仮面ライダーW 『Hの正義』   作:はちコウP

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仮面ライダーWの時系列はTV本編終了後~仮面ライダードライブ・アクセル客演以前

風都探偵以前orパラレルを想定しています。



『Hの正義(後編)/夢のHERO・誰かのHERO』エピローグ

 

 

【報告書】

 

 風都を震撼させた新たな事件は、悪の組織とヒーローの消滅を以って幕を下ろした。

 

 その後の顛末は、まあ色々あったわけだが、ひとつひとつ記していこう。

 

 ジャステリオンに変身して戦った雄子さんは、元の姿に戻った後、丸二日間眠り続けた。

 

 フィリップ曰く、激しい体力と精神力の消耗のせいだ。

 

 だがヒーローショーメモリに対する高い適性に加えて、メモリを直接使用していなかったおかげでその程度で済んだということらしい。

 

 そして後遺症も特に無かった。まあ、メモリの特性による記憶消去で最後の戦いと変身直前の記憶はキレイさっぱり消えていたんだが。

 

 彼女自身のためにも、その身体に宿っていたジャステリオンの望みを叶えるという意味でも、これで良かったのだろう。

 

 そんな彼女が病院で目を覚ました時、一つの出来事があった。

 

 

 

「う、うーん……」

 

 病室のベッドで目を覚ました雄子さん。

 

 蛍光灯の眩しさにぼやけていたその瞳に、ある人影が映った。

 

「ゆうこ……?」

 

「……え?」

 

 ベッドの傍らに置かれた椅子に座り、手を握っていた初老の男性がいた。

 

「お父……さん?」

 

「ゆうこ!」

 

 上体を起こした雄子さんの身体に父親である遠藤議員が抱きついた。

 

「良かった! 良かった! お前が無事で! 母さんや竜一だけでなく、お前にまで死なれたら私は……!」

 

「お父さん……! ごめんなさい!」

 

 抱き合った姿勢のまま二人は互いに懺悔の言葉を口にした。

 

 妻の言いつけとはいえ仕事に専念し、死に目に立ち会えなかったこと。そのせいで娘に悲しい思いをさせたこと。強い子に育てるために無理をさせたこと。

 

 学生時代に反抗的な態度を取ったこと、話に耳を傾けず好き勝手したこと、勝手に家を飛び出したこと。

 

 彼女らは全てを曝け出して涙を流し合った。

 

 また、その時に判明した事実が一つ。

 

 関係者からG.R.A.Dの計画が持ちかけられ、その詳細を確認している時、遠藤議員は行方知れずとなっていた娘がエントリーしているのに気が付いた。

 

 その後、議員は持てる全てを注ぎ込んでG.R.A.Dの風都誘致を実現させた。

 

 他ならぬ娘の晴れ舞台を自らの手で作り上げるために。

 

 不器用な親心、それが風都とG.R.A.Dを繋ぎ合わせた全ての始まりだったのだ。

 

「そんな……顔だって、変わって面影なんて全然無くなったのに、何で……」

 

「昔、竜一兄ちゃんの前でよくやっていたステップとその歌声を忘れるわけが無いだろう?」

 

 

 

 そして、事件の犯人である久留瀬厚志についてだ。

 

 彼は事件が解決した日以来、警察病院に収容され眠り続けたままだ。

 

 厚志さんは雄子さんと違い、長らくメモリを使っていたことによる汚染が全身に回っていた。

 

 その上で自らの肉体をも変化させる力を行使した。それにより全ての体組織が著しく劣化、破損していた。

 

 医者が言うには生きていること自体が奇跡と言ってもいい状況らしい。

 

 仮に目を覚ましたとしてもまともに日常生活を送ることは不可能に近いだろう、という見解をフィリップは立てている。

 

 加えてヒーローショーメモリの性能を本来ではあり得ない程に高めていたことから、彼はメモリの過剰適合者、あるいはそれに準ずる何か(詳しいことは分からず推測の域を出ないらしい)だったのかもしれないと推察していた。

