【リレー】今日もカオスなもんじゃ焼き   作:リレー小説実行委員会

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秋月幻想記《壱》  (街田和馬 作)

 現世では今まさに、美星祭がその賑わいの最高潮を見せているのだがーー

 

 ある男は、見知らぬ場所に立っていた。見渡す限り広がる山々。その表面は鮮やかに彩られた木々が覆っている。

 

 男もその山の中のどこかに立っていたのだが、その周りには今までに見たことのないような植物やキノコが生えていた。

 

 普通なら、そんなものを見ればまずその正体を気にするところだ。だが男は、それらを見ながらも別のことを考えていた。

 

 ーーここはどこだ?俺は死んじゃないのか?

 

 

 男の名は、秋月海人ーー先祖代々『徳』を継ぐ秋月家の男だ。彼は人生を謳歌した。頭脳明晰、運動神経抜群で、特に周りより秀でて体格は持ち合わせていなかったが、人間性にも富んでいて、男女両方からの人気は絶大だった。

 

 大学は有名な国立に進み、大学院に進み、博士号も取得するほどの優秀さだった。しかし、それだけの学歴を誇りながら、卒業後は実家に帰り秋月家の当主として亡くなった父の跡を継いだ。

 

 とはいえ、やることは日々お地蔵にお供えを毎日することだけだ。……最初、海人はそう思っていた。

 

 しかし、その考えが覆されたのは実家に帰ってきてから一ヶ月が経った頃のことだった。

 

 秋月家の『徳』を狙う組織がいるということを耳にした。しかも、そいつらは怪しげな術を使ったり武装していたりするらしい。

 秋月家が狙われていることを知った海人は、すぐに対抗策を考えた。まずは、後継者を作ることにした。町に出て、『徳』を使って適当に強そうな女子を誘って、子供を作らせた。

 

 十ヶ月後、無事男の子が産まれ、海人はその子に「流」と名付けた。しかし、流だけでは流が死んだ時に秋月家を継ぐものがいなくなる。そこで、海人の二人目の子供を作った。産まれた女の子には小雪と名付けた。

 

 次に、海人は別の世界の人間に助けを求めようとした。方法を探すだけで多くの時間を要した。そして、ついに方法を見つけた頃には流は5歳になっていた。

 

 その方法とは、自身の体内に貯められた膨大な『徳』をエネルギーに変換して、時空に解れを生じさせる。そして、他の世界に存在する、海人たちの世界の未来を決める者たちに、秋月家の続く未来を予言書として書いてもらうことだった。

 

 そんな現実味のない方法だったが、海人には成功する確信があった。

 

 海人はすぐに実行に移し、結果は成功。未来を書いてもらえることとなった。これで秋月家の滅亡は免れたわけだが、『徳』を自らが蓄えていた以上に使ってしまった海人は、その反動の『反徳』によって時空の解れがなくなると同時に、瀕死に追い込まれてしまった。

 

 その後すぐに流によって自室に運び込まれたが、もう流の肩を借りても立つことができなかった。少しずつ、体の機能が失われていくのがわかった。胸から下はもう動かなかった。死が目前に迫っている。その前に、流に最後の秋月家の『徳』を守る方法を告げた。

 

「いいか、流。世界には、いろいろな悪い奴がいて、その中には俺たちの『徳』を狙う者もいる。……そいつらは、己の欲を満たすために俺たちの『徳』を使おうとしている。……だから流、お前がそんな悪い感情の生まれないような平和な世界を作れ。…………平穏で……公正な世の中を……お前が作るんだ。方法は……なんだっていい。…………ただ……世界征服なんてことはーー」

 

 「ーー考えるな」と続けようとしたところで、海人は息絶えた。意外と重要なところを言い切る前に、死んでしまったので、バカ流が勘違いをして世界征服を父の悲願と思って目指すのは、まだ先の話だ。

 

 そして、死んでしまった海人の体は、流がその死を公的機関に電話で報告して見ていない間に、不思議な光に包まれやがて跡形もなく消えてしまった。

 

 そして、その後海人は目を覚ましてーー今に至る。

 

