「ゼットン……」
試験エリアに姿を現した黒き絶望、ゆっくりと街を進撃しながらも気まぐれに目についたビルへと放たれていく火球。それは一瞬でビルを爆破し跡形も無く消し去っていく。自らの進む道に邪魔な物など必要ないと言わんばかりの行い。
「ギィィッッッ!!!」
その隣にて同じように街を我が物顔で進撃し続ける巨大な怪獣、その様は正しく暴君。自らが気に食わぬ物、嫌いな物は吐き出す炎で焼き尽くしていく。そんな二体の怪獣の出現に緊急で完成したばかりのライドメカの出撃準備や訓練用ではある物の迎撃システムを起動させ僅かな間でも足止めを試みるが、ゼットンもタイラントもそれを物ともしない。
「わりぃ遅くなった!!だがフザけんなよゼットンにタイラントだぁ!?豪華二本立ても限度ってもんがあんだろうがぁ!!」
思わず悪態をつくゼロことレイトに思わず友人達から抜け出した出久と共に居るマグナも同意見であった。仮に一方だけだとしても厄介すぎる相手だというのに双方が揃っているなんて厄介というレベルを超越してしまっている。宇宙恐竜 ゼットン、暴君怪獣 タイラント。嘗てウルトラマンを倒した事がある怪獣として名高い怪獣ら、そのタッグなんて悪夢に等しい。
『出久君、アウローラ以来の死闘になるぞ』
「覚悟なんて出来ますよ、僕はマグナさんの相棒ですから」
「へっ良い根性してるじゃねぇか出久、それじゃあ―――行くぜ、シェアァッ!!!」
「シェァッ!!」
「ダァァァァッッッ!!!」
進撃する二体の大怪獣、その前に立ち塞がるのは二人のウルトラマン。タイラントの前にゼロが、ゼットンの前にはマグナが立ち塞がった。
「ギィィィッゴァァァァァ!!!」
「シェェェアアアア!!!」
勢いよく走り込んでくるタイラントに真正面から向かって行くゼロ、全身凶器と言っても過言ではないタイラント。その中でも一際目を引くのは腕の鎌と鉄球、それらを振り下ろすがそれを寸前で回避しながらも頭部へと蹴り込んでタイラントの体勢を崩し、それを開幕の号砲とした。
『テメェとは妙な因縁がありやがるなタイラント……俺のビッグバンは止められねぇぜ!!』
崩れた体勢のまま巨大な耳から矢の光線の雨を放つが咄嗟に飛び上がりながらゼロスラッガーを放ちその耳を攻撃しつつ、スラッガーを手に取ると双剣のようにしながら切りかかる。
「ゼットン……!!」
「デュォ!!ォォォオオオ!!!」
その最中、マグナとゼットンは既に取っ組み合いになりながら激しい戦いを繰り広げていた。放たれる火球を一切恐れる事も無く懐へと飛び込んだマグナ、自信のある格闘戦へと持ち込む事が出来たマグナは剛腕を唸らせながらゼットンの身体へと重々しい打撃を加え続けて行く。それに対してゼットンも素早い動きで対応していくが上を行くマグナに抑え続けている。
「ダァッ!!!」
飛び込みながらの全体重を乗せた手刀がゼットンの頭部を捉える。大きく後退しながらも怒りを感じたかのように火球を連発する、それに対して光弾を連射しそれらを全てを相殺していく。それにゼットンは驚いたように一瞬動きを止めるが、直後に一気に駆け出してきた。そしてなんと跳躍すると首元へと組み付くとそのままマグナを大地へと放り投げた。
「ドゥワァァッッ!!?」
「ゼットォォン……!!」
大地へと投げ伏せられたマグナへと馬乗りするかのように何度も何度も手刀を振り下ろしてくるゼットン、そして自分を無理矢理立たせるとそのままドロップキックを繰り出して吹き飛ばしてくる。その最中に咄嗟に超高速の光弾を放つが即座にバリアを展開してそれを防ぐと再び殴り掛かってくる。
『何て機敏なゼットンだ……!!』
今までにゼットンとの戦闘の経験はあるが此処まで素早く且つまるで武術を思わせるような技量を発揮するゼットンは初めてだ、そして同時に解せた。火球を相殺出来たのもそれが関係している、つまりこのゼットンは―――
『「SMASH!!!」』
「タァァッッ!!!!」
勢いよく迫ってくるゼットン、跳躍から飛び蹴りを放ってくるのに対抗するようにその蹴りに真っ向から迎撃する。腰の入った一撃はゼットンの攻撃を上回りゼットンを大きく吹き飛ばしゼロと激しい戦いを繰り広げていたタイラントへと激突する。突然の飛んできたゼットンに対応出来ずに共に倒れこんでしまうタイラント。
『隙ありだぜ!!ストロングコロナァッ―――ゼロォ!!!』
