【リレー】今日もカオスなもんじゃ焼き 作:リレー小説実行委員会
――――前回までのあらすじ!
「ウホホw ウホw あたしずっとみんなとwww」
「
「お姉ちゃあぁぁぁーーんッ!!??」
Hitomiは死んだ!
愛すべき
「ではお会計の方、10万1700円になります」
「あ、はい。ちょっと金おろしてきて良いすか? あとポニテとか出来ます?」
敵の卑劣な罠! ピンチに陥るマスターP!
「ちきしょう! また粘着野郎だ!
やんわり言っても、ぜんぜん自重してくれないッ! 理解しやがらねェ!!」
言葉の通じぬ獣たちが、次々とP氏のページへ押し寄せる!
ガリガリ削られていく、P氏のメンタル! 失われる創作意欲!
「時には筋トレしたくない~って日もあるじゃん?
今日はしんどいなー、やめとこかなーって。
でもそんな時、『でもプリキュアも頑張ってるしな~。私もやらなきゃな~』という心で」
「サイコパスやなお前。狂ってるよ」
信じていた友の裏切り! 辛辣な言葉!
幼稚園からの付き合いだというのに、親友だと思っていたのに“サイコ扱い”される苦しみ! 分かってもらえない悲しみ!
「いいじゃーん、付き合っちゃおうよぉ~♪
今フリーなんでしょ? いい経験になるってぇ~♪」
「いやっ……、ぼく“ノンケ”なんで。
お気持ちは有難いんスけど……」
蘇るトラウマ! 忘れ得ない心の傷!
これまでの人生で
「ノンオイルのツナ缶が、3つで246円……!?
安い! なんて安いんだ!!」
しかし! 殺伐としたダイエット生活に訪れる“希望”!
雲間から差し込む太陽の如く、P氏を照らす! 心に勇気の火が灯る!
「では私の出番ですね提督っ?
――――グレートマジンガー
「マニュアル的なのは? いっつもわい、ぶっつけ本番やけども」
今ここに、スーパーロボット【マジンガー絶頂】の戦いが、満を持して開幕。
ラノベ一冊分以上も書いておきながら、ようやく始まるのだ――――
……
…………
……………………
……
…………
……………………
◆ ◆ ◆
「――――パイルダー・オン!(ずにゅ♪)」
ガッシーン!!!! とカッコいい音が鳴る。
今P氏が乗るジェット・スクランダーが、“
「マジィィン、ゴッ……!?!? って、はぁぁあああ~~~ん☆☆☆(昇天)」
『どうです提督、気持ちいいですかっ?!(どアップ)
従来のマシンから、グレートにパワーアップした、新生マジンガー絶頂ですっ♪」
おめめをキラキラさせた明石ちゃんが、コックピットの内部モニター画面に映る。
「いきなり『壊れちゃ^~う』ってなったわボケェ!
合体した瞬間に、目の前真っ白なったでッ!? 一気にオルガズムですじゃ!」
『そうですか(スルー)
前のマジンガーと同じく、このグレートにも“衝撃を快楽に変換させる機能”が付いてます!
敵の攻撃だろうが、自分で殴ろうが、その全てを快楽としてパイロットに伝えます!」
「前も聞いたけど、なんでそんな仕様!?!?
わいになんの恨みあるんすかねェ
『とんでもない! 提督が気持ち良くなればなるほど、グレートの馬力も上がるんですよ?
だから遠慮は無用です! 思う存分『やめちくりぃ~!』となって下さいっ!
唾液を垂れ流し、アヘ顔を晒して下さい♪ ――――この変態ッッ!!!!」
「 制作者の悪意ッ!! あとなんで悪口ッ?!?! 」
こんなモン、童貞が乗るモンちゃうわ。ハードコアですねェ!
そうP氏は叫びたい気持ちなのだが、もう乗ってしまった以上、後には退けない。
このグレートマジンガー絶頂を操り、敵を倒すしかないのだ! 体内の水分を全部出し尽くし、パンツがカピカピになっちゃう前に(意味深)
黒と白を基調とし、胸部の真っ赤なワンポイントが映える黒鉄のボディ。
大地の全てを眼下に見下ろしながら、雄々しくガッシーン! とポーズをとる、天をも貫く程に巨大なスーパーロボット。
――――その名はグレートマジンガー絶頂!! 美星の護り手たるマスターP氏が操る、無敵の機体!!
「ん? なんか
「うるせェバカ! ほっとけ下さいましっ!(必死)」
だが力石のアフロダイAが首を傾げているように、今グレートは超の付く“前傾姿勢”。
モジモジと股間の辺りを両手で押さえつつ、常にプルプルと震えているのだ! 意味深に!
