『わぁぁぁぁぁぁっっっっっ……』
「な、何か聞こえてこないか?」
「言われてみたら……」
『わぁぁぁあああああああああああっっっ!!!???』
「「わぁぁぁぁっっっ!!!???」」
雪崩込むかのように入ってきたのはまっさらのように白くなっている出久や爆豪、多少慣れているがそれでもきついなぁと言いたげな顔をするシールド親子。そして―――
「お呼びと聞いて即決即効即急即参上!!発目 明以下4名到着しました!!」
「ご苦労―――と言いたい所だが大丈夫なのか……其方の二人は」
「ほらほら確りしてくださいよ緑谷さん貴方がこの位でへばらない事ぐらい知ってるんですから、それともやっぱり揉みます?」
「だ、だから僕のキャラをなんだと思ってるの……」
「やっぱっ狂って、やがる……」
若干痙攣を起こしている二人、発目の部屋から此処までこの中央司令室まで走ると数分掛かるのでそれを短縮する為に発目お手製の特殊移動メカを使用したのだが……速度に拘る余り凄い負担になってしまったようだ。何とかメリッサとデヴィットの手を借りて立ち上がった二人の視線の先にあったのはSFアニメなどで出て来そうな巨大なモニターが幾つも立ち並んだ司令室。その中央の席にはナイトアイが座っており此方を一瞥すると待機しているオペレーターに指示を飛ばす。
「目標は」
「遂に実戦……げっ現在獅子ヶ谷を南下中、獅死ヶ原を超えて東京方面に進撃中です!!」
「巨体故か凄い速度です……このままではあと1時間足らずで市街地に到達します!!」
「目標を中央モニターへ」
オペレーターの悲鳴染みた状況報告にも冷静に対処しつつも指示を飛ばすナイトアイ、それに影響されているのか少しずつではあるが冷静になりつつある。頬を叩きながら気合を入れてコンソールを操作する、彼らも元はプロヒーローであったが怪獣と戦う為に此方にやって来た。その為に努力する姿にナイトアイは頷きながらもモニターに映し出された巨大な怪獣を見つめた。
『―――ウォォオオオオオオオキィィュァァァァ!!!!』
「何という迫力だ、衛星からの映像だというのに……角度を切り替えつつあらゆる手を尽くして情報を収集、進行方向上の市街地に避難勧告」
「はいっ!!」
「流石ナイトアイさんだ!!このまま隊長になっても良いじゃないですか!?」
「隊長ではないない、私は参謀だ」
指示を飛ばしながらもオペレーターの無駄口にも確りと対応しつつやる事を指示する。そう、ナイトアイはこの組織の参謀に就任している。加えて今現在はこの組織のトップを任せる事が出来る人間が決まっていないので隊長代理を務めている。そんなナイトアイはこっそりと出久へと視線を飛ばすと即座にマグナが念話を繋げる。
『あの怪獣の事を、ですね』
「(ええ、何か御存じでしょうか)」
『豪烈怪獣 ホロボロス。純粋な戦闘力は非常に高い上に両腕の爪から破壊エネルギーを込めた斬撃を飛ばす事も出来る、動きも素早く危険な怪獣です』
「(十分です。)以後、獅子ヶ谷より出現した怪獣をホロボロスと認定呼称。これより我ら―――PLUSは作戦行動を行う!!」
「「了解!!」」
その言葉を皮切りにナイトアイは普段から着用しているスーツの肩を掴むと……それを一気に引き剥がすかのように腕を振るう。スーツは宙に舞いながら床に落ちるがその下には銀を基調としつつ黒、赤、青、金色の制服が露わになった。そして肩に輝くエンブレムには掲げられた腕と星が交差しており、金色の文字でPLUSと刻まれていた。
「PLUS。それがこの組織の名前か」
「ええっですよ漸く決まったんですよ、正式名称はProwess Luster Unique Spirit Fencer。そこから略してPLUS Fencer、通称プルスです。私達、プルスウルトラの精神を持つヒーローが母体になっててピッタリじゃないです?」