 

 海人は間違いなく死んだ。その記憶が海人自身にもあるのだ。しかし、海人は見知らぬ場所に立っている。五感はひとつの欠損もなく、痛覚もある。だから、夢ではない。明晰夢という可能性もあるが……まあ、死んでいるからやっぱり夢ではないのだろう。

 

「ここは、どこだ?」

 

 海人は一人呟く。しかし、その問いに答えるものは誰もいない。そればかりではなく、周りに人の気配や人の営みは全く見られない。このままここにいても、状況はわからないままだと結論を出した海人は、とりあえず歩くことにした。

 

 

 そして歩き続けること約1時間、山を抜ける気配は全くなかった。というか、本当に進んでいるのか分からないほど、周囲の景色に変化がなかった。

 

 時々川が流れていたし、そこら中にはキノコが引くほど生えているので、飢えや喉の渇きには至りそうになかった。しかし、こうも進展がないと精神的にくるものがあった。

 

 歩き疲れたし、その前は死にかけの状態で体が死んでいくのを感じて、疲れていた俺は、一度休むためにその場に座り込もうとした。その瞬間ーー

 

「あんた、誰?」

「……え?」

 

 突然背後からかけられた女の声に、俺は反射的に振り向きながら前に跳び距離をとった。そこにいたのは、まっすぐな黒髪に茶色の目、やや身長が高めの少女だった。袖がなく、肩や脇の露出した赤い巫女服を着ていて、後頭部には結ばれた模様と縫い目入りの大きな赤いリボンを付けている。

 

 ーーこいつ、いきなり現れたな。

 

 先程まで、俺は周囲に誰の気配も感じなかった。だから、ゆっくり休もうとしたのだが、こいつは俺に気配を感じさせずに近づいてきた。俺はかなり人の気配に敏感な方だが、それでも気が付かなかった。

 

 ーー相当な手練れだな。

 

 俺は、一歩下がった。まだ、こいつが敵なのかそうでないのかもわからない。絶対に目を離してはいけない。だから、俺は少女の姿を目で捉えながら後ずさった。

 

 すると、少女は俺が警戒しているとわかったのか、困惑の表情を浮かべながら両手を上げた。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい。私は別に、あんたを襲おうとしているわけじゃないわよ」

「そうか。なら悪かった」

 

 少女の表情を見る限り、本当に俺に敵対しているわけではないようだ。俺は警戒を解いて、少女に歩み寄る。

 

「すまん。急に知らない場所に来て、警戒心が必要以上に強くなっていたんだ」

「そうなのね。……待って。あんた今、急に知らない場所に来たって言ったわね?」

「……ああ、そう言ったが」

「そうなの。あなた、『幻想入り』してしまったのね」

「『幻想入り』?」

 

 少女の口から、俺の知らない言葉が飛び出してきた。

 

「そう。この世界は『幻想郷』といって、あんたが元いた世界とは違う世界なの。ここには、人間だけじゃなく妖怪や悪魔、そのほかにも色々な種族が暮らしているの。普通は、他の世界と通じてないんだけど、たまにあんたのいた世界から人間が迷い込んでくることがあるの。それを、『幻想入り』っていうの」

「なるほどね。とりあえず、俺は違う世界に来たってだけわかってればいいのか?」

「そうね。後で元の世界に戻れるようにするから、私についてきなさい」

「ああ、それに関しては大丈夫だ。俺は、元の世界で死んでるから」

「あら、そうなの?」

「ああ。だから、元の世界に帰してもらう必要はない。帰ったら、俺はどうなるかわからないからな」

 

 少女は、しばらく唸りながら考え込んでから、溜息を小さく吐いて呟いた。

 

「あまり気は進まないけど、こういう場合はあそこがいいかしらね」

「どこだ?」

「まあ、あなたを帰さないにしても生活する場所は必要でしょう?ついてきて」

「わかった」

 

 俺が頷いたのを見て、少女は俺の背後の方向に進み始めた。俺も、それについて行った。

 

 少女の歩くペースはかなり速かった。少女は悠々と歩いていたが、俺はかなり早歩きにならざるをえなかった。

 

