第5話です。よろしくお願いします。
「さてこれで契約は完了だ。虹君、これからよろしく頼むよ。」
次の日の朝になり、俺は事務所に来てた。
「今から君はパスパレのマネージャーだ。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
俺はテーブル越しに社長と握手をした。
事務所の社長というのは偏見があった。部屋はたばこ匂いとか、荒れ放題とかいろいろ想像していたが至って普通の部屋だった。
「社長室ってもっと荒れていると思っていた?」
社長が笑いながら話しかけてくる。
「そうですね。自分はもっと違う感じのことを想像してました。」
そこから軽い雑談が始まり、1時間経った。
「それでは失礼します。」
ドアを開けて、社長室を後にする。
これから帰って何しようか考えて歩いていたら、目の前から白鷺千聖さんに会った。
「あら、虹君、お疲れ様。これから帰り?」
「はい、お疲れ様です。今社長と話しててこれからフロアを見周るところです。」
「そう。お疲れ様。私はこれからマネージャーと話し合いがあるの。それじゃあね。」
「はい。頑張ってください。お疲れ様です」
白鷲さんは専属のマネージャーがいる。俺はパスパレのマネージャー、つまり全体の話だ。白鷲さんは幼い頃から芸能界の世界に足を踏み入れている。それもあって仕事もたくさんある
しかし、昨日の出来事があったことで多分仕事が減ったのだろう。
俺はさっき白鷲さんに帰るといったが実際にはこの事務所を見周るつもりだ。初めて来たこともあって、場所がわからないところもある。
パスパレ専用の部屋もあるって言うし、探してみるか。
「ここは、喫煙室、んで、休憩室、意外と広いな」
探検感覚でわくわくしながら、歩いていた。
「お、パスパレの部屋だ。ここにあったのか。覚えておこう。」
フロアを見渡して、パスパレの部屋を見つけたので開けようと思ったら、何やら声がする。
少し開けてみてみると、丸山、若宮、大和、日菜がいた。
「トレーニングは腹筋、腕立てとかかな」
「えええ、アイドルってそんなことするんですかー!」
丸山と大和が話していた。遠くて、あまり、話が聞こえないが
しばらくすると丸山がポーズをしてた。
多分、あのポーズをしているのだろう。流石に辞めてほしいところはあるがそこが可愛いところだろう。
三人は笑って話していて、昨日のことを余り引きずっていなくてよかった。
俺はそっとドアを閉めて、他のエリアに移動した。
「あれ?」
「どうしたの?日菜ちゃん」
ドアの方を見る日菜に、彩は気になっていた。
「ううん!何でもないよ。今ドアの方に誰かいたような感じがしてさ」
(やっぱり、なんでもなかったか、京ちゃんだったら面白かったのに)
「気のせいじゃないですか?」
麻弥ちゃんがそういうとイブちゃんも頷いた。
「ちょっと、トイレ行ってくるね」
日菜は外に出た。
「さて、次はどこに行こうかな。」
俺は違うところに行こうと思い、廊下を歩いていたら、何やら白鷺さんの声が聞こえた。
「すみません。でもお披露目ライブに関してのことの中傷記事については、何とか取り下げるようにお願いしたくて」
スタッフさんと専属のマネージャーと話している。
「それに関しては難しんだよね。」
「私からもお願いしたのですが、千聖の仕事もなくなりそうなので」
マネージャーさんも頭を下げている。
俺は壁に隠れて、ばれないように近づいて話を聞いた。
「しかしね、無理なものは無理なんだよ。あれは僕たちのミスだけど、君たちも歌わなかっただろう?」
「それはマネージャーの指令で」
千聖は下を向きながら答える。