「わぁ♪ P君ピンクローターみたい。おもしろーい。
そーれツンツン☆ ツンツン☆」
「や……や゛めッ……! やめろォ~~う! ハァァーーン!!??(身もだえ)」
力石操るアフロダイAが、ちょこちょこ近付いて来て指でつっつく。
それだけでグレートはワチャワチャ。仰け反って大暴れ。
「こんなのはどーかな? あっそれ、つーーい♪」
「 うぼォォい!!?? こちょばい! こちょばいッ!! 」
今度は手のひらで、背中をスーッとひと撫で。
グレートはピョーン! と海老反りになって飛び上がる。
P氏の脳内にエンドルフィンが過剰分泌され、快楽が身体中を駆け巡る。
「脇腹をわしゃわしゃ♪ 足裏をコチョコチョ♪」
「 死ぬ死ぬ死ぬッ!! アカンわい今日で最終回や!! 地球はブルーでした!! 」
山をも見下ろすような巨大ロボット二体が、イチャイチャと乳繰り合っている光景。
そして、マジンガー絶頂の次回作にご期待下さい! と言わんばかりの醜態。フルボッコ具合。
あぁ、何も出来ぬまま
まぁそれさえもいずれ、
「負ける(確信)」
「だめポポ(断言)」
「惨めですぅ(小声)」
ポン助、ポルン、東雲が嘆息を漏らす。
彼ら三人は今、巨大な漆黒の化け物の肩に乗って、この戦いを見守っているのだが……、でもまだ始まってもないのに諦めムード。
東雲に至っては、「これ私がやった方が良くないですかぁ?」と言ってのける始末。
なんだあのヘコいマシンは。図体ばっかりデカくて。
「ちょ……なに言ってるのよみんな! 応援してあげてよっ!」
「でもですねぇ? アレは無しですぅ」
「勝てる未来が浮かばないポポ。死ぬポポ」
「弱い(確信)」
先ほど助け出された暁が、隣でぷんぷん声を荒げているが、三人は冷めた顔。
私に任せりゃいいのに、プリキュアになっときゃー良かったのにと、ガッカリしている様子。
もう頑張れとか負けるなとか、そんな声援をおくる気にもなれない。それ以前の問題だった。
「もうセキゾノフさんで良くないか? 代わりにアマジーグを呼ぼうよ」
「それがいいポポ。アーマード・コアの方がつよいポポ。あいつはクソだポポ」
「ではいったん、“ふたつめのセカイ”に戻りますぅ。
おっきいお人形さぁん、よろしくお願いs
「 まってよ! 提督を見捨てないで! おねがいだからっ!!!! 」
はい撤収~! みたいな雰囲気の三人を、必死で押し留める。
昭和の夫婦ドラマみたく、「捨てないでぇ~!」と腰にしがみついて懇願。
ポン助もポルンも東雲も、なんか「えー」とメンドクサそうな顔でこっちを見ている。もういいじゃんすかと。
「――――拙い! このままじゃやられるッ! 持ちこたえられんッ!」
「ほら暁ちゃん、駄目そうだよ彼?」
「もう限界ですぅ。戦闘開始から、わずか5秒でぇ」
「現実を見るポポ。希望を捨てろポポ」
「 提督ぅぅぅーーっっ!!?? 」
こちょばされてるだけで、もう敗北寸前。
苦し気に片膝を付き、あたかも12ラウンドくらい戦った後みたいな様子のマジンガー絶頂。
まだ敵と交戦するどころか、その場から一歩も動いていないのに、どっこも損傷してないままで、もう死闘感を漂わせている。
幼子の悲痛な叫びが響く中、P氏はなんとかその場から立ち上がろうと、ホワンホワンしている下敷きのような足腰に、必死に力を込める。
あの子の声に応えるかのように(ぜんぜんカッコよくないが)
「ちょ、いったん待って貰える? いっかい離れて?
ちょっと5歩くらい下がってみようか力石」
「?」
キョトンとしたまま、とりあえずP君に言われるままに、その場から離れる。
「おけ、サンキュサンキュ。
とりあえず……やるじゃねぇか力石。見直したぜ!」
「私なにかしたかな? まだ何の武装も使ってないけど」
まさかこの俺を、ここまで追い詰めるとはな――――
そんな感じで「キリッ!」とした顔をしてみるが、力石の方はコテン? と小首を傾げている。子供みたいな仕草で。
この場の雰囲気だけは、もう中盤戦のテンションだった。
「それじゃあ、もういっても良いかな?
パンチとかキックとかの、格闘戦をしようと思うけど……」
「いやいやいやッ!! このまま離れてやりましょうねェ!(必死)
今こんなご時世だろ? ソーシャルディスタンスに配慮していこーぜ! オナシャス!」
STOP! と両手を突き出し、断固拒否の構え。
屁理屈をこねつつ「そこを動くな、一歩たりとも近付くんじゃねぇ」と頑張って説得。
言っては悪いが、クッソ情けなかった。
とりあえずは、力石さんが遠くの方でボーっと待ってくれているのを良い事に、操縦席で黙々とマニュアルを読み耽るマスターP氏。
あーでもない、こーでもないとブツブツ呟きながら、本を片手にレバーをガチャガチャ。ボタンをポチポチ。
うん、なんかやれそうな気がしてきた。絶頂ファイト!(レッドファイトのテンションで)
「――――いくぜッ! ビンカン☆ブレストファイヤー!!!!」
マジンガー絶頂が雄々しくムキッとマッスルポーズ、ボディビルで言う所のダブルバイセップスを繰り出しながら、胸部よりビームを発射!
なんか放った側のP氏が「はぁぁぁーーーん☆」とビーチク押さえて艶声をあげているが、とにかくビームは真っすぐ前方へ!
「……」
だがヒョイッ♪ と音がしそうな軽いステップで、アフロダイAが楽々それを躱す。
「――――喰らえッ! パンチラ☆ルストハリケェェーン!!!!」
続け様に、マジンガー絶頂の口元から、鎌鼬を思わせるような激しい突風が噴き出す!
渦を巻いて空気が回転し、周囲の木や建造物を巻き込みながら、一直線に敵に襲い掛かる。
「……」
しかし! 再びアフロダイAがピョイン♪ と軽くジャンプ。空中へ逃れて回避。
「――――くたばれェ! チンカス☆ミサイルパンチ!
早漏☆スクランダージェット! (親の視線が)冷凍光線!!!!」
矢次に放たれるマジンガー絶頂の武装! まさに全門発射と言わんばかりの猛攻!
なれどいかなる魔術か!? 力石は朝めし前とばかりに、眠そうにチョチョイと操縦桿を動かしただけで、全ての攻撃を回避。
「――――トドメだぁアフロダイAッ!!!
