絵描きのアローラ旅行記 作:ポケモン好きのエンジョイ勢
更新が不定期な作品ですが今年もよろしくお願いします。
アニメオリジナルキャラが出ますが設定が捏造されているのでほぼオリキャラです。
それと、今回は生々しい描写がありますのでご注意下さい
それでもいいよという方はどうぞ。
「…ふむ、どうしましょうか…リーリエさんに連絡しても何故か繋がりませんし…」
デパートの中で一人、ルイはモンスターボールを持ちながら考えていた。
ポケギアは何故か繋がらないし、デパートの拡声器から聞いた声は何処かのテレビでやっていたアイドルの声だろうという事しか分からず、自分はある程度戦える為待つ必要はない。それに…
「このバケモノ…?も…まぁ倒せはしましたし…」
目線の先には脱力するバケモノの姿があり、フラフラと浮かべば何処かへと飛んで行く。
それをルイは見送ると同時にポケギアが鳴った。
「おや、もしもし?」
『よかった!やっと繋がりました!…ルイさん!デパートの中央広場へ来てください!皆さんもそこに居ますから…!』
どうやら自分以外の皆は無事な事を確認出来たルイは『分かったよ』と言ってポケギアを切ると歩き出す。
しかし歩く先に何処からかりゅうのはどうが飛んで来た為、ルイは飛び退いて回避する。
「貴様をそこから先へ行かせるつもりはない」
ボーマンダに乗ったバイザーを付けた女性が目の前へと降りて来る。
それと同時に自分の周りの店から部下と思われる人々が現れ、モンスターボールを構える。
「…たかが一人の一般トレーナー相手に、随分と慎重に対処しますね…ポケモンハンター……Jさんでしたっけ?貴女確か…捕まりましたよね?」
そうルイが問うと、Jは薄く笑ってこう言った。
「ああ、確かに私は捕まった。だが…私の部下は捕まっていない…部下の手引きを受けて脱出し、…私が捕らえられた原因である貴様の行方を探し、こうして遥々アローラに来たという訳だ」
実は、ルイはアローラに来る前の地方でポケモンハンターであるJと遭遇している。風の噂で死亡した等と言われていたのだが、どうやら本人は怪我をしつつも生存していたらしく、名前を変えて新たにポケモンハンターとして暗躍していた。
いつものようにポケモンを捕獲してコレクターへ売り飛ばそうとしていたのだが、その現場を旅の途中だったルイが目撃し、後を付けた後にカクレオンを使って石化したポケモン達を救助した。
しかしそれがJにバレた後に戦闘となり、そのままどさくさに紛れて逃走しようとするJに対してルイはソーナンスを繰り出し、特性によって逃走を止めた後に縄で捕縛。そのままジュンサーへと引き渡された。
そのままルイは旅を続け、Jの存在をこうして再び会うまですっかり忘れてしまったのだ。
「アローラ地方に居るのは盲点だったが、ここにはこの地方にしか生息していないポケモンや、別の地方から来た後に環境に適応したポケモンが多い…コレクターにも高く売れるだろう」
そう言ってJは笑う。
「…はぁ」
しかしルイは溜息を吐くだけで、囲まれた事に対しては何も思ってはいないようだ。
「…随分と余裕だな…お前達、やれ」
その一言で部下達はボールから出す。
ボスゴドラやバンギラス、サザンドラなど…強力なポケモン達がルイを囲み威圧する。
「…リングマ、ガルーラ。お願いしますね」
そう言うとルイはモンスターボールからリングマとガルーラを繰り出した。
繰り出されたリングマは雄叫びをあげて床を叩き、周りのポケモンを威圧する。
ガルーラも周りを威嚇しながら目の前に居るJを睨む…そんなガルーラの首には紐に結ばれたメガストーンがかけられていた。
「ガルーラ行きますよ…メガシンカ」
「何っ…!?お前達止めろ!」
Jがメガシンカを止めようと部下に指示を出すも、ルイへと飛びかかったポケモンはリングマによって投げ飛ばされトレーナー諸共壁へとめり込む。
たったの十数秒で、自分の部下とポケモンは全て戦闘不能にされた。
そして、メガシンカを果たしたメガガルーラが拳を鳴らしてJへと迫る。
「クッ…ドラピオン!ガルーラを止めておきなさい!」
「ガルーラ、かわらわり」
そう言って繰り出されたドラピオンがメガガルーラの一撃を受け止める。
しかしお腹のポケットから出ていた子供によって頭にかわらわりを叩き込まれ床に伏せる。
その隙に、とJは左腕に隠していたメガバングルに触れた。
「ボーマンダ、メガシンカ」
そう言うとJはボーマンダから飛び降りてルイと対峙する。
