緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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伝える光の話。

資格取得終了後、雄英へと戻った面々はそれぞれ取れた仮免に笑みを溢しながらも明日から再開となる通常授業に僅かな憂鬱を浮かべてしまう。ヒーローに休息はないとはよく言った物だ、確かにその通りだと思いながらも出久は爆豪と焦凍を除いた皆とは違う特別枠資格証を見つめながら出久は思いを馳せていた。

 

「デク君如何したん?凄い見つめてるけど」

「いや、なんでもないよ。ちょっと思う所があっただけだから」

 

手の中にあるそれを握り込みながら返答する、矢張り重みが違うと緊張しているのだろうかと取られたのか凄いと褒められる。

 

「にしても怪獣か……確かに言われてみたら納得いく感じだよなぁ……ヴィランと違うってのは分かるし」

「ウムッ。俺も保須で実感はしたがヒーロー殺しの名を騙っていた奴も違う印象を受けたし怪獣と言う名称もシックリ来る」

「でも林間合宿のあれって完全にロボだろ、あれも怪獣なのか?」

「ロボット怪獣って感じで良いんじゃない?」

「なんか適当だけどそれでいいのか?」

 

そんな話をしつつも話題は仮免を取る事が出来た達成感や夢に一歩近づく事が出来た事から対怪獣特設特殊作戦実行チーム、その特別隊員の資格を得る事が出来た3人へと向けられる。組織に参加するのは多くのヒーロー、だがヒーローとは全く違う枠組みの存在の組織はどんな形となっていくのか酷く興味があった。仮に自分達も入りたいと思った場合にはどんな風になっていくのかも気になっているのだろう。

 

「緑谷ちゃんはその辺り聞いたりしてるの?」

「いや特には……後日詳しい説明があるって言われた位」

「俺もだ」

 

焦凍も続くように声を上げる、爆豪は何も言わないが恐らく彼も同じなのだろう。だが出久はマグナからこの位は考察として話しても良いだろうと部分的に話をする事にする。

 

「多分だけど、今までのヒーローを警察にするならばそのチームは軍隊になると思うよ」

「軍隊って……どういうことだそれ?」

「ヒーローはあくまで個人が作ったチームでそこまで徹底した組織運営はされてない、だけど今回のこれは怪獣って言うヴィランを超える存在(怪獣)へのカウンター。政府も大きく関わるから設備も装備も大きくなる、だからどっちかと言えば軍隊って表現するべきだと思うんだ」

「成程なぁ」

 

それを聞いて納得する。軍隊と言われると委縮するしあまり入りたくはないという印象も出てくるが事実、ヒーローの目的はヴィランの確保でしかない。だがそれは怪獣には通じない。そもそもが人類とは全く別の存在ゆえに確保という選択肢は余りにも取りづらいので排除や殲滅と言った方向性に向くのは当然の事になる。そんな話をしていると爆豪が隣を通り過ぎながら小声で言った。

 

「―――テメェのいやテメェらに話がある」

「っ!!?」

 

その言葉に身が震えるほどに驚いた、だが噴き出しそうになる冷や汗や震えを抑えつけながらその後に続いていった。爆豪は配慮しているのか、出久の部屋へと向かって行った。無言でドアの前に立ち開けろ言わんばかりだった、それに従うように中へと入れた。思えば爆豪を自分の部屋に入れた事なんて……あっただろうか、子供の頃でも一緒に遊んだりした思い出はあるが家に誘って部屋に入れた事なんて……あっただろうか、そう思うと何故か頬が緩んでしまう。一応お茶を出してドカリと床に座る彼の前に座る。

 

「デク、テメェがウルトラマンマグナだな」

「―――……!!」

 

何となくだが、出久にも話の内容は理解出来ていた。何故このタイミングで話を切り出したのか、何を話すのかを……ずっと前から聞かれるかもしれないと思っていた。聞かれなかったから気付かれなかったなんて都合のいい解釈なんてしていなかった、だから何時かこんな日が来るとずっと思っていた……それが今だ。

