仮面ライダーW 『Hの正義』   作:はちコウP

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仮面ライダーWの時系列はTV本編終了後~仮面ライダードライブ・アクセル客演以前

風都探偵以前orパラレルを想定しています。


『Hの正義(前編)/ダブルアイドル&ヒーローズ』③

 

「おのれジャステリオン! またもや我らの邪魔をするか! 下僕どもよ行けっ! ヤツをぶちのめせ!」

 

「悪の組織ヘルダークネス! 貴様らの思い通りにはさせん! 正義の拳、受けてみよ!」

 

 ジャステリオンと名乗った戦士とガイコツ怪人の集団が戦い始める。俺は呆気にとられながらその光景を物陰から見つめていた。

 

 四方八方から襲い掛かる怪人の攻撃を、次々とジャステリオンは捌いていく。

 

 多数の敵を相手取りながら敵の攻撃を一発も通さない技量と身のこなしは、Wにも匹敵するんじゃないかと思ってしまうくらいに見事なものだった。

 

《翔太郎、翔太郎、何があったんだい!?》

 

 頭に響く相棒の声を聞いて、俺はハッと我に返る。

 

「あ、ああ……俺にもよく分からねえんだが、ジャステリオンとかいうヤツが現れて、怪人たちと戦い始めたんだ」

 

《ジャステリオン? 初めて聞く名前だ。どういう人物なんだい?》

 

「何だか、いかにも特撮番組に出るヒーローって感じの見た目で、俺ら仮面ライダーとは違う感じだ。たぶん昨日果穂たちを助けたのがアイツなんだろうけどな……見た感じヤツらと対等に戦っちゃいるみたいだが、このまま見てるだけってわけにもにもいかねえ。俺らも行くぞフィリップ!」

 

《ああ、了解した》

 

 

 

 襲いくるドクロボンらへと拳を繰り出してゆく。

 

 右、左、右、次々と攻撃を受け流して眼前の敵の腹部を蹴り飛ばす。

 

 この程度の数、攻撃では私の燃え盛る正義の心の炎を消すことなど不可能!

 

「ジャステリオンスピンキック!」

 

 身体をコマのように激しく回転させ、周囲の敵を一気に弾き飛ばす。

 

 飛ばされたドクロボン達が煙のように消え失せた。

 

 構えをとり周囲を見渡す。

 

 遠巻きに様子を窺っているドクロボン達の姿がそこにはある。

 

 ヤツの姿を探す。しかしながら見当たらない。どこだ、ヤモリンゲは……

 

 次の瞬間、直感的に私は跳躍した。

 

 私のいた場所に鞭のような何かが叩きつけられた。

 

「クケッ!? オレ様の舌撃を避けるとは!」

 

「貴様のやり口などお見通しだ!」

 

 ステージの梁に逆さに張り付いたヤモリンゲの攻撃を避け、ヤツに向けて人差し指を突きつける。

 

「ならばコレはどうだ!」

 

 ステージ上に降り立ち、大きく息を吸ったヤモリンゲの腹部が大きく膨れ上がった。

 

 ヤツの口から凄まじい勢いで炎が吐き出される。

 

「何っ!?」

 

 咄嗟に身を地面に投げ出して火炎攻撃を避ける。

 

 広がっていく火炎は設置されていたスピーカーに直撃、爆発炎上したそれが地面へと落下しバラバラに砕ける。

 

「どうだオレ様の秘技は! 下僕ども! この隙を逃すなっ! かかれ!」

 

 体勢を崩した私へ向けドクロボンの集団が一斉に飛びかかってくる。

 

「くっ!」

 

 私はどうにかして防御の姿勢をとり身構える。

 

 そしてこの局面を乗り切るべく考えを巡らそうとした、その瞬間だった。

 

《ルナ! トリガー!》

 

 謎の声と連続した銃撃音が鳴り響いた。

 

 何事かとガードの合間から見てみれば、私の周囲のドクロボン達が光弾に次々と撃ち抜かれてゆくのが目に映った。

 

「これは……?」

 

