【リレー】今日もカオスなもんじゃ焼き   作:リレー小説実行委員会

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【劇場版】マジンガー絶頂(Z) Ⅵ

 

 

 

「何このお爺ちゃん……人間?」

 

 爆乳バスガイドことRuiが、信じられない物を見る目で、彼の方を向く。

 

「人間は、神速で地を駆けたりしないよぉ……?

 なんなのぉ、あのエグイ剣圧ぅ……?」

 

 ぜったい化け物だ。サイボーグか何かだ。

 爆乳チアガールことAiは確信する。なんだこの威圧感はと。

 

「自分は、元大日本帝国陸軍、船木一等兵。

 人はワシを、“ファンキー爺さん”と呼ぶ」

 

 まぁ、今から死ぬる主らに、名乗りなど無意味だが――――

 そう付け加え、ファンキー爺さんは父の形見である軍刀を、両手で握り直す。

 凄まじい握力を感じさせる【ギュウゥゥ……!】という音が、こちらにまで聴こえてきた。

 闘志マンマン、殺す気マンマンじゃないですか。

 

「……待って貰える? 私達三人は、この人の娘なの。

 確かに、少し変な雰囲気に、見えたかもしれないわ。

 でも家に帰ろうとしていただけよ」

 

「そ、そーだよおじいちゃ~ん☆ 勘違いだってぇ~♪」

 

 懐柔にかかる。わざとらしい猫なで声で。さりげなくムニッと胸の谷間を作り、女の武器を使いながら。

 ぶっちゃけ、いま二人は()()()()()()()()

 何この爺さん。こんなのとやり合いたく無いよ。だって目に狂気が宿ってるもん。殺し屋の目じゃんコレ。

 

「その御人は、美星町の長ぞ。

 加えて主らは、断じてカタギに非ず。

 ……そも、()()()()()()()()()()()()()

 

「っ!?!?」

 

「?!?!?!」

 

 ――――付け過ぎた! 筋肉付け過ぎた!! 背ぇ高くし過ぎた!!!!

 この映像をアジトで見守る爆乳ナイチンゲールこと力石さん(黒幕)が、人知れず冷や汗。

 自分に似せたのか、はたまた趣味に走ったのかは知らないが、明らかに愛娘たちの肉体美は、人知を超越していたのだ。

 

「えっ。私達って変……? ウソでしょう?」

 

「なんでバレたのぉ!? あーし達って普通の子と違うのぉ~?!」

 

「ワシ90年くらい生きとるけど、主らみたいなん見たの、初めてぞ?

 神話にしかおらぬわ、こんなアマゾネス。……よもや気付いとらんかったのか?」

 

 筋肉モリモリ、マッチョの変態エロガール達が、オロオロ狼狽える。

 こんなんによぅ偵察任務とか誘拐とか、させよう思ったな。目立って仕方ないだろうに。

 

「戯言はええ。主らはただ――――首を置いていけ」

 

「っ!?」

 

「ひぃ?!?!」

 

 エゲツナイ風切り音。

 なんとか超ギリギリで回避したが、ファンキー爺さんの放つ横薙ぎで、二人の髪が数本パラッと落ちる。

 なんちゅー切れ味だソレ。なんちゅー太刀筋だアンタ。殺意MAXやないか。

 

「米国との戦に敗れ、かの東京裁判により“B級戦犯”の汚名を着せられ、はや70年あまり……」

 

「一等兵なのにB級?!?!*1

 どれだけ殺し周ったらそうなるの!? 無茶苦茶じゃない貴方!!」

 

「平和の世に生き、固く口を閉ざし、ばあさんとのアチュラチュ☆ハッピーライフを謳歌しておったが……。久方ぶりに()()()()()()()()()

 なぁ? 首おいてけ――――その首おいてけ」

 

「そらアメリカに恨まれるよっ!

 いったい戦地で何があったの!? 言ってよお爺ちゃんっ!」

 

 主らの首を、我が父に捧げようぞ――――

 なんかファンキー爺さんのおめめが、すんごいグルグルしてる。

 このガタイの良い二人が、鬼畜米英とかに見えてるのかもしれない。

 積年の恨みがフラッシュバック!