「そんなに、急ぐのか?」

「残念なことにあんたが飛ばされてきたのはかなり人里から離れた場所なの。目的地はここから二日はかかるわ。だから、1日私の家に泊まってもらって明日の到着を目指すわ」

「了解した」

 

 それから、しばらく沈黙の時間が続いた。俺は歩くので必死だったし、少女はそれを察してくれていた。そして、それから2時間歩いたところで、少女が足を止めた。

 

「ここで、一旦休憩にしましょう」

「わかった」

 

 そこには、透き通った川が流れていた。少女は、魔法瓶のような容器に川の水を注いでいる。汲み終えると、その容器を俺に投げてきた。

 

「かなり水分を失っているだろうから、飲んでおきなさい。まだ目的地までは距離があるから、飲んだら補充しておきなさいよ」

「ああ、ありがとう」

 

 俺は、水を一気飲みした。乾いた体に潤いが戻ってくるのがはっきりわかる。どうやら脱水がかなり進んでいたようだ。俺は、空になった容器に水を汲んで、川縁に座って休んでいる少女の隣に座った。

 

「そういえば、まだ名乗ってなかったわね。私は、博麗霊夢。博麗神社の巫女よ」

「俺は、秋月海人だ。よろしく」

「よろしくね」

「ところで、博麗神社の巫女だと言ったが、今目指しているのは博麗神社ということか?」

「そうね。ここから、あと3時間くらいじゃないかしら」

「じゃ、日が暮れる前に辿り着かないとな」

 

 俺は、「よっこらせ」と言いながら立ち上がった。霊夢もそれを見て立ち上がった。

 

「もう休憩はいいの?」

「ああ、早いうちに着きたいからな」

「でも、ここから先、神社まで休憩地点はないわよ」

「あ、やっぱりもう少し休んでおきます」

 

 その後10分ほど休憩を取り、博麗神社に向けて出発した。3時間も歩くのは大変だと思っていたが、人里が近づいてきたので、少し道が歩きやすくなっていて、覚悟していたほどの辛さを味わうことはなかった。

 

 

 

「これが……博麗神社か」

「そう、ここが幻想郷を囲む博麗大結界を管理する博麗の巫女の神社よ」

 

 博麗神社は、長い階段の先に赤い鳥居があり、その先に決して大きいとは言えない本殿があった。その隣には、本殿と変わらないくらいの大きさの高床式の倉庫があった。

 

「あれ、思ったよりも……」

「しょぼくて悪かったわね。でも、私しか住んでないからこんなものでいいのよ。神主はどこにいるかもわからないし、あとは誰かが遊びにくるぐらいだからね」

「遊びに来る?」

「ええ。たまに宴会とかもするわよ」

「へぇ、そうなのか」

 

 ひと通り外観を見た後、僕は本殿の中に連れられた。中は全体的に簡素なつくりの和室で、居間は机がひとつと座布団が置いてあるだけだった。居間の隣には台所があって土間になっていた。霊夢は、今を指差して言った。

 

「後で布団を持ってくるから、あんたは今日ここで寝なさい。私は、適当なところで寝るから」

「……ん?自分の分の布団はないのか?」

「ないわよ、そんなもの。元々人を止めるための場所じゃないもの」

「それなら、俺が……」

「大丈夫よ、1日布団に入らずに寝ただけで風邪をひくほどヤワじゃないから」

「……そうか」

 

 これ以上何を言おうと、霊夢に譲る気はなさそうだったので、俺は諦めて今晩は布団で寝ることにした。

 その後、俺は霊夢と居間で話をした。

 

「明日、朝早く起きて出発するわ。ここから目的地までは距離があるから、私が抱えて飛んでいくわ」

「わかった。…………飛ぶ?」

「ええ。私は『空を飛ぶ程度の能力』を持っているからね」

「能力なんてあるのか?」

「ええ。幻想郷の住人の一部は、能力を持っているわ。私の知り合いはほとんど持ってるわよ」

「そうなのか」

「もしもし、霊夢。いるかしら?」

「あら、珍しいわね。いるわよー、今出る」

 

