【リレー】今日もカオスなもんじゃ焼き   作:リレー小説実行委員会

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【劇場版】マジンガー絶頂(Z) Ⅸ

 

 

 

 

「――――うぼぉい!! なにウチの信者を、イジめてくれてるのぉん!?」

 

 バーン! と大きな音を立てて、部屋のドアが開いた。

 みんなで一緒に食卓に着き、モグモグ幸せそうにオムライスをパクついていた時に。

 

「あの子とーっても、ナイーブなんだからねっ!

 人をイジりはしても、自分がイジられるのは大嫌いなのぉ~ん!

 すんごい打たれ弱い、ビンカン☆ヘタレおちんちんなの!

 優しくしてあげなさいよバカァ~ン! 豆腐を扱うが如くぅ~!」

 

 乳首の辺りを謎の光で隠す、パンいちの変態淑女。

 したたるウーマン――――もやはこの町の名物となりつつあるオモシロ教祖の女が、プリプリクネクネしながらマスターP宅に推参した。

 ……えっ、なんでわいの家知ってんの?(驚愕)

 

「ぐちぐち、ぐちぐち……さんざん恨み言を聞かされたわぁん!!

 あの子ガン凹みじゃないのよぅ! どーしてくれんのぉん!? メンドクサッ!!

 ワテクシは野望実現の為に、クッソ忙しい身なのに、構ってらんないのよぉん!!」

 

「いやあの、なんでアンタここに?

 わいらって敵同士じゃ……」

 

「ワテクシが“業務連絡”のメッセ送っても、いつも返信も寄こさず、無視するくせにぃ!

 面倒なのか何か知んないけどぉ!? アンタ曲がりなりにも()()でしょおん!?

 なのに……こんな時だけ『わーん! つらいよぅ!』って泣きついて来んじゃないわよぉん!!

 甘ったれんなぁぁぁーーーっ!!」

 

「おいしたたる……? お前ちょ! 聞いt

 

「いっつもいっつもぉ、()()()()()()()()()、ワテクシん所に来てからにッ!

 しかも、た~まに口を開くかと思えば、『したたる様大丈夫ですか……? ご無理はなさらないで下さい……』ってぇ!

 ――――何その上からのヤツ?! 心配してます感! 三点リーダー! なんなのぉん?!?!

 前に教団がピンチの時、()()()()()()()()()()()()? 何もしなかったよね……?

 なにを今さら『大丈夫ですか?』って、こっちすり寄ってきてんのぉん!?!?

 全部ほとぼりが冷めた頃にいぃぃぃーーッ!!!!」

 

「お、おい……お前さn

 

「――――ワテクシ頑張ってるでしょうが! 精一杯やってんでしょうがッ!!

 少なくとも、()()()()()()退()()()()()()()()()()、よっぽど“大丈夫”よぉん!!(怒)

 何を以ってアンタがッ! ワテクシにッ! 『大丈夫か?』って言ってんのぉーん?!

 お前が大丈夫かっつーのよぉーーん!!!!(迫真)」

 

 ワテクシなんて言えばいいのん? 彼と一体どう接すれば良いのん……?! 分からないのよぉん!!

 なにやら積もり積もっていた怒りや悲しみが、ここにきて爆発したらしい。

 したたる様、ただいま暴走中。クレイジートレインである。

 

「はぁっ……! はぁっ……! ぜぇぜぇ!

 ちゅー事で、もうちょっとだけ彼に、優しくしたげてくんなぁ~い?

 アンタにも人情って物があるでしょん? 同じ美星町の仲間じゃないのよん」

 

「いやお前ら、町の平和を乱す側っスからね?

 悪い事してるヤツほど、良識とか人情とかを持ち出して来るよなぁ……。

 自分のした事を棚に上げてさぁ」

 

 このしたたるウーマンの仲間である以上、これからもホリコンさんと上手くやって行くことは、正直厳しいと思える。

 けれどアイツいい人ではあるし、いつもボルシチ持って来てくれるんだよなぁ……。その義理がなぁ……。

 これは難しい問題だと、P氏は「うむむ」と唸る。どーしたもんかなコレと。

 

「ハーイ! これからはホリコンさんに、優しくするのわよー♡」

 

「私もなのです! もうイジったりしないのです! かわいそーなのです!」

 

「了解した! んじゃあ今後、なるだけアイツの事は、そっとしといてやろうぜ!

 なんかメッセ来てもガン無視してやるぜ☆」

 

 Hitomi&雷&天龍が、元気よく手を挙げる。「先生分かりましたー!」って感じで。

 ――――人をホモ扱いするだなんて、もっての外だ!