 

 またその後、事件の事後調査ということで照井に同行し、厚志さんの荷物などを調べた俺は彼の手帳に目を通すことになった。

 

 そこにはジャステリオンや敵怪人の設定、シナリオなどが事細かに記されていた。

 

 そんな中で俺の目を引いた一文があった。

 

【ジャステリオンの力の源は純真無垢な子供の声、勇気ある心。それが彼の胸に真に響いた時、それは奇跡を生み出す】

 

 最後の戦いの最中、果穂の声援と願いを受けてジャステリオンはパワーアップ、進化を遂げた。

 

 彼の正義の心はもしかしたら設定に基づいた能力だけでは無く、雄子さんの想い、厚志さんのヒーローに対する願いや最後の良心が結実したものだったんじゃないか。俺にはそう感じられた。

 

 まあ、フィリップに言ったら、論理的じゃない、なんて言われちまうんだろうが……

 

 

 

 次に古碌プロに関してだ。

 

 世話谷社長は今回の事件を受けて、会社の資産を弁済に充てることを決意。

 

 それにより多額の借金を抱えて、古碌プロは倒産することになった。

 

 世話谷社長も芸能関係の仕事から足を洗うことを決めたのだが、それを熱心に引き留める人々がいた。

 

 それは彼を慕う古碌プロの社員たちだった。

 

 彼らは新たに芸能プロダクションを興し、世話谷社長を特別顧問として雇用した。

 

 実のところ世話谷社長は生来の存在感の無さ故に、人知れず芸能界の悪い噂や悪だくみを話す現場に偶然居合わせてしまうことが度々あったという。

 

 彼はその情報を悪だくみのターゲットとなった人やその周囲の人物に知らせていたらしい。

 

 掴んだ情報を脅しや揺すりに使うことも出来ただろう。だが彼はそういうことはしなかった。根っからの善人、お人よしぶりがわかる話だ。

 

 そんな彼にかつて助けられた人々が数多く古碌プロに身を寄せていた。また、芸能関係者にも彼を慕う者は多数存在した。

 

 そういう人々の期待を無視することはできず、世話谷社長は新プロダクションで皆を見守り続けているという。

 

 世話谷社長もまた誰かを救うヒーローだったのかもしれないな。

 

 そして、療養から復帰した雄子さんもその事務所に所属することが決まった。

 

 彼女はアイドルを引退してアクション俳優への道を歩き始めた。

 

 かつて厚志さんが目指した道を進み、彼が叶えられなかった夢を代わりに実現したい。

 

 その道の先で、いつしか彼が目覚め罪を償ってやり直すのを待っていたい、そういう決意を秘めた行動だった。

 

 彼らの新たな門出と道行きを俺も見守っていきたいところだ。

 

 そして俺達の依頼主の話だが……

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「そうですか……久留瀬さんが……」

 

 鳴海探偵事務所の来客用テーブルで、俺は事件の真相をプロデューサーへ告げた。

 

 とは言っても可能な限りの範囲で。

 

 とりわけ隠しおおす事は不可能であろう久留瀬がドーパントであったというのを中心として、一部を省きながらだが必要な情報は伝えている。

 

 ちなみに果穂にはちょっと席を外してもらって、別の場所に行ってもらっている。

 

 親しかったプロデューサー仲間の凶行と真実、それを聞いた283のプロデューサーは、じっくりと情報を受け止めるためか、しばらくの間黙していた。

 

 俺の隣に座る亜樹子も黙ってその様子を見つめている。

 

 部屋の片隅に佇んでいる照井は黙したまま亜樹子の方を一瞥して軽く目を伏せる。

 

「……このことは果穂には話せませんね」

 

「……でしょうね」

 

「少なくとも、今は」

 

「え?」

 

 プロデューサーの言葉に俺は思わず間の抜けたような声を漏らす。

 

「果穂は知っての通りしっかりした子です。だから何かのきっかけで真相に近づき、気付きを得るかもしれません」

 

