【リレー】今日もカオスなもんじゃ焼き 作:リレー小説実行委員会
砂原さまからリクエストを頂きましたので、【私の考える“最高のヒロイン”が登場する小説】を書こうと思います。
――――お久しぶり! 出番ですよマスターPさま♪
「いや~ん、えっちな風ぇ☆」
「フゥー♪ しまパンだぜぇー!」
ヤングストリートにイタズラな風が吹き、スカートがピラッ♡
女性は慌てて前を前を押さえるが、偶然この場を通りかかっていたマスターPは、バッチリ現場を目撃。
一瞬の出来事であったにも関わらず、しっかりとパンツを目に焼き付け、心のDフォルダに名前を付けて画像を保存。今日はツイてるぜ!
「日頃の行いですねぇ! わいっていつも頑張ってるし? ご褒美ですねぇ!」
こいつぁ朝から縁起がいいやーっ!」
ピュー♪ っと口笛を吹く、昭和のリアクション。
マスターP氏、ただいまご機嫌である。
先日のバーサーカー襲来により、美星町は深刻なダメージを受け、財政破綻に陥ってしまった。
マスターP氏も死力を尽くして戦い、見事に敵を撃退したは良いものの……、結果マジンガー絶頂は事業仕分けのために
「ここにいりゃあ、もう二、三回はパンツ拝めるかも!
じゃけん、今日はずっとここに座ってよう! そうしましょうねぇ!」
なので現在のマスターP氏は、リストラされたのを家族に言い出すことが出来ずに公園で時間を潰すお父さんのように、こうしてヤングストリートのベンチで佇んでいる次第。
通りすがる女性達のスカートが捲れ、またパンツ見れたりしないもんかな~と、ひたすら一人待ち続ける。そんな不毛な時間を過ごしているのだった。
あえなく職を失いはしたが、あと5日くらいすれば給料が入る予定なので、なんとかアパートは追い出されずにすむだろう。衣食住はなんとか保たれている状況だ。
今は艦娘たちも、みんな遠征(という名の潮干狩り。食料調達の任務)に出掛けており、話し相手がいないのはちょっと寂しいけれど……。でものんびり今後の事を考えるのには、いい機会かもしれないと思う。
すっかり常連となったあのコンビニで、店長さんと雑談するがてら購入した缶コーヒーをグビッといきながら、マスターP氏はヤングストリートのベンチに腰掛けつつ、のほほんと無為に時間を潰す。
ついさっき「いやーん!」と声をあげ、慌ててスカートの前を押さえていた女性の方を、ニヤニヤ見つめたりしながら。
「風よ吹けッ! 嵐よ来たれィ!!
地球のみんな、オラにパンツを見せてくれっ!
Salam! Ismi Master P!」*1
無駄にトリリンガルなのをアピッてしまったが……それが良くなかったのだろうか?
テンションMAXだった彼が、思わずチュニジア語を口走った途端、件のパンツの女性が、ハッとした顔でこちらを振り向いたのだ。
まっすぐマスターP氏の方を見つめている!
「やっべ、パンツ見てたのバレた……!?
こりゃあ出るとこ出たら、けっこうな問題になりおる! マズいっ……!」
もう退任したとはいえ、つい昨日まで町長だった彼は、タラリと冷や汗。
しばしの間、向こうの方で立ちすくんでいる様子の女性と、互いにじ~っと見つめ合う。
どうやら彼女の方は、先ほど声を出したのはP氏だという事を、ハッキリ認識しているようだ。今さら言い逃れは出来まい。
土下座!? 謝罪と賠償!? わい明日の一面を飾るの!?!?
そんな最悪の想像が頭を駆け巡る、長い長い数秒ばかりの時が、経過した後……。
「――――パパ?」
ふいに、眼前の女性が口を開いた。
呟くような、消えそうなほど小さな声。
「パパ……パパなのっ……? こんなところに居たのねっ!!」
そう叫ぶやいなや、突然その女性が、
感極まった表情、キラキラと涙を撒き散らしながら、一直線にマスターP氏の方へ! 物凄いスピードで!
「ラァァァアアアーーヴ!!!!」
「 ほんけ゛っ!?!? 」
アメフト選手もかくやというタックルが、P氏の腹に叩き込まれる。
ベンチに座っていた彼は、その態勢のままベンチを巻き込んで吹っ飛び、腰にしがみついている彼女と一緒に、ゴロゴロとアスファルトを転がる。
「その特徴のないフツメン顔、爽やかな印象の短髪、無駄なチュニジア語……!
