【リレー】今日もカオスなもんじゃ焼き   作:リレー小説実行委員会

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【劇場版】マジンガー絶頂(Z) ⅩⅦ

 

 

 

 

 

 ――――前回までのあらすじ!

 

 

 

「ウホホw ウホw あたしずっとみんなとwww」

 

Hitomi( ゴリラ )ーーッ!!」

 

「お姉ちゃあぁぁぁーーんッ!!??」

 

 

 Hitomiは死んだ!

 愛すべき彼女(ゴリラ)の命は、永遠(とわ)に失われた!

 

 

「ではお会計の方、10万1700円になります」

 

「あ、はい。ちょっと金おろしてきて良いすか? あとポニテとか出来ます?」

 

 

 敵の卑劣な罠! ピンチに陥るマスターP!

 

 

「ちきしょう! また粘着野郎だ!

 やんわり言っても、ぜんぜん自重してくれないッ! 理解しやがらねェ!!」

 

 

 言葉の通じぬ獣たちが、次々とP氏のページへ押し寄せる!

 ガリガリ削られていく、P氏のメンタル! 失われる創作意欲!

 

 

「時には筋トレしたくない~って日もあるじゃん?

 今日はしんどいなー、やめとこかなーって。

 でもそんな時、『でもプリキュアも頑張ってるしな~。私もやらなきゃな~』という心で」

 

「サイコパスやなお前。狂ってるよ」

 

 

 信じていた友の裏切り! 辛辣な言葉!

 幼稚園からの付き合いだというのに、親友だと思っていたのに“サイコ扱い”される苦しみ! 分かってもらえない悲しみ!

 

 

「いいじゃーん、付き合っちゃおうよぉ~♪

 今フリーなんでしょ? いい経験になるってぇ~♪」

 

「いやっ……、ぼく“ノンケ”なんで。

 お気持ちは有難いんスけど……」

 

 

 蘇るトラウマ! 忘れ得ない心の傷!

 これまでの人生で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という、暗い思い出がP氏を苛む!!

 

 

「ノンオイルのツナ缶が、3つで246円……!?

 安い! なんて安いんだ!!」

 

 

 しかし! 殺伐としたダイエット生活に訪れる“希望”!

 雲間から差し込む太陽の如く、P氏を照らす! 心に勇気の火が灯る!

 

 

「では私の出番ですね提督っ?

 ――――グレートマジンガー絶頂(Z)! はっしぃーんッ!!!!」

 

「マニュアル的なのは? いっつもわい、ぶっつけ本番やけども」

 

 

 

 今ここに、スーパーロボット【マジンガー絶頂】の戦いが、満を持して開幕。

 

 ラノベ一冊分以上も書いておきながら、ようやく始まるのだ――――

 

 

 

 ……

 …………

 ……………………

 

 

 

 

 

 

マジンガー絶頂のうた

作詞作曲: hasegawa  歌: ウォーターウッド・兄貴

 

 

 

 

べべんべん♪ べべんべん♪

 

べべんべん♪ べべんべん♪

 

んひーひーひーひ♪ ほよほよ ふふーふん♪(ボイパ)

 

 

 

コメント 無いけど 10話目更新――

 

お気に入り登録 俺だけ マジンガー絶頂

 

 

活動報告 レスがいっぱい

 

小説の方は? パイルダー・オン!!!!

 

 

飛ばせ! オッサン! 悪役令嬢!

 

時代だ 書くんだ 異世界転生ぇぇ~♪

 

 

辛いんゴォ 辛いんゴォ… マ・ジ・ン・ガー ぜぇぇーっちょ!!!!

 

 

 

 

 

サンマが 一匹 200円――

 

高級魚 気取りか マジンガー絶頂

 

 

サラダチキンを 薄切りにして

 

レンジで4分 パイルダー・オン!!!!

 

 

ツナ缶! 直食い! 豆腐と共に!

 

豚の エサだぜ オートミールぅぅ~♪

 

 

痩せるぞォ 痩せるぞォ… マ・ジ・ン・ガー ぜぇぇーっちょ!!!!

 

 

 

 

 

最近 チアコス マイブーム――

 

アンスコ 大好き マジンガー絶頂

 

 

ネトゲで地雷に 遭遇したら

 

ネカマで対応 パイルダー・オン!!!!

 

 

かませ! 下ネタ! メスガキ語録!

 

諸刃の 刃だ ロリコン疑惑ぅぅ~♪

 

 

Rー15ォ Rー15ォ… マ・ジ・ン・ガー ぜぇぇーっちょ!!!!

 

 

 

 

 

 

 ……

 …………

 ……………………

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

「――――パイルダー・オン!(ずにゅ♪)」

 

 ガッシーン!!!! とカッコいい音が鳴る。

 今P氏が乗るジェット・スクランダーが、“黒鉄(くろがね)の城”マジンガー絶頂との合体を果たした! 出撃だ!

 

「マジィィン、ゴッ……!?!? って、はぁぁあああ~~~ん☆☆☆(昇天)」

 

『どうです提督、気持ちいいですかっ?!(どアップ)

 従来のマシンから、グレートにパワーアップした、新生マジンガー絶頂ですっ♪」

 

 おめめをキラキラさせた明石ちゃんが、コックピットの内部モニター画面に映る。

 

「いきなり『壊れちゃ^~う』ってなったわボケェ!

 合体した瞬間に、目の前真っ白なったでッ!? 一気にオルガズムですじゃ!」

 

『そうですか(スルー)

 前のマジンガーと同じく、このグレートにも“衝撃を快楽に変換させる機能”が付いてます!

 敵の攻撃だろうが、自分で殴ろうが、その全てを快楽としてパイロットに伝えます!」

 

「前も聞いたけど、なんでそんな仕様!?!?

 わいになんの恨みあるんすかねェAKS(明石)ィ!?」

 

『とんでもない! 提督が気持ち良くなればなるほど、グレートの馬力も上がるんですよ?

 だから遠慮は無用です! 思う存分『やめちくりぃ~!』となって下さいっ!

 唾液を垂れ流し、アヘ顔を晒して下さい♪ ――――この変態ッッ!!!!」

 

「 制作者の悪意ッ!! あとなんで悪口ッ?!?! 」

 

 こんなモン、童貞が乗るモンちゃうわ。ハードコアですねェ!