ア゛ーッ! イヤ~ン♪ カッタァァァアアアーーッッ!!」
最後に放たれるマジンガー絶頂の拳!
それはロケット噴射によって、勢いよく腕部から分離! しかも森羅万象どんな物でも切り裂くであろう鋭い刃までシャキーンと備え、眼前の敵を両断せんと一気に直進!!
でも力石操るアフロダイAは、「よっこらせ」とばかりにその場に座り込んだだけで、あっさりそれを躱して見せる。
「駄目だ、ロクな武装が無い(白目)」
「アクビが出ちゃうよP君。……まさかとは思うけど、それ本気でやってる?」
ちなみにだが、マジンガー絶頂の繰り出す武装は、全部
ガッキ―ン! とカッコいい効果音が鳴ったり、大声で技名を叫んだりはしても、ぜんぶ年寄りのションベンみたくキレの無い、躱しやすそ~な攻撃であった。
ぶっちゃけた、力石のパイロット技術であれば、それやってる途中でも問答無用でカウンターとか入れられたのだが……。
でもそれすると、なんか頑張ってるP君が可哀想な気がしたので、ヒョイッと躱すだけで許してあげていた。
なんだかんだ言いつつ、彼女にも“惚れた弱み”的なヤツがあるようで、それによりマジンガー絶頂は間一髪、危機を免れていたのだ。
ありがとう力石! あざーす! ヌクモリティ!
『駄目です提督! そのままじゃ勝てない!』
明石ちゃんからの、切迫した声の通信に、P氏は俯いていた顔を上げる。
『もっと気持ち良くならなきゃ、マジンガー絶頂の真価は発揮出来ませんっ!
素のままのマジンガーなんて、ボスボロットと似たようなスペックなんです!』
「――――ゴミじゃねーかコイツ!! なんで作ったお前!?!?」
だが膝から崩れ落ちそうになる。
わい提督だよね? 確かそうだよね? なんでこんなのに乗せられてるの?
頭の中に、いくつもハテナマーク。
『マジンガー絶頂は
その
さぁ提督、ボッコボコにされましょー!』キャッキャ
「敬意は無いんだな? そうなんだな
こいつもサイコパスか。イカれてんのか。
しかも、まだ力石さんの方が優しい。容赦なかった。
『うふふ……♪ 貴方のベッドの下から、篠塚醸二の同人誌(浜風&浦風本)を見つけてしまった時、私の心は壊れてしまったのですっ!
さぁ姉妹丼でも、Wパイズリでも、好きなだけ妄想すれば良いじゃないですか!
マジンゴー!!(強制)』
「ちょ……!?!?」
明石ちゃんの遠隔操作により、勝手にスクランダー(背中に付いているジェット)がギュイーンと起動。マジンガーを空へ飛行させる。
そしてP氏がワケも分からず慌てている内に、マジンガーはすぐにスチャっと地面に降り立ち、敵であるアフロダイAの真ん前へ。
あたかも「さぁ行け、死んで来い」とばかりに。
「……」
「……」
両機が言葉なく向かい合う。腕をダランと下げたままで。
パイルダーのコックピットごしに、「じぃ~」っとこちらを窺っている力石の顔が見えた。
そういえば……胸部装甲(意味深)の発育が凄いので忘れがちであるが、浜風も浦風も“駆逐艦”である。
人間で言うならば、小中学生にあたる艦種なのだ。
たとえ出来心とはいえ、そんな子らの同人誌を隠し持っていたP氏の罪は、意外と重いのかもしれない。いま明石ちゃんが怒り狂っているのも、分からないでも無かった。
しかもP氏って、まだ17才だし。あーいうのは全部Rー18なんだし。天誅!
「……P君、ソーシャルディスタンスはいいの?」
「あっハイ。
よく考えたら、ここ野外ですし、ガラスごしなんで」
「じゃあ殴っていいのね? 遠慮なくやるよ? いくよ?」
「はい……オナシャス。
それしか無いみたいなんでクソが」
次の瞬間、P氏の「んほぉぉぉ~~☆」みたいな叫びが、時空の垣根を越えて三千世界に響いた。
◆ ◆ ◆
「アフロダイぱんちっ! きっく! ちょっぷ!」
ボコボコボコー! と連続した打撃音。
マジンガーの身体が、映画でよくある“マシンガンで撃たれた人”みたく、ブルブルと震える。
『いいっ! いいですよ提督! すんごいパワー溜まってます!』
オペレーター(明石ちゃん)の声がしているが、P氏はそれどころではなかった。
舌を出しながら白目を剥くのに忙しいのだ。
「アフロダイえるぼー! アフロダイDDT! アフロダイぱわーぼむ!」
『キレてる! キレてるよ提督! その調子ですっ!』
「アフロダイどろっぷ! アフロダイ金的蹴り!
アフロダイ・ふぁいなるくらっしゅ!!」
『輝いてる! いま光ってますよっ!
めっちゃ気持ちよさそうですね提督! このスケベッ!!!!(悪口)』
快楽に埋め尽くされ、まったく働かない思考。それどころか、だんだん遠くなっていく意識。
でも必死に耐える。アヘ顔を晒しながらでも懸命に操縦桿を握り、脚に力を込める。
まぁワーキャー煩い声も聞こえているし、気を抜くと腰が砕けそうだが、なんとか精神力のみを以って、力石の猛攻を凌いでいく。
だが――――
なんで一回ボコボコにされなきゃ、戦えない仕様なのか。
何故に今、脳が沸騰しそうな程の快楽に苛まれとんのか。わいまだ童貞やぞと。
そんなこの世の不条理を思う度、身を焦がすほどの
なんでわい、こんなロボットに乗っとんねん、乗せられとんねんと、憤死しそうになる。
痛みや苦しみならばまだしも、快楽ってなんやねん。こんなん戦いで受けるヤツちゃうやろと。
昔TVで観た、数多のカッコいいロボットやヒーロー達の御姿を思い、P氏はもう涙がちょちょ切れそうであった。
なんか思ってたんと違う!!
