「ワン・フォー・オール……!!」
『これは……かなりの物だな、これが受け継がれてきた個性―――いやこれは希望の輝きに等しい。暖かく何処か頼りなさげだが力強く身体のそこから溢れてくるようなエネルギーだ』
オールマイトはヒーロー活動があるので一旦抜けその場をマグナに任せる事にした。今日は元々予定が入っていたらしく何とか継承までさせられて助かったらしい、そして恒例となった回復光線を受けて体調の好調を感じながらオールマイトは飛び立って行ったのを見送った後に出久は早速ワン・フォー・オールを発動させてみる事にした。意識する途端に全身に溢れ出してくるエネルギーの本流、その感覚は光線を放つ際に力を高める感覚に似ているのか自分である程度制御が行う事が出来ている。
「凄い、これがオールマイトの個性……!!」
『もう君の個性だよ、その辺りは確りと認識を改めて行かなければね。さて暫くは自由に使ってみるといい、私はそれらを見ているから』
「分かりました!!」
きっと身体の中から個性を見ていてくれるだろうと出久はそれを試してみる事にした、オールマイト曰くコントロールに必要なのは強いイメージと感覚。明確なイメージがあればあるほどに精密な出力を設定出来る上にそれらを感覚的に操る事が出来るらしい……彼は継承してからずっとそれでやって来たらしいのだが出久としてはいまいち解らなかった。如何やら自主申告したように教える方はあまり得意ではないのだと分かる。兎も角光線を出す前の腕にエネルギーを集めるイメージを行う。
「明確なイメージ……強い光が少しずつ強くなって大きな星になるイメージ……」
暗闇の中、右腕に周囲に浮かんでいる小さな光の粒子。蛍の様な儚げな光が一つ一つ収束していく事で太陽のような圧倒的な輝きへと昇華される、そんなイメージと共に腕に力を集中させながら出久は目の前に広がっている太陽に照らされて輝く美しい水平線が広がり続けている海へと叫んだ。
「SMASH!!!」
叫びと共に腕を振り抜くかのように正拳突きを放つ―――のだが、その瞬間に腕からは途轍もないエネルギーの本流が暴走するように溢れ出していき青白き光とエメラルドのような光が複雑に絡み合うような光線が飛び出していった。
「あっええっ!!?」
『まずい!!?』
思いもしなかった事態に出久は呆然としながらも驚愕し、マグナは大急ぎで緊急制御を行った。そのお陰もあって直ぐに光線は収まって光は途絶えたのだが……既に放たれてしまった光線は海へと直撃し巨大な水柱を天高く打ち上げ、水飛沫と共に太陽を包み込むような大きな虹を作り出してしまった。それに出久はあんぐりと顎が外れんばかりのリアクション、マグナは思わず頬を掻くような仕草をする。
「えっ……えええええええっっっっ!!!!??ぼぼぼぼぼ僕光線撃つつもりはこれっぽっちも無かったんですけどぉ!!?信じてくださいマグナさぁぁぁぁんん!!」
『謹慎っ……いやそれは分かっているようん、私がそれを良く分かっている……だがこれは、如何やら許容上限を超えた力を出そうとした結果みたいだね』
出久は威力こそ出せないが既に光線技を習得してしまっている、それが大きく影響してしまった。イメージとしては優れている物だろうが今回は余りにもワン・フォー・オールの出力が高すぎてしまった、その結果多すぎた個性出力によって身体が壊すのを防ぐために無意識的にそれをスペシウム光線と共に放たれてしまったのが今の光線の正体。だが逆に光線技が使えなければその力が出久の腕の中で暴発して腕がえらい事になっていた事にもなる。
「ひえっ……僕のスペシウム光線なんてまだまだドラム缶の表面を温める程度だった筈なのに……あんな威力に……」
『これは思っていた以上にとんでもない出力の個性を継承してしまったようだ……しかも今のはまだまだ全開ではなかった、全力だと更に威力が数倍増す事になる』
「―――マジですか」
『私は嘘は言わないよ……これは個性制御訓練が急務だね……』
威力だけで言えばマグナが初めて披露したスペシウム光線の約4倍の威力、それでもマグナの方がまだまだ遥かに上を行っているのは間違いないだろうが地球人がこれだけの力を生み出す事が出来る事に酷く驚いた。だが同時にこの個性を制御できたとしたら出久は途轍もない大成を果たすのだと思うとそれを見たくなってきてしまった。
『フフフッそんな不安がる事はないさ、また練習して使えるようになればいいのさ。私の見立てでは今現在の許容限界範囲は10%と言う所だね、さっきのは30%ほどの力を込めてしまったらしい』
「30%であの威力って……仮にオールマイトみたいなイメージで全力放出撃ってたらどんな事になってたんでしょうか……」
『そうだね、流石にそれだけの出力だと君は反動で吹き飛ばされてあらぬ方向に光線が飛んでた可能性も十分に考えられる。威力については……脅かすつもりはないけどそうだね……50m級の怪獣の体勢を崩れさせながらそれなりのダメージを与えられただろうね』
「……それってウルトラマンのマグナさんから見ても十分な技って事じゃ……」
『運用を普通に考えるレベルだね』
「これからもご指導お願いしますぅぅ!!!」
『素直で宜しい』
と頭を下げてくる出久に対して笑顔を浮かべるマグナ、兎も角これから自分はこの個性の制御も行わなければならない。下手に力を出し過ぎないように自分がリミッターになる事は恐らく可能、そう言う方面の方が出久のこれからにも良い影響を与えるだろうと思いつつも個性の光の中から此方を見つめてくる複数の気配に頷くとそれは満足そうな笑みやサムズアップを浮かべていくと改めて出久の中へと溶けていく……。
『出久君、君は本当に凄い力を授かったねぇ。この力の凄さは我々にも負けないと思うよ』
「それが僕の個性に……マグナさん僕は頑張ります、もっともっと頑張ってオールマイトに胸を張ってこれが僕です!!って言えるように!!」
『よく言ったね、私も協力するさ。さてそれじゃあまずは……取り敢えず個性に身体を慣らしつつ徐行運転位は出来るようになっておこうか』
「で、ですね……さっきみたいに暴発して光線ぶっ放すとかもう嫌ですし……」
『あっでも折角威力出せてたから、さっきの必殺技候補にして名前でも考える?』
「いや先ずやるのそれですか!?」
個性を受け取った事で想像以上の力を得てしまった出久、だがそれは単純に光線の力を強化するのではなく身体能力をも飛躍的に引き上げるような途轍もない物だった。そしてそれらの制御を一刻も早く修得する為、許容限界を少しでも引き上げて暴発の可能性を少しでも抑える為、迫る雄英高校への受験に備えて出久の修練の日々は続いて行くのであった。
【先日海浜公園近くで起こった海上で行った謎の爆発、警察は海などでの活動を中心にするヒーローに協力を要請しながら捜査を行うとの事です】
「あらっ怖いわねぇ……」
「……」
『うん、頑張ろうね出久君』
「……はい」
そして、そんな日々の成果を発揮する日が―――いよいよやってくるのであった。
ワン・フォー・オール10%でスペシウム光線強化+余剰出力20%が緑色の光線となって発射。結果、すげぇ威力に。