 

「 ちぇぇぇえええりゃああああああッッッッ!!!!!!

  ワシの父を返せぇぇーッ!! 軍曹殿ぉぉぉおおおーーッッ!!!! 」

 

「無理無理無理っ! 死んじゃう! 死んじゃうわコレ!」

 

「聞いてないよこんなのぉー! あーしまだ生後1日なのにぃー!

 死にたくなぁーーいっ!」

 

 軍刀を振り回し、「きえーい!」と追い回す。

 二人は涙を撒き散らしながら、なりふり構わず必死こいて逃げる。

 噴水の周りを、何度も何度もグルグル。バターになりそうなくらい。

 

「て……撤退よAi! いったん退きましょう!」

 

「えっ、でもパパはぁ?! Hitomi姉さんは連れていかないのぉ!?」

 

 ぎゃー! こーろーさーれーるぅ~! って感じで、両手を万歳しながらガンダる。*2

 そんな最中、なんとか二人でコソコソ作戦会議。

 背後から迫るドドドドド! という足音に震えつつだが。土煙がすげぇ。

 

「そんなこと言ってる場合っ!? 想定外の事態で、首チョンパの危機なのよ!? 

 パパの居所は割れてる、また出直せばいいの!

 それに、出来損ないの姉さんなんて、もう構ってる余裕ないわ!」

 

「あっ! ここに置いて行けば、囮になるかもだねぇ?

 あーし達の役に立ってもらおーっ♪ Hitomi姉さんも本望っしょ☆」

 

 ヘルキャット印の閃光手榴弾が炸裂。

 金属を叩いたような音が、鼓膜をつんざき、辺り一帯が白い煙に包まれる。何も見えなくなる。

 

「不覚、取り逃がしたか。……次は必ず殺す(比類なき殺意)」

 

 フラストレーションを振り払うように、刀をビシュッ! と一振り。

 もう二人の姿はどこにも無かった。スタコラ逃げ去ったのだろう。まるでネコのように。

 

 その後、ファンキー爺さんは背後を振り返り、そこにいる男女に目を向ける。

 光のない目で、じっとその場に立っているHitomi。その胸に抱きかかえられ、気を失っているらしきマスターP氏の方へ。

 

「傀儡か。……哀れな、同胞に見捨てられるとは」

 

 クマの人形を抱きしめる少女のように、大事そうにP氏を抱えているのが分かる。

 その様は、愛らしく見えなくもないが……。

 

「死ね――――」

 

 

 おもむろに歩み寄り、一閃。

 ファンキー爺さんの刀が、Hitomiの首を目掛け、横薙ぎに放たれた。

 

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「おいおい……なんて斬撃だよ爺さん。

 両腕がしびれてやがる」

 

 キィィィーン! という固い音。

 それがこの場に、大きく響き渡った。

 

「……貴様、何者ぞ?」 

 

「お前こそ何だよクソが。

 わりぃけど、この人は()()でな。やらせるワケにはいかねぇ」

 

 ファンキー爺さんが、ギロリと眼前の女を睨む。

 天龍だ! 彼女が爺さんの前に立ちふさがり、斬撃を止めたのだ!

 もっとも、艦娘の艤装であるハズの愛刀は、半ばからポッキリ折れてしまったようだが。

 なれど、Hitomiは無事。咄嗟にこの場に駆けつけた天龍が、しっかりと守ってみせた。

 

「人ならざる者……、なれど邪気は無し。

 どけ、勇敢な娘よ。お主の首は獲らぬ」

 

「やだね、お前の言う事なんざ聞くかよ。

 オレに命令できんのは、P提督だけだ」

 

 へし折れ、半分の長さになった刀を、ビシッと突き付ける。

 意思を示すように。艦娘の矜持を見せつけるように。

 

「老人は敬え、って言うけどよ? アンタは別だよ爺さん。

 どうしてもってんなら、押し通れよ」

 

「その意気や良し。気に入ったぞ、娘」

 

 勝てぬ事など、承知している。だが退くのはあり得ない。

 それは艦娘の生き方では無いから。守るべき人達が、いま背中にいるから。

 向かい合う。お互い正眼の構えで。

 一足一刀の距離……から爪半分ほど離れた間合いで、静かに睨み合う。

 

 

「――――お爺さぁ~ん! ご飯が出来ましたよぉ~!