無事メガシンカを果たしたボーマンダが唸り声をあげながらリングマへと突撃する。
「リングマ、受け止める必要はないですよ。アームハンマー」
「上に登ってりゅうのはどうよ」
リングマは迫り来るボーマンダに向けて腕を振り下ろす。
しかしボーマンダはリングマの腕が振り下ろされる寸前の所でそのまま直角に上昇しそのままりゅうのはどうをお見舞いする。
わざによる硬直が抜けなかったリングマはりゅうのはどうを受け、その巨体を揺らして倒れ込む
「…貴様はやはり、その程度だったのだな…」
倒れ伏したリングマを見ながらJは続けて指示を出す。
「ガルーラに向けてりゅうのはどう」
「ガルーラ、戻れ」
ガルーラと倒れたリングマを戻してルイは真っ直ぐJを見る。
「降参するつもりか?」
「いえ、全く」
そう言うルイを見てJは怪しみながら指示を出す。
「ボーマンダ、アイツに向けてりゅうのはど…!?」
Jは自身がふわりと浮かぶ感覚に驚き、上を見た。
見知らぬバケモノが自分を取り込もうとしているのが分かる。
「ボーマンダ!私を助けろ!」
そう言われてボーマンダは即座にりゅうのはどうをバケモノに向けて放つもバケモノはひょいと躱してJを取り込んだ。
「ぐ、やめろ……ぁ…」
Jを取り込んだバケモノは変色しながらボーマンダへ接近する。
主人を取り込まれどうすれば良いのか分からないボーマンダへ向けて、触腕が振り下ろされた。
ドゴッ!という鈍い音と共にボーマンダは落下する。
頭に一撃を食らっていたドラピオンは落下して来るボーマンダに気付くとなんとか躱し、自分の主人が取り込まれたのを見て絶望したような顔のまま、腕をダランと下ろす。
「……また違ったバケモノですか…」
そして、それを見たルイはただ冷静に取り込まれたJを見つめていた。
取り込まれたJは何かに対してもがき苦しむような苦悶の表情を浮かべながら自分の首を押さえている。それと連動するように無造作に触腕は振るわれていた。
「…ドラピオン、ボーマンダ。貴方達の主人を助ける為に少し協力してください」
2匹はお互いを見つめ、取り込まれた主人であるJを見た後、ルイを見つめながら頷いた。
それを確認したルイは二匹へ指示を飛ばした。
ーーーーーーー
『う…ぁぁ……苦しい…く"る"し"い"…!』
Jは自らの喉を掴みながらそう言って目を開ける。
目の前にはユクシー、アグノム、エムリット…かつて自分が捕まえようとした伝説のポケモンがただジッと自分を見つめていた。
『あ…あ"あ"あ"あ"あ"あ"!?』
脳内にフラッシュバックするのは、ユクシーとエムリットの《みらいよち》によって爆発した飛行艇と共に落ちる記憶。
『う"あ"あ"あ"あ"……忘れろ…忘れろ…!』
あの時の痛みがぶり返し、自分の頭を抱えて左右に振る。
あの時負った火傷の痛みを思い出す。湖に落ちながら目を覚まし、もがき苦しんだのを思い出す。
なんとか生還し、再びポケモンハンターとして活動するも、ルイによって阻まれ『無機質な目』で見つめられ、縄に縛られた記憶を思い出す。
そのまま連鎖するように、自分の経験して来た《痛みの記憶》を思い出す。
『ゔぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!』
Jは頭を掻きむしり、その記憶に蓋をしようとする。
しかし蓋をしようとすれば、より強い『体験』としてその時の痛みや感覚がJを襲った。
『あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!』
幾ら叫ぼうが頭の中から《痛みの記憶》は頭から離れず、記憶に蓋をかけようとしようとすれば肉体に幻痛や触覚などが現れ余計に苦しむ。
そのまま叫続けたJは『プツリ』と何かが切れる感覚を覚えた。
それと同時に身体が落ちていく感覚を最後にJの意識は途切れた。
ーーーーーー
「…はぁ…はぁ…何とかなったみたいですね」
Jを取り込んだバケモノ相手にJのドラピオンとボーマンダと共に戦い続けたルイはバケモノがJを吐き出して何処かへと去っていくのを見て一安心する。
「…そういえば…どうしましょう…これら」
周りにはまだ気絶したままのJの部下とポケモン達が転がっていた。
「…仕方ありません、それぞれボールに戻しながら縄で縛りますか」
そう言ってルイは『あなぬけひも』を取り出して、適当に引き千切って人数分の縄にすると部下達のポケモンを戻しながら一人づつ縄で縛った。
その間、ドラピオンとボーマンダは主人であるJの側にピッタリと引っ付いていた。