其の神話は、絆を繋いだ   作:風峰 虹晴

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少し間が空き申し訳ないです……


EP28 快方

「どうだった?碇指令もといお父さんとのお墓参り」

 

「別に。特に何でもありませんよ」

 

 山の中に切り開かれたアスファルトの道路を走る、一台の車。他には一台も車は走っておらず、現在その道路を走るのは、ローンと傷が積み重なった青い車だけだった。

 その青い車の助手席に座る碇シンジの機嫌は決して良いと言えるものではなかった。大人しく手を膝に載せながら、先程までのことに思いふける。

 

 父、碇ゲンドウと一緒に行った、今は亡き母碇ユイの墓参り。何も知らない両親について何か知ることができるかもと、同居人兼保護者である葛城ミサトの提案に乗ってはみたものの、大した収穫は得られなかった。

 

 ちなみにゲンドウも良くなかった。彼にとってのイレギュラー、第四.五使徒の存在に頭を悩ませる中、いつもの如く指令室で副指令の冬月コウゾウと響マキと三人で麻雀をしている最中、

 

『そういえば御子息をお墓参りに誘っているらしいですねぇ^~! シンジくんに聞きましたよメンタルカウンセリングの時に。ミサトさんに提案されたんですって?まぁ私亡くなった身内どころか身内いないから司令の気持ちとかわかんないんですけどね~www いい機会じゃないですか胸の内ドパッとしちゃいなYO! え、それとも何ですか?司令ともあろう方が怖いと!? あそれロンです。Foo↑裏も乗って元気に跳ねてらぁ! 気持ちいい^~~~』

 

 と煽り散らされた末に墓参りを承諾した。

 しかし、流石の碇ゲンドウといえど怒りが有頂天でストレスがマッハになるのか確定的に明らかなのだが、マキは普段よりNERVに膨大な残業量と成果を以て奉仕し、ゲンドウが贔屓にしているレイの保護者的存在であるが故に何も言えなかった。ショッギョムッジョ。

 

「はい葛城」

 

 運転席のミサトが、ハンドル片手に携帯の着信を取る。シンジはそれを全く意に介さず、窓の外を見続ける。

 ふと、シンジの見る光景が薄暗くなった。まるで太陽が雲で隠されたように。

 上を見る。雲は全然出ておらず、しかし太陽は隠されていた。

 

 飛来した砲台に。

 

「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」」

 

 ミサトの機転により、車は大きく車体を揺らす。タイヤを擦らせ、砲台を間一髪回避する。

 

「なんですって!?」

 

 ミサトの悲鳴が、車内に響く。シンジはその声に、鼓膜を少し痛める。

 ナビに替わり表示される「パターン青」の文字。それは、人類の天敵である使徒の襲来を意味していた。

 

 使徒に対抗しうる兵器、エヴァ初号機のパイロットであるシンジは、その使徒を肉眼で確認するべく窓の外を懸命に見渡す。

 

(いた!)

 

 カァン……カァン……カァン……カァン……カァン……カァン……

 

 それは、今までシンジが見てきたどの使徒よりも、巨大。赤い水上を鋭利な脚で金属音のような音を響かせながら歩行する。

 

 ドォン!ドォンドォン!ドォン!!

 

 使徒の周りにいるのは、艦隊を組む多くの艦船。積まれた主砲から、使徒に向けて多くの砲弾が発射される。

 十発、百発と砲弾は使徒に飛翔するも、ATフィールドによってその全てが跳弾し彼方へと飛んでいく。

 

 下から降る雨の中、使徒の仮面のような顔が、時計の秒針かのように動き、重なる。

 

 ピキーン!

 

 雨が止み、赤い十字架の花が咲き乱れる。

 同時に起こった使徒の攻撃で、攻撃中だった艦船が空中で真っ二つになる。

 被害は甚大。対使徒戦に置いて、現代兵器が如何に無力かを、思い知らされる戦いの一幕であった。

 

 ミサトはそれを傍目で見つつ、殉職した多くの艦船のクルー達の冥福を祈りつつ、使徒に対抗できるエヴァのパイロットであるシンジを急いでNERV本部に運ぶべく、一般人に対し封鎖された高速道路で車を走らせる。

 

「うわっぷ!」

 

 突然の急カーブに、シンジはGで扉に押さえつけられた。ミサトもGに耐えつつハンドルを切りながら通話を続ける。

 

「現在エヴァ初号機パイロットを輸送……中……」

 