「確かに、あり得なくはないですね」

 

「だからそれまでに、俺は果穂を強い心と揺るぎない信念を持ったヒーローアイドルとしてプロデュースしていきたい。そう考えています」

 

 確固たる意志がその声から、真っ直ぐな瞳から伝わってきた。

 

「とはいえ道を選択するのは果穂自身、俺は歩むための手助けくらいしかできませんけど」

 

「それでいいと思います。あんた達のその姿勢と行動は。それがヒーロー達の力になって今回の事件の解決に繋がったみたいに、良い結果を生み出し続けていけますよ」

 

「そうそう! 最高のパートナー同士って感じで周りから見てても安心です! それに、私も果穂ちゃんなら何があっても挫けないで前に進んで行けるって信じられますから」

 

「ありがとうございます。そう言っていただけると少しは自信を持てます」

 

 そう告げて一拍置いた後、プロデューサーはスッと立ち上がり頭を下げた。

 

「この度は本当にありがとうございました。鳴海探偵事務所に依頼して本当に良かった」

 

「こっちこそ、あんた達と出会えて良かったと思います」

 

 俺もまた立ち上がって、彼に右手を差し出した。

 

 握手を交わしたプロデューサーは亜樹子と照井の方にも視線を向ける。

 

 満面の笑みを浮かべた亜樹子、口元に微かな笑みを浮かべた照井が軽く頷いた。

 

 と、プロデューサーの携帯が着信音を鳴らし始めた。

 

「あ、失礼します」

 

 何やら驚きがちょっと入り混じったような声を漏らしながら、会釈をしつつ彼は玄関を出て外へと出ていった。

 

 その様子を俺らが訝しんでいると、事務所の中の扉が開いて果穂とフィリップが姿を現した。

 

「……す、凄かったです! あれが仮面ライダーの秘密基地なんですね!」

 

 目をキラキラと輝かせた果穂が歓喜に満ちた声を上げた。

「お気に召したようで何よりだよ」

 

「はい! メカとか乗り物とかいっぱいあって! う~~~~~っ! 感動ですっ!」

 

 そう、プロデューサーに真相を語っている間に果穂にはガレージへと行ってもらっていたんだ。

 

 俺らの正体を知った今となっては見せても構わないだとろうし、果穂は秘密を守れる子だって信じられるからな。ヒーローに憧れる彼女にはいい思い出になっただろう。

 

 それはそれとして、俺にはもう一つ伝えとかなきゃいけないことがあった……

 

「そういえばな果穂、ジャステリオンからの伝言を預かっているんだ」

 

「え?」

 

「自分は遠くへ旅立つ。元気でいてくれ……ってな」

 

「ジャステリオン……」

 

 彼女が憧れたもう一人のヒーロー。その姿を思い浮かべてか、果穂は少し物悲し気な表情を浮かべる。

 

「できればもう一度お話ししたかったです。お礼も言いたかったですし」

 

「大丈夫さ。アイツはどこかで果穂を見守ってくれてるはずだ。気持ちは伝わるさ」

 

 寂しそうな様子の彼女に思わず言葉がついて出る。

 

「……そうですよね。あたし、ジャステリオンに心配されないように最強のヒーローアイドルになってみせます!」

 

 そう力強く宣言した果穂は、胸元に拳を当てるポーズをして笑ってみせた。

 

「あと皆さんも本当にありがとうございました! 仮面ライダー達と会えて、助けてもらってすっごく幸せでした」

 

「おう、こちらこそだ。果穂と過ごした数日、凄く楽しかったぜ」

 

「キミと出会えてヒーローに対する理解が深まったよ。実に有意義な時間だった」

 

「私も果穂ちゃんと会えて良かった! またいつでも遊びに来てね」

 

「所長共々その時は歓迎する。達者でな」

 

 俺に続きフィリップ、亜樹子、照井が口々に言葉にする。

 

「ふふふっ! はい!」

 

