其の神話は、絆を繋いだ   作:風峰 虹晴

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なんとか同日投稿。


EP35 体験

「う゛ぇひ^〜」

 

「その声どこから出してるんだい……?」

 

「私は喉から」

 

「鼻から出す人もいるのか……!?」

 

 海洋生物保存研究機構。その屋外に存在する橋に、加持リョウジと響マキは佇んでいた。

 加持は煙草を吸いながら、マキは首からカメラを下げつつ、自ら思考力を下げて景色を見ていた。

 

 そんな2人の元に、碇シンジがやってきた。シンジは心なしか少し疲れた様子だが、それと同時に楽しそうだった。

 

「こんなところに居たんですね」

 

「こ ん な と こ ろ 。シンジくんもこっちおいでよどうぶつの森」

 

「うん」

 

 シンジはマキに呼ばれ、2人の間に挟まるように位置する。シンジは移動した後、手を柵に置いて、そこに体重を一部任せるようにして立つ。

 

「どうだいシンジくん?ここに来た感想は」

 

「……楽しかったです。綾波も楽しそうでしたし」

 

 ちなみにその綾波だが、現在はイルカと意思疎通をしていた。イルカの生み出す輪状の泡をずっと眺めている。

 

「それにしても……この海の匂いってのは、生臭くて変な匂いがしますね!」

 

「えマ?そう?私この匂い結構好きなんだけど」

 

「え〜?」

 

 シンジの意見に、マキは顔色を一切変えずに、頭空っぽでそうシンジに返す。シンジはマキの意見にあまり共感できず、怪訝な表情をしていた。

 

「海の生物が腐った匂いだ…生きていた証なのさ。あの何も無い赤い水とは違う、本当の海の姿なんだよ」

 

 加持も煙草を吸いながら、顔色を変えずにそう答える。シンジはその答えに初めて豆知識を聞いたかのような反応をするが、マキは一切顔色を変えず、パラパラを踊り始めた。

 答えた加持の目線は話の標的である青い海ではなく、青い空を見つめている。空中にはこの海洋生態系保存研究機構にのみいるカモメが、悠々と空を飛んでいた。

 

「ミサトさんも来ればよかったのに」

 

 余程良い思いをしたシンジは、一切の悪意なくそう答えた。

 

「ミサトは来ないよ。思い出すからな」

 

「何をです?」

 

「セクァンドインパァクツ……」

 

 シンジの言葉に、加持ではなく謎のポーズでピシッと停止しているマキが、そう答えた。

 

「よく知ってるなマキちゃん」

 

「まぁ???てんっさいですから??? こんなもん読解力だよ読解力!」

 

 マキは加持の疑問に揚々として答えた。その顔はいつものマキとは変わりやく、自称すると否定はされないその美貌が、豊かな表情で埋まっていた。

 

「それで?マキちゃんはどうなんだい?」

 

「ど、ドューユーミーン???」

 

「あからさますぎないかい?」

 

 新たにされた加持の質問に、マキは明らかに動揺を見せた。動きがいつもよりも忙しなく、手がとんでもなく気持ち悪い指の動きをしつつ、目がマグロの如く泳いでいる。

 

「どういうことですか?加持さん」

 

「お?シンジくんは知らなかったのかい?」

 

 明らかに動揺を見せるマキに少しながらの好奇心と興味を抱いたシンジは、加持にその詳細を聞く。すると加持は、聞いて来たことに若干や驚きを覚えた。

 

「マキちゃんは葛城に拾われる前の記憶がない……所謂記憶喪失なんだよ」

 

「えっ……?」

 

 シンジは、1番の驚愕を、顔と心に示していた。

 シンジにとっての響マキという存在は、以前も言った通り何もわからない、津波のように情報量が多くてわからない存在だった。故に中身が見えない。だからこそ、今回のような情報も、わからなかった。

 

「あぇ?シンジくんに言ってなかったっけ?」

 

 そして、そんな大事なことを暴露されたマキは、あっけらかんと、全くの素の顔でそう言った。

 その発言から取れることは、マキにとってその情報があまり重要ではないということ。

 

「ちなみにその情報どこで仕入れました?まぁ大体わかるんですけど」

 

「親切なお姉さんが酔いながら教えてくれたよ」

 

「やっぱりな♂(レ) 帰ったらぜってぇ一週間禁酒させてやる……!