 ――――ロリコン呼ばわりなんざ、そんなのケンカ売ってるのと同じだろうが! 何考えとんのじゃゴラァ!!

 ゆえに! 絶対やっちゃ駄目な事なのだ! 人として!(迫真)

 

 ここにいる女の子たちは、みんなお利口で良い子ばかりなので、しっかり理解してくれた。

 親しき中にも礼儀あり。優しさを忘れるべからず。地球は愛で周っているのである。

 

 

「あれっ? ……あーそういう事なのん! おっけおっけ~☆」

 

 みんなでホリコンさんについての処置を確認し合っていた時、ふいにしたたるウーマンがポン! と手を叩く。

 なにやら、一人なにかに納得したかのように。

 

「ねぇそこのビューティ三姉妹? そうならそうと、言ってくれたら良かったのにぃ~ん☆」

 

「えっ」

 

「は?」

 

「うん?」

 

 順番に爆乳チアガールことAi、爆乳バスガイドことRui、そしてHitomi。

 彼女らはポカンとしながら、ウーマンさんに向き直る。

 

「入りたいんでしょん? ()()()()()。もちろん大歓迎よぉん♡」 

 

 いや~、おちんちん好きそうな顔してるもんねぇ! このドスケベ♡キャッツアイ!

 ウーマンは「おっほっほ♪」と機嫌良さそうに笑う。口元に手の甲を当て、もう絵に描いたような令嬢笑い。

 

あの子(セキゾノフ)を負かして、力を示したのぉん? 自分達こそが、この教団に相応しいって。

 クスクス♪ そんな事しなくても、別に入れたげるわよぉ~ん♪

 だって! ()()()()()()()()()()()()! もし町で見かけたら、ワテクシがスカウトしてた位よぉん!」

 

 そのえっちなコスプレは、ワテクシへのリスペクト? かなりいい線いってると思うわぁん! 実に優秀な人材よぉん!

 そうしたたるウーマンが、引き続き高笑いを挙げる。

 ( ゚д゚)ポカーン… としてる皆の事など、気にも留めていないようだ。

 

「ささっ! 本部へ行きましょん、忠実なるしもべ達よ!

 オゥケェ、ガ~ルズ! レッツエクササイーズ! イエー♪

 ラァイト、ヒゥイゴ! ワン、トゥ、スr

 

「――――フッ!!(吹き矢)」

 

「う゛っ!?!? …………ガックリ……」

 

 窓から顔だけを出した“ワーキングプア侍”が、一撃の下に彼女を仕留める。

 上機嫌で笑っていたしたたるは、成す術なくその場に倒れ込むのだった。

 

「悪の栄えた試し無し。これにて報酬5万円GET也。

 闇に滅せよ――――」

 

 右手で南無と拝み手をしつつ、彼が「よいしょ!」って感じで窓から入室。

 いったいこいつは誰なんだ。なんでそんなとこ居たんだ……。

 みんなには知る由もない。

 

「つかぬ事を訊ねるが、この辺りに、メロンを売っている店はあるか?

 我が主の為、買うときたいので御座る」

 

「いやそれよか、入って来ないでくれますかね(白目)

 ここわいの家なんでね」

 

 誰なんスかおっさん……何してはるんですかアンタ。土足で……。

 通報するぞこの野郎、とマスターP氏は冷や汗。

 とりあえずワープアはスチャっと部屋の中へ入り、無駄にキリッとした顔をする。

 その堂々とした佇まいが、無駄にカッコ良かった。なんにも悪びれてないし。

 

「この女は連れて行く。各々方、構わぬな?」

 

「そりゃー、もちろんっすけど。

 ついでに牢にぶち込んどいてくれよな! 頼むよ頼むよー!」

 

 まぁしたたるウーマンなら、すぐ脱獄とかしそうだけど……。

 このぶっ飛んだ女を拘束するだなんて、日本の警察や刑務所には無理だ。

 催眠術とかサイコキネシス使うんだぞ。これでもメチャメチャ強いのだウーマンは。

 

 

「それと――――そこの女子(おなご)

 あいすまぬが、少しばかり顔を貸してもらえぬか?」

 

 

 さっきまでの弛緩した空気じゃなく、突然ワーキングプア侍が、鋭い目で睨む。

 

「えっ……、あたしカナ?」

 

「いかにも、御身だ。

 手間は取らせぬで御座る。表で話そうぞ」

 

 Hitomiがキョトンとしながら、指で自分の顔を指す。

 それを見届けた途端、彼は先んじて部屋を出ていく。こちらを振り返ることもせずに。

 