 笑顔を返す果穂に思わず顔を綻ばせていると、玄関の扉が開いてプロデューサーが姿を現した。

 

「果穂、もう行くけど大丈夫か?」

 

「はい、お別れは済ませました」

 

 と、その時、外の方からクラクションの音が聞こえてきた。

 

「ん? 今のは?」

 

「迎えの者が来てまして。なにぶん自分がまだ運転できる身体ではないものですから、事務所の方で用意してくれたらしく」

 

「そうか、それじゃあ外に出て二人を見送るとするか」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「プロデューサー、果穂。久しぶりね!」

 

そうして事務所の外へ出た俺達が目にしたのは、7人乗りの左ハンドルの高級SUV車の運転席から顔を出す女性の姿だった。それを見た果穂は目を丸くして声を上げた。

 

「夏葉さん!」

 

「やっほ~」

 

「ちょこ先輩!」

 

「よう、思ったより元気そうだな」

 

「樹里ちゃん!」

 

「果穂さん、プロデューサーさま、ご無事で……何よりで御座います」

 

「凛世さん!」

 

窓から次々に少女たちが顔を覗かせる。彼女たちは果穂の所属ユニット、放課後クライマックスガールズの面々らしい。

 

「みなさん、仕事やレッスンは……?」

 

 驚きの表情を浮かべていた果穂がそう尋ねる。

 

「はづきと社長にお願いしてスケジュールを調整してもらったわ。本当はもっと早く来たかったのだけれど……」

 

「まあ、流石に準備とか色々とありまして。ようやくただいま馳せ参じたというわけで」

 

「ほら、二人ともいつまでも突っ立ってないで早く乗れよ」

 

 運転席の女性、有栖川夏葉とお団子ヘアーの少女、園田智代子の声に続き、金髪の少女、西城樹里に促される形で果穂とプロデューサーは車に乗り込んだ。

 

「みなさん、本当にありがとうございましたー!」

 

「おう! G.R.A.D決勝も頑張れよ! 応援してるからな!」

 

 走り去っていく車が見えなくなるまで俺達は手を振り続けた。

 

 こうして太陽のような眩しさと明るさを持った少女と俺たちとの一つの戦いは幕を下ろした。

 

 またいつか、遠くない未来で彼女が見せてくれる輝きを今はお楽しみとしておこう。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「プロデューサーさま……お怪我の具合は……」

 

 助手席でシートベルトを絞めるプロデューサーへと、後部座席から和服の少女、杜野凛世が憂いを顔に浮かべて声をかけた。

 

「もう大したことはないよ。十日ぐらいで普通に歩けるようになると思う」

 

「それは……良うございました」

 

「ありがとな、心配してくれて」

 

「い、いえ……当たり前のことに御座います」

 

 振り返ったプロデューサーに声をかけられて凛世は頬を軽く赤らめてそう答えた。

 

「果穂も大丈夫だったか? 怪我とかしてねえか?」

 

「あたしは平気です。探偵事務所のみなさんや仮面ライダー、それにジャステリオンが助けてくれましたから」

 

「そっか。にしても凄げえ体験したよな。本物のヒーローに会うなんてよ」

 

「うんうん、正直すっごく羨ましいよ」

 

 最後部の席から身を乗り出すようにして果穂と話す樹里と智代子。

 

「さて、それじゃあ目的地に向かおうかしらね」

 

「え~と、今から帰るとなると事務所に着くのは……」

 

「何言ってるのプロデューサー、誰も帰るなんて言ってないわよ」

 

「え?」

 

 思わぬ夏葉の言葉に目を瞬かせるプロデューサー。

 

「せっかく風都に来たんですもの、目一杯観光していかなきゃ!」

 

「折角今日はオフになったんだしな!」

 

「え、あ……いや」

 

 夏葉と思いのほかノリの良い樹里に困惑するプロデューサーへ

 

「風都タワー……真に興味が御座います」

 

「あとスイーツ巡りも欠かせないと思うのです。名パティシエ浅川シェフのカフェとか、風都銘菓の風花まんじゅうとか!」

 

