絵描きのアローラ旅行記 作:ポケモン好きのエンジョイ勢
「本当に行くんだな」
カントー地方のとある一軒家にて、怖い顔をしたガタイの良い男が青年に問いかける。
「うん、僕はアローラ地方に行くよ、父さん」
青年は真っ直ぐに男ーーー自分の父親を見つめながら言葉を返す。
「そうか…」
それを聞いた父親はおもむろに立ち上がるとポケットからモンスターボールを取り出した。
「ならばポケモンバトルで決める。父さんを負かす事すら出来ないのならアローラに行こうとも苦労するぞ」
「分かったよ、父さん」
そして二人は玄関を出ると庭の先にあるバトルフィールドへ歩いて行く
そしてお互いに定位置へ着くと向き合った。
「ルールはポケモン一体、どちらかが降参を宣言する事で勝敗を決める。いいな?」
「それで良いよ、父さん」
青年もモンスターボールを取り出して構える
「それじゃあ始めるぞ。行け、ニドキング!」
父が出したのはニドキング、どく・じめんタイプで技のデパートと言われるほど沢山の技を覚える為人気の高いポケモンだ。
「行って、ドーブル」
対して青年が出したのはドーブル、ノーマルタイプでスケッチという技しか覚えないが、このスケッチを使う事で殆ど全ての技を使う事が出来るポケモンだ。
ニドキングの首元には紫色の玉ーーーーいのちのたまが紐でかけられていた。
「ニドキング、どくづきだ」
ニドキングが雄叫びを上げながら紫に染まった爪をドーブルへ振り上げた。
「ドーブル、キングシールド」
青年の指示でドーブルが自分の尻尾を突き出す。するとエネルギー状の盾が現れ、ニドキングの腕を受け止めた。
キングシールドはカロスに居るヒトツキというポケモンの最終進化系であるギルガルドの専用技である。しかしドーブルはスケッチによって専用技も覚えられる。
キングシールドの効果によりニドキングの攻撃力が下がる。
「そのままつるぎのまい」
「させるな、だいちのちからだ」
ドーブルの頭上に剣状のエネルギーが現れ、打ち合う。
それとほぼ同時にドーブルの足元が鈍く輝き、泥が吹き上がる。
空中に打ち上がったドーブルは泥に汚れていても尻尾はしっかりとニドキングへ向けていた
「ドーブル、まだ行けるね。そのままとげキャノン」
ドーブルの周りにトゲ状のエネルギーが現れるとそのままニドキングへ飛んで行く。
ニドキングは技による硬直で回避出来ずそのまま受けた。
とげキャノンによってニドキングの周りが土煙で覆われる。
「ニドキング!」
土煙が晴れるとボロボロになったニドキングが居た。しかしボロボロになりながらも二本足で立ち、その目には闘志が残っていた。
「まだまだやれるなニドキング」
父の呼びかけに若干小さくなった雄叫びで応えるニドキング
「この技で決めるぞ、スマートホーン!」
ニドキングのツノが鈍く光り、そのままドーブルへ突っ込む
「キングシールド」
青年は冷静にキングシールドを指示して受け止めさせた。
受け止められたニドキングは息を荒げて止まる
「そのままとげキャノン」
再びとげ状のエネルギーがドーブルの周りに浮かび、ニドキングへ飛来しようとしたその時
「参った、降参だ」
父はそう言うとニドキングをボールへ戻す。
ドーブルも構えを解き、青年の元へ行く。
「強くなったな」
そう言って笑う父
「…手を抜いてたよね、父さん」
しかし青年はジト目を父へ送った。
「ははは、バレたか」
そう言って父は頭をかき、青年を真っ直ぐ見つめて言った。
「アローラは今まで行った地方とは全く違うポケモンが居る。お前にも良い刺激になるだろう、家の事は心配するな、父さんと母さんが居る以上、ロケット団が来ようとも守れるさ」
「うん、ありがとう…父さん」
「あぁ、行ってこい」
そして翌日、青年は家族に見送られながらアローラ行きの飛行機へ乗った。
まだ見ぬポケモンや景色に胸を膨らませながら、青年は飛行機の窓を見つめた。
その先で新たな出会いと、数多の困難がある事を……青年はまだ知らない。