【リレー】今日もカオスなもんじゃ焼き   作:リレー小説実行委員会

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幕間・忍び寄る非日常 (砂原石像 作)

 

 

 

「「「「○ん○んぶらぶらソーセージ ○ん○んぶらぶらソーセージ……」」」」

 

「そうよッ! もっとッ! もっとッ! ワテクシを崇め奉りなさぁい!!」

 

 

 ここは原宿・竹下通りの下位互換みたいな場所と地元民に愛されている「ヤングストリート」。

 普段は平和なこの場所にて、下品な言葉をつぶやきながら踊る群衆という、カルト団体も真っ青なカオスが展開されていた。

 

 その中心にいる教祖たる人物は、海外トップモデルもかくやというその肢体を惜しげもなく披露し、股の間にはビッグなフランクフルトを挟み、光をまといながら高らかに笑っていた。

 顔にはマスクをしているが、焼け石に水である。

 顔を隠すほどの分別があるのならもっとほかのところを隠せ。

 

 光をまとう女に誘われて踊る群衆は、見る人が見れば「虫のようだ」と言う感想さえ出てきたかもしれない。

 

 

 人々を誘蛾灯に惑わされる虫畜生に堕すその術は、彼女が日常からかけ離れた存在であるということの証明であった。

 

 

 

 

 混沌極まる光景を離れたところから見ていた侍は軽いめまいを起こしていた。

 

「えっ……。拙者こんなやつと話さなければならんの……? 

 こんな頭おかしい奴と話したら、拙者も下品な言葉話すだけのゾンビになってしまうのでは? 

 ゾンビは肉を食う。ソーセージもまた肉であるなら、これはゾンビとしては自然な光景……?

 いやいや、せっかく職を求めてさまようゾンビから主君に使える侍に戻れたのに、今度は食を求めてさまようゾンビになるとか御免被るでござる。

 ち〇こと刀どちらも竿に違いはない……? やかましい!!」

 

 ここまで1秒。一人ごとの節々から、すでに自分が洗脳されているのでは? と錯覚した彼は恐怖をおぼえた。

 

「いやだ。此度は働きたくないでござる。今まで働きたいでござるといっていた自分を殴りたいでござる。

 だが、ここで引いたら拙者、“ホームレス侍”に逆戻りでござる。

 かつて戦で主君を失い。不況の中で再就職もままならず。死体から髪の毛をむしり取って鬘にするか老人から着物を剥いで質屋に売り飛ばすかの生活を続けて未来がない拙者を拾ってくれた殿の恩は踏みにじりたくないでござる」

 

 ここまで2秒。途轍もない早口で一人ごとをつぶやく彼は平常時であったなら不審者として見られていただろう。だが、幸いにも彼に注目する人はいなかった。

 

 そして、不安を口にしていくうちに彼の覚悟が定まっていく。

 

「そうだ。殿には一宿一飯どころか住居と仕事(完全歩合制)まで与えてもらった恩がある。なれば、ここで引けば侍に非ず。殿の恩のため。そして」

 

 呼吸が整い、一匹のヘタレは侍へと変わる。

 

「……成功報酬5万円のため」

 

 彼が纏う気配が氷のように冷えていき、青空のように澄み渡っていく。思考のノイズが取り除かれていき、合理だけを追い求める鬼神がごとき存在へと昇華される。

 

 侍は刀を鞘から取り出し構えた。その構えは幾たびの戦を超えて磨かれた刃金のようであった。

 

「拙者“ホームレス侍”改め……“ワーキングプア侍”。いざ、参る!!」

 

 かくして彼は主人から与えられた「したたるウーマンを説得してわが組織に引き入れろ。もし抵抗したら死体でも構わん」という指令を「したたるウーマンを殺して首を持ってこい」という自分に都合のいいように解釈し、したたるウーマンへ突貫した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……突貫した? 

 

 

 

 

 

 

 ……いや、していない!! 

 

 

 

 すんでのところで奴は「やっぱ、近寄りたくないから射殺すか」と弓をつがえていた!! 

 

 とんだヘタレだ!! 

