緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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PLUS、謎の杭。

「ダァァッ!!ズォォ、ゼェェッダァァァッッ!!」

「ウォォオキィラァァア!!」

 

激しく交錯する無数の閃光と刃、一方は白い鬣を棚引かせる蒼き獣ホロボロス。一方は神秘の巨人、ウルトラマンマグナ・ラムダスピリッツ。新たに得た力、友たちの力をその身に宿しながらも戦友の力で出現した刃、ラムダ・ソウルブレードでその身一つで立ち向かってくるホロボロスを抑え込んでいる。

 

「デュォッォォォォッッッ……ハァァッ!!」

 

刃へと光を溜める、そしてそれを振るうと刃から無数の光輪が飛び出していく。それは周囲を取り囲むようにしながら中央に居る標的を貫かんと迫るが、ホロボロスはそれを跳躍する事で回避する。刃は互いに激突しながら四散する中で真上から迫りながら紫色の閃光を纏いながらそれを振り下ろさんとする獣。それに対するように先程のように光を溜めるが今度は刃が伸びて行く。

 

『ラムダ・ドライブ!!』

 

小刀程度の長さしかなかった刃は一気に伸び、巨大な剣と成って巨大な爪の一撃と激突する。周囲に爆風のようなエネルギーを溢れさせながらもその力は全くの互角、ホロボロスは一歩も引かずに絶えず巨人の身体を切り裂こうとするがマグナは咄嗟に刀身の向きを変えるようにしながら相手を大地へと叩きつけながら刃を頭部へと戻しながら掴み掛る。

 

「キュォォオオオオ!!!」

「ォォオオオオッッ!!!」

 

無理矢理立たせながら投げ飛ばして大地へと叩きつけた時、ホロボロスはより一層の咆哮を上げながら一気にマグナへと突撃し始めた、何の攻撃でもなく唯の突進。この状況であろうともホロボロスは何かを目指すかのようにマグナの背後にある市街地へと進撃しようとし続けている。此処までの力を見せ付けながら尚、明らかに何か奇妙。

 

『何だ、何かがホロボロスを誘導しているのか!?』

『みたいっぽいですけど……マグナさんあれっ!!』

 

必死にホロボロスを食い止める中、出久が何かを見つけた。指を差す先にはホロボロスの首筋、そこには何かが食い込んでいた。そこから禍々しい光が灯りながらも刺激を与えているように見える上にそれが輝くたびにホロボロスは凶暴性をむき出しにさせているように見える。

 

『あれが原因か……!!眠っていたホロボロスを何者かが覚醒させて誘導しているのか!!』

『ならあれを何とかすれば……!!』

『ああ、きっとっ!!』

 

 

「ォォォォッッッ!!!」

 

「マグナ様っ……?」

 

マグナの戦いの邪魔になる訳にはいかないと一歩引いていたMt.レディは唯々その戦いに見入っていた、が途中からマグナがホロボロスの進撃をただ止めている姿が奇妙に感じた。あの人ならばあの怪獣を倒す事なんて出来る筈なのにそれをせずに怪獣の突進を封じながら押し込めているだけに留まっている、何かあるのかと彼女のマグナに対する愛が察した。

 

「もしかして……あの怪獣って無理矢理操られてる……?」

 

唯々進撃を行おうとする理解出来ない行動、だがそれが自分を縛る鎖を解く為の行動だとすれば?鎖を握る犯人があの怪獣の向かう先に居り、あれはそこに向かおうとしているのだとすれば自然と合点がいき疑問がほどけて行く。

 

『おい聞こえるか、くそ女さっさと伝えろ!!』

『はいはいっとMt.レディさん聞こえます?此方で今解析が終わりました、ホロボロスの首筋の鬣の中に何か人間サイズの杭のような物が突き刺さっているのを確認しました。そしてその杭からはエネルギーが放射されていることが分かりました!!』

「エネルギーが放射?」

 

通信機から聞こえてきた発目の声、彼女によればホロボロスには何かが突き刺さっておりそれからは進路上にある街からエネルギーを受け取ってそれを放射する形で注入しているらしい。

 

「もしかして……それを壊せばあの怪獣は大人しくなる?」

『かもしれませんし違うかもしれません、だから何とも言えません!!』

「いえきっとそうよ、きっとマグナ様もあれを抜く為のチャンスを待つ為にああやってるのよ!!爆豪君、私が隙を作るから貴方それを破壊できる!?』

『あ"あ"っ!?』

 