 そうP氏は叫びたい気持ちなのだが、もう乗ってしまった以上、後には退けない。

 このグレートマジンガー絶頂を操り、敵を倒すしかないのだ! 体内の水分を全部出し尽くし、パンツがカピカピになっちゃう前に(意味深)

 

 黒と白を基調とし、胸部の真っ赤なワンポイントが映える黒鉄のボディ。

 大地の全てを眼下に見下ろしながら、雄々しくガッシーン! とポーズをとる、天をも貫く程に巨大なスーパーロボット。

 ――――その名はグレートマジンガー絶頂!! 美星の護り手たるマスターP氏が操る、無敵の機体!!

 

「ん? なんか()()()()()P()()。どうかしたのかな?」

 

「うるせェバカ! ほっとけ下さいましっ!(必死)」

 

 だが力石のアフロダイAが首を傾げているように、今グレートは超の付く“前傾姿勢”。

 モジモジと股間の辺りを両手で押さえつつ、常にプルプルと震えているのだ! 意味深に!

 

「わぁ♪ P君ピンクローターみたい。おもしろーい。

 そーれツンツン☆ ツンツン☆」

 

「や……や゛めッ……! やめろォ~~う! ハァァーーン!!??(身もだえ)」

 

 力石操るアフロダイAが、ちょこちょこ近付いて来て指でつっつく。

 それだけでグレートはワチャワチャ。仰け反って大暴れ。

 

「こんなのはどーかな? あっそれ、つーーい♪」

 

「 うぼォォい!!?? こちょばい! こちょばいッ!! 」

 

 今度は手のひらで、背中をスーッとひと撫で。

 グレートはピョーン! と海老反りになって飛び上がる。

 P氏の脳内にエンドルフィンが過剰分泌され、快楽が身体中を駆け巡る。

 

「脇腹をわしゃわしゃ♪ 足裏をコチョコチョ♪」

 

「 死ぬ死ぬ死ぬッ!! アカンわい今日で最終回や!! 地球はブルーでした!! 」

 

 山をも見下ろすような巨大ロボット二体が、イチャイチャと乳繰り合っている光景。

 そして、マジンガー絶頂の次回作にご期待下さい! と言わんばかりの醜態。フルボッコ具合。

 あぁ、何も出来ぬまま身体(ボディ)を弄りまわされるという、耐え難い屈辱よ。

 まぁそれさえもいずれ、()()()()()()()()()()()()()()()()()。何かに目覚めて。

 

「負ける(確信)」

 

「だめポポ(断言)」

 

「惨めですぅ(小声)」

 

 ポン助、ポルン、東雲が嘆息を漏らす。

 彼ら三人は今、巨大な漆黒の化け物の肩に乗って、この戦いを見守っているのだが……、でもまだ始まってもないのに諦めムード。

 東雲に至っては、「これ私がやった方が良くないですかぁ?」と言ってのける始末。

 なんだあのヘコいマシンは。図体ばっかりデカくて。

 

「ちょ……なに言ってるのよみんな! 応援してあげてよっ!」

 

「でもですねぇ? アレは無しですぅ」

 

「勝てる未来が浮かばないポポ。死ぬポポ」

 

「弱い(確信)」

 

 先ほど助け出された暁が、隣でぷんぷん声を荒げているが、三人は冷めた顔。

 私に任せりゃいいのに、プリキュアになっときゃー良かったのにと、ガッカリしている様子。

 もう頑張れとか負けるなとか、そんな声援をおくる気にもなれない。それ以前の問題だった。

 

「もうセキゾノフさんで良くないか? 代わりにアマジーグを呼ぼうよ」

 

「それがいいポポ。アーマード・コアの方がつよいポポ。あいつはクソだポポ」

 

「ではいったん、“ふたつめのセカイ”に戻りますぅ。

 おっきいお人形さぁん、よろしくお願いs

 

「 まってよ! 提督を見捨てないで! おねがいだからっ!!!! 」

 

 はい撤収~! みたいな雰囲気の三人を、必死で押し留める。

 昭和の夫婦ドラマみたく、「捨てないでぇ~!」と腰にしがみついて懇願。

 ポン助もポルンも東雲も、なんか「えー」とメンドクサそうな顔でこっちを見ている。もういいじゃんすかと。

 

「――――拙い! このままじゃやられるッ! 持ちこたえられんッ!」

 

「ほら暁ちゃん、駄目そうだよ彼?」

 

「もう限界ですぅ。戦闘開始から、わずか5秒でぇ」

 

「現実を見るポポ。希望を捨てろポポ」

 

「 提督ぅぅぅーーっっ!!?? 」

 

 こちょばされてるだけで、もう敗北寸前。

 苦し気に片膝を付き、あたかも12ラウンドくらい戦った後みたいな様子のマジンガー絶頂。

 まだ敵と交戦するどころか、その場から一歩も動いていないのに、どっこも損傷してないままで、もう死闘感を漂わせている。

 

 幼子の悲痛な叫びが響く中、P氏はなんとかその場から立ち上がろうと、ホワンホワンしている下敷きのような足腰に、必死に力を込める。

 あの子の声に応えるかのように(ぜんぜんカッコよくないが)

 

「ちょ、いったん待って貰える? いっかい離れて?

 ちょっと5歩くらい下がってみようか力石」

 

「?」

 

 キョトンとしたまま、とりあえずP君に言われるままに、その場から離れる。

 

「おけ、サンキュサンキュ。

 とりあえず……やるじゃねぇか力石。見直したぜ!」

 

「私なにかしたかな? まだ何の武装も使ってないけど」

 

 まさかこの俺を、ここまで追い詰めるとはな――――

 そんな感じで「キリッ!」とした顔をしてみるが、力石の方はコテン? と小首を傾げている。子供みたいな仕草で。

 この場の雰囲気だけは、もう中盤戦のテンションだった。

 

「それじゃあ、もういっても良いかな?

 パンチとかキックとかの、格闘戦をしようと思うけど……」

 

「いやいやいやッ!! このまま離れてやりましょうねェ!(必死)

 今こんなご時世だろ? ソーシャルディスタンスに配慮していこーぜ! オナシャス!」

 

 STOP! と両手を突き出し、断固拒否の構え。

 屁理屈をこねつつ「そこを動くな、一歩たりとも近付くんじゃねぇ」と頑張って説得。

 言っては悪いが、クッソ情けなかった。

 

 とりあえずは、力石さんが遠くの方でボーっと待ってくれているのを良い事に、操縦席で黙々とマニュアルを読み耽るマスターP氏。

 あーでもない、こーでもないとブツブツ呟きながら、本を片手にレバーをガチャガチャ。ボタンをポチポチ。

 うん、なんかやれそうな気がしてきた。絶頂ファイト!(レッドファイトのテンションで)

 

「――――いくぜッ! ビンカン☆ブレストファイヤー!!!!」

 

 マジンガー絶頂が雄々しくムキッとマッスルポーズ、ボディビルで言う所のダブルバイセップスを繰り出しながら、胸部よりビームを発射!

