「という訳でやってまいりました此処が整備部の格納庫です」
案内役の発目とそのストッパーとしてメリッサに導かれてやって来た格納庫。そこでは忙しくトレーラーなどが行き来して荷台に積まれている巨大な資材などが降ろされていく。それらを受け取った車両やパワー系ヒーローが運んでいく様は圧巻の一言。また激しい怒号や作業音にかき消されないように大声で指示が飛び交っている。
「おいE-7を持って来てくれ!!」
「自分でやれこっちだって忙しいんだボケ!!」
「班長ウィング部分の組み立ての最終段階入りますのでチェックお願いします~!!」
「あと5分待てこっちの回路組終わったら直ぐに行く!!」
「す、凄い迫力……」
「テレビでしか見た事ねぇような事が目の前でされるってすげぇな……」
「……ああ」
ヒーローの現場を目の当たりにしている三人も圧倒される光景。ヒーロー活動とはまた別の物を感じずにはいられない、それもその筈だろう。此処で作られているのはこれからの地球の平和を担う役目になるメカの組み立てなどになるのだから。心血を注ぎ、全力で取り込むのは当然の事だろう。
「発目君、ライドメカと言うのは具体的にどのような物になるのかね。私もまだ詳細は聞かされていないが」
「それでは隣のエリアに移動しましょうか、此処は煩いですし隣では試作機なんかのテストを行うので説明も円滑になるでしょ」
「そうね、それじゃあこちらへどうぞ」
通されたのは発目の言った通りのテストエリア。此処では実際に配備予定となっているライドメカの試作機が立ち並びそのテストが行われ、そのデータを基にした調整や改善点などを見出される。それだけではなく隊員の対怪獣災害想定特殊コスチュームのテストなども行われる。そこにはヒーロー社会では珍しいとも言える光景、SF映画に出て来そうな形状の戦闘機や戦車などが立ち並んでいる。
「今時中々見れねぇ光景だな」
「確かに……わっあの戦車、今真横に回転した!!?戦車ってもっとこう鈍重な感じじゃないの!?」
「やだなぁ緑谷さん古いですねぇ対怪獣を想定するんですから既存の戦車からスペックアップを図るのは当然ですし機動力の確保も当然必要なんですよ。ですから軽量化をしたりしてるんです」
「でもだからって真横にローリングさせるなんて私は思いつきもしなかったわ、あれも発目さんのアイデアなのよね」
「まあ主砲は榴弾とかじゃなくてエネルギー式なんですけどね」
『フムッ……見覚えのある形状の物もちょこちょこあるね』
マグナの声に出久は耳を澄ませながら彼方此方を見回してみるとそこには翼などを折りたたむようにしてコンパクトな形態へ、そしてそこから再度展開して戦闘機形態へのテスト風景が見られた。他にもその戦闘機の操縦席と思われるモジュールの接続テストなどなど興味深そうなことばかりが行われている。爆豪と焦凍も興味津々なのかあちらこちらの試験機に目を向けたりしている。
「これからどんな怪獣が現れるのか分からないですから思い付く限りをやっているというのが現状ですねぇ」
「そうね、これまでに出現した怪獣のデータだけで物事を決めつけるのは危険だし対応力と拡張性を伸ばす方向性よ。幸いな事に世界的に期待されているから資金も潤沢だしね」
発目式光子砲もライドメカのメインウェポンの一つとしての採用が既に決まっており、現在はそのスケールアップと出力上昇などの作業を行っている。と言っても土台となる機体がある程度完成しないと難しい面があるのでこうして案内やコスチューム製作に絡む事が出来るのだが。
「そして此処で生み出されたノウハウや技術がコスチュームへと転用されるって訳です。例えばそうですね~……えっと、お名前なんでしたっけ?」
「轟 焦凍」
「轟さんでしたか、氷と炎を操る個性ですのでこれなんて如何ですかね!?」
そう言いながら懐のスイッチ推すと目の前の床が開閉して何かがリフトアップされてきた、そこにあったのは出久のウルトラマンスーツの亜種のようなもの。左肩に赤、右肩に青い水晶のような物が嵌め込まれているのが特徴的で何処か焦凍を彷彿とさせるような物だった。
「これは炎と氷という相反する属性を操る事を目的としたスーツです」
「俺の個性と同じ……」
「お試しになります?氷の温度をさらに下げる、炎の温度を上げると言った事は出来ると思いますよ」
「テストは私達の方でしてるから安全は保障するから大丈夫よ」
その言葉に焦凍は少しばかりの不安を浮かび上がらせるが、これを纏う事で前に進んだり自分の個性操作のヒントになるかもしれないとテスト役を引き受ける事にした。尚、一番最初に出久も試着しており最低限の安全は確保されていたがメリッサが発目製のスーツに手を加えてより強固な物になっている。それを聞いて爆豪も思わず胸を撫で下ろしてしまった。
「それで其方はえっと……爆豪さん、で良いんでしたっけ」
「ンだよ」
「貴方の個性を活かすに当たってこんなものが適切じゃないかなぁと思いまして」
同じように出現したそれはスーツではなく爆豪のコスチュームにもある籠手のような装置だった。だがそれは余りにも大きい、巨大なシリンダーが内蔵されたようなそれに爆豪はこんなもん使えるのかと思わず毒づくが抜かりなくと発目は胸を張ってプレゼンをする。
「この籠手は内蔵されているシリンダー、ストライク・シリンダーに圧縮された空気を溜め込んでそれを一気に開放する事で相手を粉砕します。爆豪さんの場合は爆破性の汗を使うとお聞きしたので少し手を加えれば空気と共にそれらを溜め込む事も出来ると思います」
「……成程、俺の爆破に溜め込んだ圧縮空気圧力をプラスすりゃその威力は数倍、いや数十倍にも膨れ上がるって事か」
「おおっご理解が早いですね!?」
簡単に言えばパイルバンカーのようなアイテムという事になる。圧縮空気だけでも中距離対応としても十分な威力を発揮するが元々威力が優れている爆豪の爆破、そこに圧縮空気を組み合わせれば爆発の勢いと破壊力は加速度的に倍加するだろう。軽く想像した爆豪はその光景に心が躍るのか凶悪だが嬉しそうな表情を浮かべながらもそれを使わせろとせがんだ。
「まあお待ちください、少し手を加えさせてください」
「早くしろ、後重量はどの程度だ」
「一応軽量化してますけど見た目通りにゴツイので5キロありますね。補助用のパワーアシストも準備しますのでお待ちください」
「早くしろクソ女」
生き生きとしながら早速調整に入る彼女を見ながら出久は何故か嬉しい気持ちになっていた。それは自分が実験体にならなくていい事ではない、発目は今までの行いの影響で危険人物扱いされてまともなコミュニケーションを取ろうとする者はA組にはいなかった。それが今では焦凍も爆豪も確りと彼女と相談をしながら物事を進めている。それが友人として嬉しいと感じられる。
「緑谷さんちょっと手伝ってください~」
「うん今行くよ!!」
「フッ中々どうしてユニークな関係を築けているじゃないか緑谷、発目君の事も心配いらなそうだ」
「結構いいコンビになっていきそうですね、出久君と発目さんは」
「ああ。もしかしたらあの二人が新しい平和を牽引していく事になるかもしれないな……」
他作品ネタがバンバン入ってますが皆さんは何が何なのか分かりますかね。分かっていただけると嬉しいかも。