聞いてた通りわよ♪ 貴方がマスターPわよっ!」
後頭部を強打し、目にチカチカと星が散っている中で、あたたかな感触をかんじる。
いま彼女は「~♪」と聞こえてこんばかりの顔で、嬉しそうにP氏に抱き着いている。
やっと会えた、いっぱい探したよと言いながら、彼のお腹にグリグリ顔を押し付けているのだ。
さっきパンツを見てしまい、怒られるとばかり思っていた、まったく見知らぬ女性が。
「こんにちはパパ! あたしHitomiってゆーの♪
未来からやって来た、
そんな馬鹿な。
言っては悪いが、これがマスターP氏のいだく、正直な感想。
別にドラえもんみたく、未来から来た~という部分が、信じられないワケじゃない。
まだ17である自分に娘がいて、会いに来てくれたというのを、疑ったワケでもない。
ここ美星町はぶっとんだ所だし? もう多少のハプニングでは驚かない自信があるし?
ただ――――なんでわいの娘、
身長196㎝。
体重79㎏。
アメリカ人みたいな体格。
しかも筋骨隆々なのだ、この子は。
若葉のように艶やかなライトグリーンの髪は、ちょうど肩の高さで綺麗に揃えられていて、シャンプーのCMみたいにサラサラと揺れている。
そしてよく見れば、彼女は何故かナースキャップらしき帽子をかぶっており、いま着ている服さえも、よくエロ本とかであるような“ピンク色のナース姿”なのだ。
わざと切り取ったかように丸く空いた胸元には、「正に爆乳!」と言わんばかりのド迫力メロンおっぱいが、見事なまでの谷間を作っている。
更に、その極端に丈が短いエロデザインのせいで、ドン引きするくらいにバッキバキな腹筋が、今もチラチラと覗いているのが分かる。岩を連想させるようなゴツゴツさだ。
「未来の世界から、会いに来ちゃった♪
あたしずっと寂しかったっ……! もう離さないのわよ! パパぁー♡」
――――えっ。わい誰と結婚したん? どーやったら、こんな娘うまれんの?
髪の色以外、ほとんど
パンツを見たのは謝る。この状況も甘んじて受け入れよう。
だけど、それだけはどうか教えて欲しかった。
とてつもない彼女の剛力(ハグ)によって、アバラ骨がバキバキ粉砕していく音を聴きながら、マスターP氏は思う。
わいの未来の嫁、いったい何者やと。
◆ ◆ ◆
――――マスターPさんの浮気者っ! クソ虫!!
ふとヤングストリートを通りかかったランカ・リーに、おもいっきりバゴーンとビンタされ、職ばかりか彼女まで失ってしまうという、とても不幸な出来事があった後……。
「わーお☆ ここがあたしのパパの、ハウスねっ!」
現在マスターP氏は、自称「貴方の娘」こと腹筋バキバキナースちゃんと共に、寝床である6畳間の安アパートにいる。
Hitomiと名乗る緑髪のマッチョウーメンは、その2メートルに迫るほどの高身長ゆえに、入口をくぐる時にゴン☆ と額をぶつけていたけれど、無事に
あぁ……敷金。
「まるで豚小屋わよ♪ 狭いし、くっさいし♪
日本のハウスって、随分しみったれてるのね。きっと土地が狭いせいわよ。
さすが日本人は慎み深いわ! 欲しがりませーん、勝つまではーっ!」
そうHitomiは、一見ボロくそに言いつつも、「とっても素敵よパパ☆」とご満悦。
どうやら日本家屋というものが珍しいらしく、ワクワクと喜んでくれている様子だ。
今も機嫌良くマスターP氏の隣に座り、無邪気に腕に抱き着いている。
彼女の“たわわ”と呼ぶには控え目すぎるダイナマイトバストが、ムギュッと押し付けられて変形。P氏が今まで見た事がないような、魅惑的な谷間を作る。
先ほどは「筋肉すげぇなオイ!」と思い、随分驚かされたものだが、反面この子は充分に女性らしい“しなやかさ”を備えているのが分かる。
とても柔らかく、肉感的ながら、美しいと形容するにふさわしいスレンダーな身体。ようはとってもセクシーな女の子なのだ。ちょっとした仕草もキュートこの上ない。
まぁ座高は彼より“頭二つ分”くらいは高いし、ガタイも遥かにデカイけれど……。
なんかオネショタみたいな絵面になってしまっていた。
「これからこの部屋で、パパと暮らすのね♪
ちょっとせまいけど、あたし嬉しいわ♪ ギュ~ってひっつけるもん♡」
「待ってもらっていいすか?(困惑)」
ウェイウェイ、ジャストアモーメンツ。
はっはっは、お嬢さんご冗談を。ってなモンだ。
「さぁニ〇リに行きましょう! ドン・キ〇ーテにも! 必要なものを買わなきゃわよ!