《――――何をやってるのマスターP! がんばるのよぉ~ん!!》
だが、その時……。
《そうじゃぞマスターPよ! お主ならいけるっ!》
薄れゆく意識の中で、“美星町のみんな”の声が……。
《苦しい時は、おちんちんを弄るのよぉ~ん!
それで大概は、なんとかなるわぁ~ん!》
《ワシなんていつも、プロテインしかお供えしてもらえんのじゃぞ!?
それでも頑張っとるんじゃ!》
これは……したたる? そしてお地蔵さま?
倒れそうになる心を支えるような、彼らの力強い声!
《そうだよPさん! 負けちゃダメ! 勇気を出すんだっ!》
《さぁ戦えッ! 敵は目の前だゼ!》
《うおぉー! タワーブリッジ! タワーブリッジ!》
アンパンマン、トラゴロー、ロビンマスクの声がする。心に届いて来る。
……でもP氏は正直、「えっ、今!?」と思った。
こんな序盤のしょーもない場面で、“みんなの声で立ち上がる”という少年漫画お約束の流れやんの? もったいなくないスか? と。
《ちくわを思い出せ! ちくわを胸に抱け!》
《オ〇ンポォォォーーッッ!》
《これが終わったら、一緒にサウナ行きましょう?
男同士、裸の付き合いをぐへへへ♪》
――――しかもロクなヤツがいないッ!!
ちくわ製造業のオッサンとか、
これでは力が湧くどころか、何もかも投げ出してしまいたくなる。
このまま死んじまおうかな~って、そんな気になってしまう。
せっかくの皆のお心遣いだが、ぶっちゃけP氏にとっては“ありがた迷惑”でしか無かった。
そして、なんで女したたるだけやねん。もっと普通の女の子おるやろ。
わい嫌われてんのかな、モテへんのかな……と大分テンションも下がった。
「くそっ! とんでもねぇ威力だぜッ! なんて気持ちいいんだ!(直球)」
「P君ってMなの? これから“マスターM”って呼ぼっか?」
ドカバキ殴り続けながらも、力石はあきれた顔。
長年心の支えにしていた憧れの男の子は、なんか大分イメージと違った。
「ちぃッ!!」
「っ?!」
だがその連撃が、一瞬途切れる。
ふいにマジンガーが振り上げた前腕により、攻撃が弾かれたのだ。
『――――エクスタシー光子力、チャージ5200%! いけます提督ッ!!!!』
さっきまでボスボロット並のクソザコだったが、今は違う!
マジンガーの身体がそこはかとな~く光り、微妙に強そうに見える! なんかぱっと見イイ感じのような気がする!
これまで約340発にも及ぶアフロダイAの攻撃を受けた効果が、ようやく現れたのだ!
「 こなくそォォォーーッッ!!!! 」
「っっ?!?!?!?」
叩き込む! 拳を!
全身全霊を込めたマジンガー絶頂のボディブロー!
オーバーな程に振りかぶったソレが、アフロダイAの腹を勢いよく突き上げる! 高く宙に浮かせる!
「つか……もうちょっと早めでも良かったんとちゃう?
5200%は溜め過ぎだろ! なんで黙って見てたの!?」
『いいからさっさと追撃です提督っ!
ふわりと死に体のアフロダイAに向かい、マジンガー絶頂が構えを取る!
背筋を大きく反らし、力強く「ムキッ☆」っと胸を張った!
「 ――――ビンカンッ……! ブレストファイヤァァァア゛ア゛ア゛ーーッッ!!!!!! 」
胸部より放たれる、赤い波動砲!!
先ほどのチンカスみたいなビームでは無い! 全てを薙ぎ払う真の破壊力を伴った極太光線が、凄まじい速度を以って! 天高く放射される!!
だがッ……。
「 ――――舐めるなぁ! マスターPぃぃぃいいいッ!!!!!!!! 」
烈火の如くの気合。それと共に放たれたアフロダイAの“エロ光子力ミサイル”が、それを相殺!!
双方の一撃が空で衝突し、耳をつんざく程の爆音、世界が真っ白に染まるほどの光を放つ。
「うぐっ……! ちょー気持てぃ(小声)」
思わず腰を低くし、必死に踏ん張らなければいけない程の爆風。衝撃波。
やがてそれが過ぎ去った後、P氏が目にしたのは、悠然と空から大地へ降り立つアフロダイAの姿だった。
「……なんてデタラメなの。
死ぬほどタフなだけじゃなく、あんな威力までッ……!」
スピーカーからの声が、小さく震えている。
いま力石の体までもが、その畏怖と怒りによってわなわな震えているのが分かった。
この機体は“黒鉄の城”。
そんじょそこいらのマシンじゃない。――――スーパーロボット・マジンガー絶頂だ。
そのスペック、頑強さ、そして天地を割るような破壊力。
なんかすったもんだあったが、ようやく真価を現したP氏の機体に、力石は目をひん剥く。
ひとりの科学者として、驚愕せざるを得ない。
「それとP君……、
そんな変な技で倒される人の気持ち、一回でも考えた事あるっ!?
