぶことしか出来ない。

やがて、俺は泣き疲れたのか強烈な睡魔が襲い来る。

抗いようのないその強烈な眠気に身を委ね、目を閉じる。

 

(夢オチ…とかじゃないといいんだが)

 

少し感じたその可能性が現実ならいいのにと願いながら、2度目の意識の暗転。

1度目の暗転にはなかった、心地よい温かさが身を包む。

久しぶりにいい夢を見れそうに思えた。

 

────────────────

 

「ふぅ、良かった。ギリギリ捕まった」

 

背もたれに腰掛け、モニターを見つめる。

良かった、なんとかこちらの世界に引き込めた。

あっちこっちで引き込むもんだからこっちの世界に呼びたくても、呼ぼうと思った時にはもう別の世界に〜なんてことはざらにある。

今回は運が良かった、正直出待ちしてしまったのはあるけど。

 

「これも世界のためだ、しょうがない」

 

モニターに移るのはこの世界に送った人間の情報。

今までどんな風に生きてきたのか、どんな功績を挙げたのか。

そんな事が沢山書かれている。

 

「うーん、口が達者で逃げ癖あり、能力値は低め、か」

 

背に腹はかえられぬとは言えこれはあまりにも…新しく引き込むのもありか。

まだ彼を引き込んで時間も経ってない、やり直すなら今だ。

そう思い彼の情報を閉じようとした時に、ふと最後の文に目が止まる。

 

『逃げたくない』

 

それを見て溜息をつく。

つくづく自分が甘い事を知る。

 

「ここに書かれてるって事はそれなりに強い気持ちで思ったんだろうね。しかも死ぬ数秒前だし。未練だよなぁ…はぁ」

 

彼の情報を閉じるのを辞め、改めて別のモニターにその情報を映し出す。

膝を抱えてワーキングチェアに座り直し、くるくると回りながら頬をぱちぱちと両手で軽く叩いた。

 

「よし、わかった。賭けてみようじゃん。君がこの世界で、逃げずに立ち向かえるか、見届けてあげるよ」

 

画面に写るのは赤ん坊の彼。

泣き疲れたのか眠ってしまっていた。

 

「さあ、どんな方法でもいい。世界を救っておくれよ、転生者くん」

 

画面を見つめる彼の顔は、楽しげに笑っていた。




いかがでしたでしょうか。
かなり物語はスローペースで書けたらいいなと思ってます。
自分、展開を急ぎ過ぎる所がありますので…
よろしければお気に入り登録してってください。
してくれるとモチベになりますので〜
では、まだどこかで。
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