絵描きのアローラ旅行記 作:ポケモン好きのエンジョイ勢
時は3日前に遡る
青年はやっとの思いで飛行機を降りたら、国際警察とアローラ警察に取り囲まれた。
勿論、何か悪い事をした訳ではない、ただ謎のポケモンである『デンジュモク』について知ってる事があるのかと聞かれたまでである。
場所は空港内の検査所、青年の持っているポケモンの検査も含めての事情聴取、という形で青年は囚われた。
「さて、まずは君の名前を教えて下さい」
比較的珍しい銀髪の少年は、机の向かいに座る青年を鋭く睨む。
「僕はルイ、アローラには観光で来たんです」
「ルイさんですか、僕は国際警察のアカシです。トレーナーカードを提示して貰っても良いですか?」
「良いですよ」
ルイは何故ここまで警戒されているのかと疑問に思いつつも、アローラ警察にトレーナーカードを手渡した。
アローラ警察がそれを識別機械に通し、不正なトレーナーカードではないと分かった後アカシに渡された。
「すまない、今このアローラ地方に来るトレーナーはスカル団に憧れて来る人も居るからね、つい警戒したんだ」
そう言って少し笑いながらトレーナーカードを返却された。
「所で、君は絵描きなんだろう?」
真剣な目で見つめられる。
「あのよくわからないやつを描け、と?」
「そうだね、乗客全員は見た訳じゃない、見たと証言した乗客もどういう姿だったかまでは
「まぁ、記憶していますが…」
そう言ってルイは鞄から一枚の紙とボールペンを取り出してサラサラと描く。
そして描かれたのは
マジカルシャインを放とうとした時の体勢のデンジュモクだった。
「これは… UB-03 LIGHTNING…!?」
「…ポケモンなんですかね、コレ」
ルイは自分の描いた絵をトントンと指指して問う
対してアカシは申し訳そうに答えた
「……それは答える事は出来ない、ただこのアローラにはウルトラホールと呼ばれるこことは違う異空間を繋ぐ扉の発生の目撃例があってね。国際警察としても警戒しているんだ。今アローラに来るトレーナーは故郷に帰ってくるか、…悪事に手を染める為に来たか、くらいだよ」
「なるほど…」
なら自分はとんでもない例外だな、とルイは思った。
「そしてルイさん、貴方は他の地方にも行き、ジムチャレンジをした経験がありますよね、しかも四天王を倒す程の実力者ではありませんか?」
アカシにそう問われ、ルイは渋い顔をした。
ルイは確かに他の地方に行く事もあり、その地方特有のポケモンも捕まえたりもした。ジムチャレンジもそのポケモン達でどこまでやれるかというある種の挑戦でもあり、その地方での秘伝技の使用許可も含めてのバッチ収集でもあった。別にチャンピオンになってやろうとは全く思っていないのだ。
ただその過程で異常な確率で悪の組織の構成員や幹部と遭遇したり、その悪の組織を結果的に壊滅させたトレーナーと一緒に行動していたりしただけだったりもする。
言ってしまえばルイはただのそこそこ強い一般トレーナーであり、観光気分で地方に行けばトラブルに巻き込まれるトラブルメーカーである。
「そんな実力者の貴方にお願いがあります」
「なんですか…?」
アカシに2度目の真剣な顔を向けられ、ルイは少し身構えた
「実は本来今日、新しいトレーナーが3人生まれる日だったんです」
「おや…それはその…残念ですね」
それを聞きルイは大体理解した
「はい、アローラ警察と連携してそのUB-03 LIGHTNINGを今追っています。恐らく捕まるとは思いますが…仮に捕まったとしても、その3人の新人トレーナーは厳しい時に出る事になります」
それもそうだ。とルイは思った
未知の存在が自分の地方に放たれ、被害もわからずに君は今からトレーナーだ。頑張ってくれと言われても心細過ぎる。3人居るとは言え新人トレーナーだ、強力なトレーナー倒されてしまうかもしれないし、これを機に悪の組織が動きを活発にするかもしれない。もしかしたら未知の存在と遭遇して被害を受けるかもしれない。
そんな不安を持って子供が旅に出るのだ。幾らなんでも厳しい
「つまり僕はその子達の保護者のような物になって欲しいと」
「ええ、このアローラ地方の研究者…ククイ博士から貴方のお父さんにお願いしたらしく、なら自慢の息子を寄越してやると笑顔で語ってたそうですよ」
そう言われてルイはハッハッハッハッと笑う父を思い浮かべる。
今度帰ったらコテンパンにしてやろうと心に決めた。
〜〜〜
「ハックション!」
そして同時刻、カントーで父はクシャミをした。
「あら貴方、風邪かしら?」
ラッキーを伴って家事をしている母は心配そうに父を見る
「いや、息子からの怒りが来たな。ハッハッハッハッ!」
「笑い事ですか」
その頭にお盆が振り下ろされた。
ガンッと良い音が鳴る。
「アローラ地方の博士であるククイさんがこの地方に来た時に案内したかと思えば、依頼を勝手に受けて、ルイちゃんが自分の意思だったとはいえ今の時期のアローラに送るなんて、私は行かせたくなかったけど…あの子の意志も尊重したかったし…もう……しばらく貴方はウインディちゃんの散歩担当です」
そう言って母は洗い物をし始めた。
「待ってくれマイハニー、ウインディちゃんの散歩はキツい」
そう言って父は震えた。
「言い訳は聞きません、ウインディちゃーん」
そう呼ぶと庭に繋がる大窓の前にウインディがパタパタと尻尾を揺らして待っていた。
カラカラとラッキーが庭へ繋がる大窓を開ける
するとウインディちゃんはそのままスルリと室内に入るとパクッと父を咥えて外へ出て行った。
あぁぁぁ…!?と情けない悲鳴が木霊する。
「ルイ…どうか無事に帰って来てね…」
母は愛する息子の無事を願った。
その後、夕方になってグロッキーな父を背負って帰ってきたウインディちゃんはとても嬉しそうにしていたそうだ。