私でも毎回、『なるだけ苦しまないように』ってやってるのに! オニチクだよP君!」
「 うるせェAKSに言えッ! わいも普通のがいい!!(迫真) 」
死ねない、これでは死ねない――――
そんな意地とか自尊心とかを総動員して、力石はなんとかビンカン☆ブレストファイヤーを凌いだ。必死こいて。
本来あの武装は、こちら側が放った攻撃を
もう比べるのも烏滸がましい程に、圧倒的な威力の差があったのだ。
それでも咄嗟の機転や、科学者である自身の優秀な頭脳を発揮し、力点だの角度だのタイミングだのを瞬時に計算し尽くし、なんとか切り抜けてみせた。
力石は内心、砂を噛むような悔しさを味わっているが……それでも認めざるを得ない。
この“快楽で馬力が上がる”というふざけた色物ロボットは、自身の作り上げたアフロダイAより上だ! 遥かに凌駕している!!
「ずるいなぁP君……。そんなおちゃらけてるのに、こんな強いなんて。
もうどう君に接したらいいのか、分からないよ……」
さっきまであった余裕や嘲りなど、もう微塵も無い。
そして関係ないが、サイコパスのお前に言われたくない。
「認めるよ――――今のを一回でも喰らったら、私の機体はバラバラになる。
まともにやったら、君に勝てないだろうね……」
「……」
再び両機が向かい合う。
だが今度は静かに。お互い構えを取ることも無いまま。
「強くなったねP君♪ あんなに小さかったのに……。
私の方がお姉さんなのに、もう追い抜かれちゃったなぁ。
背丈も、強さも……心も」
聞こえるか聞こえないか、という独白に近い小声。
離れた場所にいるから、顔は見えない。だがその声色は、どこか嬉しそうな響きを伴う。
アイツ今、柔らかく微笑んでるんじゃないのか? P氏はそんな風に感じた。
「まぁP君のチートさなんて、今さらだし。
だから、悪いけど倒させてもらうね?」
先ほどの攻撃により、アフロダイAの腹が、大きく陥没しているのが分かる。
貫通一歩手前だ。素人目に見たら、まだ動いているのが不思議なほど。
「殺すわ。……手に入らないのなら。取られるくらいなら。
覚悟してね、P君」
言葉をかけそうになる。もうやめろ、もう無理だと。
だがその優しさや憐れみが口を突く前に、P氏は彼女の佇まいから“覚悟”のような物を感じ取る。
少し前までの軽い雰囲気じゃない、まさに“殺す”という意思を固めた、一人の女の情念。まだ若い彼には理解しがたいくらいの、深い愛憎。
コックピットごしでもビリビリ感じる、凄まじい威圧感。重力を伴う程の殺意……。
「あ、いいっすよ(即答) オラわくわくすっぞ」
だが、いま彼女と対するは、匹夫に非ず。
美星町の英雄、マスターP・チョモラペット也――――
「やってみろッ! 力石・ノースカロライナ・徹子ォ!
ロボを作る科学者と、ロボで戦うパイロットの差を見せてやるッ!
てめぇ免許持ってんのかオラァン!?」
きりんぐみー、そふとりー(?) とよく分からない英語を叫ぶ。
チュニジア語が話せるワリに、英語は駄目なのネ、というのはいったん置いといて……。P氏は大きく両腕を広げ、「来い」と意思表示。
マジンガーとアフロダイA、正と邪が真っすぐに対峙。
ぶっちゃけた話、わいには
なら、もう拳で語るしかねェ――――意地を張り合うしかねェんすわ。
そうP氏も覚悟を決める。
「オマエ、コロス。博士、ヨロコブ。
言葉は無粋、押し通れよ力石ッ!!!!」
「こんだけ喋っといて何?
そういう所だよP君?」
バカだし、猪突猛進だし、イミフ。
けれど……そういう部分にこそ、自分は魅かれたのかも。
決して手が届かない、絶対になれないって程の
己の原初の想いを、力石はふと思い出す。
思えば、これまでの人生の中で、無意識にでも彼の真似をしていた事があるような気がする。
心が壊れている狂人は、他者と接する時、己を装う。とても魅力的な人物に映る“仮面”を被る。
獲物を安心させ、無害を装うために、その術を自然と身に付けるものだ。
そして、いつもそのお手本として、何気なしに力石が思い描いていたのが、まさにP氏。
あの七夕の日に見た、キラキラと輝く少年の姿だった。
まぁ力石は元々
たとえば小雪と接する時も、いつも変な薄い本を勧めたり、「ぞなもし」と変な語尾を付けたり、「でゅふふwww」と妙な笑い方をしたりと。
もうどこからどう見ても、“変なお姉さん”でしか無かったワケなのだけど。
だが、あの子は笑ってくれた――――無邪気な好意で慕ってくれていた。
いつも小雪と接している時に感じた、ほのかにあたたかな感情、ぬくもり。
……それはまごう事無く、P君がくれた物。己の潜入技術などではなく、彼から貰ったギフトなのだと、力石は自覚している。
暗殺者でなく、サイエンティストでなく、ただのナースになれたら……。ずっと小雪ちゃんといられたら……。
何度そう思った事だろう? 叶う筈もないのに。
「私はモグラだから、眩しいのは苦手なの。
このままじゃ、目が潰れてしまう……」
そっと、何気なく手をかざす。
力石のアフロダイAが、天に向けてまっすぐ右腕を伸ばした。
「もう月明りはいらない。
あの日を思い出すから」
開いていた手のひらを、グッと力強く握り込む。
その途端――――
つい先ほどまで天上にあったハズの、不気味な赤い月が、林檎のように砕け散る。
音も立てぬまま、静かに消え去ってしまったのだ。
「重ねてになるけど、ここは“ワタシのセカイ”。なんでも思い通りになるの。
何かを作るのも、イラナイ物を壊すのも」
「ッ!?」
スッと、アフロダイAの姿が消失。何も見えなくなる。
それもそのハズ、ここで唯一の光源であった月は、もう無くなったのだから。
今しがた、彼女の手の動きと連動するようにして、木っ端みじんに。
「P君いくよ? 貴方も壊れてしまえ」
その言葉と共に――――衝撃。
とつぜん視界を奪われ、その場で脚を踏ん張るばかりだったマジンガーの頭部が、勢いよく後ろに跳ね飛ぶ。
拳? 蹴り? それともなんらかの武装?!