 そんな中、再び太陽が隠され、ミサト達の車を影で包み込む。

 それは、使徒の攻撃を受け折れた、真っ二つの艦船。その長さは数十メートルを超えている。

 

「ミサトさぁん!!?」

 

「ぐぅっ!!!」

 

 ミサトは急ブレーキを踏む。しかし例え止まろうとも進もうとも、それはもう、ミサト達の力では回避不可能。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミサト達の力ならば。

 

 

 

「シュアッ!」

 

 

 

「うぅぅぅっ……あれ……?」

 

 身を守ろうと腕で顔を隠していたシンジは、とっくに自分達に命中しているであろう折れた艦船が未だ来ないことに違和感を感じ、見上げる。

 

「だ、第四.五使徒!」

 

 完全に停止した車体の中から、ミサトが上を見上げつつ叫んだ。

 銀色のボディに、赤いライン。そしてV字のコアを持つヒト型の使徒。

使()()()()()使()()、第四.五使徒が、半分に折れた艦船を受け止めていた。

 第四.五使徒は、その両手に持つ折れた艦船を、ゆっくりと道の邪魔にならない場所に置くと、片膝をついてミサト達の車を覗き込む。

 

「もしかして……助けてくれた?」

 

 シンジは言葉に疑問符を浮かべつつも、そうだとほぼ確信しつつ発言した。

 

「─────」

 

 第四.五使徒は何も言わない。しかし淡く光る双眸はシンジの言葉を肯定しているようだった。

 

 シンジは過去に2度、この第四.五使徒に助けられている。一度は第五使徒との戦い、二度目は第六使徒とのヤシマ作戦に。

 故にシンジは第四.五使徒を信頼する。ミサトはそんな様子のシンジを見て、不安ながらも少し心を落ち着けたようだった。

 

 第四.五使徒は立ち上がり、第七使徒を見上げる。全ての艦船を払い除け、NERV本部へと歩みを進める鋭い巨体。この歩みを止めなければ、いずれ人類は滅亡する。

 

「「えっ!!?」」

 

 第四.五使徒の行動に、2人は驚きを一切隠さなかった。第四.五使徒の足は地を離れ上昇……つまるところ、()()をし始めたのだ。

 

「シュアッ!!」

 

 第四.五使徒は掛け声と共に空へ飛び立つ。その速度は、風を、音を超える。

 

『─────佐!葛城大佐!大丈夫ですか!?』

 

 携帯からそんな声が聞こえてくることに、ミサトは気付いた。視線を下から携帯に向けて、言葉を放つ。

 

「え、えぇ……大丈夫よ!直ぐに零号機主体のタスク03を直ちに発動させて!」

 

『いえ、既にタスク02が発動中です』

 

「タスク02……?……まさか!?」

 

 ミサトは思考のままに再び上を向く。そしてシンジもミサト視線を追うように、上を見上げる。

 

 第四.五使徒が自由自在に空を飛ぶ。急停止、急加速、急旋回といった人間ならば非常に高いGに襲われるが故に不可能な軌道を描きながら、第七使徒から伸びるケーブルのようなものを避けつつ、ときに腕から光刃を放ち迎撃する。

 

 更にその上、雲の遥か上に一機の特殊大型輸送機が飛行する。

 輸送機の下部で小さい爆発が断続的に行われて、そこから大きな落とし物が落下していく。

 

「あれは……?」

 

「エヴァ弐号機!」

 

 落とし物は赤いヒト。使徒殲滅の命を受け、今空に潜る。




主人公:麻雀しながらゲンドウ=サンを煽り散らかして墓参りに誘導しつつシンジくんとミサトさんを助けたりとなんやかんやで色々頑張ってる。麻雀は負けた。冬月センセに。

ミサトさん:シンジくんとゲンドウ=サンに墓参りを持ち掛けたりシンジくん輸送したりと有能。今後また胃が痛くなりそう(小並感)

シンジくん:ゲンドウ=サンとの墓参りで親密度が上がった。正確には5ぐらい。あと根性と。主人公もとい第四.五使徒への信頼が高め。


ゲンドウ=サン:今回一番の被害者。奥さんの為に色々頑張っているのにイレギュラーな存在と主人公(同一人物)に精神ゴリゴリ削られてる。しかし尚頑張るその姿はまごうことなき司令官。

次回は遂に第七使徒戦もとい初の空中戦です。……まあ主人公視点なのでお察し。


烈々さん☆8評価、迷子の鴉さん☆7評価ありがとうございます!

山水公さん誤字報告ありがとうございます!

感想・お気に入り登録・ここすきありがとうございます!
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