 貴方の大好きな、筑前煮ですよぉ~♪」

 

「おぉワイフ! ファンキーマイワイフ!

 いま行くぞぉー妻よぉー☆」

 

「ずこぉぉぉーーーーーーっ!!!!!!」

 

 てってけてー♪ と爺さんが踵を返す。

 そのまま迎えに来たお婆さんのもとへ、駆け寄って行った。

 

「今日は上手に出来たの。鶏肉も柔らかくなりましたよ♪

 味のヤマモト(有)のちくわも入ってます♪」

 

「そいつぁ楽しみじゃーい! 婆さんの料理は、宇宙一じゃあああーい!!」

 

「おい爺さん! アンタそれで良いのかっ!?

 デレッデレじゃねーかよ!」

 

 さっきまでの絶人ぶりはどうした。形無しじゃないか。

 もしかすると、この美星町で最強なのは、あの優し気なお婆さんなのかもしれない(爺さんを制御出来るという意味で)

 天龍は地面にひっくり返りながら言い募るが、爺さんはもうテンションMAXだ。心から妻を愛しているのだろう。ラブラブであった♡

 

「あ、ファンキー爺さんだ。この前はぶっ殺しちゃってゴメンね♪」

 

「ぬぅ! 貴様、剛力甘男!!(アンパンマン)

 ここで会ったが百年目じゃーい! きぃえええーーい!」

 

「あらまぁ、どこへ行くんですかお爺さん。あらあらあら♪」

 

「……」

 

 偶然通りかかったアンパンマン目掛け、ファンキー爺さんが突進していく。

 後を追ったお婆さん共々、嵐のようにこの場から去って行った。

 忙しい人達だ。

 

「ッ! おいHitomiッ!?」

 

 あまりの展開に、天龍が呆けていた所……背後で物音。

 バタリと、糸が切れたようにHitomiが倒れる音が聞こえ、即座に駆け寄る。

 

 あのヘルキャットの二人が去った事で、彼女を縛っていた呪詛が解けたのだろう。

 グッタリと力が抜け、地面に倒れ込んでいる。

 

 それでも、まるで宝物のようにP氏を抱きかかえたまま、微塵も離す気配が無い。

 たとえ無意識下でも、パパを守っているかのように。

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「あれ……? あたし、どーしテ……」

 

 もうすっかり夜となった、午後8時頃。

 寝かされていたベンチの上で、Hitomiは目覚めた。

 

「よぉ、災難だったな。

 なにはともあれ、お前が無事でよかった」

 

 パチクリとまばたき、キョロキョロと見渡せば、すぐ傍に天龍の姿。

 彼女はHitomiに寄り添い、ずっと看病をしてくれていたのだ。

 額の上に、濡れたハンカチがあるのを見つけ、それを察する。

 

「怪我は無いようだが、頭痛とかは? 無理して動かなくていいぜ」

 

「ててテンリューさん!? あ……あのあのっ!!」

 

 慌てて姿勢を正し、ベンチの上に正座。

 動かなくて良いと言われたのに、めっちゃ機敏な動き。

 それを見た時、天龍は「へっ!」と小さく苦笑。どこか照れくさそうな顔で。

 

「あたし、テンリューさんに酷いコトを……。

 いっぱい反省しなきゃって……」

 

「おっと、その話はいい。

 今は負傷兵みたいなモンだろお前。安静にしてろ」

 

 グイッと額を押し、Hitomiをコテンと寝かせる。

 わー! というカワイイ声が聞こえたが、容赦なんてしない。

 

「……すまねぇ、こりゃオレの責任だ。

 お前を外にほっぽり出したから……。面目次第もねぇ」

 

 “提督の娘”は、立派な護衛対象だろうに。

 オレはどうかしてたんだ、すまねぇ――――

 そう天龍が頭を下げる。これは自分の罪だと、沈痛の面持ちで。

 

「オレ達には、たくさん敵がいる。

 お前が狙われる事態だって、充分ありえたんだ。……なのに」

 

「ちょ! 待ってヨ! 悪いのはあたしなのに!」

 

 すまねぇ、すまねぇ。ごめんなさい! ごめんなさい!