「もしかして、余計な手出しだったかな?」

 

 聞こえてきた声に振り向くと、そこには半身をそれぞれ黄色と青に染めた戦士の姿があった。

 

 

 

 俺たちの目の前に立つジャステリオンが、握り拳を胸元に掲げてみせた。

 

「いや、助かった。協力感謝する」

 

 どうやらあれが彼なりの礼の仕草みたいだな。

 

「おのれ邪魔立てをしおって! 何者だ貴様!」

 

「ダブルだ。仮面ライダーダブル。俺たちがいる限り風都の平和を乱させはしないぜ」

 

「仮面ライダー! そうか君が!」

 

「仮面ライダー!? 貴様がそうなのか!」

 

「っと、どうやら思った以上に名は知られてるみてぇだな。さて、ご一緒しても構わねぇかなジャステリオン?」

 

「ああ! 勿論だ!」

 

「揃いも揃って我らの邪魔をしおって! まとめてあの世に送ってくれるわ!」

 

 ヤモリンゲがバッと手を上げると、ゾロゾロとガイコツ怪人たちが集まってきた。

 

 ったく、どんだけいやがるんだ。

 

 俺はジャステリオンの隣に並び立って、ステージ上に立つ敵に向かい合った。

 

「かかれっ!」

 

 ステージを飛び降りて襲い来る集団を、俺らとジャステリオンは雄叫びを上げつつ迎え撃った。

 

「はあっ! とうっ!」

 

 空手のような構えから繰り出される手刀や拳が、ガイコツ怪人を打ちのめしていく。

 

 ダブルも負けじと銃撃で遠くの敵を倒し、黄色の右手を変幻自在の軌道で動かして寄ってくる敵を払いのける。

 

 どうやらコイツら数が多いだけで、一人一人の力は大したことねぇみてえだな。

 

「なかなかやるな、仮面ライダー!」

 

「アンタも見事な戦いぶりだぜ、ジャステリオン」

 

 俺らは次々と敵を倒していった。瞬く間にその数は減って最初の半分以下に。

 

「おのれ……貴様ら諸共に焼き尽くしてやるわ!」

 

 と、ヤモリンゲが大きく息を吸い込もうとするのが目に入った。

 

「おっと、そうはさせねぇよ」

 

 ヤモリンゲが炎を吐き出すよりも早く、俺は二本のガイアメモリを取り出してスロットに差し込んだ。

 

《サイクロン! メタル!》

 

 たちまちにダブルの身体は緑と銀色の装甲に覆われる。

 

 ヤモリンゲを見据えて立ったダブルサイクロンメタルは、手にしたメタルシャフトを回転させ、吐き出された炎を巻き起こる風で押し返す。

 

「んなっ!? あっ、あちゃちゃちゃちゃっ!!」

 

 自分が吐いた炎で燃え上がったヤモリンゲが地面を激しく転げ回った。

 

「ははっ、ざまあねぇな」

 

「お、おのれ!」

 

 立ち上がったヤモリンゲが今度は舌をこっちに向けて伸ばしてくる。

 

「はあっ!」

 

 だが、それをダブルの前に進み出たジャステリオンが掴み取る。

 

「ふげっ!?」

 

「うおぉぉぉぉっ!」

 

 ジャステリオンは綱引きの要領で力強く舌を手繰り寄せる。ヤモリンゲの身体は凄まじい勢いで引き摺られ、ステージ上から転がり落ちてしまう。

 

「なあっ!?」

 

「はあぁぁぁっ! ジャステリオンスイング!」

 

 ジャステリオンはヤモリンゲの舌を両手でがっしりと掴み、周囲のガイコツ怪人を巻き込みながら激しく回転。

 

 そしてコンクリート壁に向けてヤモリンゲを放り投げた。

 

「グペッ!」

 

 潰れたカエルみたいな姿勢で壁に叩きつけられたヤモリンゲが間の抜けた声を漏らす。

 

 床に転がったヤツは、その身をピクピクと痙攣させてふらつきながら立ち上がる。

 