 なんか放った側のP氏が「はぁぁぁーーーん☆」とビーチク押さえて艶声をあげているが、とにかくビームは真っすぐ前方へ!

 

「……」

 

 だがヒョイッ♪ と音がしそうな軽いステップで、アフロダイAが楽々それを躱す。

 

「――――喰らえッ! パンチラ☆ルストハリケェェーン!!!!」

 

 続け様に、マジンガー絶頂の口元から、鎌鼬を思わせるような激しい突風が噴き出す!

 渦を巻いて空気が回転し、周囲の木や建造物を巻き込みながら、一直線に敵に襲い掛かる。

 

「……」

 

 しかし! 再びアフロダイAがピョイン♪ と軽くジャンプ。空中へ逃れて回避。

 

「――――くたばれェ! チンカス☆ミサイルパンチ!

 早漏☆スクランダージェット! (親の視線が)冷凍光線!!!!」

 

 矢次に放たれるマジンガー絶頂の武装! まさに全門発射と言わんばかりの猛攻!

 なれどいかなる魔術か!? 力石は朝めし前とばかりに、眠そうにチョチョイと操縦桿を動かしただけで、全ての攻撃を回避。

 

「――――トドメだぁアフロダイAッ!!!

 ア゛ーッ! イヤ~ン♪ カッタァァァアアアーーッッ!!」

 

 最後に放たれるマジンガー絶頂の拳!

 それはロケット噴射によって、勢いよく腕部から分離! しかも森羅万象どんな物でも切り裂くであろう鋭い刃までシャキーンと備え、眼前の敵を両断せんと一気に直進!!

 でも力石操るアフロダイAは、「よっこらせ」とばかりにその場に座り込んだだけで、あっさりそれを躱して見せる。

 

 

「駄目だ、ロクな武装が無い(白目)」

 

「アクビが出ちゃうよP君。……まさかとは思うけど、それ本気でやってる?」

 

 

 ちなみにだが、マジンガー絶頂の繰り出す武装は、全部()()()()()()()()()()()

 ガッキ―ン! とカッコいい効果音が鳴ったり、大声で技名を叫んだりはしても、ぜんぶ年寄りのションベンみたくキレの無い、躱しやすそ~な攻撃であった。

 

 ぶっちゃけた、力石のパイロット技術であれば、それやってる途中でも問答無用でカウンターとか入れられたのだが……。

 でもそれすると、なんか頑張ってるP君が可哀想な気がしたので、ヒョイッと躱すだけで許してあげていた。

 なんだかんだ言いつつ、彼女にも“惚れた弱み”的なヤツがあるようで、それによりマジンガー絶頂は間一髪、危機を免れていたのだ。

 ありがとう力石! あざーす! ヌクモリティ!

 

『駄目です提督! そのままじゃ勝てない!』

 

 明石ちゃんからの、切迫した声の通信に、P氏は俯いていた顔を上げる。

 

『もっと気持ち良くならなきゃ、マジンガー絶頂の真価は発揮出来ませんっ!

 素のままのマジンガーなんて、ボスボロットと似たようなスペックなんです!』

 

「――――ゴミじゃねーかコイツ!! なんで作ったお前!?!?」

 

 だが膝から崩れ落ちそうになる。

 わい提督だよね? 確かそうだよね? なんでこんなのに乗せられてるの?

 頭の中に、いくつもハテナマーク。

 

『マジンガー絶頂は黒鉄(くろがね)の城! 無敵の要塞っ!

 その()()()こそがウリなんですから、とっとと殴られて来て下さい!

 さぁ提督、ボッコボコにされましょー!』キャッキャ

 

「敬意は無いんだな? そうなんだなAKS(明石)?!」

 

 こいつもサイコパスか。イカれてんのか。

 しかも、まだ力石さんの方が優しい。容赦なかった。

 

『うふふ……♪ 貴方のベッドの下から、篠塚醸二の同人誌(浜風&浦風本)を見つけてしまった時、私の心は壊れてしまったのですっ!

 さぁ姉妹丼でも、Wパイズリでも、好きなだけ妄想すれば良いじゃないですか!

 マジンゴー!!(強制)』

 

「ちょ……!?!?」

 

 明石ちゃんの遠隔操作により、勝手にスクランダー(背中に付いているジェット)がギュイーンと起動。マジンガーを空へ飛行させる。

 そしてP氏がワケも分からず慌てている内に、マジンガーはすぐにスチャっと地面に降り立ち、敵であるアフロダイAの真ん前へ。

 あたかも「さぁ行け、死んで来い」とばかりに。

 

「……」

 

「……」

 

 両機が言葉なく向かい合う。腕をダランと下げたままで。

 パイルダーのコックピットごしに、「じぃ~」っとこちらを窺っている力石の顔が見えた。

 

 そういえば……胸部装甲(意味深)の発育が凄いので忘れがちであるが、浜風も浦風も“駆逐艦”である。

 人間で言うならば、小中学生にあたる艦種なのだ。

 たとえ出来心とはいえ、そんな子らの同人誌を隠し持っていたP氏の罪は、意外と重いのかもしれない。いま明石ちゃんが怒り狂っているのも、分からないでも無かった。

 しかもP氏って、まだ17才だし。あーいうのは全部Rー18なんだし。天誅!

 

「……P君、ソーシャルディスタンスはいいの?」

 

「あっハイ。

 よく考えたら、ここ野外ですし、ガラスごしなんで」

 

「じゃあ殴っていいのね? 遠慮なくやるよ? いくよ?」

 

「はい……オナシャス。

 それしか無いみたいなんでクソが」

 

 

 

 次の瞬間、P氏の「んほぉぉぉ~~☆」みたいな叫びが、時空の垣根を越えて三千世界に響いた。

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「アフロダイぱんちっ! きっく! ちょっぷ!」

 

 ボコボコボコー! と連続した打撃音。

 マジンガーの身体が、映画でよくある“マシンガンで撃たれた人”みたく、ブルブルと震える。

 

『いいっ! いいですよ提督! すんごいパワー溜まってます!』

 

 オペレーター(明石ちゃん)の声がしているが、P氏はそれどころではなかった。

 舌を出しながら白目を剥くのに忙しいのだ。

 

「アフロダイえるぼー! アフロダイDDT! アフロダイぱわーぼむ!」

 

『キレてる! キレてるよ提督! その調子ですっ!』

 

「アフロダイどろっぷ! アフロダイ金的蹴り!