 みんなが茫然と見守る中で、Hitomiが慌ててパタパタと後を追っていく。

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「やはり似ておる。

 生き写しの如く、瓜二つに御座る」

 

 アパートから少し行った先にある“空地”。

 まるでのび太達の遊び場のように、三つ積み重なった土管や、いかにも野球が出来そうな芝生が広がっている。

 

「お前、()()()()の者だな――――

 力石めの血縁者と見たが、如何に?」

 

 ここに二人が着いた後、暫し無言の時間が流れた。

 プアはじっとHitomiの顔を見つめており、彼女はオドオドとするばかりだった。

 しかし、ここにきて彼が口を開く。

 その内容は、Hitomiに対する問いかけである。

 

「拙者も、過去にあの里におったので御座る。

 今は抜け忍の如く、この町で生きておる身ではあるが……。

 力石めの事は、よく知っている。歳は離れておるが、同じ釜の飯を食った仲だ」

 

 戸惑う。意味の分からなさに。

 “組織”という物に聞き覚えも無ければ、その“力石”という人物も知らない。

 当然の事だ、彼女は記憶を失っているのだから。

 過去の自分の事や、血縁者の事など、分かる筈もない。

 

「ごめんなさい。分からない……。

 気が付いたら、この町に居たの。

 あたしがパパの娘だってこと以外、なにも憶えてなくて」

 

「……」

 

 じっと、目を見られる。

 まっすぐ、謀ることは許さないと言うように。

 せめてもの誠意として、Hitomiは視線を逸らさぬよう心掛け、負けじとプアを見つめ返す。

 弱々しく、恐怖に曇った眼ではあったが、懸命に潔白を示した。

 

「ならば、()()()()()

 どうしてここにいる。何を企んでおる。

 お前と、力石は」

 

「っ!?」

 

 チャキッと、彼が刀に手をかける音。

 それが緊張感に満ちたこの場に、驚くほどハッキリと響いた。

 

「我が主には触れさせぬ。あの御方を守るためだけに、この身はある。

 危機の可能性は摘む。命に“やり直し”など無いのだから。

 怪しきは――――斬る」

 

 分かる。この人はあたしを殺せる。

 その刃は、斬られた事すら気付かせない内に、あたしの身体を真っ二つにするだろう。

 他ならぬこのお侍さんなら、それが出来る――――

 

「所詮、殺し屋稼業に御座る。それしか出来ぬし、他に生き方を知らぬ。

 拙者も、力石も、()()()

 あの里に生まれた者は、皆」

 

「何を成すつもりにせよ、ろくな事にはなるまいて。

 お前の存在は、必ずやこの町に、災いをもたらす。

 ……いっそ、ここで死んでおくか? 雛鳥よ」

 

「もう苦悩せずとも良い。思い出せぬ事など、そのまま忘れてしまえ。

 お前が世に害を成さぬ内、()()()()()()()()()、冥途に送ってやる。

 同胞のよしみぞ」

 

 重い。空気が。

 身体が動かない。息が上手く吸えない。

 侍が放つ威圧感に、Hitomiは氷のように身を固くする。

 指一本でも動かせば、次の瞬間あたしは死ぬ。その明確なビジョンがハッキリ頭に浮かんでいる。

 だけど……。

 

「ねぇ、貴方の主さんって、どんな子?

 貴方はその人のこと、好き?」

 

 ふいに、この場に似つかわしくないような、何気ない声。

 力まず、気負わず、あたかも世間話をするような声色で、Hitomiが問いかける。

 

 

「きっと私にとって、パパがその子なんだと思う――――」

 

 

 

 

 

 

 生まれた時から。

 

 別に憶えてるワケじゃないけど、きっとそうだ。絶対。

 

 

 あたしはパパのことが好き――――ずっとずっと好き。

 

 だからこの身体は、パパのためにある。

 

 触れるため。手を握るため。

 あの人に抱きしめて貰うために、あるんだ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 そんなHitomiの胸の内が、届いたのかは分からない。

 しかしワーキングプア侍は、ゆっくりと刀から手を放し、静かに居合の構えを解いた。

 どこか遠くにいる大切な誰かを想うように、どこを見つめるでも無い眼のまま。

 そして、身体から力を抜くように、ふぅとため息を吐き出す。

 

 

「何かあれば、拙者を呼べ。

 居所は東雲殿がご存じでおられる。

 スマホなどという高価な代物……、持っては御座らぬゆえ」

 

 

 

 

 そう短くHitomiに告げ、踵を返した。

 

 あー生活が苦しい! 働けど働けど! なんて呟きながら。

 

 

 

 

 

 

 


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