緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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光の国の王女と光の国の勇士。

「はい、はいそうです……マグナさんのお知り合いでして今詳しいお話を聞いてるところで……すいません上手い事、はいお願いします……」

 

ナイトアイに話を通して何とか誤魔化してくれるようにお願いする。幸いなのがレギオノイドの一件で基地は大騒ぎそして今は爆散したレギオノイドを回収している最中。出久の事は早速発目に捕まったという事にして焦凍を誤魔化してくれているらしい、こうなると爆豪にも話を通していた事は正しかったと思いながら電話を終えるとゼロがお疲れさんと肩を叩く。

 

「やっぱり正体を知っててフォローしてくれる仲間が居るってのはいいもんだな、メビウスも言ってたぜ」

「多分これからはこういう事が増えて行くでしょうからその辺りも万全にしてくれるそうです、それでその……向こうの方は……」

「ああ、カトレア王女様がご満悦でマグナと話してるぜ」

 

指を指す先では森の中に差す太陽の輝きの下で嬉しそうにしている煌びやかなドレスを身に纏った見目麗しい絶世の美女であるカトレア王女と困ったような顔を浮かべているマグナが話をしている。

 

「まあしょうがねぇだろうな、カトレア王女はずっとマグナとのお見合いを楽しみしてたんだからな。任務の都合で時間が取れなかったとはいえ会いたがってた、それが幸か不幸か叶ったんだからな」

「やっぱり、マグナさんって光の国でも凄いんですか」

「そりゃそうだ、お前も聞いてるだろUキラーザウルスの事」

 

当時、光の国では相当に話題になった。あのウルトラ兄弟を苦しめた究極超獣が復活しただけではなく光の国の命ともいえるプラズマスパークと同等と言っても過言ではない研究中の人工太陽を取り込んだUキラーザウルスを倒した勇士たちの活躍。その栄光を称えて最高クラスの名誉勲章であるスターマーク勲章を授与される事が真剣に検討される程の大偉業。尚、もれなく全員が身に余るとして遠慮している……。

 

「そんなすげぇ事した男が人気でねぇ訳ないだろ?」

「た、確かに……」

「それでもネオスにセブン21、マックスにゼノンはある程度浮ついた話はあったんだけどマグナは全然なかった。まあ普通に忙しかったのもあったんだろうけど……それに当時はアサリナの事もあったしな」

「アサリナさんの事、ですか……」

 

アウローラからの攻撃を庇ったアサリナの死。それも影響してかマグナは唯只管に任務に打ち込み続けていた、そのショックを忘れる為に任務に没頭しているようにしか見えなかったのだ。そこで少しでも別の事に目を向けて貰う為に行ったのがマグナに対するお見合い話であった。

 

「それでお見合い……でも王族の方である必要はあったんですか?」

「そりゃ簡単に断らせない為だな。上司の面子を保つ為にも断りを入れる訳にはいかないだろ」

「成程……」

 

 

「こうしてお会いするのは初めて、になりますね」

「誠に申し訳ありません」

「いえマグナ様が任務でお忙しい事は重々承知しております。それに私などよりも多くの方を救う為の任務を優先なさるのは当然の事です、胸をお張り下さい」

「恐縮です……」

 

ゼロと共に向ける視線の先では微笑みを浮かべるカトレアの言葉に頭を下げながら困るマグナという見た事も無い光景に出久は唖然とするが、相手が相手だからしょうがないのかと同時に納得も浮かび上がってくる。

 

「しかしカトレア王女様、私に様付けをするのは……私は宇宙警備隊の一隊員です、どうぞマグナと呼び捨てなさってください」

「あらっ光の国に名を轟かせる勇士様には当然の事です、御謙遜なさらないでください」

「しかし……」

 

「マグナさんが手玉に取られてる……」

「おおっレアな光景だぜ」

 

この時ばかりは暢気な事を言っている二人に対して僅かに苛立ちが沸き上がってきたマグナ。フォローとかしてくれても良いじゃないかと思うが、これも今までお見合いをすっぽかしてきたツケかと諦める事にした。それにしてまさかこの別次元の地球で本来すべきだったお見合いをする事になるとは思いもしなかった……。

 

「私にとってこの状況は予期せぬ事でした、本来の公務へと速やかに戻るべきなのですが……生憎宇宙船はバット星人に破壊され、緊急脱出カプセルはこの通り。ゼロのお力をお借りして元の宇宙へと戻るにしてもある程度時間を待って行動に移した方が良いでしょうね、襲撃の事も考えると最悪の事態になりかねません」

「だろうな、そもそもこの宇宙に来ちまったのも事故みたいなもんだが……バット星人の策略って事も考えれる。慎重に行動して救助隊を待つのがベターだな、幸いな事にオーブのお陰で次元刀のデータは十分に集まってるだろうし直ぐに助けは来るだろう」

 

ゼロの力は確かに強大であることは事実。だが今回カトレアを襲ったバット星人の軍勢は尋常な数ではなかった、それと同じ数が襲いかかってきたとして撃退はゼロ一人で可能だろうが王女を守りながらそれが出来るとは言い切れない。王女を奪われたらそれを盾にして光の国に対してどんな要求が成されるか分からない、それを考慮して王女は素直に助けが来るまで大人しく待つ事にした。

 

「この地球にはマグナ様もいる事ですし、安心出来ますわ。ゼロとマグナ様ならどんな相手にも負ける事などあり得ませんでしょうし♪」

「へへっまあな!!なんたってマグナはマックスが認める勇士だからな!!」

「お、おいゼロ君……というかなんでゼロ君は呼び捨てなんです!?ゼロ君だって十分過ぎる位に勇士というか私よりも功績は上でしょう!!?」

「ゼロから堅苦しいからやめて欲しいと念押しされましたので……」

「ぐぬぅっ……」

 

困惑の表情を浮かべてしまったカトレアに遂に物が言えなくなってきてしまったマグナ。だが王女に様付けされるのもハッキリ言って居心地が悪いというレベルの話ではない。

 

「ではせめてさん付けに変えて頂けませんでしょうか……王女にそのように言われますと……落ち着きません」

「分かりました、そうおっしゃるならそう致します。その代わりにマグナ様も王女と呼ぶのはお辞め下さい、カトレアとお呼びください」

「そ、それは……で、では私もカトレアさんと……」

「はいっマグナさん♪折角ですのでこの地球を案内していただけませんでしょうか?」

「つ、謹んでご案内いたします」

 

 

「な、なんでしょうゼロさん……何か凄いあれな感じがします!!」

「激しく同意だぜ。カトレアって思った以上に強かだな……流石はユリアンの姉貴だぜ……」

 

 

『ムキィィィィィィッッッッ!!!!なんだよ何だよ何だってんだよぉ!!!王女だからって好き放題にやってくれちゃってムガァァァァ!!!!君がマグナの何を知ってるって言うのさ好きな物を知ってるって言うのかい好きな星の名前を知ってるって言うのか僕の方が何百倍もマグナの事を知ってんだよぁっ!!!』

『やれやれ醜い嫉妬だねぇ……親友のお見合いなんだから応援位してやったらどうなんだい?』

『無理ぃっ!菜奈さんだって知ってるでしょ僕がどんだけマグナの事を想ってるのかを!!というかマグナもマグナだと何で僕の気持ちを理解しないんだよぉ!!!』

『それは大体お前さんが男っぽすぎるのとまともなアタックしなかったからだろう、自業自得さね』

『ガッデムっ!!!』


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