 微笑む凛世、ガイドブックを手に興奮気味に捲し立てる智代子の姿があった。

 

「……ははっ、しょうがないな。じゃあ今日はみんなで思いっきり楽しむとするか」

 

「決まりね。それじゃあ果穂、号令お願い出来るかしら?」

 

「わかりました!」

 

 そうして果穂は軽く深呼吸をして高らかに告げた。

 

「放課後クライマックスガールズ! 風都観光大作戦スタートです!」

 

「「「「「おーっ!」」」」」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 作った報告書を確認し終えた俺は、それをファイリングしてコーヒーを一口飲む。

 

 すると賑やかな声が聞こえてきた。

 

「よーし! 準備オッケー! フィリップ君も竜君も、ほらほら持って持って」

 

 事務所の一角に設置された――ウォッチャマンから強引に借りてきた――巨大モニターの前で亜樹子がサイリウムを二人へと手渡している。

 

「これがサイリウム、非常に興味深い形状と仕組みだ」

 

「……こういうのはガラではないのだが、所長」

 

 片や目を輝かせてそれを手にしているフィリップと困惑気味の照井。

 

「大丈夫よ。こういうのはね、始まったら自然とノレちゃうものなの。だから恥ずかしがらずにやってみる!」

 

 亜樹子は【最強ヒーローアイドル! 小宮果穂】と書かれたハチマキを絞めて両手に持ったサイリウムを高く掲げて左右に振っている。

 

「…………うむ」

 

 渋々といった形で、ぎこちない動作で亜樹子に倣って手を振ってみる照井。その姿はどこか滑稽で思わず声を出して笑っちまいそうになる。

 

「お~い! 翔太郎君も早くこっち来なさい! 始まっちゃうわよ!」

 

「おう」

 

 そして俺もサイリウムを手にして画面の前に移動する。

 

 程なくしてライブ会場の様子が映し出されてG.R.A.D決勝戦の幕が上がった。

 

 本当は会場に行って応援したいところだったが、新たに受けた事件の依頼で忙しかったのと、照井も仕事で手が離せなかったのとで、俺らはこうしてライブ配信を鑑賞するということになったというわけだ。

 

 画面の向こうでは様々なアイドル達のハイレベルなパフォーマンスが繰り広げられていく。

 

 やがて……

 

「あ! 来た来た! 果穂ちゃ~ん!」

 

 283プロ代表のヒーローアイドル小宮果穂がステージに立つ時がやってきた。

 

《みなさーん! 楽しんでますかー!?》

 

「いえーっ!」

 

《あたしはこの前、ある人たちからすっ……ごく! たくさんの勇気と元気をもらいました! だから今日はあたしがそれをみなさんにあげられたらって思います! だから聴いてください!》

 

 そして歌い始めた彼女の姿は誰よりも眩く、誰よりも元気で明るく、誇らしげだった。

 

《――ハートに詰めたら♪ 光るバッヂになあれ♪ SHA LA LA LA♪》

 

 その結果がどうだったのか、語るのは野暮ってもんだろう。

 

 

                               【完】




これにて本作は簡潔です。
ここまで読んでいただいた方々、本当にありがとうございました。


この作品を書き始めるようになったきっかけはTwitter(現X)にてフォローしていたとあるシャニマスPの方の「WINGに蔓延る巨悪を倒し果穂を助ける翔太郎とフィリップが見たい」といった感じの呟きを目にしたことでした。
(その方とは交流があったわけではなく、自分がただ見ていただけなのですが……)
そこから妄想が広がり、当時最新シナリオであったG.R.A.Dを題材にすることを軸にして本作のプロットを練っていきました。

果穂が鳴海探偵事務所の面々と語るシーンが見たい!
果穂が事件解決の糸口をつかむきっかけになってほしい!
果穂といえばヒーロー、そしてヒーローショーのエピソードがあるからメモリはそれにちなんだものがいい!
ヒーローショーモチーフのストーリーを展開したい!
などなどトントン拍子に出たアイデアを盛り込んでプロットは難なく出来上がり、執筆を進めていきました。