「うん凄い良い名前!!」
「悪くはねぇな」
自分達がこれから所属する事になる組織の名前が明らかになった事に何処か安心感と嬉しさを滲ませながらも直ぐに気持ちを切り替える。眼前ではホロボロスが街へと進撃をし続けているのだ、喜んでいる場合などではないのだ。
「発目君、PLUSファイターの出撃は可能か」
「一応発進可能状況になっているのは5機、ですけどどれも三日後に作動テスト予定でしたから危険ですよ。貴重なデータは取れると思いますが」
「ならば却下だな……発進可能な機体は」
「私専用の情報収集特化型のファイターGXなら出られますよ、人数制限は4名です」
「爆豪、緑谷、君達の対怪獣災害想定コスチュームは既に完成しているな」
それを聞いて直ぐに二人は意味を察した。頷きを以て返す、そしてナイトアイは素早く指示を飛ばす。
「ならばPLUSファイターGXは速やかに発進、現場にMt.レディを急行させろ。緑谷、爆豪の両名は彼女のサポート。君は現場にてリアルタイムでホロボロスの解析、此方も出来る限り動くぞ」
『了解!!』
「では御二人は此方へ、では御連れします」
『ってまたこれかぁぁぁぁぁぁっっっ!!!???』
新作のパワーセル採用型の移動メカに誘拐されるように連れて行かれる二人に思わず司令室の皆は敬礼をして二人の無事を祈るのであった。そして格納庫では発目専用機である大型情報収集解析機、PLUSファイターGXが既にスタンバイされていた。巨大なレドームが特徴的なその機体に乗り込んできたのは彼女らだけではなく、もう一人……Mt.レディであった。
「おっとそうか私ひとりじゃなかったのよね……ごめんなさいねってあのなんか既に死屍累々って感じしてるけど大丈夫……?」
「だ、大丈夫です慣れてますから……」
「俺は慣れてねぇよクソナードが……」
「あはっ♪」
本当に大丈夫なのかな……という不安こそあるがMt.レディは席に着いた。それと同時に発目は発進準備の為の機体チェックを開始する。コンソールが灯り、各部が光で溢れて行く。
「All check,green.Power system actuator,on.PLUS fighter GX,standing by.」
「おおっ発目さんがカッコイイ……」
「ふふんっ有難う御座います、おっと……通信ライングリーンっと。チェック完了、何時でも行けますよ。皆さん準備は如何ですか?」
ワザとらしく後ろを覗き込んだ発目の挑発的な瞳に全員が強い意志を以て応えた。それに満足気に頷きながら発目はスロットルを握る手に力を込める。
「それでは―――リアクター全開、出撃します!!」
全力で押し込むレバーに呼応するように滑らかに上がっていく出力、そして噴射されるジェット。カタパルト上にあったファイターはその上を滑るようにどんどん加速していく。その姿に整備員たちは一斉に敬礼しながら駆け抜けていくファイターの無事を祈った。十二分に加速するとカタパルトから放たれるように打ち上げられ空を走っていくファイターの操縦桿を握る発目は進路をホロボロスの方向へ取りながら不思議と高まる気持ちを抑えながら―――バイザーを降ろして僅かに不安に過る瞳を隠した。
「見えた、あれが―――」
「ホロボロス……!!」
―――ウォォオオオオオオオキィィュァァァァ!!!!
組織の名前はカワックス様の
。本当に素敵な名前を有難う御座います!!この後にフェンサーが続きますが、個性を武器に見立てて個性を扱う者達でフェンサーってくっそかっけえなぁ!と興奮しております。PLUS Fencer。凄いアリだと思います!!
他の皆様も様々なお名前をくださってありがとうございます、その辺りは他の組織などで活用させて頂きたいと思います。