「だったら、グラビアの撮影でもするといい。落ちたアイドルがAVデビューするのも売れると思うぞ」
「そんな私はまだ高校生で」
「高校生でも体験しているやつは体験しているだろ?何ならツテに聞いてみようか?」
男性スタッフは、女性の目の前だというのにセクハラ発言をしていた
マネージャーは止めないのだろうか、俺が考えていると
「ほら、千聖、僕の言う通りだろ?グラビアに行くしかないのだよ。女性のキラキラする時間は短い。だからこそ新しいことが必要なんだ」
おいおいおいおい、さっきまで一緒に頭を下げていたマネージャーが何を言っているんだ。
いい奴かと思ったら最低なやろうかよ。
「もういいです。失礼します。」
白鷺さんが涙を貯めながらその場から去った。
「おいおいマネージャーよ、千聖さんは上物だぜ。」
「僕も思っていました。このままいけば彼女が堕ちるのは間違いなし」
「いやー撮影が楽しみだーー」
ハハハハハとマネージャーとスタッフが話していた。
(こんなの廊下でするような話じゃねーぞ。)
俺は怒りを抑えて、白鷺さんを追いかける。
「はぁー、最悪だわ」
私は事務所の屋上に行き、外の空気を吸っていた。
専属マネージャーは昔はいい人だったのに、今では下心が丸見えだし、しまいには、グラビアデビューまで圧してきた
「私はグラビアアイドルにはならないわ」
しかもしまいには、AV女優なんてなりたくもない。
「いっそこのまま、飛び降りたら、楽なのかな」
私はフェンスに足を掛け向こう側に移動して、後ろのフェンスに寄りかかった。鳥になりたいわ。
「それはやめた方がいいぞ、白鷺さん」
後ろを振り向くと虹君がいた。
「さっき、偶々、マネージャーさんとスタッフの話をきいてね。」
俺は白鷺さんが階段で上に上がっていくのを見たので走ってきた。
「何よ、あなたに関係あるの!」
「関係あるさ、俺はパスパレのマネージャーだ。」
「私には専属のマネージャーがいるわ、そっちの方が圧力は上よ」
手を力強く握っており、言葉に力が入っている。
「そりゃーそうだ。こんな新人君の言葉を聞いてくれるやつなんかいない」
「それじゃ、何しに来たのよ」
「そんなの決まっているだろ。白鷺千聖、お前を守りに来た。」
「は?」
私を守る?何言っているのこの男は?ただ、パスパレのマネージャーに選ばれたくらいでこんなこと言ってきて気持ち悪い。
「私を守れるのは私だけ。あなたではないわ!」
「守るというのは今の地位であり、白鷺さんをグラビアとかの世界に行かせないという話だよ」
「そんなこと無理よ!!私はいつも頑張ってきた。中には枕営業をやって仕事貰っている人もいるわ。私もそうしないといけないのよ!芸能界というのは厳しい世界なの!!」
この男は何もわかってない。私の気持ちも、芸能界も何もかも!!
「そのくらいで枕をするのか、地に落ちたな、白鷺千聖。確かに芸能界というのは厳しい世界だ。一瞬で飽きられるし、すぐに寿命が来る」
「そうよ、だから若くして結婚する人も多いわ。」
「でもパスパレは俺がつぶさない」
「何を言っているの?あなたには無理よ」
言葉なんて何とでも言えるし、人をだませる。実際には、スタッフの中にもだます人もいる。今回の問題もそう。
「今回起こった問題もそうよ。スタッフの中に私たちをよく思わない人もいるわ。」
「あぁ、社長と話してわかった。裏切り者がいると」
虹君は、うなずき話す。
「なら話は早いわ。この世にはね、努力ではどうにもならない事もあるのよ。コネ、お金、人材、親族、すべてを利用して活躍なんて簡単よ」
これほど怒ったことはあっただろうか
「だからこそ、俺がいる。」
「な、なにを言っているの?頭おかしいの?」
この人はなにを言っているの?
