緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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授業見学、生まれる誤解?

「皆様本日は突然の見学をさせて頂く事になりました星 蘭香と申します。是非ヒーロー科の授業を一度ご見学いたしたく参りました、僅かな間ですがどうぞ宜しくお願い致します」

 

相澤から見学者の挨拶という事で芯の通っている美しい声に気品溢れる礼をする蘭香、流石は王女というだけあって立ち振る舞いや動作一つ一つに優雅さと気品がある。思わず皆から声が溢れてしまう程、それに続くようにレイトや光士も挨拶をする。

 

「よぉっ俺はタイガ・レイトだ、好きなように呼んでくれていいぜ。まあ端的に言えば蘭香の護衛みてぇなもんだ、そんな畏まらずに気軽でいいぜ」

「星 光士です。ヒーロー科の皆さんのお姿を今日は見学させて頂きます、本日は蘭香さんがご迷惑をお掛けします」

「光士さんは蘭香さんのお相手だそうだ、だからお前ら要らんちょっかい掛けるんじゃないぞ」

 

同じ苗字と言うだけあって予想していた子もいるが、それが明言されると更に騒がしくなってきた。特に男性陣から悔しさの声所か如何やってあんな女性を射止めたのかを聞きたそうにしているのかが大多数。

 

「凄い凄い凄い綺麗~!!!ねえねえ何処かのお姫様だったりするんですか~?後々どんなふうに出会ったとか聞きたい聞きたい聞きたい~」

「ウフフッ有難う御座います、でもヒ・ミ・ツです♪」

「キャ~気になる~!!」

 

「久しぶりだね出久君、いやぁ元気そうで叔父さんは嬉しいよ」

「光士さんも相変わらずですね……おじさんって自称するのやめた方が良いですよ」

「いやいや叔父さんがおじさんを自称しても可笑しくはないでしょう」

 

そんな軽い会話を挟みながらも相澤主導でいよいよ本題へと移る事になった。それはミリオによるインターンによって何が有意義で何が得られるかを実感する為の模擬戦である。早速どんなものが見られるのかワクワクする蘭香、オーブの指導を受けた出久の実力に興味を示すレイト、そして自分なしで何処まで戦えるのかを見る光士。そんな視線の元でいよいよ幕が落とされようとする。

 

「それじゃあ先輩、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いしまァァァすっ!!!」

「さあ一番最初は誰だい?」

「僕だっ―――!!!」

 

真っ先に飛び出したのは出久だった。全身に光を纏ったフルカウルで加速しながら迫っていく、僅かな時間で到達するそれにレイトもほぅと声を上げながら感心するが直後にレイトと光士は顎が外れんばかりの勢いで口を開けながら呆然とし、蘭香も驚きからか目を丸くしてしまった。何故ならば―――ミリオの服が落ちていき思いっきり彼の裸体が露わになったからである。思わず女性陣から声が上がる中でギリギリ下半身を隠しながら大慌てでズボンを履き直す。

 

「ああごめん調整が難しくてね……!!」

「SWALLOW SMASH!!!」

 

大慌てでジャージのズボンを履き直しているミリオ、そこを突くように緑谷の蹴りがミリオの顔面へ炸裂―――しなかった。足がミリオの顔をすり抜けるかのようにしながらヒットする事無く地面を叩き割ってしまった。

 

「すり抜けた!?」

「そういう個性って事か……!!」

「いきなり顔面とは躊躇なしだね!」

「ディァッ!!」

 

透かさず放つ光弾、当然それは向かって行くのだが同じように通り過ぎて行ってしまう。その直後

 

「ならこれなら如何だぁっ!!!」

 

飛び込みながら光弾へ爆破をぶつけて新たな爆破を起こす事で推進力にして一気に加速しながらミリオの懐へと飛び込みながら大爆発をお見舞いする爆豪。そしてそこへ畳みかけるように焦凍が土石流のような勢いで氷と炎を浴びせ掛けて行く、一切の容赦なしの攻撃だが……爆煙が晴れた先には全くの無傷のミリオが笑みを浮かべながら立っていた。

 

「利いてねぇ……!?」

「どんな個性だクソがぁ!!」

「思いっきりも良し、個性の使い方も申し分ない。うんっ流石だよね!!」

 

笑顔を向けながらも一気に駆け出して行くミリオは通り過ぎ様に深々と突き刺さるように拳を叩きこんでいく、重々しい一撃は一瞬で相手を戦闘不能にするほどの威力を秘めているのか受けた者は倒れこんでその痛みに耐える事が精一杯になってしまった。ほんの僅かな一瞬に出久、爆豪、焦凍を残してA組の面々は一瞬で全滅させられてしまった。

 

「おい緑谷、見当付くかあの個性!?」

「姿が消えたと思ったら背後、加えて攻撃をすり抜ける―――全然分からない……!!」

「スルーの応用がワープか、ワープの応用がスルーなのか……どっちでもいいが厄介だな……自在に無敵時間を操る個性かよクソが」

「よせやい!!」

 

「レイト君、如何見る?」

「ありゃ多分あいつ自身の技術だな、まあ俺の勘だけどな」

「私も同意見。不可解な点が幾つかある、それを可能とする力というよりも可能とする技術を伴っている感じだね」

 

戦士としての視線でミリオの戦い方を分析する二人。圧倒的な戦闘経験の蓄積がある為か僅かな挙動から癖などを読み取りそこから逆算してミリオの力を考えるなどから感じられるのはスルーやワープを伴う戦いは彼の技術によるものだと確信する。

 

「あれなら仮に人質取られても普通に行動出来たりするな」

「確かにね、一緒に移動できるのかは謎だけど神出鬼没で奇襲する事も出来るだろうね」

「それもありだな。蘭香はどうよ、ご感想は」

「素直にビックリです、お話を伺っておりましたがこのように戦うのですね……」

 

驚きながらも感心するように見つめ続けている蘭香。彼女にとってもこの光景は酷く新鮮に映っている、地球人に特殊な能力がある事自体も興味深いがそれらを使って戦うというのも中々な物がある。

 

「しかし余り洋服には拘りがないのでしょうか、ミリオさんでいいのですよね。ミッドナイトさんのようにあの子も服が」

「いえ違います。ある意味特殊な部類に連続で当たっているだけです証拠に彼だってすぐに纏い直しているでしょう」

「あ~……俺も光士の意見には賛成」

「そうなのですか」

「(……拙い、他の時間に見学して貰うべきだったかもしれん……)」

 

そんな風に相澤が思っている最中にも出久、爆豪、焦凍は協力してミリオに立ち向かって行く。地面を氷や炎で覆ったり、爆破の嵐を巻き起こしたり、光弾を連発しつつもその場に留まる機雷型の光弾を使ったりと考えられる範囲の全てを使ったのだが―――

 

「シェェアアアアッッ!!!」

「おおっこれが噂の光線か!!だけど―――無駄無駄ぁっ!!」

「ガァッ……!!?」

「緑谷の光線すらすり抜けっ―――!!?」

「おい何ぼさっと―――っ!!?」

 

結果的に三人はミリオを倒す事が出来ず、逆に全力の腹パンを受けて同じように倒れこむのであった。

 

「POWERRRR!!!!」




「地球というのは不思議な所なのですね……矢張りもっと知らなければいけませんね」
「そうしてください……ですが彼とミッドナイト氏はあまり参考になさらないように……特殊な部類に入りますので……」
「いやぁ……流石別次元の地球だぜ、すげぇ強烈だ……」

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