「ギリギリ見えないように努めたから大丈夫だとは思うけど、女性陣には本当に申し訳ない事をしちゃったよね!とまあこんな感じだったけど分かってくれたかな」
「全員腹パンされただけな気がするんですけど……」
ミリオの視線の先では腹部を抑え未だに痛みに耐えているA組のメンバー。それらに続くのはミリオについての個性についての声ばかりだった、その個性の強さというよりもミリオ自身の異常な強さに驚きを隠せないと言いたげな面々にミリオは笑顔を作ったままにレイトと光士の方を向いて尋ねた。
「レイトさんと光士さんのお二人はどうですかね、俺を見る目は正しく戦士のそれでしたよね!!」
「―――なんだ気付いてたのか、お前も喰えねぇ奴だな」
「ハハハッこれは失敬!!ですけど護衛を名乗るから手練れではないかなとずっと思ってましたよ」
「これは参ったね、あの最中に此方の品定めは終わらせていたという事か。ああ素晴らしい戦いだったよ、個性ではなくその使い方と戦法がね」
その言葉に思わず出久達から驚くの声が漏れる中で同じくBIG3の天喰も同じような顔をし、波動は興味津々と言った表情で二人を見つめている。
「君の個性はズバリ―――すり抜ける、言うなれば透過じゃないかな」
「理由をお聞きしても?」
「ミリオがワープだと仮定したら可笑しいと思うのは何故空中にワープしないのか、地上ではすり抜けるのか。幾つか推論は立ててたぜ、まあそれ以上に簡単な答えがある」
「出現する瞬間の姿が見えていた、そしてその全てが例外なく地面から現れていた」
「凄いズバリ大正解だよね!!」
その言葉に大声で肯定する。そう、ミリオの個性はすり抜ける、即ち透過。攻撃はすり抜け、ワープと思えるような移動は全身を透過させる事で地面の中へと落ちるように入っていく。そしてそこで個性を解除すると物質が重なり合う事が出来ないのか弾かれる、それを利用して高速移動を可能としているとの事。ミリオの個性の正体にも驚かされるがそれを見抜いた二人にも同じような目が向けられる。
「だけどよくもそこまで鍛え上げたな、素直に尊敬するぜ。地面の中じゃ何も見えねぇ、つまり全て計算と予測だろ」
「そこまで解っちゃうんですか、いやぁ参ったな一年生たちにちょっと自慢げに語ろうと思ったんだけどハハハッこりゃ大失敗!!」
「えっ……あの光士さんどういう事なんですか……?」
「簡単な事ですよ蘭香さん、透過と言う個性は強い個性ではない。寧ろ―――ミリオ君自身が強い個性へと変貌させたんですよ、さあ大いに語ってくれたまえ」
「これはいいパスを貰っちゃったよね!!それじゃあ言わせて頂いちゃ言おうかな!?」
あらゆる物を透過してしまう個性 透過。個性を発動中は鼓膜は振動を透過する為何も聞こえない、肺は酸素を透過し網膜は光を透過、呼吸も出来なければ何も見えない。何も見えず聞こえず息も出来ないような状態であってもミリオは先程たった一人で出久達を圧倒し戦った、経験を積み重ねて弱いとされる個性であったそれを強靭な個性へと生まれ変わらせた。
「俺はまごう事ない程にビリだった。今の俺があるのは経験からなる予測があるからこそなんだよね。そしてインターンではその経験を培える!!インターンでは一人のプロヒーローとして扱われ、危険な場にも立ち会うし人の死にも接する事もある。でも得られるそれらは学校にいるだけでは絶対に手に入らない一線級の物だって事は保証するよ!!だから危険でもやる価値はあるよ、1年生!!」
そんな言葉を掛けながらも後輩たちを励ましていくミリオに思わずマグナは昔を思い出してしまった。訓練生時代にも同じような事があった、惑星体験入星では比較的安全な星が選ばれるが絶対的な安全が保障されるわけではないし他の惑星に順応する為でもあるので病気へのリスクもある。だがそれを超える価値があると熱弁された事を思い出す。
「確かにな、危険だからこそ手を伸ばす価値があるってもんだよなぁ!!」
「レイトもそのような経験が?」
「いやレイトの場合は常に危険と隣り合わせじゃないかな、だって教官が教官だし……それに」
「止めろそれ以上言うなよ絶対だぞ」
首を傾げる蘭香。勿論光士は口にするつもりはない、これはゼロの名誉の為でもある。そのまま講義を終わるように締めるミリオ達に便乗するような形でその場を後にしつつ一旦出久の部屋へと向かう事にする。一応で念話で許可は得たしそもそもが自分の部屋でもあるんだからと光士はレイトと蘭香を伴って寮へと向かうのであった。
「如何でしたヒーロー科の授業のほどは」
「はいっとても興味深かったです。力の方向性としては私達よりも広い印象ですね」
「それは確かに分かるな」
同意見を浮かべつつそれぞれが個性についての意見を述べて行く。ウルトラマンとの力の違い、単純な力だけではない事を話していくとゼロもカトレアも酷く興味深そうな表情を浮かべていく。
「そういやよ、マグナにもその個性って奴が宿ってんだろ。アウローラって奴との戦いで」
「ああ、本来は出久君が継承したものなんだけど私も一緒に継承した事になった力……ウルトラ・フォー・オールだよ」
「ウルトラ・フォー・オール、素晴らしい名前ですね」
「もしかしてだけどよ、レギオノイドの時のあの必殺技もそれ関連か?」
ゼロが連想するのはレギオノイドのミサイル一斉発射を迎撃したあの光の鞭の乱舞。元々マグナがあのような技を持っていたなんて話は聞いた事がない、ならばあれもウルトラ・フォー・オールによって得た力の一つなのかと尋ねるとその通りだと応えられる。前身とも言えるワン・フォー・オール、その継承者たちが宿していた個性をウルトラマンの力にプラスして扱えるという物。
「それに……アサリナも一緒だからね」
「おいマグナそれって……」
「フフッずっと一緒にいてくれたんだよアサリナは、私の中で生き続けていてくれた……そして彼女がいるからこそ今私がいる、ウルトラ・フォー・オールがあるんだ」
「マグナさん……」
常に在り続けている、それだけではない程にマグナにとってのアサリナという存在は大きい。それに僅かながらにカトレアはむくれそうになるが直ぐにそれを隠しながら話を別の方向へとズラした。
「それでマグナさんはこの地球における防衛チームにもご助力しているとか」
「ええ、色々尽くさせて頂いております」
「おっそりゃ俺も聞きてぇな、オーブからも聞いてねぇし」
「それじゃあどこから話しましょうか……」
―――逃がすものか、貴様は切り札だ。貴様さえいれば光の国をこの手にする事さえ夢ではない……ゆけぇい我が僕よ!!王女を奪うのだ!!!
―――ピポポポポッ……。
―――ゴァァァッッ……。