【リレー】今日もカオスなもんじゃ焼き   作:リレー小説実行委員会

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【劇場版】マジンガー絶頂(Z) Ⅷ

 

 

 

「シャイニー(あざみ)なのです! シャイニー薊に決まってるのです!」

 

「いやいや、ジュラシック木澤でしょ。なに言ってるのよ(いなずま)

 

 Hitomiの両肩にチョコンと座りながら、電と(いかずち)が言い争い。

 どうやら二人の間で、意見が割れているようだ。

 

「シャイニーさんの腹筋は、天下無双なのです! 一番なのです!

 “沼”もおいしーのです!」*1

 

「そりゃ日本のトップフィジーカー*2だし、凄いと思うわよ?

 でも私は、ジュラシック木澤さんみたいに、身体の大きな人が好き!

 バルクの説得力が違うわっ!」

 

「むきぃー! なのです!」

 

「ぷんぷん! だわっ!」

 

 きっと、Hitomiお姉さんと出会った影響なのかも。

 現在、第六駆逐隊のメンバー達は、暇さえあればYouTubeなどで、ボディビルを観まくっている。筋肉の魅力に目覚めちゃったのだ!

 今日も自分の好きなビルダーについて、こうして激論を交わしている次第である。

 

 あと“好きな筋肉の部位”に関しても、それぞれ拘りがあるようで。

 電は腹筋、雷は上腕二頭筋(力こぶ)、暁はちょっとオシャマに下腿三頭筋(ふくらはぎ)、そして響はセクシーな大殿筋(おしり♡)が好きだったりする。

 同じ釜の飯を食う仲間とはいえ、譲れない物もあるのだった。

 

「でもあれかな? やっぱりぼくは、Hitomiさんが好きかな」

 

「うん! Hitomiさんが一番キレーよ♪

 私おっきくなったら、絶対Hitomiさんみたいになるねっ!

 がんばって牛乳飲むって決めたの♪」

 

 おててを繋いで貰い、彼女と並んで歩く響&暁が、無邪気にニコニコ。

 Hitomiの方も、それにあったかい笑顔を返す。みんなとても楽しそうだ。

 

 通りすがる町の人々も、彼女らの姿を微笑ましく見守る。

 ロリと筋肉! 筋肉&ロリ! ああなんと素晴らしいッ!!(迫真)

 いま道ですれ違ったおじさんが、「バーサーカーは、世界で一番つよい――――」となんか意味の分からない事を言っていたが、あれはいったい何だったのだろう?

 感涙してたっぽい雰囲気だったが、このシチュが彼の琴線に触れちゃったのか。尊いと。

 

 

 

「あれ? 貴方たちは……」

 

「びくぅ!?」

 

「ひぃっ!!」

 

 やがて、美星鎮守府ことアパートに到着。

 買い物袋を下げて帰宅したHitomiが見たのは、かの【ヘルキャット( 性悪女 )】の二人。

 何故か彼女達が部屋に居て、こちらを見て怯えているらしき光景だった。

 

 ――――や、やばいよお姉ちゃんっ! 絶対やられちゃうよぉ!

 ――――こんな栄養失調の身体じゃ、ボコボコにされてしまう! 成す術がないわ!

 そう二人は抱き合って、こちらを見ながらブルブルと震えている様子。

 もう見ていて哀れなほど、Hitomiの事を怖がっているようだ。

 

 腹ペコの自分たちとは違い、Hitomiの方は健康そのもの。

 P氏の家にやって来てからは、毎日充分な食事を摂り、とても肌艶が良くなった。

 しかも、以前「お水飲んでたら筋肉付いちゃうのわよ」と言っていた彼女。それがちゃんとご飯を食べたらどうなるか? 答えはお察しの通り。

 

 今のHitomiは、筋肉の張り、バルク、筋力、そのどれを取っても最高の状態――――

 ただでさえ、身体能力では三姉妹で一番だったのに、ここに来て絶望的なまでの差が出来てしまった。

 こんなグーペコでフラフラな身体じゃ、きっと二人揃って、一瞬で倒されてしまうだろう。

 