「いや、おかしくは「おかしいわよ!!!」」
私は我慢の限界だ。
「あなたはまだ新人で、しかも日菜ちゃんの幼馴染なだけ、どこにそんなのがあるっていうのよ!世界も救ったこともないのにそんなこと言わないで!」
はぁはぁ、私は疲れた。こんなに怒ったのは久しぶりだから
「世界なら救ったことあるぞ。」
「え?」
虹君は見呼ぼえのある、手帳を見せてきた。
こんなに女性に怒られたのは久しぶりだ。日菜や紗夜もこんなに怒ったことないだろうという感じだ。
「俺は世界を震撼させたウイルスの薬を作ったんだ。」
「それってあの、ウイルス?」
「そう、それでこれをもらったんだ。この世界には実際に興味はない。芸能界なんて汚れている、今回の例が特にそうだ。俺は日菜が安全に暮らせるようにこの世界に来ただけだ。それに実際に世界に行ったわけではないから。まぁ間接的って感じかな?」
「それじゃ、薬を作った少年ってニュースでやってたのは」
「俺だよ。あんまり広めないでくれよ。」
俺は手を合わせて、お願いする。
「わかったわよ。取り敢えず、この場所から、おりて話をするわ。」
白鷺さんが足を掛けて上ろうとしたら
その時強い風が吹いた。
白鷺さんが下に落ちた
「クッソ」
俺は走ってフェンスを飛び白鷺さんを追いかける。
つまり飛び降りるということだ
ここの事務所は30階、落ちるのにはしばらく時間がかかる。
急いで、白鷺さんに追いつく
「ごめんね。私のせいで道連れにしちゃって」
声はだせないのか、口で伝えているのはわかる。
俺は白鷺さんを抱きしめて、耳元でいう
「大丈夫だ。白鷺さんを死なせないから安心しろ。」
「私を助けて」
絞りだした声は弱く、涙も流している。
「わかった。その代わり少し耐えろよ。」
俺は、背中からパラシュートを出し、落ちる勢いを落とした。
「これでもう大丈夫だ。白鷺さん」
俺はお姫様だっこをした状態で、声を掛ける。
「本当に助けてくれた。ありがとう」
「おやすい御用だよ。パスパレのマネージャーだしね。」
白鷺さんは俺の首に手を回した。
「このまま専属のマネージャーになって」
白鷺さんは、涙を流しながら、言ってきた
「わかった。」
「それから、私をこれからも助けてね。それから、私のことは白鷺さんではなく、千聖か、千聖さんでいいわよ。京平」
その言葉と同時に地面に着く。
「本当にありがとう。」
お姫様抱っこから、降ろして、千聖はお礼をいう。
「大丈夫。体は痛いところないか?」
「ええ、大丈夫よ。それにここにいたら目立つわ。早く片付けて。」
千聖は、パラシュートを気にしていたのか、後ろを見た。
「え??」
なんとパラシュートはもうないのだ
「パラシュートなら勝手に収納されて、また使えるんだ。ハイテクだよな。」
笑いながら話す。
「そうなの。私、事務所に忘れ物したから取りに行くわね!京平も気をつけて!ほんとありがとう」
千聖は何かを思い出し、事務所に戻って行った。
「どういたしまして。もう二度とあんなことしないで下さいね。」
「わかったわ。反省してるわ。バイバイ」
そう言って、千聖さんと別れた
俺は家に帰ろうと思う。
元々予定もなかったし、大丈夫だろ。日菜には後で連絡しておこう。
「これが虹 京平に関するデータです。」
「そうかそうか、よくやったぞ。白鷺よ。」
私はこのデータを渡す為にとある部屋に来てた。
「しかし、あの飛び降りにはびっくりしたわい。心臓が飛び出ると思ったわ。」
「私もあれは偶然で虹君がいてくれて本当に助かりました。」
あれは演技でもなんでもない。本当に起きたのだから
「体に異常があれば言うのじゃぞ。儂が医者を紹介する。」
「ありがとうございます。」
一礼をした。
「虹くんの今後をよろしく頼むよ。白鷺くん。」
「はい。かしこまりました。失礼します」
私は扉に向かい、部屋を出た。
御手洗に向かおうと思ったら、思わぬ刺客がいたわ。
「なんの用かしら、日菜ちゃん。」
「千聖ちゃん。何しようとしてるの?」
しばらく遅くなって申し訳ありません。
次回何が起こるかお楽しみに!