「お、おのれ……ジャステリオン、仮面ライダー……次は、この次はこうはいかんぞ!」

 

 ヤモリンゲは素早く舌を伸ばして、近くにあった機材運搬用の軽トラを手繰り寄せると、俺らの方へと放り投げ、炎を浴びせかける。

 

 それを受けた軽トラは空中で爆発炎上。燃え上がる炎が俺らの視界を遮った。数秒経ってそれが消え去った時には、ヤツらは皆その姿を忽然と消していた。

 

「逃げやがったか!」

 

「くっ! ……すまないな仮面ライダー、折角の手助けを。……後は私が始末をつける!」

 

「ちょっと待ってくれ、聞きたいことがある。アンタとヤツら、一体何者なんだ?」

 

「ヤツらはヘルダークネスという、世界征服を企む悪の組織の一員だ。私はヤツらの野望を打ち砕くために戦い続ける正義の戦士。仮面ライダー、機会があれば平和の為にまた共に戦おう! 来い! ジャスティグライダー!」

 

「お、おい。まだ聞きたいことは―――」

 

 俺が言い終わるより先にジャステリオンは駆け出していた。

 

 そして上空から飛来したグライダーのような機械に捕まって、そのまま彼方へと飛び去っていってしまったのだった。

 

「ジャステリオンにヘルダークネス、か……厄介な事件が始まっちまったみたいだな」

 

《未知なる戦士に未知なる組織。ゾクゾクするねぇ》

 

「おいおい、んな暢気なこと言ってる場合かよ」

 

《これはすまない。知識欲が刺激されてしまってつい、ね。ふむ……改めて考えると、昨夜の襲撃事件は単なる前触れに過ぎなかった、ということなのだろうね》

 

「だろうな……世界征服なんて大層なこと言ってたが、一体アイツら風都で何をするつもりなんだ?」

 

 

 

「翔太郎くん!」

 

「亜樹子、みんなは無事か?」

 

「うん。ちゃんと遠くに避難してたからね」

 

 変身を解いた俺はステージ裏へと向かい、戻ってきた亜樹子らと合流した。

 

「翔太郎さん!」

 

 続いて果穂、その後ろからプロデューサーが姿を表した。

 

「果穂。怪我は無かったか?」

 

「あたしは平気です。翔太郎さんも大丈夫でしたか?」

 

「おう。なんとかな」

 

「良かったです。……あっ、そ、それでっ! 見ましたか翔太郎さん!」

 

「ん?」

 

 目をキラキラさせて興奮気味の果穂。その姿を見て俺は彼女が言おうとしてることを察する。

 

「ああ。凄かったよな、仮面―――」

 

「ジャステリオン!」

 

 俺の身体がガクッとつんのめる。

 

 あ、そっちね……

 

「ジャステリオンだったんですね! 昨日あたしとプロデューサーさんを助けてくれたのは!」

 

「あははは……多分そうだろうな」

 

 凄まじく嬉しそうな果穂の表情を見る俺は、何とも複雑な気分になる。

 

「翔太郎さん」

 

「おう、プロデューサーさん。あなたも大丈夫だったみたいですね」

 

「はい。所長さんが手早く誘導して下さったおかげで。ですが……」

 

 彼は車椅子の車輪を回し、僅かに進み出て観客席の方へと視線を向ける。

 

 そこには惨憺たる光景が広がっていた。

 

 駆けつけた救急隊が忙しなく動き、怪我をした警備員、スタッフらを介抱している。

 

 同じくやってきた警察官らが、無事なスタッフ達を集めて事情聴取を行なっていた。

 

 設備に関しては、客席の四割程度が破損。

 

 音響、照明装置、ステージ上を含めた諸々の装飾も損傷、焼け焦げてリハの続行は不可能であろうことが誰の目にも明らかだった。

 

 この状況だと予選会そのものが開かれるかどうかも怪しいところだな……

 

「どうなるんだろうな予選は……」

 

 俺がポツリと漏らすと、プロデューサーは無言で小さく首を振った。

 