 アフロダイ・ふぁいなるくらっしゅ!!」

 

『輝いてる! いま光ってますよっ!

 めっちゃ気持ちよさそうですね提督! このスケベッ!!!!(悪口)』

 

 快楽に埋め尽くされ、まったく働かない思考。それどころか、だんだん遠くなっていく意識。

 でも必死に耐える。アヘ顔を晒しながらでも懸命に操縦桿を握り、脚に力を込める。

 まぁワーキャー煩い声も聞こえているし、気を抜くと腰が砕けそうだが、なんとか精神力のみを以って、力石の猛攻を凌いでいく。

 

 だが――――()()()()()()()

 なんで一回ボコボコにされなきゃ、戦えない仕様なのか。

 何故に今、脳が沸騰しそうな程の快楽に苛まれとんのか。わいまだ童貞やぞと。

 

 そんなこの世の不条理を思う度、身を焦がすほどの()()()()()()が襲い来る。

 なんでわい、こんなロボットに乗っとんねん、乗せられとんねんと、憤死しそうになる。

 痛みや苦しみならばまだしも、快楽ってなんやねん。こんなん戦いで受けるヤツちゃうやろと。

 

 昔TVで観た、数多のカッコいいロボットやヒーロー達の御姿を思い、P氏はもう涙がちょちょ切れそうであった。

 なんか思ってたんと違う!!

 

 

《――――何をやってるのマスターP! がんばるのよぉ~ん!!》

 

 

 だが、その時……。

 

《そうじゃぞマスターPよ! お主ならいけるっ!》

 

 薄れゆく意識の中で、“美星町のみんな”の声が……。

 

《苦しい時は、おちんちんを弄るのよぉ~ん!

 それで大概は、なんとかなるわぁ~ん!》

 

《ワシなんていつも、プロテインしかお供えしてもらえんのじゃぞ!?

 それでも頑張っとるんじゃ!》

 

 これは……したたる? そしてお地蔵さま?

 倒れそうになる心を支えるような、彼らの力強い声!

 

《そうだよPさん! 負けちゃダメ! 勇気を出すんだっ!》

 

《さぁ戦えッ! 敵は目の前だゼ!》

 

《うおぉー! タワーブリッジ! タワーブリッジ!》

 

 アンパンマン、トラゴロー、ロビンマスクの声がする。心に届いて来る。

 ……でもP氏は正直、「えっ、今!?」と思った。

 こんな序盤のしょーもない場面で、“みんなの声で立ち上がる”という少年漫画お約束の流れやんの? もったいなくないスか? と。

 

《ちくわを思い出せ! ちくわを胸に抱け!》

 

《オ〇ンポォォォーーッッ!》

 

《これが終わったら、一緒にサウナ行きましょう?

 男同士、裸の付き合いをぐへへへ♪》

 

 ――――しかもロクなヤツがいないッ!!

 ちくわ製造業のオッサンとか、バーサーカー( 淫獣 )とか、新聞配達のホモ野郎とか! 美星町はイロモノばっかりだ!!

 これでは力が湧くどころか、何もかも投げ出してしまいたくなる。

 このまま死んじまおうかな~って、そんな気になってしまう。

 

 せっかくの皆のお心遣いだが、ぶっちゃけP氏にとっては“ありがた迷惑”でしか無かった。

 そして、なんで女したたるだけやねん。もっと普通の女の子おるやろ。

 わい嫌われてんのかな、モテへんのかな……と大分テンションも下がった。

 

「くそっ! とんでもねぇ威力だぜッ! なんて気持ちいいんだ!(直球)」

 

「P君ってMなの? これから“マスターM”って呼ぼっか?」

 

 ドカバキ殴り続けながらも、力石はあきれた顔。

 長年心の支えにしていた憧れの男の子は、なんか大分イメージと違った。

 

「ちぃッ!!」

 

「っ?!」

 

 だがその連撃が、一瞬途切れる。

 ふいにマジンガーが振り上げた前腕により、攻撃が弾かれたのだ。

 

『――――エクスタシー光子力、チャージ5200%! いけます提督ッ!!!!』

 

 さっきまでボスボロット並のクソザコだったが、今は違う!

 マジンガーの身体がそこはかとな~く光り、微妙に強そうに見える! なんかぱっと見イイ感じのような気がする! 

 これまで約340発にも及ぶアフロダイAの攻撃を受けた効果が、ようやく現れたのだ!

 

「 こなくそォォォーーッッ!!!! 」

 

「っっ?!?!?!?」

 

 叩き込む! 拳を!

 全身全霊を込めたマジンガー絶頂のボディブロー!

 オーバーな程に振りかぶったソレが、アフロダイAの腹を勢いよく突き上げる! 高く宙に浮かせる!

 

「つか……もうちょっと早めでも良かったんとちゃう?

 5200%は溜め過ぎだろ! なんで黙って見てたの!?」

 

『いいからさっさと追撃です提督っ! Finish her(ヤツを終わらせろ)!!』

 

 ふわりと死に体のアフロダイAに向かい、マジンガー絶頂が構えを取る! 

 背筋を大きく反らし、力強く「ムキッ☆」っと胸を張った!

 

「 ――――ビンカンッ……! ブレストファイヤァァァア゛ア゛ア゛ーーッッ!!!!!! 」

 

 胸部より放たれる、赤い波動砲!!

 先ほどのチンカスみたいなビームでは無い! 全てを薙ぎ払う真の破壊力を伴った極太光線が、凄まじい速度を以って! 天高く放射される!!

 だがッ……。

 

「 ――――舐めるなぁ! マスターPぃぃぃいいいッ!!!!!!!! 」

 

 烈火の如くの気合。それと共に放たれたアフロダイAの“エロ光子力ミサイル”が、それを相殺!!

 双方の一撃が空で衝突し、耳をつんざく程の爆音、世界が真っ白に染まるほどの光を放つ。

 

「うぐっ……! ちょー気持てぃ(小声)」

 

 思わず腰を低くし、必死に踏ん張らなければいけない程の爆風。衝撃波。

 やがてそれが過ぎ去った後、P氏が目にしたのは、悠然と空から大地へ降り立つアフロダイAの姿だった。

 

「……なんてデタラメなの。

 死ぬほどタフなだけじゃなく、あんな威力までッ……!」

 

 スピーカーからの声が、小さく震えている。

 いま力石の体までもが、その畏怖と怒りによってわなわな震えているのが分かった。

 

 この機体は“黒鉄の城”。

 そんじょそこいらのマシンじゃない。――――スーパーロボット・マジンガー絶頂だ。

 そのスペック、頑強さ、そして天地を割るような破壊力。

 なんかすったもんだあったが、ようやく真価を現したP氏の機体に、力石は目をひん剥く。

 ひとりの科学者として、驚愕せざるを得ない。

 

「それとP君……、()()()()()()()???

