緑谷出久はウルトラマンと出会う。   作:魔女っ子アルト姫

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悪魔との対決。

出現した巨大な悪夢、人間を自らが導くと語りながらも導く人々を消し去ろうとする悪魔。歪んだ笑みを浮かべたような表情、何処かウルトラマンにも似ている左胸にある発行体。それは左右に揺れる瞳孔のように点滅をし続けている、禍々しい悪魔として顕現したそれは目の前に立つ光の巨人へと挑戦するように構えを取る。

 

「ジュイ"ィ"ッ!!」

「ディァッ!!」

 

悪魔、キリエロイドは走り出しながら連続でマグナへと拳を打ち付けて行く。素早く巧みに組み合わせられた連撃、それらに冷静に対応しながらも全て捌いて行く。

 

「ジュイ"ィ!!!」

「ダァッディッ!!」

 

迫る攻撃、捌く連撃。キリエロイドの攻撃全てを剛力によって支えられた柔らかな動きが受け止め続けて行く。弾いた僅かな呼吸のリズムの好き、そこへマグナの鉄拳がキリエロイドへと迫った。咄嗟にそれを防ぐ、だがマグナのそれは両腕で漸く止められるほどのパワーでありキリエロイドは驚きを隠せなかった。

 

『何だこのパワーは……!?貴様っティガのあの姿よりも強いというのか!!?』

『心外だね、私は彼より弱いさ―――お前が何も学んでいないだけだ!!』

 

 

「ダァッ!!!」

「ギュィィィッッ!!!?」

 

そのまま無理矢理に拳を押し通し胸部を捉える。空気、いや空間が震える程の超威力の拳は超古代の戦士の剛力の姿に匹敵する力。伊達に格闘戦では最強最速の戦士を上回ると言われない、それを示すかのような一撃から胸倉を掴みかかるとそのまま片腕でのみでキリエロイドを天へと掲げるとそのまま全力でぶん投げる。大地を割るような勢いで叩きつけられるキリエロイド、ゆっくりと立ち上がりながら咆哮を放った。

 

「ギジュィィィィ!!!!」

 

その手から炎を放ちマグナを牽制しながらも全身に光が走った、刹那その姿が変貌した。身体を覆う灰色の甲殻がより広範囲を覆い更に筋肉質になったような印象を与えてくる。

 

『姿を、変えた!?』

『矢張り来たか、ティガのパワータイプに対応した姿……それならば私と互角にやり合えるという事か』

 

キリエロイド。嘗てティガと相まみえた時にその姿を変貌させティガを追い込んだ。それを自らに切ってきた。その予想はしていたが何故自分は何処か興奮しているのか、ティガにも強く憧れたからか、そんな思いを抑えつけながらも炎を払いながらパワータイプ対応型へとなったキリエロイドへと殴り掛かる。

 

「ジュィ!!」

 

先程よりも更に力が増したキリエロイド、その一撃は明確に強く重くなっている。正しく力によって力を征すと言わんばかりのその姿、それにマグナは連続的な攻撃で応戦する。洗礼された連撃で剛腕の一撃を受け流しつつもカウンターを決めつつも、先程の自分のように無理矢理打ち破るかのように押し通ってくる一撃を浴びてしまい、連続的にその腕にある巨大な刃を受ける。

 

「ウァァァァッ!!!」

「ギュィィィッッ!!!!」

 

その声に歪んだ声を上げながらも連続的にマグナの胸、カラータイマーへと集中した攻撃を加え始めて行くキリエロイド。刃がタイマーを捉えようとするが唐突にそれは停止した。

 

「ギュイ"ィ"ッ……!!?」

 

唐突に動かなくなった腕、幾ら力を込めてもびくともしないそれに困惑するキリエロイド。直後に腕が突然振り抜けてしまい倒れこむ、そしてその時に気付いたのだ。腕の刃が砕け散っていた事に、その時に頭に振ってきたのは自分の腕の刃。半ばから握り潰されたかのような痕が残っており全体に罅が入っていた。何が起きたのかと困惑する中で顔を上げるとそこにあったのは―――平和を愛する勇士の姿。

 

 

ULTRAMAN MAGNA LAMBDA SPIRIT(ウルトラマンマグナ ラムダスピリッツ)

 

 

『生憎、姿を変えるのはお前の専売特許という訳ではないのでね』

『マグナさん来ます!!』

『ああっ何も理解しない奴に教え込んでやろう』

 

「ドワァァァッッ!!?」

 

その時だった、突如としてマグナが声を上げて膝をついてしまった。背後から攻撃を受けたのだ、だが何者が攻撃をして来たのか全く分からなかった。だが歪んだ笑いを起こしながら向かってくるキリエロイド、その一撃を受け止めながら後ろを見ると……そこには一体の怪獣が迫って来ていた。

 

『なっ!!?今度はこいつだと、何が如何なっている!!?まさかまだゼットライザーを持っている奴がいるというのか!!?』

『し、知ってるんですかマグナさん!!?』

『知ってるも何も……くっそ嫌な奴がタッグを組むとはこの事か!!』

 

攻撃を抑え込みながらも後方へと蹴りを放ち迫ってきた怪獣を吹き飛ばそうとするが余りにも巨大な力に支えられている為か押し留める事が精いっぱいとなっている。そこに居たのは……顔を覆う鎧の様な皮膚、肩から突き出すかのような翼、金色に輝きながらも何処か顔のような発光体のある下半身。それを見た時に出久は思わずタイラントを想起したのは当然だろう。

 

昭和を代表し合体怪獣の祖とも言うべきタイラント。それと対を成すように平成のタイラントとも言われる怪獣の姿がそこにあった、その怪獣の名は―――

 

超合体怪獣

ファイブキング

 

『この体勢地味にキッツいなぁ!!』

『ぐぬぬぬっ……!!』

『『せぇのっ……SMASH!!!』』

 

ファイブキングを押し留めている右足へと力を込め直し全力で押し込むようにスマッシュを放つ、僅かに後退った隙を狙ってワザと後ろに倒れこむようにしながらもキリエロイドを巴投げでファイブキングへとぶつけようとする―――が、空中で大きく翼を広げると超高速で飛び回りながらファイブキングの上へと着地した。

 

『此処からが本番だな……さあ気合を入れるぞ出久君!!』

『はいっ!!!』

 

「ディアッ!!」

「ギュィ"ィ"ィ"ッッ!!!!」

「ゴアァァァァッッ!!!!」


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