 霊夢は外から聞こえた声に返事をして、玄関に向かった。一度俺の視界から消えるもの、少し戻ってきてひょっこり顔を出すと、こちらを手招いてきた。

 

「あんたも来て。多分、あんたに関係ある話だから」

「わかった」

 

 俺は座布団から立ち上がり、霊夢の後について行った。

 

「こんばんは、紫。こんな時間にどうしたの?」

「あら霊夢、まだ5時よ。実は幻想郷に侵入者が来たようなの。……その人は?」

「その侵入者よ。名前は秋月海人、どうやら幻想入りしてしまったらしいの」

「あら、そうなのね。もう正体がわかっていたのなら安心したわ」

「…………」

 

 二人の間で話が進んで、俺のことは完全に置いてけぼりだ。俺が何も言わずに突っ立っていると、霊夢がちらっとこちらを見た。

 

「ああ、悪いわね。あんたの存在をすっかり忘れていたわ。一応、紹介しておくわ。こいつは八雲紫。空間を移動できる、『境界を操る程度の能力』を持つスキマ妖怪よ。大抵のことは知ってるわ」

「よろしくね」

「こちらこそ、よろしく」

 

 紫は、人間と変わらないような金髪ロングの少女だった。毛先をいくつか束にしてリボンで結んでいる。アメジストのような紫の瞳が、彼女の少女らしからぬ妖艶さを引き立てている。

 

「それで、この人をあなたはどうするつもりなの?」

「今日のところは少し話を聞いて、明日幽々子んとこに連れて行こうと思ってるの」

「白玉楼に?……一体どうして?あなたがしばらく預かればいいじゃない。いつものことでしょう?」

 

 知らない言葉がまた出てきた。幽々子は人の名前だろう。白玉楼は……なんかの建物だろうか。

 

「私も最初はそうしようと思ったんだけど、実はこの人、幻想入りする時にあっちで死んでるらしいのよ。だから、少し人間というよりは幽霊に近いのかなと思ったのよ」

「あら、そういうことね」

「……そうだ。紫、明日この子を白玉楼に連れて行ってくれない?」

「なんで私が?」

「私が面倒くさいからに決まってるでしょ。あんなとこまで、この人を抱えて行くのは相当な労役よ」

「私は、博麗大結界の点検をしようと思っていたのだけれど?」

 

 霊夢は図々しくも当たり前のように、面倒だという理由で俺を別の場所に連行することを紫に委託した。紫は額に血管を浮かべている。

 

「いいじゃない。送るのなんて一瞬なんだから」

「……わかったわよ。明日、朝の9時に迎えに来るわ。それまでに、訊きたいことは訊いておきなさい」

「了解、ありがとね」

「別にいいわよ。じゃ、私は外に行ってくるわ」

 

 そう言い残して、紫は背後に空間の切れ目を作った。縁がファスナーのようになっていて、中には妖しげな空間が広がっている。紫はその中に入って行った。

 それを見送って、俺と霊夢は再び本殿の中に入った。

 

 その後、霊夢から訊かれることは特になかった。俺が「何も訊かなくていいのか?」と問うと、「めんどくさい」と言って寝転びながら煎餅を貪り始めたのだ。俺は、その巫女とは思えない振る舞いに溜め息を吐きながら、外に出た。

 

 ーー本当に、俺はどうしてこんなことになったんだ。あのまま死んで終わるのも悪くなかったけどな。

 

 段々と欠けるように地平線に沈んでいく夕陽を見届けながら、俺はそんなことを考えたのだった。

 

 

 翌朝9時、紫は約束通りに俺を迎えにきた。霊夢はというと、家から出たくないという理由で俺を見送らなかった。「もう一度、紫にお礼ぐらいすればいいのに」と思いながら、俺は紫に言われるままに空間の裂け目に入った。その先に広がっていたのは、桜舞い散る春の景色だった。風が吹くたびに、桜の花びらが宙を舞い、視界が桃色一色に染め上げられる。

 

「ここが冥界よ。そして、あの階段を登った先に、目的の白玉楼があるわ」

 