 

 シンジはマキの方を向く。やはり、マキに暴露されたことに対する狼狽えはなく、この場にいない人物に恨みを重ねていた。おいたわしや。

 

「それで、何か思い出せたかい?」

 

「え?あ〜……いや、特に」

 

 加持の質問に対して、この事柄にあまり興味がなさそうなマキは、宙を仰ぎながらそう答えた。

 

「あ!でも一つ思い出しましたYO!」

 

「「!」」

 

「この前めちゃくちゃ楽しみに貯め録りしてたはずのアニメが、確認したら毎週録画にしたと思ったら視聴予約になってたンゴ……」

 

 加持とシンジは思わずずっこけそうになった。しかしその悲しみは絶大なものだった。

 SNSでストーリーが細かく最初から順に見なければならないようなアニメで、9話まで全てが録れていなかったのである。その悲しみは思わず無想○生が出来そうなレベルだった。

 

「へ、平気なの?マキは……その……記憶喪失で……」

 

「へ?別に?」

 

 シンジが少し勇気を出した答えに、またもマキは何もないかのように答えた。

 マキは「よっ」という声と共に、柵の上に立った。その厚さなんと5センチッ!!しかしマキは圧倒的体幹で一切ブレずに立ち、空を見上げる。

 

「私は別に記憶なんて思い出さなくてもいいかなぁ」

 

「どうして?」

 

「だってシンジくんもいるし、レイちゃんもアスカちゃんもいるしね!」

 

 マキは柵から柵へと飛び移る。その身のこなしはまるで歴史の授業で習う、弁慶と対峙した牛若丸の如く。

 

「ミサトさんだってだる絡みしなきゃ美人で優しいし、リツコさんだって私に休憩くれるし」

 

 マキは柵の上でシャゲダンをし始める。もしこの場にダンサーがいたならばこの光景は録画をせずにはいられないッ!

 

「冬月センセと一緒にゲンドウ=サンを麻雀で飛ばすのも楽しいしね!」

 

 その発言に思わずシンジは少し長い顔をし、加持は思わぬ情報に噴き出しそうになり、煙草を手に持って顔を背けて咳き込む。

 

「そ・れ・にッ」

 

 マキは勢いをつけて大きく跳躍する。すると復元された青い海からイルカが飛び出し、マキと同じ体勢で海面を跳躍する。

 

「おほ^〜!加持さん達に隠れて調教した甲斐あるわぁ^〜」

 

「なにしてるんだい!?」

 

「仕事は真面目にしたから許してクレメンス……」

 

 あまりに非日常的な光景にシンジは呆気に取られ、口を少し開けてぼーっとしている。

 それもそうだろう。先程の光景はタイミングのみならず、マキの驚異的な身体能力なくしては成立しない、正に神の如き一枚絵。恐らくこれを芸術家が見たならば創作意欲がオーバードライブして呼吸法を取得する。

 

「それは兎も角。私は多分、記憶を失ってても、結局やることは変わらないと思う」

 

 再び青空を見上げつつマキはそう呟く。そんなマキに対し、シンジは聞かざるを得なかった。

 

「……何をするの?」

 

()()()()()()()。んじゃ、戻ろうかな。レイちゃんの写真まだ撮りたりねぇし(レ)」

 

 マキはそう言うと、奇声を上げながらカメラを持って施設内に突入していく。

 シンジはマキが言った言葉を、数回反復したのち、マキを追いかけた。

 

(……そういえば、なんでマキは加持さんの質問に動揺してたんだろう?)

 

 一つの疑問を胸に残しつつ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────

 

「あ゛ぁ〜〜〜!!返してよ私のビールゥゥゥゥ……!!」

 

「ダメです」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!」

 

 酔っ払って人の個人情報勝手に吐かれたらそら当たり前だよなぁ?という訳でビールは葛城家から首だ首だ首だぁ!ボッシュートとなります!

 

「一週間後に、また会おう!」

 

「ねぇ、マキちゃん?お金あげるから3日!3日に短縮してくれないかしらぁ?ねぇ〜〜〜」

 

「2週間に伸ばしますよ???」

 

「ピィ……」

 

 コレに懲りたらベロンベロンになるまで酔うのは、やめようね!




主人公:シンジくんに記憶喪失()のことが遂にバレた(無傷) 加持さんに呼ばれた仕事で寝れなかったのはイルカの調教をしてたのも一因。

シンジくん:マキちゃんが記憶喪失だと知ってショック。そしてそれを大したことだと思ってないことにもショック!合わせてYouはShock!

加持さん:ミサトさんと飲むついでにマキちゃんのことを聞いていた怪しいおじさん。若干やツッコミよりになりつつある。

ミサトさん:加持さんのせいで主人公に禁酒を言い渡されるというとんだとばっちりを受けた。これにより加持さんへのヘイトはさらに加速した。

予告通り同日に投稿した訳です。次回はまた来週末……には投稿……したいなぁ……(希望的観測)
あと非常に私事ですが事故ってピポったので感想お願いします(無関係)

逃げるレッド五号 2式さん、違う!違うんだエレン・・・・!さん☆10評価ありがとうございます!

お気に入り登録が500を突破しました!本当に皆さんありがとうございます!

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