だがそれすらもP氏には判断が付かない。
分かるのは、いま己の機体が地面に倒れた衝撃、そして凄まじい爆音のみ。
「んい゛ッ!?」
直感……いや悪寒を感じ、咄嗟に真横へ転がる。
次の瞬間、ちょうどマジンガーの頭部があった辺りで、地面が踏み砕かれる轟音。ビリビリという空気の振動。
それに目を丸くしている暇もないまま、即座に起き上がろうと藻掻く。
だがコックピットから見える視界は、黒一色。一切の光源が無い、真なるヤミのセカイだ。思うようにいくハズも無し。
続け様にマジンガーの腹部へ、背中まで貫くような打撃が叩き込まれた。
「……アカン、気持ちよかですばい! なんか出そう(正直)」
ドゴーンと後方に吹き飛びながらも、P氏が思うのはそれだけ。
ヤバいとか拙いとかではなく、トロットロのアヘ顔で「んほぉ~!」と快楽に身を委ねるのみだ。
このロボは本当にどうしようも無かった。
『何してるんです提督っ! 反撃しなきゃ!
いくらマジンガーが丈夫だからって! そのままじゃあ……!』
「んなこと言ってもよAKSィ……! 何も見えねェんだってばよッ!」
既にマジンガー絶頂のパワーは、十二分に溜まっている。これ以上攻撃を受ける必要など無い。
だが成す術なく被弾し続ける。次々に衝撃が襲い来る。
コックピットが絶え間なく揺れ、まるで洗濯機の中にでもいるかのように視界がグチャグチャだ。
『エクスタシー光子力、チャージ8400%! ……拙いです提督っ!
もし1万までいけば、マジンガー絶頂グレートは
きもてぃー♪ とばかりに爆散してしまうんですっ! 主に股間の辺りが(小声)』
「 どーいう事すかソレ!?!? 」
何かの象徴的な事かもしれないが、エクスタシーがMAXまで昇り詰めると、自動的に股間からビーム的な物を発射した後、ヘブン(意味深)的などこかへと旅立ってしまうのだそうだ。
いくら
刻々と迫りくる限界、そして何も出来ないこの状況。
次第にP氏の心に、焦りが
「やめちくりぃ~(挑発)」
「壊れちゃ^~う↑(トロ顔)」
「ちきしょう!(建前) ナイスゥ!(本音)」
まぁ痛みではなく気持ち良さなので、ぜんぜん緊張感は無かったりするけれど、それはそれ。
凄まじいまでの未知の快楽に、思わず大人の扉を開けちゃいそうになってるが、彼は真面目にやっているのだ!
エクスタシー光子力の計測器が“9000”を指し、あと少しで「い゛く゛ぅ゛!」みたいな状況。この酷い絵面はともかくとして、ピンチに陥っている!
「――――P君、
今までずーっと、光の中を歩いてきたんでしょう?」
ふいにどこかから、力石の声。
こちとら歩くことすら苦労しているというのに、彼女だけはこの暗闇の中でも、縦横無尽に動ける。
「太陽は沈む、P君もいっしょ。
私の闇で眠りなさい――――」
クスクスと笑い声。姿は見えず声だけが届く。
対してP氏は無言。それに返答する事はない。
ただただ、その場でじっと佇んでいる様子。
「ん? どうしたのP君、なんで黙ってるのかな?」
「あ、すんません。青山ひかるの事を考えてました」
「な゛っ!?!?」
ちなみに青山ひかるとは、Iカップ♡で有名なグラドルさんの事。
おっぱい大好きP氏は、よく暇さえあれば、彼女のグラビアを穴が空くほど見つめている。
こんな時でも、エロスインマイハート――――流石はマジンガー絶頂のパイロット。
疲れた時とかにエロい事を考えると、すごく心が安らぐような気がしてる。おっぱいを忘れない。
「~~っっ!! もういい! P君なんか死んじゃえーっ!
その青山ひかる? とかいう女も後で殺すからね! ぜったい生かしておかない!」プンプン
「やめたれ! 青山さんは唯一無二のおぱーいやぞ!? 外人にも大人気や!(必死)」
シュバババ! と風切り音を立てながら、アフロダイAがマジンガーの周囲を回る。疾風のように駆ける!
ただでさえ辺りは真っ暗なのに、もう分身のような残像が発生するほどの速さ!
流石は暗殺者、流石の身のこなし! たとえロボに乗ろうとも、その体捌きは健在!
「ほっほぉ~。これわい、漫画とかで読んだ事ありますねェ!」
P氏の頭上に \ピコーン!/ と電球が灯り、そのままそっと両の瞼を閉じる。
「目に頼んな、心の目で見るやで――――」
そして、意識を集中。
音や気配を感じ取り、じっとその場でタイミングを計る。
グッと力強く握った右拳、それを叩き込む瞬間を。今か今かと……。
「お待たせしましたPさん……! ようやくこっちのセカイに来r
「――――そこだぁぁぁあああッッ!!!!(グーパン)」
颯爽とこの場に舞い降りたアマジーグ(セキゾノフさん)に、出力9000%オーバーの拳が炸裂。
「AMSから、光が逆流するっ……!? ンギモッヂイイィィ--☆☆☆(絶頂)」
ボゴォォォーーン!! という馬鹿でかい音と共に、アマジーグが
これまで身を削って人々のために戦った英雄が、一瞬にして異世界の塵と化した。まぁヒョロヒョロの軽量機ですし。
「……あっ(察し)
力石テメェ! よくも哀れなセキゾノフを殺したなッ! ゆ゛る゛さ゛ん゛ッ!!」キリッ!
