【リレー】今日もカオスなもんじゃ焼き 作:リレー小説実行委員会
「シャイニー
「いやいや、ジュラシック木澤でしょ。なに言ってるのよ
Hitomiの両肩にチョコンと座りながら、電と
どうやら二人の間で、意見が割れているようだ。
「シャイニーさんの腹筋は、天下無双なのです! 一番なのです!
“沼”もおいしーのです!」*1
「そりゃ日本のトップフィジーカー*2だし、凄いと思うわよ?
でも私は、ジュラシック木澤さんみたいに、身体の大きな人が好き!
バルクの説得力が違うわっ!」
「むきぃー! なのです!」
「ぷんぷん! だわっ!」
きっと、Hitomiお姉さんと出会った影響なのかも。
現在、第六駆逐隊のメンバー達は、暇さえあればYouTubeなどで、ボディビルを観まくっている。筋肉の魅力に目覚めちゃったのだ!
今日も自分の好きなビルダーについて、こうして激論を交わしている次第である。
あと“好きな筋肉の部位”に関しても、それぞれ拘りがあるようで。
電は腹筋、雷は上腕二頭筋(力こぶ)、暁はちょっとオシャマに下腿三頭筋(ふくらはぎ)、そして響はセクシーな大殿筋(おしり♡)が好きだったりする。
同じ釜の飯を食う仲間とはいえ、譲れない物もあるのだった。
「でもあれかな? やっぱりぼくは、Hitomiさんが好きかな」
「うん! Hitomiさんが一番キレーよ♪
私おっきくなったら、絶対Hitomiさんみたいになるねっ!
がんばって牛乳飲むって決めたの♪」
おててを繋いで貰い、彼女と並んで歩く響&暁が、無邪気にニコニコ。
Hitomiの方も、それにあったかい笑顔を返す。みんなとても楽しそうだ。
通りすがる町の人々も、彼女らの姿を微笑ましく見守る。
ロリと筋肉! 筋肉&ロリ! ああなんと素晴らしいッ!!(迫真)
いま道ですれ違ったおじさんが、「バーサーカーは、世界で一番つよい――――」となんか意味の分からない事を言っていたが、あれはいったい何だったのだろう?
感涙してたっぽい雰囲気だったが、このシチュが彼の琴線に触れちゃったのか。尊いと。
「あれ? 貴方たちは……」
「びくぅ!?」
「ひぃっ!!」
やがて、美星鎮守府ことアパートに到着。
買い物袋を下げて帰宅したHitomiが見たのは、かの【
何故か彼女達が部屋に居て、こちらを見て怯えているらしき光景だった。
――――や、やばいよお姉ちゃんっ! 絶対やられちゃうよぉ!
――――こんな栄養失調の身体じゃ、ボコボコにされてしまう! 成す術がないわ!
そう二人は抱き合って、こちらを見ながらブルブルと震えている様子。
もう見ていて哀れなほど、Hitomiの事を怖がっているようだ。
腹ペコの自分たちとは違い、Hitomiの方は健康そのもの。
P氏の家にやって来てからは、毎日充分な食事を摂り、とても肌艶が良くなった。
しかも、以前「お水飲んでたら筋肉付いちゃうのわよ」と言っていた彼女。それがちゃんとご飯を食べたらどうなるか? 答えはお察しの通り。
今のHitomiは、筋肉の張り、バルク、筋力、そのどれを取っても最高の状態――――
ただでさえ、身体能力では三姉妹で一番だったのに、ここに来て絶望的なまでの差が出来てしまった。
こんなグーペコでフラフラな身体じゃ、きっと二人揃って、一瞬で倒されてしまうだろう。
しかも……今の自分たちには“交戦の意思”が無い。
たくさん反省した事もあり、もうHitomiを傷付けるつもりも、パパに悪さをするつもりも、サラサラありはしないのだ。
ゆえに、もう抗う術がない。抵抗することも出来ないし、したくはない。
たとえ殴られようが、ボコボコにされようが、黙ってこの身を差し出すこと以外、彼女らには無いのだった。
「あ、これアカンやつなのわよ(察し)」
可哀想なくらい怖がっている爆乳バスガイドことRuiと、爆乳チアガールことAi。
彼女らを一瞥した途端、Hitomiは「あらいけない」とばかりに、テテテと駆け寄った。
本当に、何気ない足取りで。
関係ないが、なんかパパの口調が移ってるような気もする。
「これ食べる? ほら、アタシのお菓子あげる」
「えっ……」
「っ!」
そして、おもむろに差し出す。「はい」って感じで。
さっきスーパーで買って来たアポロチョコの箱を、二人に手渡してあげた。
「おいしいよ? 第六の子達のおすすめ。
泣いてちゃダメなのわよ。元気だして♪」
にぱっ☆ と花のように笑う。
とても無邪気に、そして柔らかな表情で。
二人は「ぽかーん」と見つめる。そのあまりの慈愛に。
あたかも、子供に接するお姉さん。いやそのものだったから。
「昨日、会ったよね? パパにも会いに来たの?