「あ……すみません。ステージがこんな風になっちゃって、怪我をした人もいたのに……あたし、はしゃいじゃって」

 

 つい今しがたまで明るかった表情を曇らせて、果穂が肩を落とす。

 

「そんなに気に病むな果穂。パッと見だけど深刻な怪我を負った人は見られないし、俺達含め多くの人は無事だった。今はそれを素直に喜ぼう、な」

 

 プロデューサーは果穂に励ましの言葉をかけて、その頭に手のひらを乗せて軽く撫でる。

 

「はい」

 

 果穂は暗かった顔に微かな笑みを浮かべ、明るくあろうと振舞っていた。

 

「そうだな。落ち込んでてもしょうがねえな」

 

 俺も軽く笑ってみせた。

 

「そうそう! こういう時こそ笑顔でいなきゃ!」

 

 亜樹子も同じく。俺らは互いに明るい顔を見合わせた。

 

「おーい! みなさーん!」

 

 と、今度は久留瀬厚志と英田雄子が駆けつけてきた。

 

「何だか暴徒だかの襲撃があったらしいですけど、大丈夫だったんですか?」

 

「はい。私や果穂、探偵さん達も無事で。ですが会場はあの有様ですよ」

 

「……こりゃ、酷い」

 

「信じられない。こんな事をする人達がいるなんて……」

 

 283のプロデューサーの視線を追うように、後から来た二人もまた会場を見て落胆の表情を浮かべていた。

 

「正確には“人”じゃないけどな。ガイコツとトカゲの怪物の仕業さ」

 

「怪物?」

 

 首を傾げる彼らに俺は事のあらましを告げる。

 

「なるほど……怪物ですか……おっかない話もあったもんだ」

 

 すると亜樹子が小首を傾げて厚志さんへと声をかける。

 

「ていうか二人はどこに言ってたんですか? 私がみんなを避難させようって思って、舞台袖を見た時には居なかったみたいだし」

 

「実はリハの後で雄子が眩暈を起こしましてね。駐車場に止めてあるうちの事務所のワゴンまで運んで休ませてたんです。僕はついさっきまで看病を」

 

「えっ、そうだったんですか雄子さん?」

 

「ええ、はい。自分ではよく覚えてないんですけど、リハが終わった後に倒れてしまったみたいで。気がついたらワゴンの中で目を覚ましたんです」

 

「やっぱ、あんな激しいダンスをした後だからなのかしらね?」

 

「いつもはそんなことにはならないんですけどね。ちょっと練習頑張り過ぎちゃったかな?」

 

 雄子さんが頬に手を当てて苦笑を漏らす。

 

「それにしても、私が気を失っている間に怪物騒ぎがあったなんて。……噂には聞いていたけれど、本当に風都にはそういうのが頻繁に出るようになってしまったのね。私も気をつけなきゃ」

 

「けど雄子なら心配ないだろう。自慢の空手で怪物なんかあっという間に蹴散らせるだろうからな」

 

「そうね……と言いたいところだけど、この有様をみたら……ねえ」

 

「そ、それもそうか。アハハハハ……」

 

「そうだよ久留瀬君……彼女はウチの大切な――」

 

「G.R.A.D一体どうなっちゃうのかしら」

 

「人材なんだ。そんなことを言うのは――」

 

「復旧にはかなりの時間と人材が必要だろうけど、怪我した人もいるし。最悪の場合中止も……」

 

「良くない……あの、ちょっと……ねえ……」

 

「この風都にもイベント会場は幾つかある。そこを使えば続行の可能性もあるだろうが……」

 

 俺と雄子さん、久留瀬プロデューサーが話をしていると

 

「あの、皆さん……お話を聞いて差し上げた方が」

 

 果穂のプロデューサーがおずおずと声をかけてくる。

 

「え?」

 

 言われて周りを見てみれば、そこには見覚えのない人影が。

 

「うおっ!?」

 

「あっ、社長。いつの間に」

 

「いやいや、厚志君。君らの後に続いてやってきただろう……私は君らほどキビキビ歩けないから遅れてたけど……」

 