唐突に何を言いだすんだと言わんばかりの声を出す爆豪。自分にあんな怪獣へと向かってそれを引き抜けというのか、というのが込められているのは分かったがこの場での適任者は彼しかいない。人間サイズならば自分では大きすぎて抜く事も出来ない、ならば飛行も出来る彼に任せるしかない。

 

「貴方もPLUSの隊員なのよ、ならその実力見せて貰うわよ。それとも出来ないのかしらぁん?」

『ンだとクソアマ!!?出来るわクソが見てろ!!!』

「良い答えよ、それと誰がクソアマよ!!後で覚えときなさいクソガキ!!」

 

勢いよく通信を切りながらもモンスアーマーの出力を限界まで上げる、狙うのは当然一つ―――!!

 

「行くわよっ―――サイバーエレキングッ……ライトニングウィップ!!!」

 

頭上で円を描くようにしながらも一気に伸ばされていく腕、そしてそこから放たれてる先程とは比べ物にならない程に太く強靭な電撃の鞭。それは腕を抑え込まれているホロボロスの身体へと巻き付くと全力でそれを引いてホロボロスの動きを封じる。

 

「キュルォォオオオ!!?」

「いよっしゃぁ!!マグナ様ぁぁぁっ及ばずながら、お手伝いをさせでいだだぎまずぅっっっ!!!微力でもお力になれるのならば、本望でずぅぅう!!!」

「ォォォォォオオッッッ!!!!」

 

全身全霊の力を込めている為か彼女の顔も凄い事になっている、仮にもこれまでヒーローとして活動して来た彼女は体面もかなり気にして生きてきた。それなのにそれが振り切れようとも構わずに全力を尽くす、それをマグナも察したのか全力でホロボロスを抑え込む。そして完全に動きを殺す事に成功する。

 

「オォォォオラァァァアアアアア!!!」

 

時を待っていた爆豪はそれを見逃がさず、ストライク・シリンダーの圧縮空気を推進力にして一気にホロボロスの首元へと到達した。そしてエネルギーを放射し続けている杭を発見した。酷く禍々しいそれはまるで邪神を祭る邪教団が聖遺物として祭っているかのような雰囲気を纏っている、だがそれへと迷う事も無く腕を向けた。

 

「ウルトラァエクスプロージョン!!!!」

 

両手を構えながら手の内側で爆発を収束させながら一点方向に爆風が起こるように仕向け威力を激増させながらも彼自身はその爆風で一気に離脱するという事をやってのける爆豪の新必殺技。ウルトラダイナマイトを自己流にアレンジし完成した技の一つが文字通りに火を噴いた、収束された爆発は杭を飲み込むとそのエネルギーに引火するように杭は誘爆を起こし大爆発を起こす。

 

「うぉぉお!!!?」

「おっとォぉお!!?セーフ!!!」

 

その爆風に巻き込まれあらぬ方向へと吹き飛ばされそうになる爆豪を咄嗟にキャッチするMt.レディ。安心しつつも爆炎の中からマグナとホロボロスが姿を現すと一際巨大な咆哮を上げた。

 

「ウォォォオオオキュアアアアァァァアガァァァアアアア!!!!!」

「まだ、暴れるの!?」

 

咄嗟に構えを取るMt.レディだが、ホロボロスは咆哮を上げ終わると唸り声こそ上げるが全く動こうとはしなかった。抑え込んでいたマグナも腕を離すと腕へとエネルギーを集め始め、それを虹色の光へと変換するとホロボロスへと照射した。するとホロボロスの身体にあった爆発による傷や杭が撃ち込まれていた痕が癒えていく。

 

「グルルルルルッッッッ……」

 

身体が癒えると唸り声が僅かに小さくしながらも身を翻して市街地とは反対、元来た道を戻るかのように歩み始めていった。先程までの凶暴さが嘘のように唯々静かに歩んでいった。そしてホロボロスは地底へと戻るようにしながら再び眠りへとついた。

 

 

『やっぱり無理矢理目覚めさせられてたみたいですね』

『みたいだね、だが問題は……誰が目覚めさせて、何に利用しようとしていたのかという事だ』




―――正義ではなく、独善的且つ盲目的な物だな。お前の行いは悪だウルトラマン。

―――……如何して、どうして……助けてくれないの……?

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