 しかも……今の自分たちには“交戦の意思”が無い。

 たくさん反省した事もあり、もうHitomiを傷付けるつもりも、パパに悪さをするつもりも、サラサラありはしないのだ。

 

 ゆえに、もう抗う術がない。抵抗することも出来ないし、したくはない。

 たとえ殴られようが、ボコボコにされようが、黙ってこの身を差し出すこと以外、彼女らには無いのだった。

 

「あ、これアカンやつなのわよ(察し)」

 

 可哀想なくらい怖がっている爆乳バスガイドことRuiと、爆乳チアガールことAi。

 彼女らを一瞥した途端、Hitomiは「あらいけない」とばかりに、テテテと駆け寄った。

 本当に、何気ない足取りで。

 関係ないが、なんかパパの口調が移ってるような気もする。

 

「これ食べる? ほら、アタシのお菓子あげる」

 

「えっ……」

 

「っ!」

 

 そして、おもむろに差し出す。「はい」って感じで。

 さっきスーパーで買って来たアポロチョコの箱を、二人に手渡してあげた。

 

「おいしいよ? 第六の子達のおすすめ。

 泣いてちゃダメなのわよ。元気だして♪」

 

 にぱっ☆ と花のように笑う。

 とても無邪気に、そして柔らかな表情で。

 二人は「ぽかーん」と見つめる。そのあまりの慈愛に。

 あたかも、子供に接するお姉さん。いやそのものだったから。

 

「昨日、会ったよね? パパにも会いに来たの?

 ならあたしと一緒だネ♪」

 

 茫然としたまま、カラフルなお菓子の箱を受け取る。

 何をどう思えばいいのか、これは一体どういう事なのか、理解が追いつかなかった。

 

「えとっ……! Hitomi姉さんは、怒ってないのぉ……?」

 

「だって私達、昨日は……」

 

「ん?」

 

 キョトン。そしてコテンと首を傾げる。Hitomiは不思議そうな顔。

 こちらの事をしっかり憶えているのなら、昨日自分たちがした仕打ちの事も、しっかり分かっているハズなのに。でも自分たちの姉は、すごくのんきでいらっしゃった。

 

「あぁー! なんか言ってたねェ、いろいろ♪

 でもごめん、()()()()()()()()()()()()()()()

 

「っ!?」

 

「?!?!?!」

 

 ――――気にしてないんじゃなく、理解していなかった!!(迫真)

 ぜったい怒られると覚悟してたのに、思わぬ展開であった。

 

「貴方たちは“家族”なんだよネ? あたしのこと“姉さん”って言ってたし。

 ごめんね、あたし記憶喪失っぽくて……。許してほしいのわよ……」

 

「いやっ、それ姉さんのせいじゃないしぃ!?

 ぜんぜん悪くなんてないよぉーっ!」

 

 妹のことを忘れちゃうなんて……酷いよね。

 そうHitomiが辛そうな顔。慌ててAiがフォローを入れた。

 

「でも姉さん、憶えているでしょう?

 昨日は酷い事をたくさん言ったし、私なんて暴力まで……。

 だから私達が叱られるのは、当然だって……」

 

「えっ。()()()()()()()()()()()? 後ですんごい反省したモン。

 お姉チャンなのに、『貴方たちなんか知らない』って言ったデショ?

 それで怒ったんじゃないの?」キョトン

 

 家族なのに知らないって言われたら、そりゃーすごく悲しいのわよ。叩かれたって仕方ないもん。

 どうやらHitomiは、昨日の事をそう解釈しているらしい。

 Hitomiは昨日、彼女らのあまりの威圧感に押され、とても混乱していた自覚がある。

 ゆえに、むしろ「怖がっちゃってごめんね。分からなくてゴメン」と、逆に二人に謝る始末だった。

 

「うわぁ! また綺麗なお姉さん達がいるぅー!」

 

「すごいのです! Hitomiさんそっくりなのです!」

 

