緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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マグナの試練。

「(マグナさん大丈夫かな……何だかカトレアさんの相手は苦手っぽい雰囲気だったけど……)」

 

マグナと別れ、久々の一人っきりを味わった出久。翌日になると直ぐに授業になるのだがマグナは常にカトレアの傍にいる為に離れ離れになっている事に違和感を覚えるようになっている。それも数年ずっと一緒だったからだろう、その気になれば念話のような物で会話は可能なのだが……流石にそれをやる程ではない。今もゼロと共に護衛に当たっている頃だろう。

 

「おい緑谷、お前あの後大丈夫だったのか」

「大丈夫だよ轟君。まあうん……解析してリバースエンジニアリングした物を搭載したスーツ実験は頼まれたけどね……」

「大丈夫って言わねぇよそれ」

 

突如出現したレギオノイド、そして新たなウルトラマンの出現は即座に報道され現在はウルトラマンによって倒されたレギオノイドの残骸を回収する事で異星のテクノロジーの解析を行われているという報道がされている……が、実際はその何歩も先を行っておりこのテクノロジーを何処まで扱うかという事が議題となっているらしい。そんな事を話していると相澤がやってきて今日の授業について話されるのだが……それはヒーローインターンについての詳しい説明、その為に大柄で筋肉質な金髪の男にロングヘアに笑顔が絶えない表情が非常に映えている美人、猫背だが何処か瞳に鋭さと凄みを感じさせる男の三人を伴ってやって来た。

 

「多忙の中を態々時間を合わせてくれたんだ、感謝しておけ。現雄英生の中でもトップに君臨する3年の3人、通称ビッグ3だ」

 

ビッグ3。雄英生徒の中で断トツの実力を誇る三強の生徒達、そんな人たちが時間を作って自分達に会いに来てくれたという事に少しだけ緊張が皆に走った。一体どんな個性を持っていてどんなふうに戦うのだろうと皆が思う中で自己紹介がされていく。天喰 環、波動 ねじれ、通形 ミリオ。その三人の紹介が終わると早速インターンについての話がされていく。その説明の為に、インターンで得られる物を体感させる為にBIG3のミリオから戦ってみようか、という提案がなされた。

 

「都合がいい提案だ。通形、そこにとある方の見学をさせてくれ。校長直々の客人だ」

「俺は別に構いませんよ!!」

「宜しい、では全員TDLへ集合」

 

皆がミリオからの提案、インターンによって何が得られて何故インターンに臨むべきなのかを体感する為の物に意気揚々とTDLへと向かって行くのだが……そこで目にしたのは見目麗しい絶世の美女と何処か出久に似ている男、何処かギラついた雰囲気を纏った男が相澤と話している様子だった。

 

「なんじゃああの絶世の美女はぁ!!?あんな人地球上にいるのかよ!!?」

「……完璧すぎるだろ……」

「―――フゥッ……」

「わぁぁぁぁぁ峰田君確りィィ!!!?」

 

「すっごい何あれ何処かのお姫様!!?」

「神話のお姫様みたい……」

「キ、キラキラしとる……」

「ケロォッ……圧倒、されるわ……」

 

と男女に限らず思わず声が漏れる程の凄さを纏う美女に思わず騒がしくなるA組。中には思わず鼻血を噴き出しながら白くなってぶっ倒れる生徒まで現れる程。それ程までカトレアの人間態が完璧すぎるとも言える。完璧なプロポーションに腰まで届くような艶やかな髪、そして纏う空気までが完璧の一言。正しく傾国の絶世の美女。

 

「突然の申し出に対応してくださいまして感謝のお言葉もありません。お邪魔にならぬように努めますのでどうか宜しくお願い致します」

「此方としては授業に邪魔にされならなければ別にいいのでお好きに見学なさってください、それとうちの生徒は騒がしくてすみません」

「いえいえ。とても元気があって宜しいじゃありませんか、未来を担う子どもに必要なのは自分の夢を実現させる為の元気ですもの。寧ろ好ましいです」

「そう言って貰えて有難いです」

 

流石の相澤も背筋を正すようにしながらも何処か緊張した面持ちで相手をしている。溢れる気品に圧されているようにも見える、それを見かねてマグナこと光士が助け舟を出す。

 