女の子は色々と物いりなのよ、パパ♪」
「いやちょいちょい。
それよかちょっと、訊きたい事あるんd」
「服とか下着とかは、パパが選んでいーよ♡
せいぜいエロいのをチョイスしてね! あたしが着てしんぜヨウ!」
「聞いて? わい今しゃべっとるからね?
とりあえず、おたくの身の上とか、そこら辺なんやかんやn」
「あ、ベットとかはいらないよー?
一緒にひっついて寝れば、寒い夜も安心でアリマース!」
「いや冬山じゃねーんだからッ!?
んな事できっかよオイ! 童貞なめてんのかオォイッ!」
思わず声を荒げてしまうが、Hitomiちゃんの方はキョトン? 意味が分からないって顔をしてる。
「なんで? あたしたち親子わよ?
パパといっしょに寝るのも、いっしょにお風呂入るのも、娘ならアタリマエ♡
なに言ってるのわよ、粉砕するぞキサマ?」
「怖ぇーな!!!! ……つか先から思ってたけど、おたく日本語が変ですねぇ!
どこ生まれの人すか!?」
「あたし? どこなんだろーねぇ。
パパはジャパニーズだけど、ママって国籍不明だし。あたし
「ふぁッ!?!?」
アパートに帰って来てから5分。はやくもきな臭くなってきた。
とりあえずという風に連れて来たは良いものの、これ絶対めんどくさい事になると、P氏の脳内でアラームが鳴る。アカンアカンと。
「そもそもあたしって、
自分の事とか、よく分からないのわよ……」
ハイテンションだったさっきまでとは違い、この子が少しだけ「しゅん……」としている。
まん丸の目でお父さん(仮)を見つめながらも、どこか申し訳なさそうな表情。
小さい子供が、親に怒られるのを怖がっているかのような、不安気な雰囲気を感じた。
「気が付いたら、この町にいたの。
自分が着てる服の事も、持ってたバックの中身も、あたしには覚えがない。
ぜんぜん分からないの……」
「ここかどこなのか、どうしてこんな所にいるのか、分からなくて。
あたしいっぱい歩いた。もう何日も何日も、ずっと一人っきりで。
……そしたらね? パパがいてくれたのっ! よーやく会えたのっ♡」
「自分のことは分からないケド、でもパパのことは憶えてるっ! すぐ分かったヨ♪
あー、これが若い時のパパなんだーって。
あたしはきっと、タイムスリップしてパパに会いに来たんだなーって♪
それだけはハッキリわかったのっ! えらいでしょ☆」
ニコッと、花のように笑った。
無邪気で、愛らしくて、お父さんへの信頼を宿した瞳。
彼女の名前もHitomiというらしいけど、この大きくて感情豊かな瞳こそが、この子の一番のチャームポイントなんだろう。
マスターP氏は、何気なしに思う。
「怖かったし、不安だった。あたし一体どうなるんだろうって思った……。
でもね? あたし今とーっても嬉しいのっ♪
だってパパに会えたんだもんっ! もう全部ヘッチャラわよ☆ えへっ♪」
その笑みが可愛かった。
がんばって、がんばって、ようやく願いが叶ったんだって、そう喜びを表している顔だった。
いつの間にやらマスターP氏の胸に、ほんのりとあたたかな感情が湧く――――
「でも帰ってくれませんかね(真顔)」
「えっ」
――――だが断る。
そう言わんばかりの、キッパリした態度だった。
「娘とかパパとか、それって貴方の印象ですよね?
なんかデータとかあるんすか?」
「あれっ? えっ」
「嘘つくの、やめてもらっていいすか?
わい、これからランカに土下座してこんとイカンし。いそがしーんすよお嬢さん。
帰ってくれませんかね(二度目)」
初めて出来た彼女なんだよ! 失ってたまるかァ!
そうP氏は、不退転の意思を見せる。
さっきヤングストリートでは、この子にしがみ付かれている所を見られたせいで、ランカにフラれてしまった。その誤解を一刻も早く、解きに行かなければならない。
まだチューもエッチもしてないのに、このまま終わってたまるかと。
「……えっ、そんな事ある?
はるばる未来からやって来た娘を、普通に追い返すって。そんな親いるの???」
「いますねぇ! わいがそうですねぇ!