 紫が指差した先にあったのは、博麗神社にも引けを取らないほどの長い階段だった。その先に、横に長い屋根が見える。博麗神社の本堂より立派そうな屋敷だった。

 

「じゃあ、行きましょうか」

「ああ」

 

 紫と階段を登ったのだが、予想以上に長かった。だいぶ息があがってきたと思って上を見ると、まだ半分しか進んでいなかった。しかも、紫は息の一つも切らしていなかった。かなり運動能力に自信はあったのだが、紫その見た目に反してかなり身体能力が高いようだ。もしかしたら、幻想郷の住人はみんなこんなものなのかもしれない。

 

 ようやく登り切った頃には、俺はもうバテバテだった。動悸がするし、脚は痛いしで最悪だった。

 

「お疲れ様。今、目の前にあるのが白玉楼よ」

「……はぁ、はぁ。これがか」

 

 俺が視線を上げると、そこには立派な屋敷があった。遠目でもわかるほどの大きさだ。目の前で見ればさらに大きく感じる。しかし、そこには迫力というより風流というものを感じた。屋敷もさることながら、庭も丁寧に手入れされている。白玉楼を囲んでいるのは塀だったが、それに沿うように植えられた木々の一つの側に、一人の少女が立っていた。

 

「あれ?紫さんじゃないですか。珍しいですね。どうしたんですか?」

 

 その少女は白色の髪をボブカットにし、黒いリボンを付けていた。瞳は暗めの青緑色で、普通の人より肌は白い。白いシャツに青緑色のベストを着ていて、下半身は短めのスカートからドロワーズが覗いていて、白い靴下に黒い靴を履いていた。そして、何か人魂のようなものを纏っていた。

 

「彼女は、魂魄妖夢。半人半霊で、この白玉楼の庭師よ」

「そうなのか。庭師なのに、刀を持っているんだな」

「ただの庭師ではありません。一応、この白玉楼の主人の護衛をしています」

「なるほど。そういうことか。俺は、秋月海人だ。訳あって、ここの主人に用があるんだ。よろしくな」

「はい、よろしくお願いします」

「じゃあ妖夢、ここからは任せてもいいかしら?」

「はい、問題ありません。後はお任せください」

「じゃあ、うまくやってね。海人君」

「はい。ありがとうございました」

 

 俺がお礼を告げると、紫は空間に穴を作ってそそくさと帰って行った。俺は、妖夢に連れられて、白玉楼の中へと入った。そして客間に通されて、しばらく待っていると一人の女性が入ってきた。

 ピンク髪のミディアムヘアーに水色と白を基調としたフリフリっぽいロリータ風の着物という出立ちだった。被っている帽子の三角形をした布が何となく幽霊を想起させる。

 

「あなたが、秋月海人君ね。紫から話は聞いてるわ。あっちで死んで、幻想入りしたのよね?」

「はい、ところであなたは?」

「私は西行寺幽々子よ。よろしくね」

「はい、よろしくお願いします」

 

 俺は差し出された手を握り、疑問を投げかけた。

 

「あの、失礼だとは思いますが……今何歳ですか?」

「え?私がBBAに見えるって?」

「そんなこと言ってませんすみませんなんでもありません」

 

 どうやらこの質問は地雷だったようなので、すぐさま取り下げた。実際、年齢がとても気になるところだ。外見と服装に少し違和感を感じたからだ。でも、命の危険を感じた俺は、もうこの質問をしないことにした。

 

「ところで、あなたがあっちで死んで幻想入りしたって、本当なの?」

「ああ、本当だ。向こうで死んで、意識が薄れていって、死んだと思った瞬間には山の中に立っていた」

「うーん。そういうケースは初めて聞いたわ。不思議ねぇ」

 

 幽々子は顎に手を当てながら考えている。しばらくして、幽々子は「うん」と何かを確かめるように頷いてから言った。

 

