レギオノイドという思わぬ存在が襲来した地球、それを追いかけて共にやって来たウルトラマンゼロそして光の国の王女たるカトレア。突然すぎる出会いに流石のマグナも顔を引き攣らせてしまっていた。そしてこの地球を案内する役目を担う事になってしまったマグナは内心で溜息をつきながらも取り敢えず、この地球における安全を確立しなければならないので素直に雄英に協力を仰ぐ事にしたのであった。
「M78星雲・光の国から参りましたカトレアと申します。突然のお話ですのに受け入れて頂き、感謝のお言葉も御座いません」
「雄英高校の校長の根津と申します。此方こそ王女であらせられるカトレア王女様には不相応かも致しません、精一杯の努力と歓迎をさせて頂きます」
「いえ、私はこの星においてはよそ者も同然。そんな身である私を受け入れてくださるでも有難い対応です……」
校長室にて面談する事になったカトレアに根津はマグナの影響で慣れたのか普段と何も変わらない顔色と声色でそれに応じる。少なくとも雄英にいる限りは安全の保障は確実、不便な事もあるだろうがその辺りについてはカトレアも重々承知しているという事なので胸を撫で下ろす。突然の光の国の王女様の登場に流石のオールマイトも顎が外れそうになっているが……それはしょうがないだろう。
「し、しかしまさかこんな事があるなんてね……マグナさんその大丈夫ですか、心なしかお疲れに見えますが……」
「いえ大丈夫です……ただ、まさか任務の都合で作っていたツケが此処で来るのか……と我が身を呪っているだけです……」
人間態のマグナは酷く疲れているようだった。彼自身は女性との関りはかなり少ない方だった、あったにしてもそれは任務関係だったりアサリナだったりばかり。無理にでも時間を作って謝罪の為に会っていたら少しでも今の苦労が軽減されていたのだろうかと考えずにはいられない。
「地球を見て回りたいとの事ですが、どのように回りたいかなどはお考えですか?」
「いえ、出来る事ならばマグナさんと共に様々な物を見てみたいのです。例え別次元ではありますが地球という星は光の国にとって掛け替えの無い星です、そんな星を見てみたいのです。この星の文化などにも興味はあります」
「宜しければヒーロー科の授業を見学なさいますか」
「まぁっそれは素晴らしいですわ、是非お願いしたいです」
と煌びやかな笑みを浮かべながらお淑やかだが何処か幼げな仕草が愛らしさすら纏う絶世の美女、これが光の国の王女か……と根津は内心で思いながらも僅かに赤らむ頬を隠すようにしながらも準備をすることを決めながらも同時に別の事を聞いて置く。
「それでしたらカトレア王女の地球人としての名前も考えておいた方が良いでしょう。何かお考えですか?」
「はい、以前妹のユリアンが地球で星 涼子と名乗って居たそうなのです。なので私は星 蘭香と名乗ろうと実は以前から考えていたのです」
妹に当たるユリアンが地球に居た頃の話などを聞いて彼女も羨ましく思ったりして色々と考えていたのだろうか少しばかり恥ずかしそうにしながらも答える。それを聞いて少し安心しつつも同時にゼロも俺はタイガ・レイトって名乗るから気にしないでくれと伝えると同時にマグナにも問いを掛けた。
「ではマグナさんは星何某になるのかな」
「なっ!?な、何を言うんですか根津校長!?」
「いやだってカトレア王女、いや蘭香さんとはお見合いをする関係なんでしょう。それだったら最初っからそう言う関係にしておく方が色々と楽だと思ったまでなのさ!!」
「まぁっ……そんな、恥ずかしいですわ……」
顔を隠しながら言っているが満更でもなさそうなカトレア、これまでの経緯と共に自分とカトレアの関係などについても話したからか根津は明確に彼女側に回ってしまっている。
「つってもよ、見合いの段階なんだから別にそこは別でもいいんじゃねぇのか。それに一応出久の叔父って事にしてるらしいし」
「チッチッチッレイト君違うんだよ、これ程の美女を地球の男が見逃がす訳がない。絶対にちょっかいを掛ける筈さ、それに対する保険として既に相手がいるという事を明確にすることも王女を守る事にも繋がるのさ」
「あ~成程……じゃあいいんじゃねそれで」
そこはもうちょっと頑張ってくれよ!?と内心で叫ぶマグナだが同時に彼女の身を守る事を考えると理に適っている事だと納得してしまう自分がいる。そのままの流れでマグナの地球での仮の名前は星
「此処が地球……矢張りこうしてみると光の国とは違う星ですね」
話をある程度の所で切り上げ、カトレアを雄英の敷地を案内する事になったのでその案内役をする事になったマグナ。本来そこに護衛としてゼロも加わるべきなのだろうが、根津と話があると断りを入れられてしまった。出久は出久で一度ナイトアイらと合流するなので離れ離れになった。太陽の光を浴びながらまるで躍るように歩きながらも周囲の景色に胸を躍らせるカトレアとマグナ。
「ユリアンから話を聞いていましたが矢張りこうして足を踏み居られる事は酷く光栄です、それもマグナさんと共になんて」
「光栄ですカトレア王女……いえカ、カトレアさん」
王女と呼ぼうとしたら露骨に渋い顔になろうとするので急いで呼び方を変える、すると笑顔になりながら頷く彼女にこれが乙女心と言う奴だろうか……と思う。ならばとアサリナとのやり取りが参考になるかもしれないと記憶を呼び起こすのだが……
「(……駄目だ、全然参考にならない……よく考えたら彼女は何方かと言ったら行動パターンが男性のそれに近かったな……おしゃれとかその辺りにも無頓着だったし……基本コロセウムとかだったし今思うと本当に女っけが無かったんだなアサリナって)」
そう思う中でウルトラ・フォー・オールの中での彼女が暴れているが、それに気付く事はない。
「出来る事ならば街にも行ってみたいのですが……」
「ご興味がおありですか」
「はい。折角地球に来れたのですから出来る限り文化などに触れたいと思っております、それに折角地球人の姿をしていますからユリアンから聞きました様々なファッションを体験してみたいのです」
「きっとカトレアさんならどのようなお姿でもお似合いになりますよ(やっぱりアサリナが希少な部類だったんだろうな……)」
心なしかウキウキとしているカトレアの姿に思わず頬が緩む。彼女としてもきっと王族としての立場などもあるだろうしそれらを完全に忘れられる時間を求めていたのだろう、そして何時までもこのドレスでいるのは目立つだろうからという事も聞くのであった。
「どのような服を着てみたいのでしょうか」
「そうですね……途中で見ました女の子の服のような物を着てみたいです、後先程お会いしましたミッドナイトさんなのですが地球では女性があのような格好をするのは普通なのでしょうか?」
「いえあれは彼女が特殊な事例なだけなのです」
『ムッキィィィィッッッ!!!マグナってば僕の事をそんな風に思ってやがりましたのねぇぇぇッッ!!?ンもう冗談じゃないわよォぉおおん!!!』
『どうどう落ち着きなアサリナ、女っぽさ出そうとしてなんか口調が変になってるよ』
『うわぁぁぁぁんマグナの馬鹿ぁぁぁぁ!!!僕がどれだけ好きだったのかも知らなかった大馬鹿鈍感男ぉぉぉぉ!!!』
『いや全部アピールもしなかった自分のせいだよ、アタシでもちゃんと旦那にはアピールしてたよ』
『そうだ菜奈さん結婚してるんじゃん裏切りものぉ!!』
『何でさ』