【リレー】今日もカオスなもんじゃ焼き 作:リレー小説実行委員会
「妙やなァ、風が泣いとる――――」
サラッとフラグを立てる。息を吐くように中二病発言。
「嫌な予感がしますねェ! 気を付けろ暁ィー!」
「了解っ!」
肩車されている暁が、ビシッと海軍式の敬礼。
マスターP氏も注意深く辺りを見渡しながら、美星町を駆けていく。
野性の勘か、それとも歴戦の雄(北斗神拳伝承者)としての経験か、はたまた「漫画だったら次はこういうの来るな~」というしょーもない先読みなのか。
ともかく、いまP氏はハッキリと“不穏な空気”を感じ取っており、さっきの英霊共&
そして、とりあえず曲がりなりにも彼らの再登場を果たし、形だけでもバトンを引き継げた事に内心安堵しつつ、マスターP氏は走る。
「美星町の全ての皆様に感謝申し上げつつゥ! ありがとうの気持ちを忘れずにィ! ちょいと飛ばすぞ暁ィ!」
「分かったわ提督っ!」
P氏の頭にギュ~っとしがみ付き、衝撃に備える暁。
彼も前傾姿勢で「きぃ~~ん☆」と言いながら、さらに速度を上げていった。
「そして! 時速39㎞くらいで走り続けてたら、公園に辿り着いたぜッ!」
「わーい説明くさぁーい☆ でも分かりやすくてステキ!」
秋の虫の鳴き声だけが遠くから響く、夜の公園。
広大な敷地と、豊かな木々が見渡す限り広がり、街灯と月明りだけがぼんやりと照らす、青白い風景。
どことなく心細さを感じる、深夜の公園という非日常の空間。
P氏が「よいしょ」と暁を降ろし、二人でキョロキョロと辺りを見る。
「理由も理屈もよく分からんが、この辺りが怪しい気がするぜッ!」
「ご都合主義さいこー! これぞコメディの魔法ね☆」
仮に明石ちゃんや瑞鶴あたりが居てくれたなら、レーダーなり艦載機なりで情報を集め、向かうべき場所の指示をくれるのだろうが……残念ながらまだ帰還していない。
ゆえにマスターPは、独力でなんとかした。流石は北斗神拳伝承者である(?)
「……あっ、人影見ゆ!!
数は2! 距離150です!」
「でかした暁ィー! 大きくなったら乳揉んでやっからなァー!」
「死ねっ!! とにかくあっちよ提督、行きましょう!」
二人で「ウオォー!」と叫びながら、現場へ急行。
17才の男の子と、ちんまい幼子が、横並びで元気に走っていく。
その表情だけは、まごう事なき真剣さを宿して。
「なっ、なんだこの悍ましい気配はッ!?
こんなの……ネット小説を書いてるだけなのに、サイコパスの人に粘着されちまった時にだって、感じた事ねぇぞ!」
「えらく具体的だけど……気をつけて提督っ! これホントにやばいわ!」
P氏が、空中ダッシュする時の悟空みたいな構えを取り、暁は即座に艦娘の艤装を展開。全速力で芝の上を駆ける。
高速で流れていく視界。近付けば近付く程にどんどん増していく悪寒と、得も知れぬ威圧感。
けれど、二人は決して足を止めることは無い。額をつぅっと流れる冷や汗を感じながら、一刻も早くと懸命に足を動かす。
そして、そこで目にしたのは――――
「ほ~らHitomi、バナナよぉ。沢山食べなさーい♪」
「ウホホw ウホウホwww ウホホホwww」
「「――――Hitomiぃぃぃいいいッッ!?!?!?」」
なんか見知らぬ女性にエサを貰っている、ゴリラみたいな愛娘の姿。
「あーら、もう20本もいってるわぁ。Hitomiはバナナが大好きなのねぇ♪」
「ウホw ウホホホwww ドンドコドンドコ(ドラミング)」
「「――――Hitomiちゃあああぁぁぁーーんッッ!?!?!?」」
楽し気にドンドコ胸を叩き、腰をくの字に曲げながらウロチョロと辺りを徘徊。バナナ片手に。
そのゴリラよろしくの仕草をしているのは、間違いなく自分たちが探していた人物。Hitomiその人であった。
無駄に筋肉があるせいで、なんか物凄く
人格がデリートされ、代わりにゴリラの人格をインストールされちゃったHitomiは、人語も忘れて只今バナナに夢中。美味しそうにモシャモシャ貪っている。器用に皮を剥いててエライ。
「……あら? 何かしら貴方たち、うちのゴリラに何か?」
「ウホw パパ来たwww ウホホw バナナ食べる?www」
「 目を覚ませHitomiィ!! オメェそれで良いのか色々!?!? 」
「 私の憧れを返せぇー!! 」
しがみ付き、必死にガクガク肩をゆするも、Hitomiは「ウホホホw」って感じ。
辛うじて人語を喋り、P氏のことも認識しているようだが……もう在りし日の彼女は居ない。全ては失われていたのだ。
「そうそう! この子はHitomiじゃなく、【Hanako】に改名するから。
みんなよろしくね♪」
「 やめてよそのゴリラみたいな名前っ! かわいそうでしょ!? 」
「後で毛皮的なコスチュームも着せて、
仲良くしてあげてね☆」
「――――あの子を解き放て! あの子は人間だぞッ!!」
ゴリラっぽい仕草で「♪~」と歩き回るHitomiを余所に、P氏たち大激怒。
必死に見知らぬ女性に詰め寄る。わいの娘を返せと(人権的な意味で)
「ちょっと前に、“逆バニー”っていうコスが流行ったじゃない?