ならあたしと一緒だネ♪」
茫然としたまま、カラフルなお菓子の箱を受け取る。
何をどう思えばいいのか、これは一体どういう事なのか、理解が追いつかなかった。
「えとっ……! Hitomi姉さんは、怒ってないのぉ……?」
「だって私達、昨日は……」
「ん?」
キョトン。そしてコテンと首を傾げる。Hitomiは不思議そうな顔。
こちらの事をしっかり憶えているのなら、昨日自分たちがした仕打ちの事も、しっかり分かっているハズなのに。でも自分たちの姉は、すごくのんきでいらっしゃった。
「あぁー! なんか言ってたねェ、いろいろ♪
でもごめん、
「っ!?」
「?!?!?!」
――――気にしてないんじゃなく、理解していなかった!!(迫真)
ぜったい怒られると覚悟してたのに、思わぬ展開であった。
「貴方たちは“家族”なんだよネ? あたしのこと“姉さん”って言ってたし。
ごめんね、あたし記憶喪失っぽくて……。許してほしいのわよ……」
「いやっ、それ姉さんのせいじゃないしぃ!?
ぜんぜん悪くなんてないよぉーっ!」
妹のことを忘れちゃうなんて……酷いよね。
そうHitomiが辛そうな顔。慌ててAiがフォローを入れた。
「でも姉さん、憶えているでしょう?
昨日は酷い事をたくさん言ったし、私なんて暴力まで……。
だから私達が叱られるのは、当然だって……」
「えっ。
お姉チャンなのに、『貴方たちなんか知らない』って言ったデショ?
それで怒ったんじゃないの?」キョトン
家族なのに知らないって言われたら、そりゃーすごく悲しいのわよ。叩かれたって仕方ないもん。
どうやらHitomiは、昨日の事をそう解釈しているらしい。
Hitomiは昨日、彼女らのあまりの威圧感に押され、とても混乱していた自覚がある。
ゆえに、むしろ「怖がっちゃってごめんね。分からなくてゴメン」と、逆に二人に謝る始末だった。
「うわぁ! また綺麗なお姉さん達がいるぅー!」
「すごいのです! Hitomiさんそっくりなのです!」
「ハラショー」
そして、第六駆逐隊の子達も、ダダダーッとこの場になだれ込んでくる。
オロオロとしている二人を余所に、キャッキャと嬉しそうに纏わりつく。まるでジャングルジムでも見つけたかのように。子供は無邪気である。
だがそれによって、さっきまでの空気や緊張が、一気に弛緩するのを感じた。
あれだけ恐怖に怯えていた心が、Hitomiや子供達の笑顔によって、やわらかく溶かされていく。
「あれっ、シノノメちゃん! あたしに会いに来てくれたのっ!?」
「あはっ♪ 世間は狭いですぅ♪
まさかHitomiさんも、P氏の娘さんだったとは♪」
傍で様子を見守っていた東雲が、「うふふ♪」と微笑みを返す。
そして再会を喜ぶように、キュッと手を取り合った。
ニコーッ! っと最高の笑顔で見つめ合う。
「シノノメちゃん! シノノメちゃん!
ねぇオムライス食べよ! パパが作ってくれるのわよっ!
これね、あたしがお願いしたんだ♡ とっても美味しいヨ♡」
「はい、ではお呼ばれしますぅ♪ いっしょに食べましょう♪」
なんか彼女たちの周りだけ、少女漫画みたいにキラキラだ。花とかまで幻視しちゃう程に。
Hitomiがハイテンションで東雲の方へ行ってしまった事で、ヘルキャットの二人はポツン。取り残される。
――――なんか知らないけど、許されたっぽい? Hitomi姉さん天使じゃん!?
