緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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地球の為に、迫る脅威。

雄英BIG3のミリオにインターンとしての道を指し示させられた1-A、本来は強くない筈の個性を強靭な物へと変貌させるだけの経験がそこにある。相応にある危険、だがそれを乗り越えた時自分達は何倍にも強くなる事は確実なのだろうと思う中でA組内でのBIG3である出久、爆豪、焦凍は既に道を決めているらしく揺らぐ事も無く進路を既に決めていた。

 

「んじゃやっぱり三人はヒーローインターンには参加しないのか?」

「うん、僕たちはあっちの方に行くって決めてるから」

 

真剣に話や実践して貰った先輩には申し訳ないとも思っているのだがそれでも自分達は地球を守る為の道を進むつもりでいる。

 

「俺は親父に色々言われたが、ヒーローインターンには行かねぇ。あっちに行くつもりだ」

「エンデヴァーに何か言われたってそれ大丈夫なの……?」

「ああ、問題ねぇ」

 

焦凍は父であるエンデヴァーとの確執が続いている、が今回ばかりはエンデヴァーは頭ごなしに否定したわけでもなかった。エンデヴァー自身も保須にて怪獣との力の差を味わっているからこそ息子がそちらの道に進むというのも否定しなかった。だがお前は本当にあれらと戦う気概があるのかと問われなどはした。自分が断固として引かぬ所を見せると思ってもみなかった程にあっさりと引いたとの事。

 

「いやにしてもあの蘭香さんって美人過ぎるよなぁ!!」

「現実なのかって疑うレベルだったもんな……それなのになんていうのかな、作ってるって感じが一切しねぇのも凄いよな……」

「気品溢れる立ち振る舞いがそれを支えているのだろうな!!」

 

インターンへの興味もあるが同じだけ盛り上がっているのは矢張り蘭香に対する物だった。見た事も無い完璧な美女を目にしたのだから無理もないだろう、そしてそれと共に居る光士が叔父なので当然矛先は出久にも向いてくる。

 

「緑谷お前あんな綺麗なお姉様がいるなんて聞いてねぇぞぉ!!!」

「いやぁ僕にも言われてもなぁ……僕も最近知った事だし……」

「ケロッもしかして前に言ってたおじさんってあの光士さんなの?」

「うんそうだよ。いい人なんだけどちょいちょい悪戯してくるんだよね」

 

まさかこんな事に発展するなんて流石に思いもしなかったのだ……本当に。カトレアの来訪は本当に予定外。

 

 

「やあやあやあやあ緑谷さんに轟さんに爆豪さんよくぞいらっしゃいましたですけどすいません今ちょっと手が離せないのでもう少しお時間を頂きますねぇ!!!」

 

次の日、出久達の姿は以前やってきた基地の整備区画へとあった。是非来て欲しいと言われたのでインターンの代わりとしてやって来たのだが……そこにあったのはロボットアニメに出て来そうな巨大ロボットを整備するような格納庫だった。そして発目の超ハイテンションな言葉と共にあったのは―――二人のウルトラマンにとって倒されたロボット怪獣であった。

 

「あれってウルトラマン達に倒されたロボか」

「ええそうよ、爆散したボディを回収して修復中なの。地球とは全く異なるテクノロジーで生み出されたスーパーロボットなんて心が躍っちゃってもう皆休むことを忘れて解析作業をするから大変よ」

「そう言いながらテメェも目に隈が出来てんじゃねえか」

 

バレたかと笑っているメリッサも目の下にはうっすらと隈が出来ており徹夜をしているのが分かる。それだけの存在であるという事は出久達でも理解出来る、それだけこのレギオノイドはこの地球にとってあり得ない程のオーバーテクノロジーの塊。

 

「修復ってこれを如何するんですか?」

「取り敢えず元の形に戻しながらこれを基礎にしながら対怪獣災害想定機動メカを作るつもりよ」

「こいつを基に……?」

 

マグナが聞いたらどんな顔をするだろうか、出久もこのレギオノイドがどんな存在なのかは聞いた。宇宙その物を掌握せんとした銀河帝国によって生み出されたロボット兵、それが地球を守る為の組織によって地球を守る為の力の根幹を成そうとしている。何て皮肉な事だろうか、レギオノイド自身もそんな事になるなんて思ってもみなかっただろうに……。

 

「使いもんになんのか」

「ええ大丈夫な筈よ、それにこれは仮にもウルトラマン二人に対して渡り合う事が出来ていた。それだけの物を捨ておくなんて勿体ないもの!!」

 

目を輝かせているメリッサはそのまま作業へと参加していくのだが、本音は絶対技術者として未知のロボットを解析したいに溢れているんだろうなと察する事が出来た。そんな所に光士が手を上げながらやってくる。

 

「やぁっ三人とも」

「あっ光士さん」

「レギオノイドの見学かな」

「レギオノイド……それが此奴の名前か」

「そんな風にデータがあったらしいよ、もしかしたらこいつは量産型だったかもしれないって騒ぎになってたらしいよ」

 

雄英に滞在していたのだが、より盤石なセキュリティが敷かれている此方へと引っ越してきたとの事。加えて此処にはナイトアイなどもいるので今後の事も相談しやすく都合がいいとの事。実際今はゼロがナイトアイと話を行っている。

 

「光士さんとしては如何思います、レギオノイドの事」

「別に良いとは思うよ、それだけ危機管理意識が上がっているという事でもあるしウルトラマンの力に依存しようとしていないって事でもあるからね」

 

そう言いながらウィンクする光士に出久は胸を撫で下ろした、暗に気に入らないかと尋ねたつもりだったがそんな事がなかった事に安心した。別の意味で不安は抱いたりしていたりするが……其方は気にしてもしょうがないし考えないでおこう―――そんな時だった。けたたましい何かを掻き立てるようなサイレンが鳴り響いた。

 

「ンだこりゃ!!?」

「緊急警報のサイレン!?」

 

地球人にはいまだ届き得ない領域から舞い降りてきた、彗星のような青い輝きを纏いながら大地へと激突した。ゆっくりと身体を持ち上げるようにしながらそれは立ち上がり不気味で無機質な電子音のような声を上げながらその姿を露わにした。その隣からは自らの力を誇示するような巨大な雄叫びが周囲に木霊する。

 

 

本当に一つの生命体なのかと思いたくなりつつもそれは一つの生命体だと思うような矛盾を抱く。統一性が無いにも拘らずあたかも最初からこの姿だったのだと叫ぶようだった。全てが己の物だと叫ぶその姿は正に―――暴君。

 

 

相手を威圧する漆黒の身体、銀色に波打つような四肢、悪魔か獣か区別がつかぬような二本角、金色に輝く頭部と胸、不気味且つ無機質なその音は相対する者の終わりを告げるような……我は終わりを告げる者だと。

 

嘗て、ウルトラ戦士の中でも伝説として扱われるウルトラ兄弟。その者達を倒した怪獣、それが地球へと降り立ったのだ。

 

―――行け、全てを破壊し王女を炙り出し今度こそ確保するのだぁ!!

 

 

―――ピポポポポッ……ゼットン……。

 

―――ギィィィッゴァァァァァ!!!

 

 

 

宇宙恐竜 ゼットン、暴君怪獣 タイラント―――襲来。




バレバレだったと思うけどゼットン、そしてタイラントのエントリーだ!!ゼットンは兎も角なんてタイラントなのかって?いやぁ最初はコッヴとかにしようかと思ったんですが……怪獣としての格を考えたらこっちかなぁ……って。

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