「なんでも悪のせいにするの、どうかと思うな。
私ゴルゴムとかじゃないし」
ここ暗闇だから、みんなにはバレない筈。そんな計算高い考えが、一瞬脳裏をよぎったのだった。
まぁセキゾノフさんは歴戦の雄だし、ちゃんとコックピットから脱出してたっぽいので、大丈夫だとは思うが。
「終わった(白目)」
「ですぅ(確信)」
「最後の希望が絶えたポポ(真顔)」
「……」
遠くで観戦していた4人が、ふぅとため息。その後イソイソと帰り支度を始めた。
まぁとにかく! やってしまった物は仕方ないのだ!
あいつロリコンだし今それどころじゃないし! 気にしない気にしない(一休さん感)
「というか……もう諦めたら?
いくらおバカでも、勝てないって理解してるよね?
無理だよP君。闇を知らない君には――――」
ふいに脚を止め、再び相対する。
闇の中であっても、彼女がこちらの顔を見ているのが、ハッキリと分かった。
「大人しくするなら、楽に殺してあげる。
嘲笑。三日月のように口元を歪めて。
彼への強い執着が、拒否された事により、そのまま憎しみに代わる。
だから“愛憎”と言うのだ。
けれど、それを全く意に介すこと無く、P氏は……。
「ヒトガタ? そりゃHitomiの事かァ……?」
グッと、大地を踏みしめる。
「――――ヒ ト ミ ン の 事 か ぁ ぁ ぁ あ あ あ ッッッ!!!!!!!」
激高。
「
掃射。
マジンガー絶頂の指から、一斉に小型ミサイルが放たれる。
9000を超えたエクスタシー光子力によって発射されるミサイルは、まさに豪雨の如し。
そこに居ようが居まいがお構い無しの、MAP兵器めいた全面攻撃に、思わず力石は防戦一方。目を見開いて回避に専念。
「 そこだァ!! 力石獲ったどぉーッ!!!! 」
「っっ!?!?」
大地を駆け回る振動か、それとも音による物か。
P氏がハッキリと力石の位置を捉え、腕部からワイヤーを発射。
その先端が、アフロダイAのどことは言えないデリケートな箇所(意味深)にぶっ刺さり、彼女の動きを阻害。完全に停止させる。
「――――ビッグバン・高圧電流ゥゥーーッ!!!!」
「 んにゃあああぁぁぁ~~っ!?!?!(はぁと) 」
バリバリバリー! と閃光が迸り、辺り一体を白く染める。
これまで全く見えなかった視界が、当社比86倍はあろうかというビッグバンな電圧により、ようやくクリアとなる!
ついでに言うと、なんか力石が色っぽい声を上げている!(重要)
「もう逃がさねェぞ力石! 次はテメェの番だッ!
ええんか、ええのんか~!」
「 あああーーーーん♡♡♡(エビ反り) 」
エネルギーは満タン、幾らでも高圧電流を継続出来る!
それすなわち、ずっと力石のエロい声が聴ける……いや動きを拘束して視界を保ち続けられるという事!
これまでの鬱憤を晴らさんが如く、力石にエロ電流を正義の刃を喰らわせる! 今度は俺のターンとばかりに!
どやっ! 気持ちええやろ! どやっ☆(満面の笑み)
そしてなんか知らないが、背徳感ですんごいゾックゾクする! 戦ってるだけなのに不思議っ☆
「どっ、童貞のクセにローター責めなんてっ……!
年下の子にされるだなんてぇー!!」
「うぼぉい! 妙なこと抜かすなァ!!
これはあくまで、ロボットバトルすねェ!(キッパリ)」
……つかわい、いつも戦いん時はこんな感じスよ!? お前も味わえ味わえー!
そう言わんばかりに、容赦なく攻めたてる。どうやらP君(17才)にはベッドヤクザの素質があるようだ。
「女の子に、こんな事してっ……!
もうお嫁にいけないよぉ! 責任とってよP君っ!」
「おめぇ悪の幹部だろォん!?
お嫁に行く前に、まずは更生しましょうねェ! そうしましょうねェ!」
「え、酷くない?! エッチな事しといてっ!
身体だけが目当て!? そんなのサイテーじゃんP君!」
「お前も散々しただろ! お互い様ですねェ!(ゲス顔)
つかわい、美星の護り手ですし? これは正当な行いじゃーい!」
「P君のばか! へんたい! えっちえっち! ゴリラフェチ!」
「ゴリラはお前の指金だろうがァァアア!!
わいとちゃうわボケェェーーッッ!!!!」
「なんなの……!? ゴリラになれば愛してくれるの!? 幸せになれたの!?
もう分かんないよP君! どーしろって言うのよぉ!」
「――――普通でよかったんだよお前はァーーッ!!(迫真)
おっぱいとツインテが泣いてんぞ!? 宝の持ち腐れじゃねーか!!!!」
残念な美人。もうそうとしか言えない。
いくら暗殺者の里の生まれとはいえ、変な男の子に惚れたせいで、人生狂わせちゃったのであった。
「こんのぉー! P君なんか、ゴリラにAFされちゃえばいーんだ!
ぜったい女の子にモテないもんっ!」
「だからAFってなんスか?!?!
フォーアンサーはFAですけども?!(フロム脳)」
「なんで髪切ったの!? せっかく美少年なのに! あの頃のままでいてよっ!
丸刈りのP君を見た時、私の心は深い悲しみに包まれたよっ!」
「うるせぇバカ野郎ッ!