 そんな変な技で倒される人の気持ち、一回でも考えた事あるっ!?

 私でも毎回、『なるだけ苦しまないように』ってやってるのに! オニチクだよP君!」

 

「 うるせェAKSに言えッ! わいも普通のがいい!!(迫真) 」

 

 死ねない、これでは死ねない――――

 そんな意地とか自尊心とかを総動員して、力石はなんとかビンカン☆ブレストファイヤーを凌いだ。必死こいて。

 

 本来あの武装は、こちら側が放った攻撃を()()()()()()

 もう比べるのも烏滸がましい程に、圧倒的な威力の差があったのだ。

 それでも咄嗟の機転や、科学者である自身の優秀な頭脳を発揮し、力点だの角度だのタイミングだのを瞬時に計算し尽くし、なんとか切り抜けてみせた。

 

 力石は内心、砂を噛むような悔しさを味わっているが……それでも認めざるを得ない。

 この“快楽で馬力が上がる”というふざけた色物ロボットは、自身の作り上げたアフロダイAより上だ! 遥かに凌駕している!!

 

「ずるいなぁP君……。そんなおちゃらけてるのに、こんな強いなんて。

 もうどう君に接したらいいのか、分からないよ……」

 

 さっきまであった余裕や嘲りなど、もう微塵も無い。

 そして関係ないが、サイコパスのお前に言われたくない。

 

「認めるよ――――今のを一回でも喰らったら、私の機体はバラバラになる。

 まともにやったら、君に勝てないだろうね……」

 

「……」

 

 再び両機が向かい合う。

 だが今度は静かに。お互い構えを取ることも無いまま。

 

「強くなったねP君♪ あんなに小さかったのに……。

 私の方がお姉さんなのに、もう追い抜かれちゃったなぁ。

 背丈も、強さも……心も」

 

 聞こえるか聞こえないか、という独白に近い小声。

 離れた場所にいるから、顔は見えない。だがその声色は、どこか嬉しそうな響きを伴う。

 アイツ今、柔らかく微笑んでるんじゃないのか? P氏はそんな風に感じた。

 

「まぁP君のチートさなんて、今さらだし。

 ()()()()()()()()()に負けるなんて、死んでもイヤ。

 だから、悪いけど倒させてもらうね?」

 

 先ほどの攻撃により、アフロダイAの腹が、大きく陥没しているのが分かる。

 貫通一歩手前だ。素人目に見たら、まだ動いているのが不思議なほど。

 

「殺すわ。……手に入らないのなら。取られるくらいなら。

 覚悟してね、P君」

 

 言葉をかけそうになる。もうやめろ、もう無理だと。

 だがその優しさや憐れみが口を突く前に、P氏は彼女の佇まいから“覚悟”のような物を感じ取る。

 少し前までの軽い雰囲気じゃない、まさに“殺す”という意思を固めた、一人の女の情念。まだ若い彼には理解しがたいくらいの、深い愛憎。

 コックピットごしでもビリビリ感じる、凄まじい威圧感。重力を伴う程の殺意……。

 

「あ、いいっすよ(即答) オラわくわくすっぞ」

 

 だが、いま彼女と対するは、匹夫に非ず。

 美星町の英雄、マスターP・チョモラペット也――――

 

「やってみろッ! 力石・ノースカロライナ・徹子ォ!

 ロボを作る科学者と、ロボで戦うパイロットの差を見せてやるッ!

 てめぇ免許持ってんのかオラァン!?」

 

 きりんぐみー、そふとりー(?) とよく分からない英語を叫ぶ。

 チュニジア語が話せるワリに、英語は駄目なのネ、というのはいったん置いといて……。P氏は大きく両腕を広げ、「来い」と意思表示。

 マジンガーとアフロダイA、正と邪が真っすぐに対峙。

 

 ぶっちゃけた話、わいには()()()()()()()。言葉で理解し合うのは無理だろう。

 なら、もう拳で語るしかねェ――――意地を張り合うしかねェんすわ。

 そうP氏も覚悟を決める。

 

「オマエ、コロス。博士、ヨロコブ。

 言葉は無粋、押し通れよ力石ッ!!!!」

 

「こんだけ喋っといて何?

 そういう所だよP君?」

 

 バカだし、猪突猛進だし、イミフ。

 けれど……そういう部分にこそ、自分は魅かれたのかも。

 決して手が届かない、絶対になれないって程の()()()。だからこそ憧れたし、心から欲しいと願った。

 己の原初の想いを、力石はふと思い出す。

 

 思えば、これまでの人生の中で、無意識にでも彼の真似をしていた事があるような気がする。

 心が壊れている狂人は、他者と接する時、己を装う。とても魅力的な人物に映る“仮面”を被る。

 獲物を安心させ、無害を装うために、その術を自然と身に付けるものだ。

 そして、いつもそのお手本として、何気なしに力石が思い描いていたのが、まさにP氏。

 あの七夕の日に見た、キラキラと輝く少年の姿だった。

 

 まぁ力石は元々()()()()()()()()()()、それが成功していたとは、とても言い難いが。

 たとえば小雪と接する時も、いつも変な薄い本を勧めたり、「ぞなもし」と変な語尾を付けたり、「でゅふふwww」と妙な笑い方をしたりと。

 もうどこからどう見ても、“変なお姉さん”でしか無かったワケなのだけど。

 

 だが、あの子は笑ってくれた――――無邪気な好意で慕ってくれていた。

 いつも小雪と接している時に感じた、ほのかにあたたかな感情、ぬくもり。

 ……それはまごう事無く、P君がくれた物。己の潜入技術などではなく、彼から貰ったギフトなのだと、力石は自覚している。

 

 暗殺者でなく、サイエンティストでなく、ただのナースになれたら……。ずっと小雪ちゃんといられたら……。

 何度そう思った事だろう? 叶う筈もないのに。

 

「私はモグラだから、眩しいのは苦手なの。

 このままじゃ、目が潰れてしまう……」

 

 そっと、何気なく手をかざす。

 力石のアフロダイAが、天に向けてまっすぐ右腕を伸ばした。

 

「もう月明りはいらない。

 あの日を思い出すから」

 

 開いていた手のひらを、グッと力強く握り込む。

 その途端――――()()()()()

 つい先ほどまで天上にあったハズの、不気味な赤い月が、林檎のように砕け散る。

 音も立てぬまま、静かに消え去ってしまったのだ。

 

「重ねてになるけど、ここは“ワタシのセカイ”。なんでも思い通りになるの。

 何かを作るのも、イラナイ物を壊すのも」

 

「ッ!?」

 

 スッと、アフロダイAの姿が消失。何も見えなくなる。

 それもそのハズ、ここで唯一の光源であった月は、もう無くなったのだから。

 今しがた、彼女の手の動きと連動するようにして、木っ端みじんに。

 

「P君いくよ? 貴方も壊れてしまえ」

 

 その言葉と共に――――衝撃。

 とつぜん視界を奪われ、その場で脚を踏ん張るばかりだったマジンガーの頭部が、勢いよく後ろに跳ね飛ぶ。

 拳? 蹴り? それともなんらかの武装?!

