これは私の過去のお話。
「アイドルですか?」
「そうだ。千聖やってくれないか?」
「ですが、私は女優です。アイドルなんてやったことありません」
私は、社長とは違う人、株主と話している。
「しかしね、わしとしては、新たな事業に手を出してみたいのですよ。」
「でも、アイドルなんて、「いつまでそんなことを言っているのかね」
「わしはね、君をグラビアの世界に連れていこうとも考えている。しかしね、君のマネージャーのせいで、やりたいことができないのだよ。わかるかい?」
「はい。わかりました。」
この男は前のマネージャーを解雇した。理由としては言う事を聞かないから。私のグラビアを反対してくれた。私のために犠牲になった。彼女からの最後の言葉は、諦めないで頑張りなさいと言ってくれたこと。これを機に男の人を信頼することはなくなった。
「それにね、新しいマネージャーが来るみたいだよ。その子の事知らないから、わたしに情報提供してくれないかね」
「わかりました。」
そうして、この人に情報を渡すことになった。
「どうしたのかしら日菜ちゃん」
時が戻って、日菜ちゃんと私は向かい合って座っていた。さすがにあの部屋の前でいるのはまずいから、カフェに移動した。
「京ちゃんの情報をだれに与えているの?」
飲み物のストローを回しながら、怒った感じで話す日菜ちゃん。
「それは言えないわ、あえて言うなら企業秘密よ」
「ふーん。そっか。じゃあ、質問変えるね。なんで屋上にいたの?」
「そんなの気分転換に決まっているじゃない」
「それだったら、わざわざ落ちる選択はしないよね?」
鋭く日菜ちゃんは切り込みに入ってくる。
「どこから見ていたの?」
「最初からかな?偶々、レッスン室の前に出たらさ、『あの千聖さんが新しいマネージャーを飛ばすみたいだ』ってスタッフの声が聞こえてね」
「あら、薄々気づいているのかしら?」
「わかっているよ。あのまま京ちゃんを落として、殺すつもりだったんでしょ?京ちゃんは騙せても、私は騙されないよ。」
日菜ちゃんはすごく怒っている。あえて刺激はできない。
「正解よ。本当だったら、あのまま突き落として、私は背中のワイパーから落ちないようになっていたの」
「私の京ちゃんに手を出さないでもらえるかな?」
「それは無理よ。他のスタッフは京平のことを気に入ってないわ。」
「いくら千聖ちゃんでも私だって許さないよ。これ以上私を怒らせないでね。千聖ちゃん。」
そう言うと日菜ちゃんはお金を置いて出て行ってしまった。
「私だって、京平を怪我させたくないわよ。」
1人でこぶしを握りながら泣いてしまった。
「ただいまー京ちゃんご飯できている?」
ドアを勢い良く開けて、京ちゃんの家に来た。
「おかえりー、日菜。ご飯ならできているよ。紗夜もいるし一緒にご飯食べよー」
京ちゃんはいつも私たちが遅いときにご飯を作ってくれる。たまにお姉ちゃんが作ったりしているけど、私は食べる担当がいいと思っている。
「おかえりなさい。日菜、遅かったわね」
「ちょっと事務所でお話していてね」
私は手を洗った後、イスに座ってみんなでご飯を食べる。
「「「いただきます」」」
今日のご飯は、鶏肉の蒸し焼きとポテトにサラダがある。
京ちゃん的には簡単な料理っていうけど作ってくれるだけありがとうって思っている。
「うん!今日もおいしいね」
「ええ、いつもありがとうございます。」
「大丈夫だ。こちらこそおいしそうに食べてくれて嬉しいよ。」
しばらく食べていると
「お姉ちゃんってギターってなにを考えながら弾いているの?」
「日菜、私はいつあなたにギターのことをはなしましたか?」
「家の部屋で弾いているところ見ちゃってさ、私も始めたんだ!」
そんなことを聞いて、紗夜は
「なんで日菜はいつも、いつも私の真似ばかりするのですか!」
紗夜はいきなり立ち上がり大きな声で話した。
「そんなことは」
「いつもそうです、あなたは!「紗夜!!!」
俺はつい、声を大きな声を出した。
「ご飯食べているときくらいは喧嘩するな。姉妹喧嘩は結構、やるならやれ。ただ言っていいことと悪いことがある。」
「わかりました。私もつい言い過ぎました。」
「お姉ちゃん。」
「ご馳走様でした。今日もおいしかったです。」
紗夜は皿を片付けるために席を立った。
「紗夜、紗夜の気持ちもわかる。しかし姉妹喧嘩に口を出す気はない。」
「ありがとうございます。なにか困ったら、話すことにします。」
お皿を水につけてくれていた。
紗夜はリビングから出ていこうと、ドアに手を掛ける時に、
「しばらく、日菜と距離を置くことにします。私に考える時間をください。」
「わかった。それでいいか日菜?」
「うん」
深刻そうに日菜はうなずく。
「それからここでご飯を食べることはしません。」
「そんなことは俺が許さん、飯を食う時はここで食べろ。別に一緒に食べなくてもいい、一人で部屋にこもって食べることは許さん。ご飯は俺が作っておく。文句があるか?」
「なぜ、そこまでするのですか。」
「飯というのは一人で食べるものではない。しかし、この空気で食べるというのは辛いだろ。でもな、ご飯というのは人生で食べる回数は決まっている。紗夜の人生で変なご飯の時間は作らせないし食べさせない。それは紗夜たちのお母さんからもお願いされている。逆に紗夜たちもそうだろう?」
「わかりました。さっきの言葉は訂正します。今後はメールでご飯の連絡します。」
「わかった。」
「失礼します。」
紗夜は部屋を出ていった。
「なんかごめんね。空気悪くしちゃって」
「問題ない。それに日菜も同じだからな」
「ご飯の事?」
「そうだ。一人で食べるというのは許さないからな。紗夜とのことで困ったら相談しろ」
「わかった。ありがとう」
そう言うと日菜はご飯を食べ始めた。
ブブブブ、俺のスマホに着信が入った。
「悪いな。ちょっと席外す」
「うん。わかった」
「もしもし、「京ちゃん!!」
話している途中にいきなり遮断される
「その声は香澄か。一体どうしたんだよ」
「大変なの助けて!!」
大変お待たせ致しました。誤字脱字あればよろしくお願いします