「ハラショー」

 

 そして、第六駆逐隊の子達も、ダダダーッとこの場になだれ込んでくる。

 オロオロとしている二人を余所に、キャッキャと嬉しそうに纏わりつく。まるでジャングルジムでも見つけたかのように。子供は無邪気である。

 

 だがそれによって、さっきまでの空気や緊張が、一気に弛緩するのを感じた。

 あれだけ恐怖に怯えていた心が、Hitomiや子供達の笑顔によって、やわらかく溶かされていく。

 

「あれっ、シノノメちゃん! あたしに会いに来てくれたのっ!?」

 

「あはっ♪ 世間は狭いですぅ♪

 まさかHitomiさんも、P氏の娘さんだったとは♪」

 

 傍で様子を見守っていた東雲が、「うふふ♪」と微笑みを返す。

 そして再会を喜ぶように、キュッと手を取り合った。

 ニコーッ! っと最高の笑顔で見つめ合う。

 

「シノノメちゃん! シノノメちゃん!

 ねぇオムライス食べよ! パパが作ってくれるのわよっ!

 これね、あたしがお願いしたんだ♡ とっても美味しいヨ♡」

 

「はい、ではお呼ばれしますぅ♪ いっしょに食べましょう♪」

 

 なんか彼女たちの周りだけ、少女漫画みたいにキラキラだ。花とかまで幻視しちゃう程に。

 Hitomiがハイテンションで東雲の方へ行ってしまった事で、ヘルキャットの二人はポツン。取り残される。

 ――――なんか知らないけど、許されたっぽい? Hitomi姉さん天使じゃん!?

 パチクリとまばたきをしながら、二人で顔を見合わせるのだった。

 

 

 

「おいP提督ぅー、お客さんだぜぇー! 入ってもらって良いかぁー?」

 

「あの……お久しぶりですマスターPさん……。

 ちょっとこれ、作り過ぎちゃいまして……」

 

 そうこうしていると、部屋のドアが開く音。

 表で警備をしてくれていた天龍が、なにやら客人を連れて来たらしい。

 それを見たマスターP氏は、慌ててイソイソと玄関へお出迎えに向かう。

 

「あーっ、こりゃどうもどうも! セキゾノフさん!

 いつもほんまサーセン! めっちゃ助かりますわー!」

 

「いやあの……喜んで食べてくれるから……。

 自分も嬉しくて……つい張り切って作っちゃって……」

 

 料理の入ったお鍋を、P氏に渡してくれる。

 ――――彼の名は【スナハァラ・セキゾノフ】

 P氏の住むアパートのお隣さんであり、こうして大量のボルシチを作っては、3日に一回くらいおすそ分けをしに来てくれる、優しいおっさんである。

 

 その顔には、ナイフで斬り付けられたような十字傷があり、なんでも彼は退役軍人なのだそうだ。

 通称【砂漠の狼】と呼ばれ、現役の頃は世界各地の紛争に参加。沢山の功績をあげた優秀な兵士だったらしい。とっても凄い人なのだ。

 

 様々な軍用兵器や銃器の扱いに精通しており、加えて自らが考案した“プリキュアシステマ”という格闘術の使い手。

 兵士を辞めた今は、まるで癒しや心の安寧を求めるかように、毎週デリシャスパーティ♡プリキュアを視聴するのが生き甲斐という40才の男だ。

 

 ちなみに彼は“隠れシタタリアン”*3であり、家の居間には大きな壺が飾ってあったりもする。おちんちんみたいな形の。

 

「あーそうそう! 今オムライス作ってるんすよ、セキゾノフさん!

 良かったら持ってって下さいよ! いつも貰ってばっかだし!