 だがそれすらもP氏には判断が付かない。

 分かるのは、いま己の機体が地面に倒れた衝撃、そして凄まじい爆音のみ。

 

「んい゛ッ!?」

 

 直感……いや悪寒を感じ、咄嗟に真横へ転がる。

 次の瞬間、ちょうどマジンガーの頭部があった辺りで、地面が踏み砕かれる轟音。ビリビリという空気の振動。

 それに目を丸くしている暇もないまま、即座に起き上がろうと藻掻く。

 だがコックピットから見える視界は、黒一色。一切の光源が無い、真なるヤミのセカイだ。思うようにいくハズも無し。

 続け様にマジンガーの腹部へ、背中まで貫くような打撃が叩き込まれた。

 

「……アカン、気持ちよかですばい! なんか出そう(正直)」

 

 ドゴーンと後方に吹き飛びながらも、P氏が思うのはそれだけ。

 ヤバいとか拙いとかではなく、トロットロのアヘ顔で「んほぉ~!」と快楽に身を委ねるのみだ。

 このロボは本当にどうしようも無かった。

 

『何してるんです提督っ! 反撃しなきゃ!

 いくらマジンガーが丈夫だからって! そのままじゃあ……!』

 

「んなこと言ってもよAKSィ……! 何も見えねェんだってばよッ!」

 

 既にマジンガー絶頂のパワーは、十二分に溜まっている。これ以上攻撃を受ける必要など無い。

 だが成す術なく被弾し続ける。次々に衝撃が襲い来る。

 コックピットが絶え間なく揺れ、まるで洗濯機の中にでもいるかのように視界がグチャグチャだ。

 

『エクスタシー光子力、チャージ8400%! ……拙いです提督っ!

 もし1万までいけば、マジンガー絶頂グレートは()()()()()!!

 きもてぃー♪ とばかりに爆散してしまうんですっ! 主に股間の辺りが(小声)』

 

「 どーいう事すかソレ!?!? 」

 

 何かの象徴的な事かもしれないが、エクスタシーがMAXまで昇り詰めると、自動的に股間からビーム的な物を発射した後、ヘブン(意味深)的などこかへと旅立ってしまうのだそうだ。

 いくら不屈(ドM)のマジンガー絶頂とはいえ、その耐久力には限度があったという事。

 刻々と迫りくる限界、そして何も出来ないこの状況。

 次第にP氏の心に、焦りが(しょう)じ始める……。

 

「やめちくりぃ~(挑発)」

 

「壊れちゃ^~う↑(トロ顔)」

 

「ちきしょう!(建前) ナイスゥ!(本音)」

 

 まぁ痛みではなく気持ち良さなので、ぜんぜん緊張感は無かったりするけれど、それはそれ。

 凄まじいまでの未知の快楽に、思わず大人の扉を開けちゃいそうになってるが、彼は真面目にやっているのだ!

 エクスタシー光子力の計測器が“9000”を指し、あと少しで「い゛く゛ぅ゛!」みたいな状況。この酷い絵面はともかくとして、ピンチに陥っている!

 

 

「――――P君、()()()()()()()()

 今までずーっと、光の中を歩いてきたんでしょう?」

 

 

 ふいにどこかから、力石の声。

 こちとら歩くことすら苦労しているというのに、彼女だけはこの暗闇の中でも、縦横無尽に動ける。

 

 

「太陽は沈む、P君もいっしょ。

 私の闇で眠りなさい――――」

 

 

 クスクスと笑い声。姿は見えず声だけが届く。

 対してP氏は無言。それに返答する事はない。

 ただただ、その場でじっと佇んでいる様子。

 

「ん? どうしたのP君、なんで黙ってるのかな?」

 

「あ、すんません。青山ひかるの事を考えてました」

 

「な゛っ!?!?」

 

 ちなみに青山ひかるとは、Iカップ♡で有名なグラドルさんの事。

 おっぱい大好きP氏は、よく暇さえあれば、彼女のグラビアを穴が空くほど見つめている。

 こんな時でも、エロスインマイハート――――流石はマジンガー絶頂のパイロット。

 疲れた時とかにエロい事を考えると、すごく心が安らぐような気がしてる。おっぱいを忘れない。

 

「~~っっ!! もういい! P君なんか死んじゃえーっ!

 その青山ひかる? とかいう女も後で殺すからね! ぜったい生かしておかない!」プンプン

 

「やめたれ! 青山さんは唯一無二のおぱーいやぞ!? 外人にも大人気や!(必死)」

 

 シュバババ! と風切り音を立てながら、アフロダイAがマジンガーの周囲を回る。疾風のように駆ける!

 ただでさえ辺りは真っ暗なのに、もう分身のような残像が発生するほどの速さ!

 流石は暗殺者、流石の身のこなし! たとえロボに乗ろうとも、その体捌きは健在!

 

「ほっほぉ~。これわい、漫画とかで読んだ事ありますねェ!」

 

 P氏の頭上に \ピコーン!/ と電球が灯り、そのままそっと両の瞼を閉じる。

 

「目に頼んな、心の目で見るやで――――」

 

 そして、意識を集中。

 音や気配を感じ取り、じっとその場でタイミングを計る。

 グッと力強く握った右拳、それを叩き込む瞬間を。今か今かと……。

 

「お待たせしましたPさん……! ようやくこっちのセカイに来r

 

「――――そこだぁぁぁあああッッ!!!!(グーパン)」

 

 颯爽とこの場に舞い降りたアマジーグ(セキゾノフさん)に、出力9000%オーバーの拳が炸裂。

 

「AMSから、光が逆流するっ……!? ンギモッヂイイィィ--☆☆☆(絶頂)」

 

 ボゴォォォーーン!! という馬鹿でかい音と共に、アマジーグが()()()()()

 これまで身を削って人々のために戦った英雄が、一瞬にして異世界の塵と化した。まぁヒョロヒョロの軽量機ですし。

 

「……あっ(察し)

 力石テメェ! よくも哀れなセキゾノフを殺したなッ! ゆ゛る゛さ゛ん゛ッ!!」キリッ!