ゴリラの毛皮って、形があれに似てると思うんだよね。エロくない?」
「んなこと思うのはアンタだけよ! 考え直してっ!」
「まぁここはひとつ、私のことは【動物好きの優しいお姉さん】って感じで、なんとかならない?
貴方には少しでも良く見られたいのよ、P君」
「 努力の方向オンチかッ!! もうサイコパスは沢山だッ!!(迫真) 」
なんでどいつもこいつも、わいに粘着してくるんだろう? すり寄って来るの? 変人を引き寄せるオーラでも出してんのかな……。
そうP氏は己を省みる。もしかしたら“類友”なのかもしれないと凹む。
「まぁ冗談はこの辺にして……Hitomi?」
「――――」
「っ!?」
これまでおちゃらけていたHitomiの目の色が変わり、瞳孔が縮む。気配が一変。
次の瞬間、獣のような速度で駆け出し、一瞬にして暁を捕獲。後ろから羽交い絞めにする。
「て、テメェ!? ……暁ィィーッ!!」
「おっと、動かないで頂戴ね?
私の命令ひとつで、その子の背骨が折れる。Hitomiは躊躇なくやるわ」
想定していなかった。あのHitomiが暁に手を出すなどと。
だがこの状況においては、P氏の考えが甘かったと言わざるを得ない。
あの子はすでに、
比喩では無く、もう在りし日のHitomiは、どこにも居ない。
生来の活発さゆえか、ここにきて未だ楽観的に物事を捉えていた彼には“取り戻す”という意思はあっても、“交戦する”という覚悟までは、出来ていなかったのだ。
その油断を、最悪の形で突かれた。
「夜の公園、素敵だね♪
お月様の薄明り……まるであの森のよう」
ふいに、どこか遠くを見つめるような目で、力石は小さなため息。
「夜のブランコで語り明かすのもいいけれど……、ここでは少し、舞台が不足してるよ。
だから、場所を移そっかP君?」
腰のポシェットから、手の平に収まるサイズの機械のような物を取り出し、おもむろにスイッチを押し込む。
その途端、この場に淡い赤色の光が、柱のように円形で、空まで立ち昇る。
あたかも魔法陣……いや異世界へとつづく扉のよう。
「この子カワイイね♪ 大事な子なんでしょう?
なら追って来て。……P君だけは、このゲートをくぐれるから。
世界を繋ぎ渡る力――――そうボソッと彼女が呟く。
だがその言葉の意味を考える暇も無いまま、暁を抱えたHitomiが、躊躇なく光の柱の中へ飛び込んでしまう。
「てっ……提督ぅぅぅーーーっっ!!!!」
「暁ィィィイイイーーッッ!!!!!!!」
手を伸ばす。必死に。
だが二人の姿は、まるで煙のようにスッと消失。この世界から消える。
どこかへ飛ばされた。ここではないどこかへ……そうP氏は直感的に理解。
「少し準備がしたいから、悪いけど時間稼ぎをさせて?