 そうお互いペコペコ。必死に謝り合う。

 傍から見てれば「なんだコレ」みたいな感じだが、どこか微笑ましい光景。

 

「んじゃ、仲直り……だな?」

 

「うん。あたしテンリューさんと、友達になりたい。

 いい子になって、みんなの役に立ちたい。テンリューさんみたいに」

 

 フフッと、微笑み合う。

 夜の公園で、スポットライトみたいな街燈に、ふたり照らされながら。

 

「おっ、オレがいい子だぁ!? そりゃねーだろオイ……Hitomiよぉ」

 

「そんなこと無いのわよ。テンリューさんやさしーもん♪

 ちっちゃくてカワイーし♪」

 

「おぉい!?!?」

 

 手を引いて、Hitomiを立たせてやる。

 宝塚の女優さんみたいに凛々しい天龍がやると、その仕草はまるで、物語の王子様みたい。

 まぁ背丈に関しては、Hitomiの方が圧倒的におっきいのだけど。

 

「にしても、さっきのありゃ何だぁ?

 公園にモクモク煙が上がって、そっから誰かが飛び出してくのを見たが……何があったんだ?」

 

 二人で寄り添いながら歩き、すぐ隣のベンチへ。

 そこには、未だに「ぐがぁ~!」と気持ち良さげに眠る、P氏の姿。

 パパの寝顔を見つめながら、Hitomiは小さく首を横に振る。

 

 

「分からないの、何にも。

 憶えてない……。なんであたし、気を失ったりなんか……」

 

 

 

 

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「失敗、かぁ。

 なかなか上手くいかないわねぇ。何なのよあの爺さんは……」

 

 美星町は恐ろしい所だ。まさかあんな伏兵が、普通に町を闊歩しているとは……。

 ともかく、Hitomi達が映っているモニターを眺めながら、薄暗い自室でコーヒーをひとくち。

 爆乳ナイチンゲールこと力石さんが、小さくため息を吐く。

 

あの御方(ピンキー様)は大喜びしそうな、ドタバタだったけど。

 ま、焦らずやりますかぁ」

 

 相手はあのP君、一筋縄でいくとは思っていない。

 艦娘たちも居れば、本人もエゲツナイ戦闘力なのだ。簡単にいくハズも無し。

 

「けど彼は、お気楽でお人好し。

 あの子の出生も、その真偽も、さして気にしてはいない。

 物を考えてないように見えるなぁ……アホなの?」

 

 なれば、引っ掻き回してやればいい。

 彼の心に取り入り、信用させ、絆なんてクダラナイ物を育めばいい。

 そうすれば、彼はあの子に手出し出来なくなる――――敵だというのに、逆に守ろうとするだろう。

 その命が尽きる最後の瞬間まで、父親ヅラをして。

 これが仕組まれた事だとも知らずに。

 

「ここから楽しくなるよ? 大変だねぇP君。

 私のヒーローさん?」

 

 モニターに映る、グースカ眠っているP氏の顔を、何気なくツンツン。

 束の間の休息だね。しっかり身体を休めてね。また忙しくなるだろうからさ。

 

 

「早く会いに来て。私はここに居るよ?

 愛しの旦那様♪」

 

 

 

 

 巨大なバストがぷるるんと揺れる。

 けれどその顔は、まごう事なき、恋する乙女の物――――

 

 

 

 

 

 

*1
本来B級戦犯は、指揮官とかの偉い人にしか適応されない。一応は義父である軍曹殿が戦死して以降、代理で部隊を率いていた時期があったので、それで無理やりB級にねじ込まれたのかもしれない。

*2
【ガンダる】 ガンダッシュ。本気走りの事。

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