 

「なんでも悪のせいにするの、どうかと思うな。

 私ゴルゴムとかじゃないし」

 

 ここ暗闇だから、みんなにはバレない筈。そんな計算高い考えが、一瞬脳裏をよぎったのだった。

 まぁセキゾノフさんは歴戦の雄だし、ちゃんとコックピットから脱出してたっぽいので、大丈夫だとは思うが。

 

「終わった(白目)」

 

「ですぅ(確信)」

 

「最後の希望が絶えたポポ(真顔)」

 

「……」

 

 遠くで観戦していた4人が、ふぅとため息。その後イソイソと帰り支度を始めた。

 まぁとにかく! やってしまった物は仕方ないのだ!

 あいつロリコンだし今それどころじゃないし! 気にしない気にしない(一休さん感)

 

「というか……もう諦めたら?

 いくらおバカでも、勝てないって理解してるよね?

 無理だよP君。闇を知らない君には――――」

 

 ふいに脚を止め、再び相対する。

 闇の中であっても、彼女がこちらの顔を見ているのが、ハッキリと分かった。

 

「大人しくするなら、楽に殺してあげる。

 ()()()()()()みたくに、綺麗に消し飛ばしてあげるよ」

 

 嘲笑。三日月のように口元を歪めて。

 彼への強い執着が、拒否された事により、そのまま憎しみに代わる。

 だから“愛憎”と言うのだ。

 けれど、それを全く意に介すこと無く、P氏は……。

 

「ヒトガタ? そりゃHitomiの事かァ……?」

 

 グッと、大地を踏みしめる。

 

 

「――――ヒ ト ミ ン の 事 か ぁ ぁ ぁ あ あ あ ッッッ!!!!!!!」

 

 

 激高。

 

ゴールデンフィンガー(  加藤鷹  )・ミサイィィーール!!!!」

 

 掃射。

 マジンガー絶頂の指から、一斉に小型ミサイルが放たれる。

 9000を超えたエクスタシー光子力によって発射されるミサイルは、まさに豪雨の如し。

 そこに居ようが居まいがお構い無しの、MAP兵器めいた全面攻撃に、思わず力石は防戦一方。目を見開いて回避に専念。

 

「 そこだァ!! 力石獲ったどぉーッ!!!! 」

 

「っっ!?!?」

 

 大地を駆け回る振動か、それとも音による物か。

 P氏がハッキリと力石の位置を捉え、腕部からワイヤーを発射。

 その先端が、アフロダイAのどことは言えないデリケートな箇所(意味深)にぶっ刺さり、彼女の動きを阻害。完全に停止させる。

 

「――――ビッグバン・高圧電流ゥゥーーッ!!!!」

 

「 んにゃあああぁぁぁ~~っ!?!?!(はぁと) 」

 

 バリバリバリー! と閃光が迸り、辺り一体を白く染める。

 これまで全く見えなかった視界が、当社比86倍はあろうかというビッグバンな電圧により、ようやくクリアとなる!

 ついでに言うと、なんか力石が色っぽい声を上げている!(重要)

 

「もう逃がさねェぞ力石! 次はテメェの番だッ!

 ええんか、ええのんか~!」

 

「 あああーーーーん♡♡♡(エビ反り) 」

 

 エネルギーは満タン、幾らでも高圧電流を継続出来る!

 それすなわち、ずっと力石のエロい声が聴ける……いや動きを拘束して視界を保ち続けられるという事!

 これまでの鬱憤を晴らさんが如く、力石にエロ電流を正義の刃を喰らわせる! 今度は俺のターンとばかりに!

 どやっ! 気持ちええやろ! どやっ☆(満面の笑み)

 そしてなんか知らないが、背徳感ですんごいゾックゾクする! 戦ってるだけなのに不思議っ☆

 

「どっ、童貞のクセにローター責めなんてっ……!

 年下の子にされるだなんてぇー!!」

 

「うぼぉい! 妙なこと抜かすなァ!!

 これはあくまで、ロボットバトルすねェ!(キッパリ)」

 

 ……つかわい、いつも戦いん時はこんな感じスよ!? お前も味わえ味わえー!

 そう言わんばかりに、容赦なく攻めたてる。どうやらP君(17才)にはベッドヤクザの素質があるようだ。

 

「女の子に、こんな事してっ……!

 もうお嫁にいけないよぉ! 責任とってよP君っ!」

 

「おめぇ悪の幹部だろォん!?

 お嫁に行く前に、まずは更生しましょうねェ! そうしましょうねェ!」

 

「え、酷くない?! エッチな事しといてっ!

 身体だけが目当て!? そんなのサイテーじゃんP君!」 

 

「お前も散々しただろ! お互い様ですねェ!(ゲス顔)

 つかわい、美星の護り手ですし? これは正当な行いじゃーい!」

 

「P君のばか! へんたい! えっちえっち! ゴリラフェチ!」

 

「ゴリラはお前の指金だろうがァァアア!!

 わいとちゃうわボケェェーーッッ!!!!」

 

「なんなの……!? ゴリラになれば愛してくれるの!? 幸せになれたの!?

 もう分かんないよP君! どーしろって言うのよぉ!」

 

「――――普通でよかったんだよお前はァーーッ!!(迫真)

 おっぱいとツインテが泣いてんぞ!? 宝の持ち腐れじゃねーか!!!!」

 

 残念な美人。もうそうとしか言えない。

 いくら暗殺者の里の生まれとはいえ、変な男の子に惚れたせいで、人生狂わせちゃったのであった。

 

「こんのぉー! P君なんか、ゴリラにAFされちゃえばいーんだ!

 ぜったい女の子にモテないもんっ!」

 

「だからAFってなんスか?!?!

 フォーアンサーはFAですけども?!(フロム脳)」

 

「なんで髪切ったの!? せっかく美少年なのに! あの頃のままでいてよっ!

 丸刈りのP君を見た時、私の心は深い悲しみに包まれたよっ!」

 

「うるせぇバカ野郎ッ!