その時、ゼロは紅蓮の炎を纏いながら一気に姿を変えた。太陽の如く燃え上がる剛力の姿、ストロングコロナゼロへと変じながらゼットン諸共タイラントへと重々しい打撃を加えていきながらそこへ超高温のエネルギーを浴びせ掛けて行く。それは徐々に出力を上げていき―――遂にゼロの必殺技へと変じて行く。
『ガァァルネイトォォバスタァァァ!!!!』
「ギィィィッゴァァァァァァァァァ!!!!??」
「ゼットォォォォォンッッ!!!?」
超高熱のエネルギーが堪らないのかゼットンはバリアを展開した。それを見て矢張りだとマグナは思った、あのゼットンは最大の特徴とも言っていい光線吸収能力、そして火球のリソースをゼットンの基礎スペックへと回している。ウルトラ戦士ならば必ずしないと言えるゼットンへの光線攻撃、それを逆手に取った物と言えるだろうが、自分にとっては逆に相手がし易いとしか言いようがない。
『ゼロ君、Uキラーザウルスに勝ったあのコンボをやろうじゃないか。君ならマックスと同じ事が出来るだろう』
『よしやってやろうじゃねぇか!!』
ガルネイトバスターを中断しながらゼロは姿を変じさせようとする、その瞬間にゼットンはバリアを解こうとしそこへタイラントは両腕の武器を発射しようとするのだがそこへ四方八方から無数の砲弾やミサイルの雨が飛来してきた。空を見ればそこには無数の戦闘機が飛び交い、地上には戦車が列をなしながら一瞬のすきも与えんと言わんばかりの一斉砲撃を行い続けている。
「マグナ様、保須で助けていただいた御恩忘れた事はありません。そして今度は私が貴方の助けとなる番です!!行くわよぉサイバーエレキングゥッ……電撃波ぁぁぁ!!!」
更にそこへサイバーエレキングアーマーを纏ったMt.レディのモンスアーマーから放たれる莫大な電気エネルギーの奔流がゼットンのバリアへと襲い掛かっていく。その一撃でもとから負荷が掛かっていたバリアには罅が入り始めていく。
「総員全力射撃、ぶちぬけぇ!!!!」
誰かの声が木霊する、それに合わせるかのように全火力がそこへと叩きこまれていく。レーザー砲が、バルカンが、ミサイルが、電撃波が、持てる限りの全力が叩きこまれていく。それによって罅は一層に刻まれていき―――遂にバリアは瓦解しゼットンとタイラントへと攻撃が一気に殺到していく。
『へっこの地球もやるじゃねぇか!!んじゃ締めは決めさせて貰うぜ―――ルナミラクルゼロッ……!!』
地球の健闘を称えつつゼロは紅蓮滾る姿が一変、月の優しき光の如き神秘の軌跡を体現する姿、ルナミラクルゼロへと変化する。それに合わせるようにマグナは両腕を合わせる、それは彼自身の最強の光線の発射体勢。それが頂点に達した時、ゼロからスラッガーが放たれそこへマグナの光線が放たれる。
『マグナリウム光線!!!』
放たれた紅蓮の光線はゼットンとタイラントへと向かって行くが、それを遮るかのようにその間にスラッガーが入り込んだ。が、直後光線のエネルギーを受けたスラッガーは太陽のように赤熱化しながらも無数の数へと分裂しながら一気にゼットンとタイラントへと向かって行きながらその身体を切り裂いていく。全身を切り裂きながらもその周囲を完璧に包囲すると分裂したスラッガーからその中心部へと向けて一斉にマグナリウム光線が放たれていく。
『ミラクルマグナリウムスラッガー!!』
一点へと放射されていくマグナリウム光線、その中心部にいるゼットンとタイラント。マグナの力を得てパワーアップしたスラッガーの傷、そして放射される光線、それに耐えきることなど不可能。遂に臨界に達した怪獣らは大爆発を起こしながら無へと還っていった。
「やったっ!!!」
『いや、まだこいつらを送り込んできた張本人が居るさ』
『駄目だな、もう大気圏を突破して地球圏から逃げてやがる』
まだ終わっていないと、言いたい所だったが……肝心要の二体の怪獣を送り込んできた犯人は既に逃げていた。だがゼロは心配いらないと笑った。
「ど、どうしてですかゼロさん」
『なぁにこっちの宇宙に来たのさ―――お迎えがよ』
―――バット星人、逃げる事など出来んぞ。覚悟して貰おう。
『黙れ黙れこんな所で終わる訳には―――こうなれば貴様だけでも!!』
火星近くにて一つの爆発が起きた。それを巻き起こしたのは幾つかの船を伴った一人の戦士、そしてその戦士の胸には星の勲章が輝いていた。
バット星人の敗因、ゼットンの育成ミス。