 それは例えるなら枯れ木のような見た目と雰囲気を醸し出す、若干くたびれた焦げ茶色のスーツ姿の老齢の男だった。

 

「社長?」

 

 俺と亜樹子が首を傾げる。

 

「あ、こちらは古碌プロダクションの世話谷昭彦社長です。存在感は薄いですけどこれでも芸能界に長く身を置いてる立派な社長なんですよ」

 

「あはは……まあ、立派かどうかはさておいて、初めまして皆さん。世話谷と申します」

 

 久留瀬プロデューサーの無礼とも言える紹介に抗議するでもなく、世話谷社長はゆっくり、深々とお辞儀をする。

 

 言っちゃ悪いとは思うんだが、その言動や物腰の低い姿からは、威厳のかけらも感じられなかった。

 

「ご無沙汰しております、世話谷社長」

 

「やあやあ、この度は災難だったねえ―――」

 

 と、283プロのプロデューサーとのやり取りが始まった時

 

「何という有様だ!」

 

 突然大声が聞こえてきた。

 

 思わずその場のみんなが一瞬硬直した。

 

「っと、何だ?」

 

 俺はその声のした方へと目を向ける。

 

「スタッフは! 警備員達は何をしていたのだ! みすみす不審な奴らを侵入させ、好き勝手させるとは何事だ!」

 

「で、ですが……ヤツらは突然煙のように会場に現れて……」

 

「何だと? そんな馬鹿な話が―――」

 

 高級そうなスーツに身を包んだ白髪混じりの頭をした初老の男が、カジュアルな格好にサングラスをかけた髭面の男に喰ってかかっている。

 

「誰だありゃ?」

 

「ええと……詰め寄られているのはG.R.A.Dの運営責任者の方のようですけど。スーツの方は……?」

 

「えっ? プロデューサーさんはともかくとして、翔太郎くん知らないの? あの人はこの街の議員さんでしょ。確か……遠藤議員っていう」

 

「遠藤?」

 

 俺は記憶を探る。そういえば、何ヶ月か前にあった選挙の時、街に張られていた候補者のポスターの中に、似たような顔を見た気がする。

 

 もっともポスターに写った顔は満面の笑顔で、今みたいにヒステリックに歪んでたりしてなかったわけだが……

 

「噂だと風都にG.R.A.Dが誘致されたのって、あの人が絡んでるっぽいよ?」

 

「そうなのか?」

 

「うん。あの人って議員とイベント会場の運営会社の社長を兼任してるっていうし」

 

「……利権ってやつか? あまり気持ちのいい話じゃあねえな」

 

「黒ってわけじゃないけど、白とも言い切れない微妙なラインで色々してるって噂。ウォッチャマン経由で聞いたんだ」

 

「そうか……」

 

 アイドル業が慈善事業じゃなくビジネスだってのは、俺もいい大人だから理解しちゃいるが、果穂みたいに懸命に頑張る子を見た後にそういう話を聞いてしまうと、何とも複雑な気分になるもんだ。

 

 俺はふと視線を周囲に向ける。

 

 まず、プロデューサーと話している果穂の姿が目に入る。

 

 さっきの憂いを帯びた表情は幾分か和らいで、柔らかになったように見えた。

 

 久留瀬プロデューサーは世話谷社長と話をしている。微かに聞こえてくる内容から察するに今後のイベントの行く末を憂いているようだった。

 

 英田雄子は無言で遠くを見つめている。その視線の先を追ってみると……

 

(遠藤議員の方を見てる? ……いや、倒壊したステージを見てるのか)

 

 そうこうしているうちに警察の現場検証が本格的に始まる事となり、俺らは程なく会場を後にした。

 

 とまあ、そんなこんなでこの日は解散となり、俺と亜樹子はホテルまで283プロの二人を送り届けたのだった。

 

 

 

 

 

 




というわけで第三話でした。


この次もお楽しみに!

【2025/2/28追記】
連載再開に合わせて加筆訂正を行いました。
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