「一先ず授業の方に集中してなさってもらって大丈夫です相澤先生」

「いえ、此方こそ……」

「わりぃな、取り敢えずこっちは俺達に任せてくれ」

「……頼みます」

 

と素直に頭を下げてから生徒の方へと早歩きで向かって行く辺り苦手なタイプらしい。ゼロことレイトもしょうがないだろうなと思いながらも初めて着る地球の服に満足気な笑みを溢す。

 

「にしてもこりゃいいな、気に入ったぜ!!ありがとなマグッおっと光士に蘭香」

「お礼なら光士さんに言ってあげてくださいね、貴方の服を全て見立てたのですから」

「と言っても大したことはしてないけどね……大分適当な感じだし」

「いやいや中々良いぜこれ」

 

レイトが纏うのはジーンズに白いシャツの上に暗めな革ジャン、実はマグナが前世で愛用していた組み合わせをまんま流用しただけなのだが……気に入って貰えたようで安心している。寧ろ苦労したのはカトレアこと蘭香の方である。

 

『此方など良いのではないでしょうか?』

『とてもお似合いですよ』

『まあっ彼方のお洋服もとても魅力的ですね!!あらっ此方のも……どれも素晴らしいですね光士さん!!』

『そ、そうですね……』

 

先日の後、何時までもドレスでいたら目立つという事で近場の街という条件付きで許可を得て外に出たのだが……その際に地球の文化に触れたがっていたカトレアはあらゆる物に目を輝かせていた。その相手をするのも大変だったが洋服を選ぶという行為に凄まじい時間と労力が掛かってマグナは疲れていた。

 

『まぁっこれですね以前ユリアンが言っていたゴスロリという物なのですね!此方はとても女の子らしいのに活発そうでいいですね、此方のデザインも素晴らしいですね!!嗚呼っ……どれもこれも素晴らしい物ばかりですね!!』

『そ、そうですね』

『是非光士さんに私にはどれが似合うか見て頂きたいです♪』

『え"っ』

 

どんな服が似合うかなんてハッキリ言って分からない、どれがどれなのかも全然分からない自分にとんでもない無茶振りが飛んできたのである。女性ファッションなんて未知の領域が理解出来るわけもない。だが王女直々のお願いを断る訳にも行かないし此処でヘマする事も出来ないと能力をフル活用しながら此処までの道のりで彼女が憧れていると思われるファッションや王族に似合うような気品さを加味した物を店内で探しつつ、さり気なくどんなものが良いのかを確認しつつ探していった。

 

『素晴らしいです、流石は光士さんですね!!私これがとても気に入りました、これに致しますわ!!』

『それは光栄です……ではそれは私からのプレゼントとさせて頂きます。これまで時間を取れずにいた時のお詫びとこれからも宜しくと言う気持ちを込めまして……』

『まぁっ♪』

 

結果として誕生したのが求めていた動き易そうなパンツコーデを中心にした気品を損なう事も無い完璧な物だった。その為にフル活用された文明監視員、そして勇士司令部としての経験から来る直感に心から感謝するのであった。

 

 

『―――……ゼロ君、そして出久君。君達も将来お相手が出来るだろうから若い今のうちに絶対に覚えておくんだ。前以て女性との接し方を覚えておくんだよ……でないと私みたいに苦労するから……』

『お、おう……帰ったら80先生辺りに聞いてみるとするわ……』

『マグナさん本当に大丈夫ですか……?』

『……Uキラーザウルスと戦った時以上に疲れたかもしれない……』

 

 

「(ウフフッ……マグナ様が選んでくださった洋服……ウフフフッ♪)」

 

そしてマグナは知らなかった。今回の事でカトレアの中での自分の株が更に高まっている事を……そして、マグナ自身がお見合いに対して前向きに考えていると捉えているカトレアが居る事に……。




『やるねぇマグナさん。全く知らない事に対してあそこまで対応出来るなんて……しかも相手の趣向やら何を求めてるまで確りと考えてる……いやぁあれはモテる男だね。アサリナが惚れるのも分かるよ』
『そうですよマグナは何時だって求められれば最高の結果を出すんですよ……でも今回は別に全力出さなくても良いじゃないかぁぁぁっっっ!!!うわぁぁぁぁぁん僕だって、僕だってぇぇぇぇッッ!!』

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