童貞の君は知らないだろうけど、女の子は色々あるんだ♪
このゲートは開いておくし、終わったらここに入ればいいよ。P君ひとりでね」
彼女がふわっと手を上でかざした途端、この場に大きな地震めいた地鳴りが。
立っているのも困難なほどの揺れに、P氏は彼女を捕まえるどころか、前を睨むことで精一杯となる。
「それじゃあがんばってね、みんなの
彼女の身体が、すぅっと光の柱の中に消える。
次の瞬間……、この場に台風を思わせる凄まじい爆風が吹き荒れ、P氏の身体が大きく跳ね飛ばされた。
◆ ◆ ◆
「こ、これは……洒落になりません(白目)」
胸に思い描くは、艦娘たちの姿。そして自らが専属パイロットを務めるロボット“マジンガー絶頂”の事。
だがそのどちらも、いまこの場には無い。
「生身でどうしろってんだ、こんなの……。
わい今日で最終回っすか?(察し)」
ゴロゴロと地面を転がり、ようやく勢いを殺して立ち上がった時、異変に気付いた。
月明りが消え、辺りがより一層暗くなっている事。そしてどこからか聞こえる“笑い声”。
『 アハハ。アハハハ。 』
『 ハハ。アハハハ 』
ふと視線を上げれば、そこには“天使たち”の姿。
背中に翼を持つ小さな女の子たちが、月明りどころか空を覆い隠すほど大量に、視界いっぱいフワフワと浮かんでいる――――
『 アハハ、パパ、パパ 』
『 パパだ。アハ。アハハハ 』
ゆっくりと降りてくる。徐々に高度を下げているのが分かる。
やがて近付いてくる内に、彼女らの容姿がハッキリ見て取れるようになり、この子達が全て“
まるで腹話術のパペットのように、左右の口角から真っすぐ下に線が入っているのが分かる。今も口元をカクカク動かし、楽し気に「パパ」と呼びながらアハハと笑っている。
白いベールを身に纏い、手に小さな弓矢を携えた数えきれないほどの天使たちが、こちらを目掛けて舞い降りてくる――――
ここは丁度公園だ。いまマスターP氏の脳裏に、以前なにげなくハトにパンを投げてやった時の思い出が、ふと思い浮かんだ。
クルッポーと首を前後に動かしながら、テクテクこちらに歩いて来るハトに気が付いた時、P氏はちょうど手に持っていた食べ掛けのパンを、ポイっとそちらへ投げてやったのだが……。
次の瞬間、この場に
バタバタと煩いくらいの羽音を鳴らしながら、恐ろしいほど沢山のハトが、大群となって一斉に襲い掛かり、瞬く間にパンを穴だらけに。原型を留めないほどバラバラにしてしまった。
その時に感じた悪寒と、今のこの状況が、ピッタリ重なる。
『 アハハ 』
『 パパ 』
『 アハハ 』
『 パパだ 』
『 パパだね 』
『 パパいた 』
『 いたね 』
食い散らかされる――――成す術なく。
これから自分は、この空を覆い隠すほどの天使の大群に、一斉に群がられるだろう。
あのパンのように、一瞬にして穴だらけにされ、バラバラになってしまう未来が、容易に想像出来た。
見上げる。空を。もう愕然としながら。
奥歯を噛みしめ、ギュッと拳を握る。……もうそれくらいしか、今の自分に出来ることが、思い浮かばなかった。
……時間稼ぎ? ウッソだろお前?
アンタこの美星町を、
跡形なく、慈悲もなく、殺し尽くす気じゃないか。ここに住む全ての人達を――――
『 パパ 』
『 パパ 』
『 パパ 』
『 パパだ 』
『 あいして 』
『 あいして 』
『 アイシテ 』
『 すき 』
『 好き 』
『 スキ? 』
『 いい子 』
『 イイコ 』
『 ほしい 』
『 して 』
『 パパ 』
『 愛せ 』
空から来襲した天使たちが地上へと放つ、雨のような矢。いくつも重なって騒音のように木霊する悲鳴。阿鼻叫喚。助けを乞う声。
今この町の誰もが逃げ惑い、成す術なく貫かれ、また炎にまかれて死んでいる姿が、P氏の脳裏にアリアリと浮かぶ。
絶望――――これがそうなんか。
彼は、生まれて初めて知る。
いま己の胸に去来している、如何ともし難い感情、そしてブルブルと震えが止まらない身体。まったく言う事をきかず、身動きすら出来ない我が身。全てを失うという恐怖。
これが“コワイ”って事なんか。今わい絶望しとんのか。……
こんな時だというのに、P氏は己の心を疑い、打ちひしがれずにはいられなかった。
まさか、このわいが? と。
『 パパ 』
『 パパ 』
『 パパ 』
そして己の内に閉じこもる暇もなく、この場にも多くの天使たちが降り立った。
周りを取り囲み、この広大な敷地を全て埋めつくすほどの数。
P氏は歴史の授業中はいつも居眠りをしているけれど、話に聞く関ケ原の合戦のことが思い浮かんだ。まぁ東軍も西軍もなく、自分はたった一人なのだけど……。
『 すき 』
『 スキ 』
『 好き? 』
『 して 』
『 して 』
『 ダイテ 』
『 あいして 』
少しずつ円を縮めるように、近付いて来る。
それは地面だけの話ではなく、空も。
いま己は、ドーム状にこちらを取り込む天使たちにより、完全に逃げ場を失っている。どうする事も出来ない。
左右の目をデタラメにぐるぐる回し、カクカクと口をカスタネットのように動かしながら、数えるのも億劫になるような無数の天使たちが、ゆっくりと迫って来る――――
「ッ!!!!!!?????」
だが、爆音――――
地面が激しく揺れ、空気が振動。
『 あぁ!? 』
『 ぎゃっ!? 』
『 あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!! 』
いくつもいくつも、この場に降り注ぎ、地面に穴を空ける。
辺りにいる天使の軍勢を、蹴散らしていく。
空だ! でもこれは天使じゃない! もっと大きな!