 

 

 だが、その姿も本来の侍の姿を考えると自然なものといえるかもしれない。

 

 そもそも、一般でいう侍のイメージとは違い侍は刀を使うことはない。

 合戦においては主に弓と槍がメインウェポンであり、刀はそれら全てを失った後最後に頼る最終兵器であるのが実際のところである。

 時代劇のように刀もって切りあう状況こそまれなのが実態である。

 

 そして、催眠を使う相手に接近せずに済む弓を使うのは、非常に合理的な考え方であった。

 しかも、殺傷力を高めるためかその矢には丁寧に毒まで塗ってある。

 この合理性を追求する姿はまさしく合戦の侍のようである。

 

 けど、卑怯者という印象はぬぐいがたいが。

 

 和弓を引き、標準を合わせ、矢を放つ

 

「中れ」

 

 矢は、彼のつぶやき通りしたたるウーマンの眉間に中る軌道で飛翔していった。

 

 

 

 ……その時不思議なことが起こった。

 

 ____ブゥゥゥゥゥゥゥゥン!! ブンブン! 

 

 どこからか、10トントラックが猛スピードで現れ____

 

 ドンッッッ!!!! 

 

「何ですのぉぉぉぉぉォォォォォォ!!??」

 

 ……したたるウーマンを躊躇なく撥ね飛ばし、彼女を空の星にしてしまった……

 

 

 ……。

 

 そして放たれた矢はどっか行った。

 しばらく、呆然としたワーキングプア侍は我に返り、主君から与えられた命令を思い出した。

 

「したたるウーマンを説得してわが組織に引き入れろ。もし抵抗したら死体でも構わん」

 

 これ、無理じゃね? どっか飛んでったし、死体とか見つからんやろ。

 

 そう彼は思った。

 

 しかし、こんな仕事でも、彼にとっては主君への恩返しと明日のご飯がかかっている。

 簡単にあきらめるのもなぁと彼はダメもとで探すことにしてみた。

 

「確か、あっちの方向でござったか?」

 

 したたるウーマンが飛んで行った方向に検討をつけつつその場をぴょんぴょん跳ねる侍。

 

 そして、路面を思いっきり踏みしめ、ワーキングプア侍は“その場から消えた”

 

 これは縮地法と呼ばれる道教神話における仙術の一つである。詳しい説明は省くが要は、一瞬にして万里を駆ける技法であった。厳密にいうと彼は別に道教に関係しているわけでもなく、ただ便利そうだと見様見真似でやっているだけのパチモンであるが効果のほどは御覧の通りだ。

 

 

 

 

 万里を一瞬にして駆けるその術は、彼が日常とはかけ離れた者であることの証明であった。

 

 

 

 

 

 人々を惑わし洗脳する魔女。万里を一瞬にして駆ける魔剣士。

 

 これは、日常の中にあってはとてつもない異常である。

 

 人々の知らぬところで何が起きようとしているのか? 

 今はただ謎のままであった。

 

 

 

 







 作者さまのページ↓
 https://syosetu.org/?mode=user&uid=146269

 砂原さま、執筆お疲れ様でした♪ ……って羅生門?!w

 そこはかとなく文章から滲み出るインテリジェンス、読書量に裏打ちされた高い文章力……。
 もとより、いったいどれほどの発想力があれば“ワーキングプア侍”というパワーワードが頭に浮かぶのだろうと、私いま驚愕してますヨ?!(笑)

 ――――ワーキングプア侍 vs したたるウーマン

 カオスになってきた! 当作品めっちゃカオスになってきた!!
 だが私は、一向にかまわんッ!! 望むところ成ッッ!!
 なんかすごく楽しくなって来ましたよ私♪ うおぉー書きたぁーい! 早く出番来ないかな?!w

 それでは、5番手お見事でした♪
 めっちゃ面白かったZE! 砂原さまありがとぉ~う!

(hasegawa)


 
☆もんじゃ焼き伝言板☆

 リレー小説に参加されている皆様、初めまして。私、砂原石像(スフィンクスまたはサハラセキゾウでも可)です。
 ハーメルンでは主に読み専をしておりましたが、いい機会と思い筆を執らせていただきました。
 今回、シリアスをにおわせて書いてみましたがその後の展開はぜひ皆様の手で面白可笑しくやっちゃってください。

 天爛 大輪愛さま
 同じシーンの別人視点という関係上、少し文章を使わせていただきました。したたるウーマン。面白い可能性を感じています!!

 A-11様
 今回の流れから、どう話をつなげるのか楽しみにしております!!

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