 

「―――うん、そうだよカッちゃん。僕自身がウルトラマンって訳じゃないけど……思ってる通り、ウルトラマンは僕と一緒にいる」

 

だからこそ正直に言った。もうここまで来たら隠しても意味はないのだと分かっているから、堂々と告げる。そしてマグナも分かっているのだろう、出久の隣にホログラムのような姿を現した。それに爆豪は確信を得ていたにも拘らず目を見開いてその姿を見つめてしまっていた。その姿は自分がヘドロヴィランに囚われ、何も出来なかったときに自分を助けた光の奥にいた者だと分かった。そしてそれは直ぐに人間態の姿となりながら手を差し伸べて握手を求めてきた、あの時のように。爆豪はそれを拒む事も無く、寧ろ待っていたかのようにその手を取った。

 

「初めまして、でいいのかな爆豪 勝己君。M78星雲・光の国のウルトラマンマグナ、宜しく」

「……思った以上に人間みてぇだな、ウルトラマンっつうのは」

「失望したかい」

「納得だ。オールマイトみてぇに唯助ける為に力を振るう奴が人間らしくねぇ訳がねえからな」

 

ふてぶてしい笑みを浮かべながら力強く握り込んでくる、その顔に滲む感情は喜びと定義してもいいのだろうか。それにしてはまるで獲物を見つけた肉食獣のような顔つきだったと出久は思ったのであった。

 

「確証を得たのは神野だが、もっと前に疑いは持ってた」

「ほほう」

 

様々な事がありながらも何故自分がマグナという存在が出久と共にあるのか、それを聞いて出久は素直に驚きマグナは感心した。その意見のほぼ全てが正解である上に的を射ている。ヘドロヴィランでの出来事、光線などの発射、個性の名前などなど……様々な事が考察する要素となっていたらしい。だが確信を得たのは神野区、ウィンクルム・ラディウスの撃つまでのモーションがイズティウム光線と同じだったらしい。

 

「あ~……成程ああうん、あの時はその辺りに気を配る余裕がなかったからね……」

「ならこいつがずっと前にアンタが戦う姿を見てリスペクトしたってことにすりゃ問題ねぇだろ」

「カッちゃんそれナイスアイディア!!」

「この位自分で思い付けクソが、あのくそ女に絡まれてるせいで知能指数下がってんのか」

「……否定、出来ない……」

「いやそこで真に受けないの出久君」

 

出久の部屋までの重苦しい空気は何処の行ったのやら、旧知の友人同士の空間がそこにあった。爆豪もウルトラマンという存在には興味はあるのかマグナの話には目を輝かせていた。この辺りはナイトアイも言っていたように気にならない者はいないという事だろう。

 

「爆発を使うウルトラマン、あ~……まあいると言えばまあ……」

「いんのか!!」

「ええまあ、出久君は知ってると思うけどウルトラマンタロウだよ」

「えっあの人なんですか!?」

「ウルトラダイナマイトという技なんだけどね、自分ごと相手に突っ込んで行って自爆するという物だから参考にはならないと思うよ?」

「自爆技!!?」

「……いやゼロ距離から最大爆破でヴィランをぶっ飛ばしながら俺は離脱するって風にすれば行けるな……」

「物怖じしないね子だね君は」

 

爆豪については出久と共に生きてきたのだから知っていたつもりだが、思っていた以上に怖いもの知らずな少年だった。ウルトラダイナマイトという自身すら木っ端みじんにする自爆技を聞いて真似しようとするどころか自分に置き換えて実現可能なレベルにまで定めてしまうのだから。本当に将来有望な存在だ。

 

「面白れぇ、俺もそっちに行ってやろうじゃねえか。アンタに俺と一体化しなかった事を後悔した―――そう想わせてやる」

「だっそうだよ出久君」

「負けないよカッちゃん、マグナさんの相棒は僕なんだから!!」

「ハッデクに何が出来んか見物だな!!」




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