全長20メートルを超える巨大な人型の影が、ジェット機のような飛行音で大気を振動させながら、物凄い速度で空を駆けている!!
「――――動け! マスターPさんっ! 貴方らしくもない……!」
赤いカラーの機体。
いわゆる“アーマードコア”と呼ばれる、汎用人型兵器。鉄の死神。
「その声はホリコn……いや
「そうだっ……! ホモではないけれど私だ……!
自称、ロリコンにもなれないスナハァラ・セキゾノフだ!(?)」
乗っているのは彼!
歴戦の傭兵であり、通称“リンクス”と呼ばれる元パイロットの彼が、アーマードコア・ネクストを操り、“謎の主張”を引っ提げてこの場に現れたのだ!
砂漠に住む肉食獣を思わせるような、痩せっぽちなボディ。
装甲をかなぐり捨て、何よりも速度を重視し、軽量化した機体。
その両手に握られたサブマシンガン型の武装が、
天使のお株を奪うが如く、視界に留めることすら困難なスピードで空を駆けながら、次々とヤツらを駆逐している。
流星のように夜空を駆け、延々と鳴り続ける銃撃音と、破壊を撒き散らす。
「ここは任せて……! 成すべきを成して下さい……!
貴方にしか出来ない事がある筈だ……!」
スピーカーからの声。だがそれは酷くかすれており、彼がいま咳込んでいるのが分かった。血の混じった唾液を吐き出しながら。
「この
乗っているだけで、心をやすりで削られるようだ……。
申し訳ないが、長くはもちません……。急いで下さいPさん……」
本来、彼には傭兵たる……アーマードコアに乗る素質は無かった。
彼はただ、僅かばかりの操縦技術と、“皆を守りたい”という想いのみを以って、戦場に出ていただけの男だったから。才能など無かったのだ。
けれど、この致命的な精神負荷を引き起こす機体【AC・アマジーグ】と、無理やり己をリンクさせる事により、力を手に入れた。
乗る度に、気が狂いそうになるほどの頭痛、そして戦えば戦うほどボロボロになっていく心。朝食のメニューや、友達の顔さえ思い出せなくなる程の、強烈な精神ダメージ。
それに耐え続けながら、ずっと長い間、アーマードコアを駆って来た。
家族や、愛する人々を守らんが為に、己の全てを捧げたのだ。
身も心も、己の明日さえも。
しかも、その致命的な精神負荷に加えて、いま彼は重傷を負っている。
先のHitomiの暴走による負傷が、耐え難い激痛を与えているハズだった。
「いちおう言っておきますが……、別にいいカッコしてホモにモテたいとか、ょぅι゛ょに愛されたくてACに乗っているワケでは……。
この“致命的な精神負荷”というのも、あくまでACによるコジマ汚染で、決して私の性癖に関する悩みとか葛藤とか、そういうのとは無関係なので……!」
「分かってるっすよセキゾノフさん。
そもそもわい、アンタの事ロクに知らんのやし」
ナイーブなのか、めっちゃ気にするタイプなのか、この期に及んでセキゾノフさんが懇願。ホント辛いんですと――――
「大丈夫。うちの艦娘たちに、ちゃんと言っとくから。
ホリコンのことをスナハァラと呼ぶのはやめろ! って」
「逆。逆ですPさん。
あぁ、意識が……(くらっ)」
だんだんスピーカーから聞こえる声が、弱々しくなってるような気がする。
それでも操縦を止めず、鬼神のような動きで天使たちを駆逐し続けている所は、流石セキゾノフさんである。
「とりあえず、役目は果たしたかな、っと……。
どうやら私だけでは無かったようだ。これで一安心です……」
「えっ? ……あぁー! お前らぁーー!!??」
気が付けば、この場に大勢の人達が。
VUMのメンバーや、アンパンマン達、そして美星町中の猛者たちが集まり、「おらぁー!」とか言いながら
「なんだこの野郎! 通販で買った“クマ撃退スプレー”を喰らえ!