「でも多分、あなたは幽霊じゃないわよ。だって、もしあなたが幽霊なら、ここに現れると思うから。そうじゃないなら、多分あなたは人間よ」

「そうか。じゃあ、ますますわからないな。どういう原理で俺が幻想入りしたのか」

「そうねぇ。でもまあ、今は気にしなくていいんじゃないかしら。とりあえずは、しばらくここでゆっくりしていくといいわ」

「ああ。そうさせてもらうよ」

「そういえば、あなたは何かの能力は持ってないの?」

「…………え?」

 

 俺は突然、さっきまでとは一切繋がりのない質問をされて、反応が遅れてしまった。

 

「俺に、能力が……?」

「ええ。幻想入りした人間が能力を得るっていうケースが以前あったんだけど、あなたはどうなのかなと思ってね」

「幻想入りしてから今まで、能力を感じたことはなかったんですけど……」

「自分に問いかけてみて。もしかしたら、わかるかもよ」

 

 「そんな都合のいいこと、ある訳ないじゃないか」と思いながらも、俺は心に自分の能力があるのか問いかけてみた。すると、頭の中に、何か文字が浮かび上がってきた。最初はぼやけていた文字が、段々とその輪郭を明瞭にさせていく。

 

ーー能力を複製する程度の能力

 

ーーえ?これ、強くないか?

 

 能力を複製する能力ーーもしこれをうまく使えれば、間違いなく俺が最強になれる。幻想郷には、今までに俺が会った者以外にも、強い能力者がいるに違いない。それを全部複製すれば……。そして、紫の能力を奪えば、俺は再びあの世界に立てる。不老不死なんて能力があれば、きっとさらに安全に戻れるだろう。そして、誰にも負けない力を得た俺は、世界をその力で平伏させる。そうすれば、世界からは争いがなくなり、平和になるのではないか?……これは最早、世界征服なのではないか。そう思ったが、世界平和のための世界征服ならと考えると、思いとどまることはなかった。

 

「どう?何か能力は見つかった?」

「いや。残念ながら、俺は無能力者のようだ」

「そうなの。残念ね」

「ああ。まあ、無能力でも生活には困らないだろう。しばらく、よろしくな」

 

 絶対に、この能力のことは誰にもバレてはいけない。しばらく無能力を装い、幻想郷の能力者の情報を集め、来るべき時まで正体は明かさない。

 

 ーー絶対に、俺は世界を征服する。誰であろうと、邪魔者は排除する。

 

 






 作者さまのページ↓
 https://syosetu.org/user/345645/


 街田さま、執筆お疲れ様でした♪

 ……って、秋月幻想記《壱》って!w
 もう単独で連載する気マンマンやがなっ! リレー小説関係ないwww

 とりあえず、今後の流パパがどのようになっていくのか、見守らせて頂こうと思いマス。何でも好きに書いたらええよw
 それでは! 8番手お疲れ様でした♪ 街田さまありがとぉ~う!

(hasegawa)



☆もんじゃ焼き掲示板☆

 皆さんへ

 初めまして、街田和馬です。小説を書き始めたばかりで、まだまだ未熟で拙い文章だとは思いますが、これから上達できればいいなと思っているので、よろしくお願いします。
 また、個人的に不定期で書いているシリーズがあります。多忙を極めていて、4月の第3週までは更新できそうにありませんが、そちらの方も私のためにお時間を割いていただけるのなら、ぜひ読んでいってください。

 読者の方々へ

 もし、東方ガチ勢の方がいましたら、違和感等感じるところがあるかも知れません。その場合は、ご指摘ください。可能な範囲で、出来るだけ不満にならないように修正いたします。どうか、よろしくお願いします。

 リレー参加者の皆様へ

 第2巡より参加しました、街田和馬です。遅くなってしまってすみません。これから、よろしくお願いします。
 なお、私が書いたこの回の時系列ですが、
序盤では『今まさに、美星祭が賑わいを見せている』的なことを書いていますが、海人が死んでから、美星祭までのどこでも構いません。だから、この回を無視して美星祭を書き続けていただいても構いません。もしかしたら、無視していただいた方が、話が流暢につながるかも知れません。そこは、お任せいたします。ただ、私が秋月海人を掘り下げたかっただけなので。以上です。
 改めて、これからよろしくお願いします!

(街田和馬)

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