2度目の人生は投げ出さない!〜逃げ癖のある男、立ち向かう〜 作:二ツ井 五時
このあとの展開を少し考えながら書いたのでちょい遅くなりました。
ではどうぞー
おめでとう、アイルは2歳になった!
という訳でこの世界に生まれて2年が経った。
そして、ついに。
「しゃべれるー!」
まだ舌っ足らずなところは抜けないがなんとか意思疎通ができるくらいには口が回るようになった。
そしてこの2年間様々なことを聞いて考えていくうちに色々と気づいたことがある。
まず1つ目、この世界、というかこの国には身分制度があるっぽいということ。
平民がどうのとか領主様がどうのとかが聞こえてきたから確定だ。
そして今まで住んできて街並みを見てみるとここは農村って言うよりかは街に近い。
だから町民か奴隷か。
これはまた予測になってしまうが奴隷と呼ぶよりも明らかに上等な服を着ている母を見れば多分平民、町民なんじゃないかと思う。
これは後で聞いてみよう。
ちなみにこの街の名前は『フィズマ』と言うようだ。
この世界の言葉で【金鉱】を意味してるらしい。
そこら辺についてはまた後で。
そんなことよりも、なんとこの世界。
魔法がある。
そう確信したのはフィア母さんがランプに火を灯す時に、当たり前のように指から火種を出して付けていたから。
もう見つけた時は頭の中パーティしていてもう大変だった。
念願の魔法である。
魔力云々や通りがどうのとかきっとあるはずだが間違いなくそれは魔法だった。
歓喜に舞い踊った2歳の夏。
そしてこの世界にもどうやら四季があるらしく、父や母がもうすぐ秋かなどと話していたのを耳にした。
そして俺の誕生日は冬の話が出て春の話が出る前に誕生日を祝ってもらっているので、冬生まれなのだろう。
で、今夏だから今年でこの世界に生まれてもうすぐ3年目になるということだ。
ようやく日付感覚が身についてきた。
とりあえずこの2年で自分の家族関係以外でわかったことを纏めると、
・この国には身分制度がある。
・独自の言語体系がある。
・今自分が住んでいる街の名前は「フィズマ」。
・この世界には四季がある。
・この世界には魔法がある。
この5つが目立った収穫である。
2歳にしては頑張ったのではないだろうか。
さて、2歳になった俺が今何をやっているかと言うと…
「んしょ、んしょ…」
「イル〜頑張れー」
頑張って長い距離歩いてます。
運動をしているのだ。
この世界はおよそ中世くらいの発展度だとすると紙と言うのはかなり貴重で、俺ら平民にはまず回ってこない代物である。
だから勉強をするには教会に行って教わるしかない。
しかし、教わるにはまだまだ幼すぎるので何をするかと言うとこんな風に運動するしかないのである。
娯楽が無いのは都合がいいとは言ったが、流石に本が無いのは少々キツい。読み書きを早めに覚えたかったのだが…
嘆いていてもしょうがないのでてくてく歩いていく。
そうこうしてるうちに夕方になり、そろそろ夕飯の支度の時間だ。
そしてこの時間になってくると帰ってくる。
「ただいま、フィア。イル!いい子にしてたかぁ〜?」
「おかーり!ぱぱ!」
短い髪を上にあげ、筋骨隆々の肉体を持つ我が父、マッガロイ父さん。周囲の人たちは親しみを込めてガロ、と呼んでいることが多い。
マッガロイ父さんは荷物を片付けると、水に濡らした布でざっと体を拭いていく。
「ぱぱ、おしごとがんばった」
「おうよ!今日も家族のために頑張ってきたぞー!かぁー!イルは可愛いなぁ!」
父はこの街の名前にもなっているフィズマ、金鉱で働いている。
朝早くに出かけて、ほぼ一日中そこで金を掘り、夕方から夜にかけて帰ってくる。
そういう生活をしていた。
反応が多少親バカのように見えるのも仕方ないだろう、休みなんてないし、スキンシップの時間が短いのだから。
そして父はこの街の鉱山で働く労働者達の組合の幹部でもある。
平民の中でもある程度の権力がある人なのだ。
だから俺はそんな幹部の息子、となる訳だが、所詮平民だ。
威張ったところで「で?」となるのがオチだから絶対にそんな威張り方はしない。
「ガロ、金鉱の方はどう?」
「んーそうだな、今のところはまだ大丈夫そうだ。出てくる量は安定してる。向こう20年は持つだろ」
「それでも20年なのね…」
「まあな、取ってる以上、必ず金は底を尽きる。その後領主サマがどうするかは領主サマ次第ってこったな…少なくとも、馬鹿ではねぇとは思うが」
少々家の中の空気が悪くなる。話を聞けば確かにそうだ、としか言えない。
物事に限りの無いものは存在しない。
いつかは限界というものが来る。その時どう動くかが大事なんだ。
でも今の俺にはどうする事も出来ない。
精々来るべき時に備え、やれることをやるしかない。
とりあえず今やらなきゃ行けないことは
「ぱーぱ!すきー!」
そんなふうに抱きついて家の空気を明るくするのが子供の仕事だろう。
親孝行すると決めたのだ、息苦しい空気のまま生活して欲しくはない。
俺の笑顔が効いたのか、父さんも母さんもにこやかに笑う。
そうだ、そんな優しい笑顔の方が似合うよ父さん、母さん。
(大きくなったら、なんとかしたいな)
具体的にどうするかは決めてないけど。
将来やりたい事は決まった。
まず目下の目標は、
両親が安定した収入を手に入れられるようにしよう。
それが最初の親孝行だ。
いかがでしたでしょうか。
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では、またどこかで〜