かかって来いこの野郎!」
「直樹ッ! あまり突出するな! 陣になって戦え!」
二人で協力し、天使たちと対峙する、直樹と勝也。
お互いに背中合わせで、ニヤッと微笑み合いながら、どんどん敵を駆逐していく。
「大丈夫か、我が弟子よ?
時代がお主の拳を必要としておる。ここで死なれては困るのぅ」
「老師っ! 北斗神拳のお師さん!?」
「あーらイケメンっぽい声♪
でもセキゾノフさんのケツを掘るのは、この戦いが終わってからにしましょ♪」
「
「スパム! スパム! スパム! こいつらの肉でスパム!」
「いや止めとけよバイキングの皆さん!?
誰も食わねぇし、そもそも
次々に集まる、美星町の戦士達。
中にはホモとか変態とかもいるが、誰もが町を守ろうと奮闘し、その拳を振るっている。
「どうしたのファンキー爺さん、もう疲れた?
ぼくが全部やっつけてあげようか♪」
「笑止、すっこんどれ剛力
きゃつらが片付かば、次はヌシぞ」
夜の公園に、キェェェェェとかアーンパーンチとかの、大きな叫び声が響く。
今ここに、ファンキー爺さんとアンパンマンが並び立ち、戦場を席巻。瞬く間に賊を誅殺していく。
「この町をやらせるワケには、いかないんですよ。
私のホーリーランド*1なんでね」
「自分達でやるのならともかく、よそ者に好きにされるのはね……。
僕の庭で何をしてるの? ――――
「テンジクボタンちゃんもいっくよ~☆
ハーイとっつげぇーーき♪ きゃは☆」
大道塾*2仕込みの膝蹴りを叩き込む、ハセ・ガワ氏。
目から青白い光を放ち、カマイタチめいた突風を巻き起こす、ミスター慧眼人くん。
そして、無双系ゲームのように「どかーん☆」と敵陣に飛び込んでいく、テンジクボタンちゃん。
銃器や兵装を携えたComeTrueやオールインワンの構成員たちも雪崩れ込み、この場はすでに戦の様相。激しい戦闘が繰り広げられる。
「よし、俺もやろう。気功h
「うぉぉ! タワーブリッジ! タワーブリッジ!!(瞬殺)」
「いいから黙ってろよオメェは。ここは俺らでやっからヨォ。
まだ俺の
彼らも美星町を守るべく、推参してくれたのだ。
「うおー! お地蔵さまデッケェな!
やっぱカッコいいよ!」
(アホンダラ! 流の町を壊すな! みんなが住まれへんようなるやろ! アホーっ!!)
そして、アーマードコアに負けないくらい巨大化した
とっても頼りになる
「ご覧の通りです……。行って下さいPさん。
その力で――――君は何を守る?」
「セキゾノフさん……」
“砂漠の狼”と呼ばれた傭兵が、そっと心で、彼の背中を押す。
「恐らく、今から貴方が向かうのは“カノジョのセカイ”。
手で触れられるほどに具現化した、あの女の心象風景に近い場所……。
闇の者が作り上げた、決して光の届かないセカイです」
ゆえに、援軍は送れない。この心の闇の如き不可侵のゲートをくぐれるのは、選ばれし英雄たるマスターP氏のみ。
単身で赴く他はなく、また「貴方ならやれる」と、力強くセキゾノフが頷く。
「行って来いよ、元町長。
ほんで、さっさと帰って来いな?」
「アンタなら、何の心配もいらんだろう?
またゲリラライブを見せてくれ。今度は小雪ちゃんにも」
直樹と勝也が激励を贈る。頼りがいのある“男の顔”で。
「なぁPさぁーん? これ終わったら遊ぼうぜーっ!
いっかいアンタと話してみたかったんだよ俺♪ ぜったい友達になれるって♪」
そして、「おるぁー!」と天使共を束にしてシバきながら、流くんもこちらへ振り向き、ニカッと笑う。
「わーったよ流きゅん。わーったよみんな。
――――ほなわい突貫しますわァ! おっしゃー見とけよ見とけよー!」
もう振り向かない。迷わない。
P氏はダッシュで光の柱に駆け込み、その途端バリバリ~っと電気のようなモノを受けて「うぎゃー!」と叫びながらも、なんとか旅立っていった。
あの女と、暁と、ゴリr……いや愛娘のもとへ。
あの子を連れ戻し、また一緒に生きるため。
彼らしい元気さで赴いて行った。――――