 野球部入ろうと思ったら、ソフト部しかなかったんだよ! 後で気付いたんだよォ!」

 

 電撃にクネクネ身をよじりながら、罵詈雑言。

 しかもお互いに至近距離でドカバキ殴り合い、思いの丈をぶつける。

 もう操縦技術も武装もあったモンじゃない。ただただ子供の喧嘩のように、ワーワー言いながら叩き合うだけ。

 

 

「おめぇだって、()()()()()()()()()()()()

 あれ可愛くて好きだったのに、わいちょっと悲しかったわァ!!!!」

 

「 っっ!!!!???? 」

 

 

 絶句。

 力石は頭が真っ白になり、硬直したように動きを止める。

 

 それを認めた途端、P氏のマジンガーがワイヤーを戻し、アフロダイAの拘束を解く。

 電流攻撃が終わった事で、辺りは再び闇に包まれる。黒一色の世界に。

 

「……もういい、電気は止めだ。

 月を戻せ下さい。普通にバトろうぜ? 頼むよ頼むよー」

 

 ポカンとした顔、はたらかない思考。

 力石は言われるがまま、ワチャワチャと慌てて月を出現させる。

 子供が親の言うことを聞くみたいに。不思議と逆らう気にはなれなかった。

 

 思い出した……? 憶えてたのP君……?

 私のことを。あの七夕の日を。

 わなわなと震える。これまでの人生で感じた事のないような歓喜と興奮が、熱病のように顔を火照らせる。身体中の血が沸騰したみたいに――――熱い。

 

「先に言うとく、今9()9()7()0()すわ。

 多分つぎ殴られたら、マジンガーはチーズバーガーぶつけられたリア充みたくなる(確信)」

 

 メルトダウン( 爆発 )、すなわち死ぬという事。

 性根がまっすぐなのか、バカなのか。……とにかくP氏は真っすぐ前を睨んだまま、力石に告げる。

 

「だから悪ィけど、これラスイチらしいっすよ?

 来いよ力石……いや徹子ねーちゃん。

 わいも全力でいくやで(蒼き鋼の意思)」

 

 共に一撃必殺。ゆえにもう、馬力差など関係無い。

 次に当てた方が勝ちという事。

 お前にやられるんだったら、わい別にいいわ。散々酷いこと言っちまったしなと、P氏は強い目で彼女を見つめる。

 

「ほい(速射)」

 

「――――うお危なッ!?!?!」

 

 何気ない仕草で、エロ光子力( おっぱい )ミサイル発射。

 P氏は慌てて上体反らしで避ける。

 

「……あは♪ あははははは♪

 何その必死な動きーっ! P君おもしろーい☆」

 

「テメェいきなりステーキかッ!

 もうちょっとあんだろォん色々ォー!!??」

 

 ちっちゃい女の子のように、ケラケラお腹を抱えて笑う。

 まるで、あの日の七夕……7才だった頃に戻ったかのように。

 

「あー笑った笑った! こんな面白かったのは、あの時以来だよ♪

 ありがとね、P君」

 

 そして、涙を浮かべるほど笑っていた力石が、スッと目元を指で拭ってから、前に向き直る。

 

「そして……ゴメンねP君?

 アフロダイAの武装って、()()()()()()()()()()()()()

 これで看板(店じまい)だよ♪」

 

「は?」

 

 たった今、胸部から発射された二発目のミサイル。

 それが明後日の方向へ飛んでいくのを、どこか清々しい顔で眺めながら、力石がニッコリ笑顔を浮かべる。

 

「だから、盛り上がってるトコ悪いんだけど、()()()()

 やっぱ私、P君は殺せないよ――――君だけは」

 

 というか……分かってた。最初の最初から。

 もう10年以上も前から、君には“ぜったい勝てない”って。私はただ尽くすだけって。

 ほら、惚れた方の負けって言うでしょ?

 

 擦り切れた心の中、たった一つだけ、私に残った物。

 “憧れ”を殺したり出来ない――――

 

 そう力石が、コックピットごしに微笑む。

 憎悪や冷笑といった、今日P氏が見たどんな表情でもない。

 まだ幼かった頃、あの夜の森で見たまんまの、“徹子お姉ちゃん”の柔らかな笑顔。

 

「嫌だったし、辛かったし、憎かった。

 君に会わなければって、思うこともあった……」

 

 キラリと、月明りに照らされた力石の涙が、光る。

 

「でも私……、たとえあの日に戻れたとしても、P()()()()()()()()()()()

 何度でも、何度でも、短冊に願いを書くよ」

 

 スッと、ボタンに指を伸ばす。

 アフロダイAの操作パネルにある、薄いガラスで覆われた、赤色のスイッチに。

 

「ピンキー様……任務は失敗です。

 マスターPめの捕獲は、どうぞご自分で」

 

 まぁ、貴方などに負けるP君では御座いませんが。この青髭クソ野郎。

 男のくせして、桃色の忍装束なんか着込みやがって。*1……そう小さく呟いてから、力石はようやくといったように、自らの終わりを噛みしめる。

 

 もうP君は大丈夫。私が居なくても――――

 長かった彼女の苦しみは、ここに終わりを告げるのだ。

 

「最後に言っとくけど……やっぱ髪は伸ばした方がいいよ?

 P君はサラサラヘアーだから、大好きな悟空みたいな髪型には、出来ないだろうけどさ。

 がんばってね、美星のヒーロー君♪」

 

「おっ……おい力石ィ! おまッ!?!?」

 

 不穏な雰囲気。それを感じ取ったP氏は、思わず手を伸ばす。

 だが、彼が一歩踏み出そうとした、その瞬間……。

 

 

 

「約束、守ってくれてありがとう――――――――うれしかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 P君、すき。

 

 その言葉と共に、暗闇が眩い光によって払われた。

 アフロダイAの内部から光が溢れ出し、すぐさま木っ端みじんに爆散。

 立っているのがやっとの爆風に晒されたP氏は、ただただ何も出来ぬまま、その場で立ちすくむばかり。

 

 けれど……ふいにP氏の脳裏に、とても温かな光景が。

 これは、残滓なのか? このセカイを構成する、因子なのか? 詳しい事は分からない。

 だがP氏の瞼に、まるで万華鏡を覗いたみたいに、様々な七夕の映像(おもいで)が浮かぶ。

 

 そのどれもが、遠慮がちに男の子と手を繋ぐ、とても幸せそうな女の子の姿。

 

 

 

 

 

 闇が光に、恋するなんてね――――

 

 

 宿主を失い、ガラガラと崩れゆくセカイの中、そんな声を聴いたような気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
第25話、【世界の法則を乱す者 】参照

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