絵描きのアローラ旅行記 作:ポケモン好きのエンジョイ勢
「サザンドラ!かえんほうしゃ!」
「躱してパワーウィップだ」
サザンドラの三つの首から灼熱の炎が吐き出され、デンジュモクへと迫るがぬるりと体を棒のようにしてデンジュモクが飛び上がるとそのまま腕を乱雑に振るった。腕には緑色のエネルギーが纏われ、サザンドラめがけて落ちる。
「サザンドラ!掴んで床に叩きつけなさい!」
しかしサザンドラはその腕に両腕の顔を使って噛み付かせ、受け止めるとそのまま叩きつけるように床に向けて振り下ろす。
デンジュモクが床に叩きつけられ砂埃が発生すると共に轟音が響いた。そしてぐったりとした状態のデンジュモクは若干震えながら起き上がった。
「部が悪いか…仕方ないな」
青年はカガリの奥…エレキネットに囚われたままのウツロイドを確認すると、デンジュモクに指示を出す。
「奥のヤツらにパワーウィップ、そのまま打ち上げろ」
「なっ…!?」
カガリがその指示に驚き、サザンドラへの指示が止まる。その隙にデンジュモクはその場から飛び上がってカガリの背後に着地すると、その腕をウツロイド達に振るう。
鈍い音と共に打ち上げられたウツロイド達は打ち上げられた勢いままに、弱々しくユラユラと揺れながらウルトラホールへと戻って行った。
そして、ウツロイドを倒したデンジュモクから怪しいオーラが発生する。
ビーストブースト、ウルトラビーストが共通して持つ特性。
そして、デンジュモクの最も高い能力値はとくこう。
「ふむ、上々だ…マジカルシャイン」
デンジュモクがその場で鉄塔のようなポーズを取ると眩い光が発生し、辺りを包んだ。
「きゃ…!?」
「…フィ!」
カガリは寸前で戻ってきたエーフィのまもるによってその身を守られた…が
デンジュモクが放ったマジカルシャインによって床は焦げ、それをサザンドラは無防備に食らってしまい、床に倒れて目を回していた。
「……終わりだな…良くやったデンジュモク」
青年は歪なボールにデンジュモクを戻すとそのまま立ち去ろうとする。
「…ねぇ…どうしてそうなったの?貴方はどんな状況になっても、ポケモンに対して酷い事はしなかった…!」
サザンドラをボールに戻しながらカガリは涙ながらに問う。
「……2年も経てば人は変わると初めに言ったと思うが……まぁいい、お前のポケモンでは僕には勝てない…少なくとも今はな」
そう言うと青年は使い込まれたモンスターボールから1匹のポケモンを出す。
「バゥ!」と元気よく鳴いて現れた首輪を付けられた黄色い体色の犬のポケモン……そのポケモンの名前はパルスワンと呼び、進化前のワンパチ同様、ガラル地方ではとても身近なポケモンだ。
青年に対して尻尾を振りながらお座りをして待っているパルスワンに青年はボソボソと何かを伝えると、モンスターボールを首輪に付け手紙を咥えさせるとデパートの中央を指差して向かわせる。
「…これで良いだろう」
「…やっぱり…そういう所は…昔と変わってないじゃん…」
エーフィに守られながら、モンスターボールを構えて立ち上がるカガリ。
「もうやめておけ、僕に関わるよりも他の奴を助けに行った方が賢明だぞ?」
そう言うともう一つモンスターボールを取り出して空中に投げる。
UFOのような形をしたポケモン…ジバコイルが青年を見つめていた。
「さて、ここでお別れだカガリ……ついでに良い事を教えておこう、アローラはもう2年前の時よりも状況が悪化している、本来ヌシポケモンにしか発生しなかったオーラが一部の野生のポケモンに発生していたり、ポケモン自体の巨大化の発見事例がポツポツとだが起きている。気を付けるといい」
ジバコイルのでんじふゆうによって浮かんだ青年はそう言い残すと、その場から去った。
「…ぅ…うぅぅ…」
ポロポロと涙を零してその場に座り込むカガリ、そんな主人を心配するようにエーフィは見つめていた。
そして泣き始めて数十秒、ゴシゴシと目元を拭いてカガリは立ち上がった。
そして青年の進んだ方向をしばらく見つめた後、他の逃げ遅れた人を助ける為に走り出した。