 遠慮すんなよすんなよー!」

 

「ほんとですか……? それは楽しみだ……。

 私はオムレツやオムライスなどの、卵料理が好物なんだ……。嬉しいですPさん……」

 

 この人は喋る時、()()()()()()()()()()()()()()()という、変わった特徴がある。

 なんでか知らないが、いつも自信なさげに、申し訳なさそ~に話しよるのだ。

 一体それには、どんな理由があるのだろう? 謎だ。

 

「あ、ロリコンのおじさーん! おはよーなのです!」

 

「――――ろっ、ロロロリコンちゃうわ!!!!(迫真)」

 

 雷の無邪気な挨拶に、顔を真っ赤にして反論。

 いつもは三点リーダーの口調だが、こうして“ロリコン呼ばわり”された時にだけ、大声を出すのである。

 それがとっても面白くて、駆逐艦のロリっ子たちは、よく彼をロリコンと呼ぶ。

 まぁ、なんか3日に一回くらいボルシチ持ってくるし。怪しくない事もないし(真顔)

 

「別に必死こいて否定しなくていーすよ?

 ()()()()()()()()()()()()()。HENTAIの国じゃないすかセキゾノフさん」

 

「 ロリコンちゃうわ!! 決してロリコンちゃうわ!!

  こそっとメスガキ小説とか読んでたけど、ロリコンとちゃうわ! 」 

 

「したたる教もこそっと信仰してるし、あとB()L()()()も読んでましたよね? 衆道とかのヤツ。

 感想コメントもロクに残さんと、隠れて読んでたじゃんすか。恥ずかしーんすか?」

 

「 ホモじゃない! そしてロリコンじゃない!

  あくまで“私の友達”がそうなだけであって、決して私自身は違うッ!! 」

 

「――――あーっ、ごめんなさいですぅー! 湯呑がぁぁーっ!!」

 

「えっ? あっつッッ!!?? うぎゃああああああーーッ!!!!」

 

 ふいに東雲がドテーッと躓き、ひっくり返した湯呑がスナハァラ・セキゾノフさんを直撃。頭から熱湯を被る。

 

「 あっつ!? コレあちゅぅぅぅ~~い!!

  キュアプレシャスの、デリシャスプレシャスヒートよりあちゅぅぅぅ~~い!! 」

 

「おっ、セキウノフさん大丈夫か大丈夫か?」

 

「ホモだいじょぶ? ロリコン火傷してナイ?」

 

「 ホモでもロリコンでもないッ!! 」

 

 ちきしょー! と叫びながら、シャツを脱ぎ捨てたスナハァラ・セキゾノフさんが、外へ駆け出す。

 熱湯を被ってしまい、パニックを起こして半裸で飛び出していった。

 

 

「ボルシチありがとネー。()()()()また来てネー」

 

「――――ホリコンって何だよ!!!!(迫真)」

 

 

 

 

 

 Hitomiが手をフリフリしながら言う無邪気な言葉にも、律義に全部反応。

 セキゾノフさん捕まらないといいなぁ、と思う一同だった……(三点リーダー)

 

 

 

 

 

*1
【沼】 氏が考案した、オクラやワカメや鶏むね肉などが入った、御粥のような料理。お米を水分で膨らませているので、少量でも満足感があり、PFCバランスも完璧。とても良い減量食として、ダイエット業界で一世を風靡した。……しかしその反面、オクラやワカメをドロドロになるまで煮込んでいるので、見た目が物凄く悪く、まさにその名の通り“沼”という感じ。とても人間の食べ物とは思えない程である。ちなみにシャイニー薊さんは元料理人なので、味そのものはとても美味しく、食べやすさや作りやすさ、コスパの点で見ても、パーフェクトと言える料理だったりする。オススメです☆

*2
【フィジーク】 ボディビル競技の種目のひとつ。「ビーチでカッコいい身体」という趣旨があり、大会では海パンを穿いて出場する。上半身の筋肉が主な審査対象となる。身体の大きさではボディビルダーに軍配が上がるものの、美しくてバランスの良い筋肉が特徴。「オリバではなく刃牙みたいな身体」とイメージすると、分かりやすいかもしれない。

*3
【シタタリアン】 したたる教信者の事。でも「おちんちんを信仰してるの知られたら恥ずかしい!」という事で、隠れて信仰しているタイプの人達。

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