しかしながら、書いていて中盤の展開に疑問が生じ
「何か仮面ライダーWにそぐわない気がする」
という考えが頭を支配し筆が止まってしまいました。
当時予定していた展開としては
犯人が雄子がヒーロー=メモリ使用者ドーパントと疑われるような動画を投稿
警察がそれを元に早まった捜査を慣行
誤認逮捕された雄子に厚志が抗議、間違いが証明され警察の動きが制限される
といったような感じでした。

ここから後半に面白く繋がる流れもなかなか思いつかず長らく放置した後
「とりあえず最後の方を先に書いておこう」
と犯人解明~最終決戦、エピローグを取りあえず書いてみるも相変わらず中盤の展開は思いつかず。
それで更に数年放置することと相成ってしまいました。

そんなこんなで時は流れ、風都探偵がアニメ化、劇場版も制作されました。
無論即行で観賞に向かって楽しませてもらいました。
そうして観賞中に
「翔太郎と天井社長が話すシーンが見たいなあ……」
なんて考えが頭をよぎりました。
皆様ご存知の通り、アニメ版の鳴海荘吉の声は283プロ社長の天井努と同じ津田健次郎さん!
中の人繋がりで紡がれた不思議な縁がこの物語を再び動かすきっかけとなってくれました。
ちなみに実写版、アニメ版、どちらのキャストの声を思い浮かべて読んでも問題無いように声に関する描写は調整させてもらっています。

執筆再開に合わせてオリジナルキャラクターたちの設定を見直し、更なる深掘りと繋がりを考えて【ヒーロー】をテーマとして軸に盛り込んで物語を再構成しました。
当初は、息子が雄子のファンだった、ということで彼女のアリバイ証言等々をする予定だった遠藤議員を雄子の父という風に設定変更したりしたのもこの時でした。

また、登場予定で無かったサンタちゃんやクイーン、エリザベスを物語に登場させるのを決定したのもこの段階でした。
おかげで物語が厚みを増せたと考えています。

しかしながら一方でオリジナルキャラの描写が増えてテンポ感が損なわれ、原作キャラの活躍が見たい方には不満を抱かせたのかもと思うところはあったりします。
作劇上やむ負えないとはいえ、いきなりオリジナルヒーローが出ばったりするのを敬遠されてしまったのかも、とも思ったり。
(とはいえ原作キャラにメモリを使わせるのも……とジレンマだらけです)

読者様の評価やお考えは別として、自分の書きたいもの、書けるものは書ききれたと自負はしておりますので個人的には満足しています。

といったところで裏話はお開き、次に何を書いていくかは未定ですがもし気が向けば読んでいただければ幸いです。めちゃめちゃ喜びます。

最後にオリキャラの名前の由来などおまけとして載せておくのでよろしければご覧ください。
ではここまで読んでいただき本当にありがとうございました!



・ジャステリオン
名前の由来はジャスティスⅤ+シャンゼリオン
見た目のイメージは上記ヒーローに加えて仮面ライダー1型のような若干マッシヴなフォルムを想定

・英田雄子
縮めると【英雄】になるような名前
見た目のイメージは菊池真を大人っぽくしたような感じ

・久留瀬厚志
名前の由来は、狂うぜ+暑苦しい

・世話谷昭彦
名前の由来は、世話焼きのもじり
存在感の無さは特殊能力とかは関係ない
それによりインビジブルメモリと引かれあう

・ギャックアー、ヒードゥー、ガンゴー、ソンフゥ
悪逆非道、傲岸不遜のもじり

・ヘルダークネス関連
名前はあえて単純明快にしている。
台詞や名前にひねりが無いのは久留瀬厚志がそういったセンスに乏しいため。
ギャックアーの台詞が単調、直情気味なのは厚志がアドリブ台詞を考えきれなかったが故
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