野球部入ろうと思ったら、ソフト部しかなかったんだよ! 後で気付いたんだよォ!」
電撃にクネクネ身をよじりながら、罵詈雑言。
しかもお互いに至近距離でドカバキ殴り合い、思いの丈をぶつける。
もう操縦技術も武装もあったモンじゃない。ただただ子供の喧嘩のように、ワーワー言いながら叩き合うだけ。
「おめぇだって、
あれ可愛くて好きだったのに、わいちょっと悲しかったわァ!!!!」
「 っっ!!!!???? 」
絶句。
力石は頭が真っ白になり、硬直したように動きを止める。
それを認めた途端、P氏のマジンガーがワイヤーを戻し、アフロダイAの拘束を解く。
電流攻撃が終わった事で、辺りは再び闇に包まれる。黒一色の世界に。
「……もういい、電気は止めだ。
月を戻せ下さい。普通にバトろうぜ? 頼むよ頼むよー」
ポカンとした顔、はたらかない思考。
力石は言われるがまま、ワチャワチャと慌てて月を出現させる。
子供が親の言うことを聞くみたいに。不思議と逆らう気にはなれなかった。
思い出した……? 憶えてたのP君……?
私のことを。あの七夕の日を。
わなわなと震える。これまでの人生で感じた事のないような歓喜と興奮が、熱病のように顔を火照らせる。身体中の血が沸騰したみたいに――――熱い。
「先に言うとく、今
多分つぎ殴られたら、マジンガーはチーズバーガーぶつけられたリア充みたくなる(確信)」
性根がまっすぐなのか、バカなのか。……とにかくP氏は真っすぐ前を睨んだまま、力石に告げる。
「だから悪ィけど、これラスイチらしいっすよ?
来いよ力石……いや徹子ねーちゃん。
わいも全力でいくやで(蒼き鋼の意思)」
共に一撃必殺。ゆえにもう、馬力差など関係無い。
次に当てた方が勝ちという事。
お前にやられるんだったら、わい別にいいわ。散々酷いこと言っちまったしなと、P氏は強い目で彼女を見つめる。
「ほい(速射)」
「――――うお危なッ!?!?!」
何気ない仕草で、
P氏は慌てて上体反らしで避ける。
「……あは♪ あははははは♪
何その必死な動きーっ! P君おもしろーい☆」
「テメェいきなりステーキかッ!
もうちょっとあんだろォん色々ォー!!??」
ちっちゃい女の子のように、ケラケラお腹を抱えて笑う。
まるで、あの日の七夕……7才だった頃に戻ったかのように。
「あー笑った笑った! こんな面白かったのは、あの時以来だよ♪
ありがとね、P君」
そして、涙を浮かべるほど笑っていた力石が、スッと目元を指で拭ってから、前に向き直る。
「そして……ゴメンねP君?
アフロダイAの武装って、
これで
「は?」
たった今、胸部から発射された二発目のミサイル。
それが明後日の方向へ飛んでいくのを、どこか清々しい顔で眺めながら、力石がニッコリ笑顔を浮かべる。
「だから、盛り上がってるトコ悪いんだけど、
やっぱ私、P君は殺せないよ――――君だけは」
というか……分かってた。最初の最初から。
もう10年以上も前から、君には“ぜったい勝てない”って。私はただ尽くすだけって。
ほら、惚れた方の負けって言うでしょ?
擦り切れた心の中、たった一つだけ、私に残った物。
“憧れ”を殺したり出来ない――――
そう力石が、コックピットごしに微笑む。
憎悪や冷笑といった、今日P氏が見たどんな表情でもない。
まだ幼かった頃、あの夜の森で見たまんまの、“徹子お姉ちゃん”の柔らかな笑顔。
「嫌だったし、辛かったし、憎かった。
君に会わなければって、思うこともあった……」
キラリと、月明りに照らされた力石の涙が、光る。
「でも私……、たとえあの日に戻れたとしても、
何度でも、何度でも、短冊に願いを書くよ」
スッと、ボタンに指を伸ばす。
アフロダイAの操作パネルにある、薄いガラスで覆われた、赤色のスイッチに。
「ピンキー様……任務は失敗です。
マスターPめの捕獲は、どうぞご自分で」
まぁ、貴方などに負けるP君では御座いませんが。この青髭クソ野郎。
男のくせして、桃色の忍装束なんか着込みやがって。*1……そう小さく呟いてから、力石はようやくといったように、自らの終わりを噛みしめる。
もうP君は大丈夫。私が居なくても――――
長かった彼女の苦しみは、ここに終わりを告げるのだ。
「最後に言っとくけど……やっぱ髪は伸ばした方がいいよ?
P君はサラサラヘアーだから、大好きな悟空みたいな髪型には、出来ないだろうけどさ。
がんばってね、美星のヒーロー君♪」
「おっ……おい力石ィ! おまッ!?!?」
不穏な雰囲気。それを感じ取ったP氏は、思わず手を伸ばす。
だが、彼が一歩踏み出そうとした、その瞬間……。
「約束、守ってくれてありがとう――――――――うれしかった」
◆ ◆ ◆
P君、すき。
その言葉と共に、暗闇が眩い光によって払われた。
アフロダイAの内部から光が溢れ出し、すぐさま木っ端みじんに爆散。
立っているのがやっとの爆風に晒されたP氏は、ただただ何も出来ぬまま、その場で立ちすくむばかり。
けれど……ふいにP氏の脳裏に、とても温かな光景が。
これは、残滓なのか? このセカイを構成する、因子なのか? 詳しい事は分からない。
だがP氏の瞼に、まるで万華鏡を覗いたみたいに、様々な七夕の
そのどれもが、遠慮がちに男の子と手を繋ぐ、とても幸せそうな女の子の姿。
闇が光に、恋するなんてね――――
宿主を失い、ガラガラと崩れゆくセカイの中、そんな声を聴いたような気がする。