どうも、マスターPと申しますッ!
趣味は食パンを殴る事と、『勝った』と思っているヤツに、絶望を突き付ける事です!」
え、鬼畜なの? 日本人には人の心が無いの?
彼女は「ポカーン」としてしまうが、マスターP氏は断固拒否の構えである。とってもいい顔をしていた。
「あの……いっしょに寝たりとか、お風呂入ったりは?
あたしパパに、髪を洗ってほしい。ギューってして寝たいんだケド……」
「そんなもん、知ったこっちゃありませんねぇ!(迫真)
女だからって、何でも通ると思ったら大間違いだぞ! 世の中甘くねぇぞオイ! オォイ!」
「あのね? あたし本当にパパと、いっしょに居たいのね……?
この町に来てから、ずっと寂しかったし、パパのこと大好きだから……。
ごはんも一緒に食べたいし、いっぱいハグして欲しい……。ずっといっしょに居t
「警察への通報は110ですねぇ!(迅速な対応)
あーもしもしぃ。こちら元町長のマスターPというモンだがね?
そちらでいちばん戦闘力の高いポリスメンを、大至急なるはやで」
「――――は ら わ た 掴 み 出 す ぞ キ サ マ ?」
「間違いでしたサーセン(韋駄天)
ピザの出前を取ろうと思ったとです。忙しいとこスマンね!」
彼女の上腕二頭筋が岩のように隆起した瞬間、ピッとスマホを切り正座。
まっすぐ背筋を伸ばし、しっかりHitomiさん(殺意の波動)と向かい合う姿勢に。
さっきまでとは打って変わって「キリッ!」っとした顔をしている。どうか命ばかりは。
「わい、こーいうの見た事ありますわぁ。
サメとか熊とか、捕食者がする目……ブロリーも同じ目をしてたぞ」
「そう思うんだったら、ふざけないで欲しいかな?
あたし真面目に話してるのわよ」
「うむ、何が望みなんだね?
生ハムでもシーフードでもプルコギでも、おたくの好きなピザを取ろうやないか。
わいもめったに食えんし、丁度いいと思いますねぇ! ほら遠慮すんなよすんなよ!」
「いや、ピザはいーんだけど……。パパってやっぱ破天荒わよね。
昔からそうだったんだぁー。へぇー♡」
ふぅ、とひとつため息。それでHitomiちゃんは機嫌を直してくれた。
悪意が無く、どこか憎めないマスターP氏の人柄が幸いしたのだろう。さっきはドスの利いた声を出したものの、全然怒っていない様子だ。
「あたし自分のことは分からないけど、パパのことは分かるよ?
確かこの先、
「――――そーなん!? でも何でチュニジア?!?!」
「あとぉー、なんか“タイ人の女性”の婿養子に入った事が、あるらしくってね?
一時期、パパの苗字が
マスター・P・チョモラペット氏って呼ばれてたよ♪」
「――――えらいグローバル!! でもチョモラペット!?!?」
波乱万丈。マスターP氏の未来は、驚愕に満ちていた。
「あと、原発に変わる新しいエネルギー供給源を開発したり、ナチスドイツの残党共を単身で壊滅させたり、地球に迫る巨大隕石を食い止めたり。
だからパパって、ノーベル賞10個くらい取ってるのわよ。
これ歴史の教科書にも載ってる事だから、未来じゃみんな知ってるよ♪」
「すげぇなわい!? 名前チョモラペットなのに!!」
「だからね? あたしママの顔も、友達の顔も憶えてないけど、パパのことは分かるの♡
記憶喪失って言っても、別にぜんぶ忘れちゃうワケじゃなくてね?
自転車の乗り方は分かるし、方程式の解き方も、サッカーのルールも知ってる。
それと同じくらい、パパの存在って
お札にパパの絵が描かれてるんだもん」
「諭吉と同じカテゴリー!?
よぅ分からんが、記憶喪失に勝った!!!! やったぁー!」
たとえ記憶を失ったとしても、マスターP氏の事は忘れない。忘れられない。
それくらいこの人は、将来大暴れするらしい。世界を股にかけて。
「そ、それはともかく……おたくもチョモラペットなんか?
タイ人とかの感じには見えんが」
「ううん、あたしはパパが再婚した時の子供、なんだと思う。
だからタイ人じゃないし、ヒトミ・チョモラペットでもないのわよ」
「せやな、日本人顔だし。
まぁアメリカ人みてーなガタイしてっけども……。
つーかさっき、『ママの顔おぼえてない』って言ってたよな?