パチクリとまばたきをしながら、二人で顔を見合わせるのだった。
「おいP提督ぅー、お客さんだぜぇー! 入ってもらって良いかぁー?」
「あの……お久しぶりですマスターPさん……。
ちょっとこれ、作り過ぎちゃいまして……」
そうこうしていると、部屋のドアが開く音。
表で警備をしてくれていた天龍が、なにやら客人を連れて来たらしい。
それを見たマスターP氏は、慌ててイソイソと玄関へお出迎えに向かう。
「あーっ、こりゃどうもどうも! セキゾノフさん!
いつもほんまサーセン! めっちゃ助かりますわー!」
「いやあの……喜んで食べてくれるから……。
自分も嬉しくて……つい張り切って作っちゃって……」
料理の入ったお鍋を、P氏に渡してくれる。
――――彼の名は【スナハァラ・セキゾノフ】
P氏の住むアパートのお隣さんであり、こうして大量のボルシチを作っては、3日に一回くらいおすそ分けをしに来てくれる、優しいおっさんである。
その顔には、ナイフで斬り付けられたような十字傷があり、なんでも彼は退役軍人なのだそうだ。
通称【砂漠の狼】と呼ばれ、現役の頃は世界各地の紛争に参加。沢山の功績をあげた優秀な兵士だったらしい。とっても凄い人なのだ。
様々な軍用兵器や銃器の扱いに精通しており、加えて自らが考案した“プリキュアシステマ”という格闘術の使い手。
兵士を辞めた今は、まるで癒しや心の安寧を求めるかように、毎週デリシャスパーティ♡プリキュアを視聴するのが生き甲斐という40才の男だ。
ちなみに彼は“隠れシタタリアン”*3であり、家の居間には大きな壺が飾ってあったりもする。おちんちんみたいな形の。
「あーそうそう! 今オムライス作ってるんすよ、セキゾノフさん!
良かったら持ってって下さいよ! いつも貰ってばっかだし!
遠慮すんなよすんなよー!」
「ほんとですか……? それは楽しみだ……。
私はオムレツやオムライスなどの、卵料理が好物なんだ……。嬉しいですPさん……」
この人は喋る時、
なんでか知らないが、いつも自信なさげに、申し訳なさそ~に話しよるのだ。
一体それには、どんな理由があるのだろう? 謎だ。
「あ、ロリコンのおじさーん! おはよーなのです!」
「――――ろっ、ロロロリコンちゃうわ!!!!(迫真)」
雷の無邪気な挨拶に、顔を真っ赤にして反論。
いつもは三点リーダーの口調だが、こうして“ロリコン呼ばわり”された時にだけ、大声を出すのである。
それがとっても面白くて、駆逐艦のロリっ子たちは、よく彼をロリコンと呼ぶ。
まぁ、なんか3日に一回くらいボルシチ持ってくるし。怪しくない事もないし(真顔)
「別に必死こいて否定しなくていーすよ?
「 ロリコンちゃうわ!! 決してロリコンちゃうわ!!
こそっとメスガキ小説とか読んでたけど、ロリコンとちゃうわ! 」
「したたる教もこそっと信仰してるし、あと
感想コメントもロクに残さんと、隠れて読んでたじゃんすか。恥ずかしーんすか?」
「 ホモじゃない! そしてロリコンじゃない!
あくまで“私の友達”がそうなだけであって、決して私自身は違うッ!! 」
「――――あーっ、ごめんなさいですぅー! 湯呑がぁぁーっ!!」
「えっ? あっつッッ!!?? うぎゃああああああーーッ!!!!」
ふいに東雲がドテーッと躓き、ひっくり返した湯呑がスナハァラ・セキゾノフさんを直撃。頭から熱湯を被る。
「 あっつ!? コレあちゅぅぅぅ~~い!!
キュアプレシャスの、デリシャスプレシャスヒートよりあちゅぅぅぅ~~い!! 」
「おっ、セキウノフさん大丈夫か大丈夫か?」
「ホモだいじょぶ? ロリコン火傷してナイ?」
「 ホモでもロリコンでもないッ!! 」
ちきしょー! と叫びながら、シャツを脱ぎ捨てたスナハァラ・セキゾノフさんが、外へ駆け出す。
熱湯を被ってしまい、パニックを起こして半裸で飛び出していった。
「ボルシチありがとネー。
「――――ホリコンって何だよ!!!!(迫真)」
Hitomiが手をフリフリしながら言う無邪気な言葉にも、律義に全部反応。
セキゾノフさん捕まらないといいなぁ、と思う一同だった……(三点リーダー)