かーちゃんがどんなヤツなのかも、分かんないのか?」
「うん……ごめんなさい、パパ」
身長196cmで、板チョコみたいに腹筋バキバキ。アマゾネスめいた身体。
こんな子が生まれるんだし、わいは一体どんな女と結婚したのかが、非常に気になっていたのだが……。どうやらそれを知る術は無いようである。
(緑色の髪という事で、一瞬ランカ・リーの事を連想したけれど、でもHitomiいわく「あの人じゃないと思う」との事。どうやら無関係のようだ)
今この子は記憶喪失で、マスターP氏という“パパ”の事しか憶えていない状況。
しかも分かるのは顔とか経歴くらいで、どんな風に一緒に暮らしていたのかという、所謂“親子の思い出”の記憶は失っているのだという。
分かっているのは、「自分はパパに会いに来たんだ」、という目的。
そして胸の中にある、「あたしはパパが大好き」という、たとえ記憶を失くそうとも、決して忘れ得ないほどに強い気持ち。
その2つだけが、いま彼女が持っている物の全て。
それだけをギュッと握りしめて、彼女はこの見知らぬ町で、ひとり頑張っていたのだ。
頼れる人もおらず、衣食住にも事欠く状況下で、もう一か月もの間、ずっとパパを探して歩き回っていたのだという。
「ちなみにだけど、あたし“この服”の事も、よく知らないのわよ。
なんであたし、こんなの着てるんだろう? ナース服にしては変なデザインだけど……。
この時代の看護師さんって、こうなの?」
「いやそれ、
ナースキャップに十字架が書いてるし、胸元空いてるし、めっちゃピチピチのミニスカだし。
エロい!(迫真)」
えーぶぃ? なにそれパパ?
きっと未来には無い言葉だったのだろう。Hitomiは「はてな?」って感じの顔をするが、それを説明するのは憚られる感じなので、マスターP氏は無言を貫く。
というか、マスターP氏もまだ未成年だけどな! 知らないハズだけどな!
――――AV観たりとかしてないよね?! マスターPくん!(質問)
「だからね? あたし何にも分からないし、心細い……。
出来たら、パパと暮らせたらって思うんだけど……ダメかな?
パパにも都合あるだろうし、どーしてもダメなら、仕方ないわよケド……」
「……」
「で、でもね!? たまに会って欲しいのっ!
これからもパパに会えるんなら……、あたしきっと頑張れるから! 知らない町だってヘッチャラわよっ!
いっしょに暮らせなくたっていい! パパの傍にいたいの……! お願いっ……!!」
本当は、縋り付きたかったんだと思う。
飛びついて、ぜったい離さないって、ギュッと抱きしめたかったハズだ。
でもHitomiは、涙の滲んだ目でじっとP氏を見つめながら、ちゃんとその場に座ったままで、真剣にお願いする。
勢いとか、無理やりとか、腕力とか、そういうので押し切ってしまうのではなく、まっすぐに自分の気持ちを伝える。
たとえ身寄りが無く、どれだけ不安で怖かったとしても、パパの言うことなら聞く。パパに迷惑はかけないと。
だから、自分と会って欲しい――――あたしにはパパだけなの。
そんな健気でいじらしい、一生懸命なお願いの仕方だった。
見ていて、胸がキュンとつまるほどの。
「……アッハイ。コレ絶対めんどくさいヤツですわ。
間違いありませんねぇ(クソデカため息)」
顔を背け、この子に聴こえないくらい小さな声で、ボソッと呟いた。
……でもまぁ、わいマスターPですし? 雨に濡れた子犬とか、メッチャ拾ってくる方ですし? こんなの今さらかなぁ~。
そう人知れず、加えて一瞬にして「 覚 悟 完 了 ! 」を決めたマスターP氏は、まるで聖母マリアみたいに祈りながらウルウルしちゃってる女の子の方へ、改めて向き直る。
職を失ったばかりで、彼女にはフラれ、艦娘たちも出払っている最中だけど……そんなの関係あるかと。アイアム ザ マン!!
「あーこれ
じゃけん、そろそろ買い物に出掛けましょうねぇ!(人間の鑑)」
アメフトみたいな喜びのハグが、マスターP氏のアバラを粉砕。
流石はリアル・アマゾネス。軽トラくらいの衝撃力であった。
連載をします。
もう一度申し上げます、
こちらは起承転結における“起”の部分。
あとこの三倍くらいは書きますので、もしよろしければ、のんびりお待ち下さいませ♪
(hasegawa)